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英語のtoとは、to Tokyo(東京へ)やto Smith(スミスに)などを典型的な用法とする前置詞である。
toは複数の意味を持つ多義語であり、使い方を覚えるのが難しい。英語を勉強しているあなたは、「toの用法がわからない」とお悩みではないだろうか?
そこでトイグルでは、前置詞toの使い方について詳細を解説していく。toと他の前置詞の違いも紹介するため、英語初級者から上級者まで、学習の役に立つはずだ。
1. 前置詞toの中心的な意味は「到達点」
toを辞書で調べると、ジーニアス英和辞典には16、オックスフォード英英辞典には18、ロングマン英英辞典には22もの意味が掲載されている。toは英語学習の壁の一つである。
実は、英語の前置詞は多くの場合、一つの核となる意味があり、それが比喩的に派生して複数の用法に発展している。toの中核的な意味は「到達点」であり、ほとんどすべての用法がこのイメージで理解できる。
「到達点」の概念を知るため、次の例を見てみよう:
- We traveled from Osaka to Tokyo. (私たちは大阪から東京に旅をした)
fromは起点(…から)、toは到達点(…まで)を示す。話し手は大阪を出発して、飛行機、電車、徒歩、その他何かしらの交通手段を使い、最終的に東京に到着した。
toには他にも複数の用法があるが、そのいずれも「到達点」の拡張で解釈できる。以下、toの使い方の詳細を見ていこう。
2. 前置詞toの使い方
前置詞toは「到達点」を中心的な意味として、そこから様々な用法に派生する。トイグルでは、前置詞toの意味ネットワークを次のように定義した。
用法を1つずつ見ていこう。
2-1. 場所や対象を表すto
- (1) I walked to the office. (オフィスに歩いて行った)
- (2) We went to Japan last April. (この前の4月に日本に行った)
- (3) He wrote to the editor of the newspaper. (彼は新聞の編集者に手紙を書いた)
- (4) The lights changed from red to green. (信号は赤から緑へ変わった)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
(1)は場所(小)を表すto。オフィスを到達点として捉えている。話し手はオフィスに向かって歩き、そこに到着した。
(2)は場所(大)を表すto。日本を到達点として捉えている。話し手たちは日本に向かい、4月に到着した。
(3)は動作の対象を表すto。「新聞の編集者」を到達点として捉えている。
(4)は状態を表すto。信号は赤から緑へと変化した。緑は変化の到達点である。
2-2. 範囲や程度を表すto
- (5) Books are usually read from beginning to end. (本はたいてい最初から最後まで読まれる)
- (6) Our hotel can accommodate up to 100 guests. (私たちのホテルは100名までの客を収容できる)
- (7) Some people work from Monday to Friday. (月曜日から金曜日まで働く人がいる)
- (8) To some extent what we discussed is true. (私たちが議論したことはある程度正しい)
(5)は範囲を表すto。「本の最後のページ」を到達点と見立てれば、最後まで読むことは、読書の範囲を示すことになる。
(6)は限度を表すto。「100人」を到達点と見立てている。up toは「…まで」の意味。
(7)は時間を表すto。本記事の冒頭で示したfrom Osaka to Tokyoと原理は同じ。「金曜日」を比喩的な到達点と見立てている。
(8)は程度を表すto。ある物事の度合いも到達点と捉えられる。この用法はto some extent(ある程度)やto my knowledge(私の知る限りでは)など、イディオム化したものが多い。
2-3. 派生的な意味のto
- (9) Attach the coupon to the front of your letter. (クーポンを手紙の表面に貼り付けてください)
- (10) The key to success is preparation. (成功への鍵は準備だ)
- (11) She’s married to an Italian. (彼女はイタリア人と結婚した)
- (12) His music isn’t really to my taste. (彼の音楽は私の好みに合わない)
- (13) He tore the letter to pieces. (彼は手紙を破って粉々にした)
- (14) The new products are far superior to the old ones. (その新製品は旧製品よりもはるかに優れている)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
(9)は結合を表すto。手紙の表面を到達点として捉え、クーポンを貼り付けることで、それらが物理的に結合する。
(10)は対応を表すto。成功を到達点として捉え、それに対応(直結)する鍵が「準備」だとしている。この表現は、the key to the box(箱の鍵)のような物理的対応関係にも使える。
(11)は関係を表すto。結婚という行為の到達点をイタリア人と捉えている。
(12)は一致を表すto。「私の好み」という到達点に「彼の音楽」が合わない(一致しない)という状況を表す。
(13)は結果を表すto。to以下の状況が到達点。手紙を破った結果、粉々になった。
(14)は比較を表すto。比較の対象が到達点。be superior to(…にまさっている)、compared to(…と比べて)などでよく使われる。
3. toと他の前置詞の違い
toは他の前置詞と比較することにより、用法の違いがいっそう際立つ。
ここでは、目標を表すtoとatの違い、行き先を表すtoとforの違い、方向を表すtoとtowardの違い、心的距離を表すtoとintoの違い、talk toとtalk withの違いについて説明していきたい。
3-1. 目標を表すtoとatの違い
目標(対象)を表す前置詞にはtoとatがあるが、ニュアンスが異なる。次の例文を比べてみよう:
- They shouted to us to come and play with them. (彼らは私たちに, こちらに来て一緒に遊ぼうと叫んだ)
- I shouted at him and throw things. (私は彼を怒鳴りつけ, 物を投げた)
上の例文は「到達点」のイメージのtoが使われている。大きな声を出したのは、「こちらに来て一緒に遊ぼう」と伝えるためである。
下の例文は「点」のイメージのatが使われている。彼に対して怒鳴っているような悪いニュアンスが含意される。
3-2. 行き先を表すtoとforの違い
行き先を表す前置詞にはtoとforがあるが、ニュアンスが異なる。次の例文を比べてみよう:
- I have to go to Rome on business. (私は出張でローマに行かなくてはならない)
- The plane leaves for Dallas at 12.35. (飛行機は12時35分にダラスに向けて出発する)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
上の例文は「到達点」のイメージのtoが使われている。話し手はローマに向かって出発し、そこに「到着する」ことが示唆される。
下の例文は「目的」のイメージのforが使われている。forは目的地に向かって進むものの、到着までは含意されない。関心の置かれているのは飛行機が「出発」する状況である。
(筆者注: 「12.35」はイギリス英語の表記. アメリカ英語では「12:35」)
3-3. 方向を表すtoとtowardの違い
方向を表す前置詞にはtoとtowardがあるが、ニュアンスが異なる。次の例文を比べてみよう:
- We were heading to the border. (私たちは国境に向かっていた)
- We were heading toward the border. (私たちは国境に向かっていた)
上の例文は「到達点」のイメージのtoが使われている。話し手たちは国境に向かって進み、到着した。
下の例文は「方向」のイメージのtowardが使われている。話し手たちは国境に向かって進んでいたが、実際に到着したかどうかはわからない(到着したかもしれないし、到着していないかもしれない)。
尚、アメリカ英語ではtoward、イギリス英語ではtowardsと表記することが多い。
3-4. 心的距離を表すtoとintoの違い
toとintoが心的距離の違いを表すことがある。次の例文はどちらも「…に行くところ」だが、ニュアンスが異なる:
- We’re going to Osaka. (私たちは大阪に行くところです)
- We’re going into the town. (私たちは街に行くところです)
上の例文は「…に向けて進み、到達する」のイメージのtoが使われている。話し手たちは街から離れたところにいて、街を距離感のある到達点と見ている。
下の例文は「…に向けて進み、徐々に入っていく」のイメージのintoが使われている。話し手たちは街の付近におり、街を近い位置で捉えている。
3-5. talk toとtalk withの違い
talk toとtalk withはどちらも「…と話をする」と訳されるが、ニュアンスが異なる。次の例文を比べてみよう:
- I talked to some of the people on the committee. (委員会の何人かの人と話をした)
- He talked with his doctor about changing his medication. (彼は薬を変えることについて医者と話をした)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
上の例文は「到達点」のイメージのtoが使われている。会話である以上、双方が言葉を交わしたことは間違いないが、ニュアンスとして「一方向的(X → Y)」だったことが示唆される。
下の例文は「まとまり」のイメージのwithが使われている。話し手(彼)と聞き手(医者)が「双方向的(X ⇔ Y)」に会話をした点に強調が置かれる。
ところで、実際の英語使用場面では、talk toとtalk withのどちらが一般的なのだろうか? 筆者が言語のデータベースを使って調べたところ、使用頻度はtalk toがtalk withの4倍以上の結果だった:
- talked to: 108,329件
- talked with: 24,805件
ここでは、talk(名詞)を除くため、時制をtalked to / talked withと過去形に限定した。そのため、完全に正確な情報とは言えないが、使い方を知る上で一応の参考にはなるだろう。
4. まとめ
この記事では、英語の前置詞toについて詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- 前置詞toは「到達点」のイメージ
- toは主として場所や対象を表す
- toは範囲や程度にも使われる
- その他、toには拡張的な用法がある
- 異なるニュアンスの他の前置詞がある
英語初級者の方は、基本的な用法である場所から覚えよう。中級者の方は比喩的に拡張された意味を理解すると良い。上級者の方は、他の前置詞との使い分けができると表現の幅が広がる。
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
Good luck!