この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
英語の弱形とは語句が文中で弱く発音されることを指す。
例えば、ofは「オブ」と読まれることもあるが、実際の会話では「アブ」や「ブ」と発音されることが多い。この時、「アブ」や「ブ」のような短い形を弱形と呼ぶ。
弱形は英語を習得する上で重要な知識である。弱形はあなたの発音をネイティブらしくするだけでなく、聞き取り能力の向上にも役立つ。
トイグルでは英語の弱形について解説していく。音声も用意したため、声に出しながら練習してみてほしい。
1. 弱形が英語学習に役立つ理由
私たち日本人は、英語の文を文字通りの発音で読みがちである。
例えば、I said that he was coming to Tokyo. (彼が東京に来ていると私は言った)において、文中のthatを文字通りに「ザット」と読む人が多い。
確かに、これを「ザット」と強形で読むのは誤りではない。聞き手が日本人の英語に慣れていれば、意思疎通を図ることはできるだろう。
一方、通常の会話において、先のthatは「ザッ」のように弱形で読む、あるいは省略してしまうのが自然である。弱形にすべき箇所に強形を使うのは、会話において不自然な印象を与えかねない。
また、強形と弱形の違いはリスニングにも影響を与える。英語に弱形があることを知らないと、thatを常に「ザット」と強形で発音されると期待するので、「ザッ」と弱形で読まれた際の聞き取りができない。
私たちがネイティブスピーカーの発話を速いと感じるのは、弱形の発音を知らないからだ。ネイティブは早口で話しているのではなく、弱形を使って音を「弱く」かつ「短く」発しているのである。
このような理由から、英語上級者を目指すには弱形は欠かせない知識となる。以下、具体的な練習方法を見ていこう。
2. 弱形の練習方法
弱形は、冠詞や前置詞などに代表される機能語に用いられることが多い。
ここでは、弱形で読まれることが多い語句を取り上げ、発音の方法を紹介していこう。
(筆者注: この記事ではわかりやすさを重視して、読み方をカタカナで表記している。厳密な英語発音はLongman Pronunciation Dictionary (3E)などの辞書を参照されたい。)
2-1. 冠詞や限定詞
a / an
aは「ア」ではなく、「ァ」と「ェ」の中間のような音を出す。anも「アン」ではなく、「ェ」と「ァ」の中間のような音に軽く「ン」を添える。
- We have a problem. (私たちには問題があります)
(例文の出典: LDCE (6E))
the
theは「ザ」と強く発音するのではなく、弱く小さい音を出す。母音の前では「ジ」と発音される。
- That’s the school that Terry went to. (あれはテリーが通っていた学校です)
(例文の出典: LDCE (6E))
some
someは「サァムゥ」ではなく、弱く小さい「サム」のような音を出す。
- I need some apples for this recipe. (このレシピにいくつかのりんごが必要です)
(例文の出典: LDCE (6E))
2-2. 前置詞
at
atは「アット」ではなく、弱く小さい「ァ」のように発音される。
- Does this train stop at Preston? (この電車はPrestonに停車しますか?)
(例文の出典: LDCE (6E))
to
toは「トゥ」ではなく、「ト」や「タ」のように発音される。
- This delicious dessert is easy to make. (この美味しいデザートは簡単に作れる)
(例文の出典: LDCE (6E))
of
ofは「オブ」ではなく、「アブ」や「ブ」のように発音される。
- Avocado salad is a favourite of mine. (アボカドサラダは私のお気に入りです)
(例文の出典: LDCE (6E))
2-3. 代名詞
him
himは「ヒム」ではなく、「イム」のように発音される。
- He repeated what she had told him. (彼は彼女が彼に言ったことを繰り返した)
(例文の出典: LDCE (6E))
her
herは「ハー」ではなく、「ァー」のように発音される。
- She looked at her watch. (彼女は時計を見た)
(例文の出典: LDCE (6E))
them
themは「ゼム」ではなく、「ェム」のように発音される。
- Has anyone seen my keys? I can’t find them anywhere. (誰か私の鍵を見ませんでしたか?どこにも見つけられません)
(例文の出典: LDCE (6E))
2-4. be動詞
am
amは「アム」ではなく、「ェム」のように発音される。
- I am happy that everything worked out well in the end. (最終的にすべてがうまく行って嬉しい)
(例文の出典: LDCE (6E))
is
isは「イズ」ではなく、「ェズ」のように発音される。
- The house is being painted. (家はペンキを塗られているところだ)
(例文の出典: LDCE (6E))
are
areは「アー」ではなく、「ァ」のように発音される。
- You are to wait here in this room until I return. (あなたはこの部屋で待ちます、私が戻ってくるまで)
(例文の出典: LDCE (6E))
2-5. have
have
haveは「ハブ」ではなく、「ァブ」のように発音される。
- Our guests have arrived. (お客様が到着した)
(例文の出典: LDCE (6E))
has
hasは「ハズ」ではなく、「ァズ」のように発音される。
- Alex has already gone. (アレックスはもう行ってしまった)
(例文の出典: Collins Cobuild Advanced Learner’s Dictionary)
had
hadは「ハド」ではなく、「ァド」のように発音される。
- When I met her, she had just returned from a job interview. (私が彼女に会った時、彼女は面接から戻ってきたところだった)
(例文の出典: Collins Cobuild Advanced Learner’s Dictionary)
2-6. 助動詞
can
canは「キャン」ではなく、「カン」や「クン」のように発音される。
- You can swim, can’t you?
(例文の出典: LDCE (6E))
must
mustは「マスト」と強く発音するのではなく、弱く小さく発音される。
- It’s getting late. I really must go. (遅くなってきている。私は本当に行かなくてはならない)
(例文の出典: LDCE (6E))
would
wouldは「ウッド」ではなく、「ゥドゥ」のように発音される。
- I would have phoned you, but there wasn’t time. (私はあなたに電話をすべきだった、しかし時間がなかった)
(例文の出典: LDCE (6E))
2-7. 接続詞
and
andは「アンド」ではなく、「アン」や「ン」のように発音される。
- He’s gone to get some fish and chips. (彼はフィッシュアンドチップスを得るために出ていった)
(例文の出典: LDCE (6E))
but
butは「バット」ではなく、「バッ」や「ァット」のように発音される。
- It’s an old car, but it’s very reliable. (古い車だが、とても信頼できる)
(例文の出典: LDCE (6E))
that
thatは「ザット」ではなく、「ザッ」や「ナッ」のように発音される。
- I wish you wouldn’t say things like that. (あなたが事をあのように言わないよう願っている)
(例文の出典: LDCE (6E))
3. 強形で発音をする場合
これまで紹介した一連の語句は弱形で発音されることが多いが、いくつかの状況においては、強形が使われることがある。
3-1. 強調する場合は強形で発音される
語句の意味を強調する場合、強形で発音される。
- A: That looks pretty easy. (それは簡単そうに見えますね)
- B: Well, you do it then! (そう、ならあなたがすればいい!)
(例文の出典: English Pronunciation in Use Advanced Book)
3-2. 文末は強形で発音される
語句が文末に使用される場合、強形で発音される。
- A: Are you going to the party tonight? (今夜、パーティーに行きますか? )
- B: Yes, I am. (はい、行きます。)
3-3. 他の語句と対になる場合は強形で発音される
該当の語句が他の語句と対になって使われる場合、強形で発音される。
- How do you get from here to Colchester? (ここからColchesterまでどのようにして行きますか?)
(例文の出典: LDCE (6E))
3-4. 単独で使われる場合は強形で発音される
語句が単独で使用される場合、強形で発音される。
- A: I’m sorry. (申し訳ありませんでした)
- B: And? (それで?)
- A: And I promise it won’t happen again. (それで、二度と起こらないよう約束します)
(例文の出典: LDCE (6E))
参考: 弱形と強形の違い一覧
語彙 | 弱形 | 強形 |
a | /ə/ | /eɪ/ |
the | /ðə/ | /ðiː/ |
some | /səm/ | /sʌm/ |
at | /ət/ | /æt/ |
to | /tə/ | /tuː/ |
of | /ə(v)/ | /ɒv/ |
him | /ɪm/ | /hɪm/ |
her | /ə, ɜ:, hə/ | /hɜ:/ |
them | /ðəm/ | /ðem/ |
am | /əm/ | /æm/ |
is | /əz/ | /ɪz/ |
are | /ə/ | /ɑː/ |
have | /əv, həv/ | /hæv/ |
has | /əz, həz/ | /hæz/ |
had | /əd, həd/ | /hæd/ |
can | /kən/ | /kæn/ |
must | /məst/ | /mʌst/ |
do | /də/ | /duː/ |
and | /ən, ənd/ | /ænd/ |
but | /bət/ | /bʌt/ |
that | /ðət/ | /ðæt/ |
*まとめ
この記事では、英語の弱形について説明をしてきた。
内容をまとめると次のようになる。
- 弱形とは語句が文中で弱く発音される現象
- 弱形は会話とリスニングの両方に役立つ
- 弱形は機能語で用いられることが多い
- 弱形の代表はofやtoなどの前置詞
- 一定の条件では強形も使われる
私たちが英語の学習をしていると、ついつい文法やフレーズなど、発音以外のことに意識が向いてしまう。また、いざ発音を練習するとなっても、/r/と/l/の違いなど、音の出し方ばかりが注目されがちだ。
市販の参考書には優れたものが多いが、弱形の記載は少ない。どうにか情報を提供できないかと考えたのが、本記事を書くきっかけとなった。
学習の参考になれば幸いである。
Good luck!