前置詞atの使い方!覚え方のポイントは「点」のイメージを理解すること

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

英語のatとは、at the bus stop(バス停で)やat 11 o’clock(11時に)などの使われ方をする前置詞である。

atは複数の意味を持つ多義語であり、使い方を覚えるのが難しい。英語を勉強しているあなたは、「atの用法がわからない」とお悩みではないだろうか?

そこでトイグルでは、前置詞atの使い方について詳細を解説していく。atと他の前置詞の違いも紹介するため、学習の役に立つはずだ。

1. 前置詞atの中心的な意味は「点」

前置詞at

atを辞書で調べると、ジーニアス英和辞典には12、オックスフォード英英辞典には15、コウビルド英英辞典には20もの意味が掲載されている。一般の参考書も最低3つか4つの使い方があるので、苦戦する学習者は少なくない。

実は、英語の前置詞は多くの場合、一つの核となる意味があり、それが比喩的に派生して複数の用法に発展している。atの中核的な意味は「点」であり、ほとんどすべての用法が「点」のイメージで解釈できる。

「点」の意味を理解するため、似た使い方をするin(空間のイメージ)と比較してみよう。次の例文はどちらも「ジェニファーはパン屋にいる」の意味だが、どのような違いがあるだろうか?

  • Jennifer is at a bakery.
  • Jennifer is in a bakery.

上の例文(at a bakery)は、パン屋を「点」として捉えている。まるで上空から店を眺めるか、あるいは地図上で店の位置を見ているような、地点としてのパン屋のニュアンスがある。

下の例文(in a bakery)は、パン屋を「空間」として捉えている。inには広がりのイメージがあるから、ジェニファーはパン屋の中にいる様子がうかがえる。

これらatとinの違いを図にすると、次のようになる。atは対象を「ズームアウト」して見ているような感じだ。

atとinの違い

それでは、前置詞atはほかにどのような使い方をするのだろうか? 以下、詳細を見ていこう。

2. 前置詞atの使い方

前置詞atは「点」を中心的な意味として、そこから様々な用法に派生する。トイグルでは、前置詞atの意味ネットワークを次のように定義した。

前置詞at

用法を1つずつ見ていこう。

2-1. 場所を表すat

場所を表す前置詞at
  • (1) I live at 150 Innis Road. (私は150 Innis Roadに住んでいる)
  • (2) We’ll have a meal at a restaurant in Tokyo. (東京のレストランで食事を取るつもりです)
  • (3) I’m at Cambridge. (ケンブリッジ大学に通っています)
  • (4) Let’s begin at page 98. (98ページから始めましょう)

atの持つ「点」のイメージがもっとも典型的に用いられるのは、場所を表すatである。

(1)は住所を表すat。どんな建物も地図の上では点に見えるように、番地付きの住所はatを使って表す。

(2)は物理的な場所を表すat。住所を表すatと同様に、レストランという位置を点として捉えている。

(3)は所属を表すat。「ケンブリッジ大学に所属している = ケンブリッジ大学に通っている」の意味。

(4)はページ数を表すat。特定のページを点と見立てる。

2-2. 時間を表すat

時間を表す前置詞at
  • (5) The meeting starts at 3:00. (ミーティングは3時に始まる)
  • (6) Millions of greetings card are sent at Christmas. (何百万もの挨拶状がクリスマスに送られる)
  • (7) I arrived at the end of April. (私は4月末に到着した)
  • (8) I left school at the age of 18. (私は18歳で学校をやめた)

(6と8はOALD)

atは「点」のイメージが比喩的に解釈されて、時間を表す用法にも使われる。時間の流れの1コマを「点」で考えるイメージだ。

(5)は時間を表すat。時計の針は3時0分、3時1分、3時2分と刻まれるように、それぞれの時間が点のイメージで表現される。

(6)は特定の日にちを表すat。Christmas、Easter、New Yearなどはatを使う。

(7)は始点・終点を表すat。at the end of Aprilは「4月の終わりに」の意味。終わり(あるいは始まり)の地点は点である。

(8)は年齢を表すat。17歳、18歳、19歳のように、その瞬間の年齢が点として捉えられる。

漠然とした時間を表すat

atはat any time(いつでも)のように, 漠然とした時間を表す際にも使われる. 「いつでも」は文字通りには1分後でも5分後でも良いわけなので, そうした一連の時間全体を「点」とみなす表現と考えられる.

2-3. 度合いを表すat

度合いを表す前置詞at
  • (9) Prices start at $200. (価格は200ドルで始まる)
  • (10) I was driving at 80 kilometers per hour. (時速80キロで運転していた)
  • (11) Water boils at 100 ℃. (水は100度で沸騰する)
  • (12) I don’t like him at all. (私は彼を全く好きではない)

atは度合いを示す際にも使われる。価格や速度などの値を「点」で示すイメージだ。

(9)は価格を表すat。モノの価格は100ドル、200ドル、1,000ドルと色々だが、その1つを「点」として捉える。

(10)は速度を表すat。車の速度計は時速30キロ、50キロ、80キロのように変わるが、それぞれの示す位置は「点」のイメージで表現される。

(11)は温度を表すat。10度、20度、60度と温度が変わっても、温度計の目盛りは「点」を指し示す。

(12)は割合を表すat。「全く好きでない」や「とても好き」は「0 ⇔ 1」のスケールで表せられるから、atの持つ点のイメージと合っている。

最大・最小を示すat

「最大の(at a maximum)」や「最小の(at a minimum)」もatを使って表す. これらも度合いを表すatの1つとして考えよう.

2-4. 目標を表すat

目標を表す前置詞at
  • (13) Let’s have a look at your holiday photos. (あなたの誕生日の写真を見てみましょう)
  • (14) Commuters are angry at the increase in rail fares. (通勤者たちは鉄道料金の値上げに怒っている)
  • (15) Call me at 555-0074. (555-0074に電話してください)
  • (16) Please email me at xxx@xxx.com. (xxx@xxx.comにメールしてください)

(13と14はOALD)

atは目標を示す際にも使われる。目標の対象を「点」として考えるイメージだ。

(13)は物理的な目標を表すat。「写真を見ましょう」のように、視点の先にある物理的な対象を点として捉えている。

(14)は原因を表すat。これは(13)の逆で、ある出来事が主語に対して引き起こした原因を示している。

(15)は電話番号、(16)はメールアドレスを示すat。どちらも、比喩的な目標をatで示している。

3. atと他の前置詞の違い

atは他の前置詞と比較することにより、用法の違いがいっそう際立つ。

ここでは、atの有無による意味の違い、場所、目標、価格、視点について、atを他の表現と比べながら考えてみよう。

3-1. atの有無による意味の違い

目標を表すatは、しばしば不成功な出来事を示唆する。次の例文は、どちらも「鳥を撃った」の意味だが、そのニュアンスが異なる。

  • I shot the bird. (私は鳥を撃った)
  • I shot at the bird. (私は鳥を撃った)

上の例文(shot the bird)は、atが使われていないため、shotの影響が直接的にthe birdに及んでいる。撃つという動作をした結果、弾は鳥に当たった状態を示唆する。

一方、下の例文(shot at the bird)は、目標を表す前置詞atが使われている。撃つという動作をしたことには変わりないが、弾が鳥に当たったかどうかはわからない。

こうした違いは些細に見えるが、次のような文の容認可能性に影響を与える。

  • 正: I shot the bird, so let’s have it for lunch.
  • 誤: I shot at the bird, so let’s have it for lunch.

正しい例文(shot the bird, so…)は弾が当たって鳥が死んだので、「昼食に食べよう」といった発言ができる。一方、誤った例文(shot at the bird, so…)は弾が当たっていないので、文の前後で内容が矛盾してしまう。

3-2. 場所を表すatとinの違い

場所を表す前置詞にatとinがあるが、似た文の中で解釈の違いが現れることがある。次の例を見てみよう。

  • He’s at Oxford. (彼はオックスフォード大の学生だ)
  • He’s in Oxford. (彼はオックスフォード市にいる)

(A Comprehensive Grammar of the English Language)

Oxfordには大学名(オックスフォード大学)と街の名前(オックスフォード市)の2通りの解釈がある。at Oxfordは、<位置>よりも<所属>で解釈されるので「私はオックスフォード大学に通っている」の意味になる。

一方、in Oxfordは<位置>の解釈しか存在しないので、「オックスフォード市という空間の中にいる」の意味になる。

There’s somebody at the doorの解釈

There’s somebody at the door.の文字通りの解釈は「ドアに誰かがいる」だが, これは人がたまたまドアの近辺にいるのではなく, 新聞配達や来訪など, 「何かの目的を持って」ドアにいることを示唆する.

3-3. 目標を表すatとtoの違い

目標を表す前置詞にはatとtoがあるが、ニュアンスが若干異なる。次の例文を比べてみよう。

  • Mike threw the ball at her. (マイクは彼女にボールを投げた)
  • Mike threw the ball to her. (マイクは彼女にボールを投げた)

上の例文は「点」のイメージのatが使われている。マイクが彼女を「的」に見立てて、乱暴にボールを投げた様子が示唆される。

一方、下の例文は「到達」のイメージのtoが使われている。マイクは彼女が受け取れるようにボールを投げ、実際に彼女がそれを受け取ったことが示唆される。

3-4. 価格を表すatとforの違い

価格を表す前置詞にはatとforがあるが、atが単なる価格を示すのに対し、forには交換が生じているようなニュアンスがある。例を見てみよう。

  • Hotel prices start at $100. (ホテルの宿泊費は100ドルからです)
  • I’ll sell you my laptop for $100. (あなたにノートパソコンを100ドルで売りましょう)

上の例文は「点」のイメージのatが使われている。価格という目盛りが100ドルを指しているような感じだ。

一方、下の例文は「…のために」のforが使われている。私があなたにノートパソコンを譲り、その代価として100ドルを受け取る、といった「交換」の様子が伝わってくる。

3-5. 内部と外部を表すatとon/inの違い

アルバータ大学(カナダ)のSally Rice教授によれば、atとon(in)は視点にも反映される。次の例文はどちらも「結末を言わないで、まだ第5章だから」の意味だが、そのニュアンスが異なる。

  • Don’t tell me the ending, I’m still at Chapter 5.
  • Don’t tell me the ending, I’m still on/in Chapter 5.

(Far Afield in Lexical Fields)

上の例文(at chapter5)は、話し手はまだ第5章を読み始めていないか、あるいは第5章を読み終えてないことを示唆する。一方、下の例文(on/in Chapter5)は、既に第5章を読み始めており、その途中にいることを示唆する。

この考え方は、冒頭に示したatとinの使い方とも合致する。atの持つ「点」のイメージは距離感を示すから、at Chapter5は本の<外側>にいることを示す。onは「面」、inは「空間」だが、どちらも心的距離はatよりも近いので、on/in Chapter5は本の<内側>にいることを示す。

もちろん、こうした違いは文脈によって変わることが多いので、前置詞だけで直ちにニュアンスの差が生じるわけではない。ただ、ある場面でなぜ特定の前置詞が使われるのか、解釈の迷いが生じた時、役立つ知識になるだろう。

4. まとめ

この記事では、英語の前置詞atについて詳細を解説してきた。

内容をまとめると次のようになる:

  1. 前置詞atは「点」のイメージ
  2. 場所、時間、度合い、目標などの用法がある
  3. ニュアンスの異なる似た使い方の前置詞がある

atは基本的だが大変重要な前置詞なので、ぜひとも使い方を理解するようにしよう。

トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。

Good luck!

2 COMMENTS

野口豊

to exercise at ,,,,,, to practice at,,,, (ピアノ、絵を描くなどの練習)という表現を見ますが、このような場合(技能という目標の一種でしょうか?)について言及されていませんが、、、。

田邉竜彦

コメントありがとうございます。

たしかに、動詞が特定の前置詞を伴って使われるケースはよくありますね。

本記事は(13)のように動詞+前置詞の例も取り上げましたが、基本的には、前置詞単体で用いる場合を想定して書きました。

動詞+前置詞は別の時にまとめたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です