英語の /p/ は、上下の唇で息を止め、唇を開いて短く出す音です。pen の最初や、cup の最後に使われています。音声学では「無声両唇破裂音(むせい・りょうしん・はれつおん)」と呼びます。
日本語のパ行に近い音ですが、英語では /p/ の後に必ず母音が付くわけではありません。また、pen、apple、cup では、/p/ の聞こえ方や息の出方が異なります。
この記事では、まず口の動かし方を図で確認し、音だけ、単語、フレーズ、文の順に練習します。男女それぞれの音声を聞きながら、一緒に声に出してみてください。
音声はアメリカ英語をモデルにした学習用の合成音声です。各練習では、お手本の後に自分で発音する間を設けています。男性・女性のどちらか一方で練習し、慣れたらもう一方でも試してください。
1. /p/ は「無声両唇破裂音」
「無声両唇破裂音」という名称は、音の作り方を3つの観点から表しています。
| 名称 | 意味 |
|---|---|
| 無声 | /p/ を作るとき、声帯を振動させません。続く母音では声帯が振動します。 |
| 両唇 | 上唇と下唇を使って、息の通り道をふさぎます。 |
| 破裂音 | 息をいったんせき止め、閉鎖を開放して作る音です。「破裂」は、大きな音を出すという意味ではありません。 |
発音記号の /p/ と、アルファベットの名前「ピー」/piː/ は別です。/p/ だけを練習するときは、「イー」や「ウ」を付けず、唇を開く短い音を作ります。
名称と分類は、国際音声学会のIPAチャートで確認できます。
2. 口の形と息の出し方を図で確認

- 唇を閉じます。上唇と下唇を軽く合わせ、口から息が漏れないようにします。歯で唇をかむ必要はありません。
- 息をいったん止めます。舌で口の奥をふさぐのではなく、唇で出口を閉じます。頬を大きく膨らませる必要はありません。
- 唇を短く開きます。せき止めていた息を口から出します。/p/ だけなら、ここで終わりです。
図では、舌が上あごに接していない点にも注目してください。/p/ で閉鎖を作る場所は唇です。ただし、単語を話すときの舌の位置は、前後の母音や子音に合わせて変わります。
最初は鏡を見て練習しましょう。口を開けたまま息を吹き続けるのではなく、「閉じる→短く開く」を1回ずつ行います。/p/ は、/s/ のように同じ音を長く伸ばす子音ではありません。

最初から強く吹こうとするより、まず「唇が一度触れたか」を確認しましょう。pen を言う直前に鏡を見て、唇を軽く合わせます。閉じる動きができたら、力を抜いて母音へ進んでください。息の強さだけをまねるより、口の動きを再現しやすくなります。
3. まずは /p/ の音だけを練習
課題:お手本に続いて、/p/ を1回ずつ、計5回出してください。母音を付けずに、唇を開く動きと短く出る息を確認します。音を無理に長く伸ばす必要はありません。
この音声は、練習する音を単独でAI生成したものです。5回の音の間に練習用の間を設けています。
男性音声
女性音声
- 「ピー」「プッ」のように、後から母音を足していないか確認します。
- 毎回いったん唇を閉じ直し、息を短く出します。
- 口の少し前に手のひらを置き、短い息が当たることを確かめます。
無声音なので、この練習では男性・女性の声の高さの違いは目立ちません。次の単語練習では、母音も含めた声やリズムの違いを聞いてください。
4. /p/ は単語の位置によって聞こえ方が変わる
ここでいう「語頭・語中・語末」は、文の中ではなく、単語の中の位置です。pen の /p/ は語頭、apple の /p/ は語中、cup の /p/ は語末にあります。
| 位置・条件 | 発音のポイント |
|---|---|
| pen、pie などの語頭 | 唇を開いた後に、短い息がはっきり出ます。この息を「気息」と呼びます。 |
| apple、appear などの語中 | 語中だから常に弱いとは限りません。appear のように、強勢のある音節の初めでは気息が出ます。 |
| cup、map などの語末 | 最後に唇を閉じ、余分な母音を付けません。唇を開く音が、はっきり聞こえない発音もあります。 |
| spin のように同じ音節内で /s/ が前にある場合 | pen のような強い気息は通常出ません。/s/ と /p/ の間にも母音を入れません。 |
息の出方は、単語の位置だけでなく、強勢や前後の音によって変わります。すべての /p/ を同じ強さで吹き出す必要はありません。
pin と spin を比べる
音声は pin → spin → pin → spin の順です。口の前に手を置き、pin の /p/ と、spin の /sp/ の息の違いを比べてください。spin を「ス・ピン」と2つに区切らず、/s/ から唇の閉鎖へ続けます。
男性音声
女性音声
気息と強勢の関係については、言語学の公開教材 Essentials of Linguistics「Aspirated Stops in English」も参考になります。
5. 単語で練習:語頭・語中・語末を各5語
音声は各表の上から順に、単語を1回ずつ読みます。お手本の後の間に、同じ単語を1回発音してください。太字は、練習する /p/ に対応する綴りです。発音記号はアメリカ英語を基準にしています。
5-1. 語頭の /p/
| 単語・発音記号 | 意味 | 練習のポイント |
|---|---|---|
| pen /pen/ | ペン | 短い息の後、そのまま母音へつなげます。 |
| pig /pɪɡ/ | 豚 | 「ピ」を長く伸ばさず、短く発音します。 |
| park /pɑːrk/ | 公園 | /p/ から後ろの音へ滑らかにつなげます。 |
| pie /paɪ/ | パイ | 気息を出した後、/aɪ/ へ移ります。 |
| pay /peɪ/ | 支払う | /p/ の後に余分な「ウ」を挟みません。 |
男性音声
女性音声
5-2. 語中の /p/
| 単語・発音記号 | 意味 | 練習のポイント |
|---|---|---|
| apple /ˈæpəl/ | リンゴ | 母音の後で唇を閉じ、次の音へ進みます。 |
| happy /ˈhæpi/ | うれしい | pp という綴りでも、/p/ を2回に分けません。 |
| open /ˈoʊpən/ | 開ける | /oʊ/ の後に唇を閉じる動きを作ります。 |
| paper /ˈpeɪpər/ | 紙 | 語頭と語中、2か所の /p/ に注意します。 |
| appear /əˈpɪr/ | 現れる | 後半に強勢があり、語中の /p/ でも気息が出ます。 |
男性音声
女性音声
発音記号の /ˈ/ は、その後の音節に強勢があることを示します。apple と appear を比べ、綴りの pp が同じでも、強勢の位置が異なることを確かめましょう。
5-3. 語末の /p/
| 単語・発音記号 | 意味 | 練習のポイント |
|---|---|---|
| cup /kʌp/ | カップ | 最後に唇を閉じ、「ウ」を付けません。 |
| map /mæp/ | 地図 | 母音を終えたら、唇を閉じて /p/ を作ります。 |
| top /tɑːp/ | 上部・頂上 | カタカナの「トップ」の母音を足さないようにします。 |
| help /help/ | 助ける | /l/ から唇の閉鎖へ進み、間に母音を挟みません。 |
| stop /stɑːp/ | 止まる | 最後の /p/ を大きな「プ」にしないようにします。 |
男性音声
女性音声
語末の /p/ は、唇を閉じたところで終わり、開放音がはっきり聞こえないことがあります。これは「/p/ を何もせず省略する」という意味ではありません。まず唇を閉じる動きを作り、お手本の後に母音を足さないことを優先しましょう。

cup の最後が難しいときは、「カップ」と言い切ろうとせず、最後に唇を閉じて、そのまま止まる練習をしてみてください。その後で cup on と続け、唇を開く動きを次の on に使います。「プ」を大きく響かせるより、余分な母音を挟まないことを優先しましょう。
6. フレーズで練習:短いまとまりを5つ
単語で口の動きがつかめたら、短いまとまりで練習します。/p/ だけを不自然に強調せず、フレーズ全体を続けて発音してください。
1. a paper cup
紙コップ
発音のポイント:paper の2か所と、cup の語末。
2. a pink pen
ピンク色のペン
発音のポイント:pink と pen、それぞれの語頭。
3. apple pie
アップルパイ
発音のポイント:apple の語中と pie の語頭。
4. a happy puppy
うれしそうな子犬
発音のポイント:happy と puppy に含まれる /p/。
5. a map of the park
公園の地図
発音のポイント:map の最後から of へ続く部分と、park の語頭。
男性音声
女性音声
a map of the park では、map の /p/ の直後に of の母音が続きます。map を単独で読む練習とは異なり、唇を開いてそのまま次の母音へ進みます。
7. 文で練習:会話で使える5文
最後は文全体で練習します。全単語に /p/ を入れる必要はありません。伝えたい内容の中で、必要な場所に唇の閉鎖を作ることが目標です。音声は1番から5番の順です。
1. I bought a pen.
ペンを買いました。
発音のポイント:pen の語頭で、唇を閉じてから開きます。
2. Please open the package.
その包みを開けてください。
発音のポイント:Please の /pl/ の間に母音を挟まず、open と package も続けます。
3. Put the cup on the table.
カップをテーブルの上に置いてください。
発音のポイント:cup の /p/ から on の母音へつなぎます。
4. We had apple pie after lunch.
昼食後にアップルパイを食べました。
発音のポイント:apple pie を1つのまとまりとして発音します。
5. The shop is near the park.
その店は公園の近くにあります。
発音のポイント:shop is のつながりと、park の語頭に注目します。
男性音声
女性音声
8. 仕上げの練習とセルフチェック
1〜5の文から2つを選び、音声を止めた状態で読んでみましょう。可能なら自分の声を録音し、お手本と交互に聞き比べてください。声の高さを似せる必要はありません。次の3点を確認します。
- 唇の閉鎖:/p/ の場所で、上唇と下唇がいったん触れていますか。
- 余分な母音:cup や shop の後に「ウ」を足していませんか。
- 全体の流れ:/p/ のたびに文が止まらず、次の母音や子音へ進めていますか。
うまくいかないときの直し方
| 気になる点 | 戻って練習すること |
|---|---|
| 音だけのつもりが「ピー」「プ」になります。 | 第3節に戻り、唇を開いた短い音で終わります。/p/ の後に声を足していないか確認してください。 |
| すべての /p/ が強く、ぎこちなくなります。 | 第4節の pin / spin と、第5節の apple / appear を比べます。気息は、位置や強勢に応じて変わります。 |
| 語末の /p/ が聞き取れません。 | 開放音の大きさだけを基準にしません。第5節で唇を閉じる動きを作り、母音を足さずに終える練習をします。 |
| 単語では言えても、文になると崩れます。 | まず apple pie や a paper cup に戻ります。短いまとまりが言えてから、文へ進みましょう。 |
/p/ の基本は、上下の唇で息をいったん止めることです。その動きを保ちながら、語頭の短い息、語中の強勢、語末で母音を足さない終え方を練習すると、単語から文へつなげやすくなります。
母音・子音・音変化などの解説と練習記事は、英語の発音まとめに一覧で掲載しています。
9. 似た音も一緒に練習する
/p/ と /b/ は、どちらも上下の唇を閉じて作る音です。有声音の /b/ と比べると、声帯の使い方や、母音までのつながりの違いがつかみやすくなります。また、/f/・/v/ は上の歯と下唇を使います。口のどこで息を止めたり狭めたりするかと、声の有無が、これらの音を区別する手がかりになります。
参考資料
- International Phonetic Association:Interactive IPA Chart(/p/ の分類)
- Essentials of Linguistics:Aspirated Stops in English(気息と強勢、/s/ の後の破裂音)
- UCLA:A Course in Phonetics, Chapter 3(英語の子音、開放音のある・ない破裂音)
- Cambridge Dictionary:English Pronunciation(単語の発音記号)