英語の
forは複数の意味を持つ多義語であり、使い方を覚えるのが難しいです。英語を勉強しているあなたは、「forの用法がわからない」とお悩みではないでしょうか?
そこでトイグルでは、前置詞forの使い方について詳細を解説していきます。forと他の前置詞の違いも紹介するため、英語初級者から上級者まで、学習の役に立つはずです。
1. 前置詞forの中心的な意味は「目標」

forを辞書で調べると、オックスフォード英英辞典には20、ロングマン英英辞典には25、ジーニアス英和辞典には27もの意味が掲載されています。forは英語学習の壁の一つです。
実は、英語の前置詞は多くの場合、一つの核となる意味があり、それが比喩的に派生して複数の用法に発展しています。forの中核的な意味は「目標」であり、多くの用法がこのイメージで解釈できます。
「目標」について理解するため、似た使い方をするto(到達点のイメージ)と比較してみましょう。次の例文はどのような違いがあるでしょうか?
- Sophia ran to the sea. (ソフィアは海を目指して走って行った)
- Sophia ran for the sea. (ソフィアは海の方に向かって走って行った)
上の例文(to the sea)は「到達点」のイメージのtoが使われています。ソフィアは海に向かって走り、そして実際に到着しました。
下の例文(for the sea)は「目標」のイメージのforが使われています。ソフィアは海を目標に走ったが、実際に到着したかはわかりません。途中、何らかの事情で海に到着しなかったとしても、この文は矛盾なく使用できます。
これら2つの文を図にすると次のようになります。toは「出発-経路-到着」に焦点が置かれているのに対して、forは「出発-経路」に焦点が置かれる違いがあります。

それでは、前置詞forはほかにどのような使い方をするのでしょうか? 以下、詳細を見ていきましょう。
2. 前置詞forの使い方
前置詞forは「目標」を中心的な意味として、そこから様々な用法に派生します。トイグルでは、前置詞forの意味ネットワークを次のように定義しました。

用法を1つずつ見ていきましょう。
2-1. 方向を表すfor

- (1) The train is bound for Shibuya. (電車は渋谷行きです)
- (2) Here is an email for you, Dr. Ruth. (これはあなたへのEメールですよ、Ruth博士)
- (3) Are you for or against the new project? (その新プロジェクトに賛成ですか、反対ですか?)
- (4) I work for a British documentary company. (イギリスのドキュメンタリー制作会社に勤めています)
(1)は方向(位置・場所)を表すforです。物理的な目標は動作の方向となります。電車は渋谷を目標として、そこに向かいます。
(2)は方向(人)を表すforです。Eメールはyou(あなた)に対して書かれました。
(3)は賛成・支持を表すforです。ある目標に心理が向かっていることは、それを賛成・支持しているの意味です。againstは「反対」。
(4)は所属を表すforです。ある会社のために働いていることから、そこに属していると解釈されます。
2-2. 目的を表すfor

- (5) Let’s go for a walk. (散歩に行きましょう)
- (6) Requests for refunds must be made in writing. (払戻しの依頼は書面にて行われなくてはならない)
- (7) These are used vehicles for sale. (これらは売りに出されている中古車です)
- (8) Can you translate this letter for me? (この手紙を私に翻訳してくれませんか?)
(5, 8: OALD)
(5)は目的を表すforです。a walk(散歩)という目的のためにgo(出発する)ことから、「散歩に行きましょう」と解釈されます。
(6)は要求を表すforです。払戻しという目的の依頼は、つまり要求の意味となります。
(7)は用途を表すforです。車の用途はレンタルやリースではなく、売買用であると述べられています。
(8)は利益を表すforです。「…のため」の意味で、人物は動作の受益者となります。
2-3. 交換を表すfor

- (9) Would you like my old TV in exchange for this camera? (このカメラのお返しに私の古いテレビはどうですか?)
- (10) Tickets were sold for $6.50 at that time. (その時、チケットは6.50ドルで売られていた)
- (11) I speak for all 7,000 members of our organization. (私は組織の7,000人のメンバーを代弁して話す)
- (12) HTML stands for Hyper Text Markup Language. (HTMLはハイパーテキストマークアップランゲージの略)
(9: OALD, 11: Collins American)
(9)は交換を表すforです。カメラを目標(対象物)として交換の行為を行うことから、交換のforと呼ばれます。
(10)は金額を表すforです。チケットと$6.50を交換することから、その商品の金額を表すと解釈されます。
(11)は代理・代用を表すforです。「7,000人のメンバーと話し手を交換する」から、その組織を代弁して話すと解釈されます(「7,000人に対して話す」ではありません)。
(12)は相当のfor。相当は「…として」の意味です。stand forは「…の略」の意味でよく使われます。
2-4. 基準を表すfor

- (13) It’s warm for December. (12月にしては暖かい)
- (14) Thank you for coming. (来てくれてありがとう)
- (15) Cooktown is famous for its seafood. (クックタウンは海鮮で有名です)
- (16) A hunter mistook him for a deer and shot an arrow at him. (猟師は彼をシカと間違え、弓矢で撃ってしまった)
(13)は基準を表すforです。通常の12月を基準として考え、それよりも暖かいことを示しています。「…にしては」の解釈となる点に注意してください。
(14)と(15)は原因・理由を表すforです。(14)は「来た」という事実を基準として、それに対して感謝を述べています。(15)は海鮮が街が有名な原因です(理由)。
(16)
2-5. 時間・距離を表すfor

- (17) Shelly and I talked for two hours. (シェリーと私は2時間話した)
- (18) Kyoto reached 40 degrees on Monday for the first time this year. (京都は月曜日に今年始めて40度に達した)
- (19) I ran for ten kilometers. (10キロ走った)
- (20) When invited to dinner, guests are usually asked to come at 7:30 for 8:30. (夕食に招待された時、客は8時30分に始まるのを見越して、たいてい7時30分に来るよう求められる)
(20: English Prepositions Explained)
(17)は時間を表すforです。2時間の間ずっと話していたということです。
(18)は機会を表すforです。for the first time(はじめて)やfor the second time(2回目)のように使われます。
(19)は距離を表すforです。物理的距離が一定の長さを持ったまとまりとして捉えられています。
(20)は予定を表すforです。決まった日時を表す際に使われます。come at 7:30で「7時30分に来る」、for 8:30で「8:30の予定で」から、「8:30に始まるのを見越して7:30に」と解釈されます。
3. forと他の前置詞の違い
forは他の前置詞と比較することにより、用法の違いがいっそう際立ちます。
ここでは、対象を表すtoとforの違い、期間を表すforとin/duringの違い、原因を表すbecause ofとforの違い、目標を表すto/forの容認可能性、間接目的語のto/forへの書き換えについて説明していきます。
3-1. 対象を表すtoとforの違い
toとforはどちらも「…に(対して)」の意味で対象を表すが、そのニュアンスが異なります。次の例文を比較してみましょう:
- Was this review helpful to you? (このレビューは役に立ちましたか?)
- Was this review helpful for you? (このレビューは役に立ちましたか?)
helpful to you は、そのレビューがあなたに役立ったかを尋ねます。単にあなたが読み手であるという事実だけを述べるのではありません。
helpful for you も、多くの場面で同じように「あなたに役立つ」という意味になります。for は受益や目的との適合に焦点を置くことがあるが、価値観が変化したなどの大きな意味の違いは、この前置詞だけでは決まりません。
参考までに、筆者が言語のデータベースで調べたところ、helpful to youはhelpful for youの約2倍の頻度で用いられていました:
- helpful to you: 8,621件
- helpful for you: 4,301件
3-2. 期間を表すforとin/duringの違い
forとinはどちらも期間を表すが、ニュアンスが異なります。
forは主に期間の長さを表現する際に使われます。How long…?(どのくらいの長さ?)に対して、「…の間(ずっと)」と答えるニュアンスです:
- How long did you camp in Scotland? (どのくらいスコットランドでキャンプをしましたか?)
- → We camped there for the summer. (そこでは夏の間(ずっと)キャンプをしていました)
(A Comprehensive Grammar of the English Language)
これに対して、inは主に特定の期間を表現する際に使われます。When…?(いつ?)に対して、「…のうちに(間に)」と答えるニュアンスです:
- When did you camp in Scotland? (いつスコットランドでキャンプをしましたか?)
- → We camped there in the summer. (そこでは夏の(ある一時期)にキャンプをしていました)
(A Comprehensive Grammar of the English Language)
尚、期間を表す前置詞にduringがあります。これも「…のうちに(間に)」の意味でその出来事が起こる時期をあらわします:
- Sandstorms are common during the Saudi Arabian winter. (砂嵐はサウジアラビアの冬によく起こる)
(Collins Cobuild Advanced Learner’s Dictionary)
3-3. 原因を表すbecause ofとforの違い
原因・理由を表す際によく使われるのがbecause ofです。例を見てみましょう:
- The game was called off because of bad weather. (悪天候のため試合は中止となった)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
forも原因・理由を表す際に使われるが、because ofと単純に言い換えられるものではありません。forはどちらかと言うと、感情など心理的理由に対して用いられることが多いです:
- He didn’t answer for fear of hurting her. (彼は彼女を傷つける恐れから答えなかった)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
3-4. 目標を表すto/forの容認可能性
冒頭の『1. 前置詞forの中心的な意味は「目標」』で示したように、前置詞toとforはどちらも目的地を表す点で共通しているが、場合によって文の容認可能性に影響を与えます。次の例を比べてみましょう:
- 正: The ball rolled to the wall. (ボールは壁まで転がっていった)
- 誤: The ball rolled for the wall. (ボールは壁に向かって転がっていった?)
(Semantics of English Prepositions)
上の例文(to the wall)は到達点のtoが使われています。ボールは生き物ではないから、人の手や重力など、何らかの力で動いて壁に達しました。
下の例文(for the wall)は目標のforが使われています。目標とは単なる方向ではなく、多かれ少なかれ主体が意志を持って動くことを示唆します。そのため、無生物の「ボール」が壁を「目指して」転がるのは不自然と考えられます。
3-5. 間接目的語のto/forへの書き換え
いわゆるSVOOの文において、間接目的語(=1つ目のO)をtoやforを使った文に変更できる場合があります:
- 主語 + 動詞 + 間接目的語 + 直接目的語
- → 主語 + 動詞 + 直接目的語 + to…
- → 主語 + 動詞 + 直接目的語 + for…
この際、toとforを判断する基準は何でしょうか? どのような場合にto(あるいはfor)が選択されるのでしょうか?
この問題について考える1つの手がかりが、toとforに含まれる中心的な意味です。次の例文を比較してみましょう:
- He gives Italian lessons to his colleagues. (彼はイタリア語のレッスンを同僚に行う)
- He bought a new coat for me. (彼は私に新しいコートを買った)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
上の例文(give … to …)では、彼が語学レッスンをする習慣があることが示されています。レッスンは生徒(= 同僚)がいてはじめて成立することから、「実施→到達」に焦点が置かれます。よって、到達点を表すtoが選択されます。
下の例文(bought … for …)では、彼が私に対してコートを買ってくれたことが示されています。買うという行為自体は、目的や対象者がいなくても成立します。「私」は受益者として捉えられているので、目標を表すforが選択されます。
このように、to/forの使い分けには前置詞の持つ中心的なイメージが生きています。迷った時は語の持つ意味から考えるようにしましょう。
4. まとめ
この記事では、英語の前置詞forについて詳細を解説してきました。
内容をまとめると次のようになります:
- 前置詞forは「目標」のイメージです
- forは主として方向、目的を表すのに使われます
- 交換、基準、時間・距離を示すforもあります
- 異なるニュアンスの他の前置詞があります
英語初級者の方は、基本的な用法である場所から覚えましょう。中級者の方は比喩的に拡張された意味を理解すると良いです。上級者の方は、他の前置詞との使い分けができると表現の幅が広がります。
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆しています。興味のある方はぜひご覧ください。
Good luck!