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英語では、all、both、eachが代名詞的に使われる際、それらが名詞句から離れた位置にあらわれることがある。
例を見てみよう。次の文はallがbe動詞の後ろに出現している。
- We are all making great progress. (私たちは皆、どんどん上達している)
このような用法のall、both、eachを遊離数量詞と呼ぶ。この記事では遊離数量詞について、学習上の観点から解説をしていく。参考になるはずだ。
1. 遊離数量詞になれるのはall, each, both
英語で遊離数量詞として使えるのは、all、each、bothといった普遍数量詞である。
はじめに、allを使った例を見てみよう。
- (1a) All of the women have left Moscow. (女性たちはみんなモスクワを去った)
- (1b) The women have all left Moscow. (女性たちはみんなモスクワを去った)
(1a)はAll of the women(女性たちはみんな)の形で使われている例である。これに対して、(1b)ではAllが名詞句から遊離して(=離れて)、haveの後ろに出現している。
次に、bothを使った例を観察する。
- (2a) Both of the women have left Moscow. (女性たちは2人ともモスクワを去った)
- (2b) The women have both left Moscow. (女性たちは2人ともモスクワを去った)
(2a)はBoth of the women(女性たちは2人とも)の形で使われている例である。これに対して、(2b)ではbothが名詞句から遊離して、haveの後ろに出現している。
最後に、eachを使った例を観察する。
- (3a) Each of the women has left Moscow. (女性たちはそれぞれモスクワを去った)
- (3b) The women have each left Moscow. (女性たちはそれぞれモスクワを去った)
(3a)はEach of the women(女性たちはそれぞれ)の形で使われている例である。これに対して、(3b)ではeachが名詞句から遊離して、hasの後ろに出現している。
数量詞の遊離は、上述のようにall、both、eachのみに見られる現象である。every、any、many、someなどの存在数量詞は、たとえsome of themのように言えたとしても、それが名詞句から離れて使われることはない。
したがって、次の文はいずれも文法的に誤りとなる。
- (誤) The women have every left Moscow.
- (誤) The women have any left Moscow.
- (誤) The women have many left Moscow.
- (誤) The women have some left Moscow.
2. 遊離数量詞の使い方
遊離数量詞は通例、一般動詞の前、be動詞の後、完了形have/has/hadの後、助動詞の後の位置にあらわれる。以下、例文と共に見ていこう。
2-1. 一般動詞の前
- (4a) All of us have different strengths and weaknesses. (私たちは皆、異なる長所と短所を持っている)
- (4b) We all have different strengths and weaknesses. (私たちは皆、異なる長所と短所を持っている)
遊離数量詞は一般動詞の前に置かれる。
2-2. be動詞の後
- (5a) Both of us are working. (私たちは2人とも働いている)
- (5b) We are both working. (私たちは2人とも働いている)
be動詞が使われる場合、遊離数量詞はbe動詞の後に置かれる。
2-3. 完了形have/has/hadの後
- (6a) Each of Uber, LinkedIn, and Evernote have done the same. (ウーバー、リンクトイン、エバーノートはそれぞれ、同じことをした)
- (6b) Uber, LinkedIn, and Evernote have each done the same. (ウーバー、リンクトイン、エバーノートはそれぞれ、同じことをした)
現在完了のhave/hasあるいは過去完了のhadが使われる場合、遊離数量詞はhave/has/hadの後ろに置かれる。
注: ウーバー、リンクトイン、エバーノートはアメリカのIT企業
2-4. 助動詞の後
- (7a) I’m sure all of you will agree. (私はあなたたちが皆同意すると確信している)
- (7b) I’m sure you will all agree. (私はあなたたちが皆同意すると確信している)
助動詞が使われる場合、遊離数量詞は助動詞の後ろに置かれる。
3. 遊離数量詞に関する補足事項
3-1. 主語と動詞の一致
- (8a) Each of the students was happy with my explanation. (それぞれの学生が私の説明に満足だった)
- (8b) The students were each happy with my explanation. (学生たちはそれぞれ私の説明に満足だった)
主語と動詞の一致について検証してみよう。
まず、(8a)のようにEach of the studentsが主語であれば、動詞はeachに対応して単数形となる。
一方、eachが離れた位置に出現する場合、(8b)のように、動詞は主語のThe studentsに対応して複数形となる。
3-2. 再帰代名詞を使う場合
- (9a) Each of the women blamed herself for the accident. (女性たちの一人ひとりがその事故を自分のせいにした)
- (9b) The women each blamed themselves for the accident. (女性たちの一人ひとりがその事故を自分のせいにした)
数量詞が移動することにより、再帰代名詞の形が変化することがある。
(9a)はEach of the womenが主語の例である。再帰代名詞はEachに対応して、単数形のherselfで使われる。
一方、(9b)はThe womenが主語で、eachが動詞の前に出現している例である。再帰代名詞はThe womenに対応して、複数形のthemselvesが使われる。
3-3. 目的語の数量詞が移動する場合
- (10) John painted the doors all black. (ジョンはすべてのドアを黒に塗った)
- (11) I gave the teachers all my personal information. (私はすべての教師に個人情報を与えた)
数量詞の遊離は目的語に起こることもある。(10)と(11)はともに、目的語の限定表現(数量詞)が移動した例である。
目的語の数量詞が移動する場合、名詞句とその後の要素にBEあるいはHAVEの関係が成り立つ。
- (10′) [the doors] BE [black]
- (11′) [the teachers] HAVE [my personal information]
参考文献: 新英文法選書 第6巻 名詞句の限定表現
4. まとめ
この記事では、英語の遊離数量詞について詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- 遊離数量詞はall, both, eachが名詞句から離れた位置に出現する現象
- 遊離数量詞になるのはall, both, eachのみ
- 遊離数量詞は一般動詞の前、be動詞の後、完了形の後、助動詞の後に置かれる
- 目的語の数量詞が遊離することがある
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
Good luck!