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英語の have to とは、「…しなければならない」の意味で使われる表現である。
have to は学校英語で習うため、この表現自体を覚えている方は多いと思う。
ただ、have to の詳しい使い方がわからず、なんとなく「…しなければならない」と訳して終わっている人は多いだろう。
英語を学習しているあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?
- have to の正しい使い方知りたい…
- ネイティブ・スピーカーらしい have to の使い方とは…?
- have to と have got to の違いを知りたい…
実際のところ、ネイティブ・スピーカーの英語を聞くと、have to を「…しなければならない」以外の意味で使っていることが多い。
また、海外ドラマや映画などでは、have got to のような表現もよく耳にする。have to と have got to の違いはなんだろうか?
そこでトイグルでは、have to に関して、詳細を解説していきたい。市販の参考書より詳しく説明しているため、初学者から上級者まで、すべての方の参考になると思う。
have to を正しく使えるようになると、「日本語からの直訳英語」といった感じがなくなり、自然な英語を発話できる。ぜひ本記事をご覧になり、あなたの英語力を一段階上へと引き上げるヒントにしてほしい
1. have to の中心的な意味は「外部から課せられた義務」
have to は「…しなければならない」と訳すことが多いが、その本質的な意味は、「外部から課せられた義務」である。
次の例を見てみよう。
- (1) I have to stop drinking.
(お酒をやめなければなりません)
この例文では、話し手は「お酒をやめなければなりません」と述べられている。
have to は「外部から課せられた義務」である。ここから、話し手がお酒をやめるのは、医師にそのように命じられたといったような、外的要因によることがわかる。
(話し手が自分の意志で「お酒をやめよう」と誓っているわけではない点に注意しよう。)
別の例を見てみよう。
- (2) We don’t have to rush – there’s plenty of time.
(急ぐ必要はありません。時間は十分にあるのですから)
2: Longman Dictionary of Contemporary English
この例文では、「急ぐ必要はありません。時間は十分にあるのですから」と述べられている。
話し手たちが慌てる必要がない理由は、時間が十分にあるという外的要因によることがわかる。
have to のもつ「外部から課せられた義務」のニュアンスは、会話の際、コミュニケーションを円滑にする目的でも役立つ。
次の例文は、2人の人物による会話を示している。
- A: “We are having a barbecue party tomorrow. Would you like to come?”
(「明日, バーベキューパーティーをするんだよ. 来ないかい?」) - B: “I wish I could, but I have to go to the dentist tomorrow.”
(「行けたらと思うけれど、明日は歯医者に行かないといけなくて…」)
AがBをバーベキューパーティーに誘っているのに対して、Bが「歯医者に行かないといけなくて…(だからパーティーには行けない)」と述べている。
have to の持つ「外部から課せられた義務」のニュアンスを使い、角が立たないよう断っている。
このように、have to は話し言葉、書き言葉を問わず、日常的に非常によく使われる表現である。使える英語を身につけるには、必ず覚えておきたい。
以下、この記事ではhave to に関する、さらに詳しい用法を見ていきたい。
have to は /hǽftə/(ハフタ)、has to は /hǽstə/(ハスタ)、had to は /hǽttə/(ハドタ)のように発音する。「ハブ・トゥ」のように強く発音しないよう、気をつけよう。
have to と意味がよく似た助動詞に must がある。have to は「外部から課せられた強制」に対して、must は「話し手による強制」の違いがある。
- I have to stop drinking. <have to/医師からやめるよう忠告されたなど>
- I must stop drinking. <must/自分の意志でやめたいと思っている>
2. have to の基本的な使い方
have to は <外部から課せられた義務> を中心にしつつ、さらに細かく分類すると、以下の5つの意味がある。
…しなければならない | 義務 |
…してください | 指示 |
…したほうがいい | 忠告 |
…するなんて | いらだち |
…であるに違いない | 推定 |
使い方を1つずつ説明していこう。
2.1.「…しなければならない」(義務)
- (3) I have to find a solution.
(解決策を見つけなければならない) - (4) The system has to be fixed.
(システムを直さなければならない)
have to のもっとも中心的な意味は、「…しなければならない」で、<義務> をあらわす用法である。
(3)では、話し手は「解決策を見つけなければならない」と述べている。
(4)のように、have(has)to の後に受動態を続けることもできる。
2.2.「…してください」(指示)
- (5) First of all you have to mix the flour and the butter.
(まず、小麦粉とバターを混ぜます)
5: Longman Dictionary of Contemporary English
have to は「…してください」の意味で、<指示> をあらわすことがある。
(5)は、話し手が聞き手に、料理の仕方を教えている場面である。聞き手は、小麦粉とバターを混ぜるよう、指示されている。
2.3.「…したほうがいい」(忠告)
- (6) You simply have to get a new job.
(単に新しい仕事に就けばいいだけです) - (7) We have to get together soon.
(近いうちに集まりましょうね)
have to は「…したほうがいい」の意味で、<忠告> をあらわすことがある。
(6)は、話し手が聞き手に対し、新しい職を見つけるよう忠告している。
(7) のように、have to が <推薦> の意味をあらわすことがある。
2.4.「…するなんて」(いらだち)
- (8) Do you have to make that noise when you eat?
(食事中にそんな音をたてなきゃならないの)
have to は時に、「…するなんて」の意味で、<いらだち> の気持ちをあらわすことがある。
(8)では、食事中に大きな音を立てる聞き手に対し、話し手が不快感を表明している。
2.5.「…であるに違いない」(推定)
- (9) This has to be a mistake.
(これは間違いに違いありません)
9: Longman Dictionary of Contemporary English
have to は「…であるに違いない」の意味で、<推定> をあらわすことがある。
(9)では、話し手はそのことが間違いに違いないと、論理的な結論を下している。
場合によって、義務と推定の意味があいまいになることがある。例えば、Every clause has to contain a finite verb. は「節には定形動詞が必ず1つ含まれなければならない(義務)」と「節には定形動詞が必ず1つ含まれているはずだ(推定)」の2通りの解釈ができる。
専門的には、義務・指示・忠告・いらだちは「根源的用法」、推定(論理的必然性)は「認識的用法」と分類される。
3. have to と have got to の違い
have to とよく似た表現に have got to がある。
以下、違いと使い分けのポイントを見ていきたい。
3.1. have got to は口語で have to の代わりに使用できる
- (10) They’ve got to decide what to do.
(彼らはどうするか決めなければならない) - (11) You’ve got to be joking.
(ご冗談でしょう)
x, x: Meaning and the English Verb
口語では、have got to は have to とほぼ同じ意味の表現として、代わりに使われることが多い。
(10)は「…しなければならない(義務)」 、(11)は「…であるに違いない(論理的必然性)」の意味で使われている場合である。
それぞれの英文は、have to を使い、次のようにパラフレーズできる。
- (10′) They have to decide what to do.
- (11′) You have to be joking.
デクラークによれば、have got to は have to よりも強制的な感じを与えることがあると言う。
3.2. have got to は1回限りの行為をあらわす
- (12) Do you have to be at your office by 8 o’clock every day?
(毎日, 8時までに出社しなければならないのですか) - (13) Have you got to be at your office by 8 o’clock?
(8時までに出社しないといけないんですか)
12, 13: 現代英文法総論
have to と have got to の違いの1つに、出来事が繰り返し起こるか、それとも1回限りの出来事なのかがある。
have to は繰り返し起こる出来事をあらわす際、用いることができる。(12)では、聞き手が尋ねられているのは、「毎日(every day)、8時までに出社するのか、否か」である。この文を Have you got …? であらわすのは不可となる。
一方、have got to は、出来事が1回限り起こる際に使用する。(13) では、「(ある1回の出来事として)8時までに出社するのか、否か」が尋ねられている。
ジーニアス英和辞典(第6版)によれば、イギリス英語にて未来に言及する場合、繰り返しの出来事でも、have got to を使用できる。
例: I’ve got to work on Friday evenings next year. (来年は金曜日の夜も働かないといけない)
3.3. have got to do は緊急性や感情がこもる
- (14) Ohh.. I‘ve got to run. My boss is calling me.
(ああ、もう行かなきゃ… 上司が呼んでる)
have got to は、have to に比べて、緊急性や重要性といった感情が含まれると言われる。
(14)は、話し手が上司に呼ばれたことで、「もう行かなきゃ…」と焦りながら話している様子がある。
3.4.「行為の実現」と「単なる必要性」の違いがある
- (15) We had to make a special trip to London.
- (16) We’d got to make a special trip to London.
(ロンドンまで特別の旅行をしなければならなかった)
過去の出来事をあらわす際、had to と had got do にニュアンスの違いが生じることがある。
(15)は had to が使われている例である。この場合、話し手たちはロンドンへの旅行の必要があり、そして実際にその行為を実現した。
一方、(16)は had got to が使われている例である。この場合、単にロンドンに旅行する必要があっただけで、実際にその行為が行われたどうかは、不明である。
Leech によると、had got to は使用頻度が少なく、使われるのは間接話法における被伝達部のことが多い。
3.5. 現時点で存在する未来の義務には have (got) to を使う
- (17) When you leave school you’ll have to find a job.
(学校を卒業したら, 仕事を探さなければならない) - (18) I’ve got to go for a job interview tomorrow.
(明日, 仕事の面接に行かなきゃいけない)
17,18: Practical English Usage
未来における義務を表すためには、通例、(17)のように、will have to を用いる。
ただし、その義務が発話時点で存在する場合、have (got) to を用いることができる。
例えば、(18)では、面接があるのは明日だが、その予定が現時点で既にあるため、have (got) to を使っている。
be going to have to の形も可能である。
例: We’re going to have to repair that window. (あの窓を修理しなければならないでしょう)
参考: have got to の縮約形
- (19) I’ve got to go.
- (20) I got to go.
- (21) I’ve gotta go.
- (22) I gotta go.
(行かなきゃ!)
口語では、have got to は様々な形に縮約されて使われる。
(19)は I have got to が I’ve got to と縮約された場合である。(20)のように、ここから ‘ve が落ちることがある。
(21)のように、got to が gotta になることがある。さらに、ここから ‘ve が落ちて、gotta だけになることもある。
have が落ちことはあるが、has(三人称単数での形)が落ちることはない。
例えば、She’s gotta do it.(彼女はそれをしなければだめだ)において、’s を省略することはできない。
4. have to に関する発展的な知識
have to に関する発展編な知識を紹介していきたい。
4.1. there構文における have (got) to
- (23) There has to be a reason.
- (24) There’s got to be a reason.
(理由がなければならない)
23, 24: 英語基本動詞辞典
have to および have got to は、there構文の中でも使われる。
(23)は have to、(24)は have got to の例である。
there構文内で have to が使われる場合、通例、<義務> の意味になる。
場合によって、意味が曖昧になることがある。例えば、There has to be a revolution. は「革命が必要だ(義務)」と「革命があるに違いない(論理的必然性)」のいずれにも解釈できる。
4.2. be having to (have to の進行形)
- (25) I’m having to work very hard at the moment.
(今、猛勉強しなくてはいけないんです) - (26) Dobby is always having to punish himself for something, sir.
(ドビーは,いつも何かの罪でおのれを罰していなければならないんでございますよ)
25: Practical English Usage
26: 現代英文法講義
have to は、be having to の形で、進行形で使用できる。
進行形では、通例、一時的な <義務・必要> をあらわす。(25)では、話し手が猛勉強するのは、今の一時的な出来事である。
一方、(26)のように、常に必要に迫られている場合もある。
4.3. have (got) to の疑問文
- (27) Do you have to go now?
(もう行くんですか) - (28) What time do you have to leave for work?
(何時に出勤するのですか?) - (29) Have you got to go now?
(もう行かなくてはならないのかい) - (30) When have you got to be back?
(いつ戻ってくるんですか)
28: オックスフォード現代英英辞典
have to の疑問文は、通例、助動詞の do による助けが必要となる。
(27)は Do you have to …?、(28)は Wh- do you have to …? の例である。
一方、have got to の疑問文では、do による助けは必要ない。
(29) は Have you got to …?、(30)は Wh- have you got to …? の例である。
Have I got to go? への答え方は、Yes, you have. あるいは No, you haven’t. になる。
注: (29) のような言い方は、特にイギリス英語に顕著である。
4.4. have (got) to の否定文
- (31) You don’t have to eat everything on your plate.
(お皿の上のものを全部食べる必要はないんです) - (32) I haven’t got to work tomorrow, so I can sleep late.
(明日は仕事がないので、ゆっくり寝られます)
31, 32: Collins Cobuild English Usage
have to の否定文は、通例、助動詞の do による助けが必要となる。
(31)は have to の否定文だが、don’t があらわれている点に注意しよう。
一方、have got to の否定文は、通例、助動詞の do による助けが必要ない。
(32)では、have に直接、not がつけられている。
イギリス英語では、have to の否定文において、have に直接、not をつける場合がある。
例: You haven’t to eat this if you don’t want to.
肯定文 | 否定文 | |
---|---|---|
未来 | will / shall have to | won’t / shan’t have to |
現在 | have to | don’t have to |
過去 | had to | didn’t have to |
疑問文や否定文において do による助けを必要とすることから、have to は厳密な意味での助動詞ではなく、むしろ本動詞と考えて差し支えない。
4.5. had to (have to の過去形)
- (33) We had to walk 5 kilometers to school.
(学校まで5キロも歩かなければならなかった) - (34) The rain was bad enough ― but then it had to snow!
(雨にも困ったが, さらに雪が降り出すなんで!) - (35) There was a knock on the door. It had to be Tom.
(ドアをノックする音がしたが, トムにちがいなかった)
34: A Comprehensive Grammar of the English Language
35: 実例英文法
過去時をあらわす時は、had to が使われる。
(33)は「…しなければならなかった(義務)」、(34)は「…したなんて(いらだち)」、(35)は「…に違いなかった(推量)」の例である。
過去形 had to に、have + 過去分詞(-ed)が続く場合がある。
例: The ship had to have arrived yesterday. (船は昨日到着するはずだった)
助動詞 must には過去時制がない。must であらわす内容を過去にする場合、had to が使われる。
まとめ: have to を使いこなす
この記事では、英語の have to について詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- have to の中心的な意味は「外部から課せられた義務」
- have to には「…であるに違いない」の意味もある
- 口語では have got to も使われる
- have got to は主として1回限りの行為をあらわす
- have to はthere構文でも使われる
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
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