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TOEICスコアを就職活動や転職など、キャリアに活かしたいと考えている方は多いだろう。
そこでトイグルでは、IT企業の人事だった筆者の経験を踏まえ、キャリアに役立つTOEICスコアの目安について解説していきたい。キャリアアップを目指す方に役立つはずだ。
1. 目指すべきTOEICスコアの考え方
採用試験とは、あなたが会社に対しどれだけの貢献ができるかを見極める場である。具体的には、新卒・中途では次のような側面が判定されることになる。
- 新卒: ポテンシャル (=人材としての伸びしろ)
- 中途: スキルと経験 (=即戦力)
TOEICスコアを履歴書に書くことは、あなたの英語力をこれら人材価値の一部に含めることを意味する。
では、TOEICスコアと人材価値にはどのような関係性があるのだろうか? これを簡単な図で表してみよう。
2×2の表のため、4つのマスが出来上がった。1つずつ解説しよう。
- ハイスペック(右上): ポテンシャルあるいはスキルが豊富で、かつ高いTOEICスコアを持っている。昨今では「グローバル人材」とも言われ、市場で最も高く評価される。
- 優良人材(左上): ポテンシャルあるいはスキルは豊富だが、英語力に課題がある。TOEICスコアがなくても高い職務遂行スキルがあるため、市場での価値は高い。
- 資格バカ(右下): 高いTOEICスコアは持っているものの、ポテンシャルやスキルに欠ける人材。優先順位をスキルよりも資格試験に置いてしまったため、企業が求める人物像とのミスマッチが発生している。
- 要努力(左下): 現状ではポテンシャル・スキルに乏しく、TOEICスコアも低い。
言うまでもなく、人事はあなたをTOEICスコアより仕事のポテンシャル・スキルで評価する。しかし、TOEICスコアを持っていることにより、ポテンシャルやスキルの伸びしろをアピールすることは可能だ。
そこで本稿では、多くの方が目標とするであろう優良人材にスポットを当てたい。優良人材を目指す人がポテンシャル・スキルの不足を補い、人事の目を引く履歴書が書けるTOEICスコアを検証していこう。
2. 企業が期待するTOEICスコア
まず、TOEICスコアを企業側の視点から見ていく。
『人材育成における英語に関する調査』によれば、企業が期待するTOEICスコアは次のようになる。
新入社員 | 450〜650 |
中途採用社員 | 585〜795 |
海外赴任 | 555〜765 |
技術部門 | 480〜720 |
営業部門 | 525〜775 |
国際部門 | 655〜865 |
(『人材育成における英語に関する調査』より筆者作成)
いま「優良人材」は新入社員、あるいは中途採用社員を目安にしよう。
仮にあなたが転職で優良人材を目指すなら、求められるのは中途採用社員の585〜795点だ。最低でもこのスコアはクリアしておきたい。
3. TOEICスコアとできることの目安
「優良人材」はあくまでキャリアの一環としてTOEICスコアを活用するため、実践的な英語コミュニケーション能力の向上は目的としない。
しかし、英語力をアピールするなら、企業から英語を使った業務を期待される可能性はあり得る。そこで、TOEICスコアと実際の英語レベルの目安を確認していこう。
TOEICを主催する国際ビジネスコミュニケーション協会によれば、スコアとできることの目安は次のようになる。
TOEIC |
自分の専門分野の高度な専門書を読んで理解できる。
英語を話す人達が行っている最近の出来事・事件についての議論を聞いて内容を理解することができる。 |
TOEIC |
英語で書かれたインターネットのページから、必要な情報・資料を探し収集できる。
職場で発生した問題点について議論をしている同僚の話が理解できる。 |
TOEIC |
会議の案内等の社内文書・通達を、読んで理解できる。
自分の仕事に関連した日常業務のやりかたについての説明を理解できる。 |
TOEIC |
自分宛てに書かれた簡単な仕事上のメモを読んで理解できる。
ゆっくりと配慮して話してもらえば、目的地までの順路を理解できる。 |
TOEIC |
電車やバス、飛行機の時刻表を見て理解できる。
打ち解けた状況で、 “How are you?””Where do you live?” “How do you feel?” といった簡単な質問を理解できる。 |
TOEIC |
看板を見てどんな店か、どういったサービスを提供する店かを理解することができる。 |
(スコアの目安より筆者作成)
TOEIC700点以上を安定して取れるようになったら、日本国内の日常業務に多少の英語を使って仕事ができる下地ができる、くらいに考えておこう。
注: TOEIC Listening&Reading試験はスピーキングとライティングが含まれない。実際に英語で業務をするならこれらアウトプット系の能力は必須なため、TOEIC以外の英語経験を十分に積む必要がある。
4. TOEIC平均スコア
TOEICをキャリア戦略で用いるなら、ライバルのスコアを知っておくことが重要だ。
2017年1月現在、過去10回分のTOEIC平均点は次のとおりとなる。
実施回 | 平均点 |
第216回(2016年12月) | 580.0 |
第215回(2016年11月) | 580.8 |
第214回(2016年10月) | 585.2 |
第213回(2016年9月) | 572.9 |
第212回(2016年7月) | 586.9 |
第211回(2016年6月) | 582.5 |
第210回(2016年5月) | 572.1 |
第209回(2016年4月) | 596.2 |
第208回(2016年3月) | 585.4 |
第207回(2016年1月) | 585.9 |
(公開テスト 平均スコア・スコア分布 一覧より筆者作成)
実施回によって多少の差はあるものの、平均点は概ね580点であることがわかる。
平均点を詳細に分析するため、TOEICスコアの分布を見ていこう。
下の図は、第203回TOEIC試験のスコアと取得者の割合を示したものである。横軸が50点刻みのTOEICスコア、縦軸がそのスコアを取った人数の割合を示す。
(スコア分布詳細(第203回)より筆者作成)
転職サイトなどでは、履歴書に書けるTOEICスコアは500点〜600点とアドバイスしている。
しかし、仮に600点を取れたとしても、あなたよりもスコアが高い人が全受験者の半分近く存在するのが現実だ。ポテンシャル・スキルの不足を埋めるには、まったくもって不十分なスコアと言えよう。
(スコア分布詳細(第203回)より筆者作成)
TOEICをキャリアに活かすのであれば、平均を超えるのは当たり前とし、可能な限りハイスコアを狙っていきたい。
5. 履歴書に書くべきTOEICスコアは何点?
これまで、3つの指標を用いてキャリアップに必要なTOEICスコアを考察してきた。まとめると次のようになる。
- 企業が期待するTOEICスコア(中途): 585〜795
- TOEICスコアでできること: 700点で英語業務を取り入れる下地
- TOEIC平均スコア: 600点でも受験者の中間くらい
冒頭で確認したように、TOEICスコアを履歴書に書くことは英語力を自己PRのいち部分に含めることを意味する。
よって、トイグルでは「ただ履歴書に記入できる」だけの消極的な観点ではなく、「履歴書に記入することで武器になる」ような積極的な観点から、履歴書に書くべきTOEICスコアを次のように定義しよう。
*履歴書に書ける最低TOEICスコア
- 新卒: 650点 (上位35%)
- 中途: 750点 (上位20%)
新卒採用ではスコア650点、中途採用ではスコア750点は取得しておきたい。
新卒なら全受験者の上位35%、中途は上位20%の位置に入れるため「TOEICを頑張って勉強し、結果を出しました」と胸を張って言えるレベルになる。企業が期待するTOEICスコアはクリアし、国内企業で英語を業務に取り入れる最低レベルの下地もできている。
TOEICもキャリアも重要なのは戦略だ。一段高いスコアを取得し、成功するキャリアを築いていこう。
*当記事を読んでもっと知りたいと思った方は、次のエントリーも参考にしていただきたい。
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