英語の「the+形容詞」の使い方!例文を使ってくわしく説明

the+形容詞

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英語では「the+形容詞」が名詞的に使われることがある。

例えば、the healthy(健康な人)は定冠詞theに形容詞healthy(健康な)が組み合わさった形になる。

英語を学習しているあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?

  • the+形容詞はどのような意味になるのか
  • the+形容詞の例文を知りたい
  • the+形容詞の注意点を知りたい

そこでトイグルでは、「the+形容詞」の使い方について詳細を解説していく。学習の参考になるはずだ。

1.「the+形容詞」は形容詞の名詞的用法

「the+形容詞」は形容詞の名詞用法である。定冠詞theと結びつくことで、特定の形容詞が名詞のようなはたらきをする。

「the+形容詞」には2つの意味がある。1つは抽象的意味で、これは「that which is 形容詞」とほぼ同義である。次の例文はthe darkが「暗やみ」の意味で使われている。

  • (1) I’m still afraid of the dark. (私は未だに暗やみが怖い)

もう1つは総称的意味で、これは「…の人々」と解釈される。次の例文はthe poorが「貧しい人々」の意味で使われている。

  • (2) This is great news for the poor. (これは貧しい人々には良いニュースです)

「the+形容詞」が抽象的意味で解釈される場合、単数扱いになることが多い。

  • (3) The unexpected has happened. (予期せぬ出来事が起きた)

(現代英文法講義)

「the+形容詞」が総称的意味で解釈される場合、複数扱いになることが多い。次の例文ではhave(複数動詞)で一致している。

  • (4) The rich have not responded. (お金持ちは反応していません)

(Collins Cobuild English Guides Articles)

ただし、総称的意味であっても、文脈によって単数扱いになることがある。次の例文はwas(単数動詞)で一致している点に注意したい。

  • (5) The dead was a strong man. (亡くなった人は強い人だった)

(現代の英文法 形容詞)

「the+形容詞」は副詞によって修飾されることがある。次の例文はveryがbestを修飾している。

  • (6) Yours were among one of the very best. (あなたのは最高のものの1つです)

対句的な表現では、定冠詞theが省略される。

  • (7) Rich and poor were equally treated. (お金持ちと貧しい人は対等に扱われていた)

現代の英文法』によれば、この例はほかにも、young and old / royal and noble / gentle and simple / German and English / good and bad / quick and deadなどがある。

「the+形容詞」のかわりに「the+過去分詞」が使われることがある。この場合、総称的意味に解釈される。単数・複数の扱いは語によって異なる。

  • (8) The accused was/were acquitted of the charge. (被告は無罪を言い渡された)

(現代英語冠詞事典)

「the+形容詞」が補助部を伴う場合
the young in spirit(精神的に若い人)のように「the+形容詞」の後に前置詞や関係代名詞が続くことがある。

2. the+形容詞の使い方

「the+形容詞」は抽象的意味と総称的意味の2つがある。

抽象的意味形容詞が抽象名詞化する
総称的意味形容詞が普通名詞化する

それぞれの代表的な例を見ていこう。

2-1. the best

  • (9) The best is yet to come. (まだまだこれからが本番だ)

the bestは「本番(= 最高な状態)」の意味である。「the+形容詞」が抽象的な意味で使われている。単数扱いなのでis(単数動詞)で一致している点に注意しよう。反対語はthe worst(最も悪いこと)。

2-2. the impossible

  • (10) We must prepare even for the impossible. (我々は不可能なことでも準備しなければならない)

the impossibleは「不可能なこと」の意味である。「the+形容詞」が抽象的な意味で使われている。反対語はthe possible(可能なこと)。

2-3. the known

  • (11) All is based on the known and the unknown. (全ては既知のことと未知のことで成り立っている)

the knownは「既知のこと」の意味である。「the+形容詞」が抽象的な意味で使われている。

例文にもあるように、反対語はthe unknown(未知のこと)である。

2-4. the rich

  • (12) The rich tend to own the business. (お金持ちの人々はビジネスを持っている傾向にある)

the richは「お金持ちの人々」の意味である。「the+形容詞」が総称的な意味で使われている。複数扱いなのでtend(複数動詞)で一致している点に注意しよう。反対語はthe poor(貧しい人々)。

2-5. the sick

  • (13) We take care of the sick. (私たちは病気の人々を世話します)

the sickは「病気の人々」の意味である。「the+形容詞」が総称的な意味で使われている。

the beautifulには2つの解釈がある
the beautifulには2つの解釈がある。抽象的な意味では「美」、総称的な意味では「美人」である。

3. the+国名をあらわす形容詞の使い方

定冠詞theに国名をあらわす形容詞がつくことで、名詞的に使われることがある。

この用法は、国名をあらわす形容詞の語尾が-sh、-ch、-eseもしくは-ssで終わる場合に限定される。「the+形容詞」の総称的意味の1つなので、動詞は複数で一致する。

以下、それぞれの例を見ていこう。

3-1. the British

  • (14) The British have a very odd sense of humor. (イギリス人のユーモアのセンスはとても変わっている)

(Oxford Advanced Learner’s Dictionary 10)

the Britishは「イギリス人」を指す。国名をあらわす形容詞で、語尾が-shで終わっている。

the Englishはイングランド人を指す
the Englishはイングランドの人々を指すのに使われる。英国人全体を指す場合はthe Britishと言う(OALD10)。

3-2. the Dutch

  • (15) The first settlers in New York were the Dutch. (ニューヨークに最初に入植したのはオランダ人だった)

the Dutchは「オランダ人」を指す。国名をあらわす形容詞で、語尾が-chで終わっている。

3-3. the Japanese

  • (16) The Japanese have been eating a raw diet for centuries. (日本人は何世紀にわたって生の食事をしてきた)

the Japaneseは「日本人」を指す。国名をあらわす形容詞で、語尾が-eseで終わっている。

3-4. the Swiss

  • (17) The Swiss are very reserved people. (スイス人はとても控えめな人たちです)

the Swissは「スイス人」を指す。国名をあらわす形容詞で、語尾が-ssで終わっている。

「the+国名の形容詞」のニュアンス
「the+国名の形容詞」は「日本人とは…である」のように、ある国の人々をひとまとめにして論じる際に使われる。そのため、話者のステレオタイプな価値観が反映されているような響きがある。

4. the+過去分詞の使い方

「the+過去分詞」は人をあらわす総称的意味で使われる。以下、代表的な例を見ていこう。

4-1. the educated

  • (18) These stories are credited even by the educated. (これらの話は教育を受けた人にさえも信頼されている)

the educatedは「教育を受けた人々」を指す。反対語はthe uneducated(教育を受けていない人々)。

4-2. the unemployed

  • (19) The largest group of the unemployed is the youngest age group. (失業者でもっとも多いのは若い年齢層だ)

the unemployedは「失業者」を指す。反対語はthe employed(従業員)。

employer, employee, the employed
employer(雇用者)とemployee(被雇用者)は対の関係にある。the employedは被雇用者を集合的に表現したもの。ジーニアス英和辞典では「the employed = the employees」と表記されている。

4-3. the retired

  • (20) We’ll talk about a long-term investment plan for the retired. (退職者の人たち向けの長期投資プランを話します)

the retiredは「退職者」を指す。

5. まとめ

この記事では、英語の「the+形容詞」について詳細を解説してきた。

内容をまとめると次のようになる:

  1. 「the+形容詞」は形容詞の名詞的用法
  2. 「the+形容詞」は抽象的意味と総称的意味がある
  3. 抽象的意味は単数、総称的意味は複数で一致する
  4. 「the+国名の形容詞」が使われることがある
  5. 「the+過去分詞」は総称的意味で使われる

トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。

Good luck!

6 COMMENTS

秀ちゃん

Yours were among one of the very best. (あなたのは最高のものの1つです)

これは、best という形容詞を very という副詞が修飾していることだと思います。
これは、特に何も疑問はないのですが、以下の場合について疑問があります。

質問1
the young in spirit(精神的に若い人)は、前置詞句 in spirit を副詞句と稽えれば同様に考えられますが、「the+形容詞」の後に関係代名詞が続いた場合はどのように理解すれば良いのでしょうか?

質問2
the walking dead (ウォーキングデッド)は、形容詞 dead を現在分詞 walking が修飾していると思いますが、この場合もどのように考えれば良いのでしょうか
形容詞 dead を修飾しているというよりは、the dead で名詞句化したものを walking が修飾したと考えるのでしょうか?

秀ちゃん

Yours were among one of the very best. (あなたのは最高のものの1つです)

質問
この among one of … という用法を見たことは無いのですが、どのような用法なのでしょうか?

「…の1つ」という用法として、one of … や among … がロイヤル英文法にあります。
He is one of the tallest boys in his class.
= He is among the tallest boys in his class.

(あなたのは最高のものの1つです) は、
Yours were among the very best.
=Yours were one of the very best.
かと思ったのですが…

また”were”なので過去形の意味になるかと思いました。

田邉竜彦

>秀ちゃん様

質問1
the young in spiritでは、the youngが「the+形容詞」で普通名詞化して、使われている例ですね。

そのため、in spiritは形容詞句(あるいは前置詞つきの句の形容詞用法)と考えられます。

関係代名詞が続いた場合も、同様の解釈となります。

質問2
deadは名詞と化しているので、the walking deadはwalkingに名詞deadが組み合わさったものと考えて差し支えないと思います。

田邉竜彦

>秀ちゃん様

この場合のamongは「<同種の物・人>のうちの1つ[1人]で」の意味で、典型的には以下の例文になります。

Osaka is among the largest cities in Japan. <ウィズダム英和辞典>

among one of theは「of以下のものの1つ」といった意味でしょうか。

日本語的にはamongとoneが若干重複しますが…

Yours were one of the very best. でも、文としては問題ないですね。

iWebというコーパスを見ると、among one of theで1,441件ヒットし、以下のような用例がありました。

Marysol Patton was among one of the highest earners for the Real Housewives of Miami.
Abu Dhabi is among one of the most beautiful cities in the world.
The Skye Terrier is among one of the oldest terriers known today.

英語圏では実際に用いられる用法ではないかと考えます。

秀ちゃん

今回もご丁寧に解説いただき、本当にありがとうございます!

among one of …の用法が辞書には見つからなかったので質問させていただきました。覚えておきます。

the very 形容詞 の場合は、副詞 very が形容詞を修飾して、それが the +で名詞化している。
前置詞句や関係代名詞が後続する場合は、名詞化したに前置詞句(形容詞用法)やそれを先行詞とする関係代名詞節が付いている。
the walking dead の場合は、名詞化したを walkingが修飾するので、組み合わさっている。

つまり、the+形容詞は、副詞でも形容詞(句)でも修飾できる。

このように理解すればよいのでしょうか。
the very best では、bestはまだ名詞化していない扱い(副詞で修飾される)なのに、the walking dead では dead は名詞化した扱い(形容詞で修飾される)だったので、混乱してしまいました。

田邉竜彦

>秀ちゃん様

Quirk et al.は、the+形容詞の一部は副詞によって修飾されうると述べています。(p424)

The very best (thing) is yet to come.

ただ、こうしたいかなる形容詞でもこうした例が可能とは言い切れないと思うので、語彙によっては可能といったことだと思います。

また、『現代の英文法 形容詞』では、the poor in spiritのin spiritを「補助部」と呼んでいます。(p22)

補助部というのは便宜的な言い方ですが、このように言うのは、「形容詞句」と一般化してしまうと、修飾できない形容詞句もあるからだと思います。

なので、「the+形容詞は、副詞でも形容詞(句)でも修飾できる」は決して間違いではありませんが、例外は多いので注意は必要という結論になるでしょう。

厳密に言い始めるとキリがないのですが、こうした話が市販の英文法参考書に載っていないのは、以上のような背景もあるということですね。

(英文法についてさらに厳密な用法を知る場合、研究者向けの文献を読むと、さらに効果的です。)

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