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TOEIC Part5は短文内の空白に、文法・意味的に最も適した語句を入れるリーディング問題である。
中でも、which, that, whoなどの用法が問われるのが関係代名詞問題だ。
当エントリーでは、Part5 関係代名詞問題に特化し対策を解説していきたい。
*目次
1. 関係代名詞問題の解き方
まずは、関係代名詞問題を解く5つのステップを紹介しよう。
使用する例題はこちら。
Clyde Aircraft Service, _____ is now located in midtown London, has announced that it is moving its office to Glasgow.
- (A) which
- (B) where
- (C) whom
- (D) that
(トイグルオリジナル問題)
ステップ1: 4つの選択肢を1〜2秒程度で把握
はじめに、4つの選択肢を1〜2秒程度で眺める。
- (A) which
- (B) where
- (C) whom
- (D) that
選択肢には代名詞と呼ばれる語句が並んでいる。
特に、これらは関係代名詞として使われていると推測できる。
ステップ2: 設問文を読む
次に、空白を含む設問文全体を読む。
この時、文中の語句を意味のまとまりで分け、それを英語の語順のまま頭から理解すると良い。
先の例文は次のように解釈できる。
- Clyde Aircraft Service, / _____ is now located in midtown London, / has announced / that / it / is moving / its office / to Glasgow.
- 「Clyde Aircraft Service社、◯◯はロンドンの中央部に現在位置しているは、アナウンスした、それが引っ越すことを、そのオフィスを、グラスゴーに」
空白は「, (コンマ)」の直後、かつisの前にあることがわかった。
ステップ3: 明らかに不正解な選択肢を除外する
この時点で、明らかに不正解と思われる選択肢を除外する。
thatは関係代名詞として使用する場合、直前に「, (コンマ)」を使うことができない。よって、(D)thatを除外できる。
- (A) which
- (B) where
- (C) whom
(D) that
3つの選択肢が残った。
ステップ4: 文法的に入りうる選択肢を選ぶ
Part5は文法と意味の両面からアプローチする。まずは、文法的に使用可能な選択肢を選ぶ。
空白の関係代名詞は、直前の名詞Clyde Aircraft Serviceを修飾している。これは会社名のため、人を表す名詞に使う(C)whomは不正解。
また、(B)whereは関係副詞と呼ばれ「前置詞+関係代名詞」を1語で表す際に使う。空白直後はis located inと、動詞の後ろにinが使われている。whereも不適切だ。
よって、正解は(A)whichとなる。
ステップ5: 意味の面から選択肢を確認する
最後に、意味の面から選んだ選択肢を確認する。
- Clyde Aircraft Service, / which is now located in midtown London, / has announced / that / it / is moving / its office / to Glasgow.
- 「Clyde Aircraft Service社、それはロンドンの中央部に現在位置している、はアナウンスした、それが引っ越すことを、そのオフィスを、グラスゴーに」
「which is now located in midtown London」はClyde Aircraft Serviceを説明するパーツとして、コンマを使って文中に挿入されていることがわかる。
自然な日本語にするなら、「ロンドンの中央部に現在位置しているClyde Aircraft Service社は、グラスゴーに移転することをアナウンスした」となる。
2. 関係代名詞とは?
関係代名詞に苦手意識を持っている方は多いだろう。ここでは、関係代名詞の用法を簡潔に説明したい。
まず、ヒト・モノ・コトの名称を指す語句は名詞と呼ばれる。名詞はそれ単体で使えるほか、形容詞や前置詞などの語句を用いて、様々な追加の意味が加わることがある。
- key (鍵)
- my key (私の鍵)
- my car key (私の車の鍵)
- my car key on the desk (机の上にある私の車の鍵)
関係代名詞も名詞に追加の意味を加える用法の1つだ。代表的な語句はwhich, who, thatであり、関係代名詞は名詞の後ろから情報を追加する点が特徴である。
例を見てみよう。
- The car which crashed into the wall is mine. (壁に突っ込んだ車は私のものだ。)
- He is the man who I met in the library yesterday. (彼が私が昨日図書館で会った男です。)
ここで、意味が追加される対象となる語句を先行詞と呼ぶ。先の例なら、下線が引かれた名詞がその関係代名詞の先行詞となる。
尚、Part5で関係代名詞そのものが問われるのは、30問中せいぜい1題程度である。しかし、他の設問文に関係代名詞が含まれることは多々あるため、初級者であっても基礎的な理解は必要だ。
以下、出題パターンを元に関係代名詞の理解を深めていこう。
注: 当エントリーでは「関係代名詞」と「関係詞」は同じ意味として扱う。
3. Part5の関係代名詞問題〜基礎編〜
Part5 関係代名詞問題のほとんどは、次の表のいずれかの出題パターンに該当する。
(The Grammar Bookより筆者作成)
関係代名詞問題を間違える場合のほとんどが、「先行詞の関係詞内での役割」と「先行詞の文中の位置」を混同していることが原因となっている。
この2点を明確に区別するため、用法を1つずつ見ていこう。
(1) 主格×主語
「主格×主語」は、先行詞が関係代名詞の主語となっており、かつ文全体の主語の位置にあるパターン指す。
例: The girl who speaks Basque / is / my cousin. (バスク語を話す少女は私のいとこです)
- 主語: The girl who speaks Basque (バスク語を話す少女)
- 動詞: is (〜は)
- 目的語: my cousin (私のいとこ)
関係詞の箇所「The girl who speaks Basque」に注目すれば、先行詞The girlはspeaksの主語である。いわゆる「主語が欠けた」状態であり、whoは主格として使われている。
文全体に注目すれば「The girl who speaks Basque」は文の主語となる。
(2) 主格×目的語
「主格×目的語」は、先行詞が関係代名詞の主語となっており、かつ文全体の目的語の位置にあるパターン指す。
例: I / know / the girl who speaks Basque. (私はバスク語を話す少女を知っている)
- 主語: I (私)
- 動詞: know (知っている)
- 目的語: the girl who speaks Basque (バスク語を話す少女)
関係詞の箇所「the girl who speaks Basque」に注目すれば、先行詞the girlはspeaksの主語である。いわゆる「主語が欠けた」状態であり、whoは主格として使われている。
文全体に注目すれば「the girl who speaks Basque」は動詞の目的語となる。
(3) 目的格×主語
「目的格×主語」は、先行詞が関係代名詞の目的語となっており、かつ文全体の主語の位置にあるパターン指す。
例: The man who(m) you met / is / my teacher. (あなたが会ったその男性は私の先生です)
- 主語: The man who(m) you met (あなたが会ったその男性)
- 動詞: is (〜は)
- 目的語: my teacher (私の先生)
関係詞の箇所「The man who(m) you met」に注目すれば、先行詞The manはmetの目的語である。いわゆる「目的語が欠けた」状態であり、who(m)は目的格として使われている。
文全体に注目すれば「The man who(m) you met」は文の主語となる。
尚、関係代名詞whoが目的格となる場合、whomを使用することがある。ただし、この違いがPart5で問われることはない。
(4) 目的格×目的語
「目的格×目的語」は、先行詞が関係代名詞の目的語となっており、かつ文全体の目的語の位置にあるパターン指す。
例: I / know / the place which you mentioned. (私はあなたが述べた場所を知っている)
- 主語: I (私)
- 動詞: know (知っている)
- 目的語: the place which you mentioned (あなたが述べた場所)
関係詞の箇所「the place which you mentioned」に注目すれば、先行詞the placeはmentionedの目的語である。いわゆる「目的語が欠けた」状態であり、thatは目的格として使われている。
文全体に注目すれば「the place which you mentioned」は文の目的語となる。
- 注: 上記(1)〜(4)において、which, who, whomの前に「, (コンマ)」がついていない限り、それらはthatで言い換えることができる。ただし、その違いがPart5で問われることはない。
(5) 所有格×主語
「所有格×主語」は、先行詞が関係代名詞の所有を表し、かつ文全体の主語の位置にあるパターン指す。
例: A child whose mother has left him / is crying. (母が置いてきぼりにした子供が泣いている)
- 主語: A child whose mother has left him (母が置いてきぼりにした子供)
- 動詞: is crying (泣いている)
関係詞の箇所「A child whose mother has left him」に注目すれば、先行詞A childとmotherには所有の関係がある。
文全体に注目すれば「A child whose mother has left him」は文の主語となる。
(6) 所有格×目的語
「所有格×目的語」は、先行詞が関係代名詞の所有を表し、かつ文全体の目的語の位置にあるパターン指す。
例: I know the boy whose mother is an actress. (私は母親が女優の少年を知っている
- 主語: I (私)
- 動詞: know (知っている)
- 目的語: the boy whose mother is an actress (母親が女優の少年)
関係詞の箇所「the boy whose mother is an actress」に注目すれば、先行詞the boyとmotherには所有の関係がある。
文全体に注目すれば「the boy whose mother is an actress」は文の目的語となる。
注: トイグルでは補語も目的語の一部とみなしている。
4. Part5の関係代名詞問題〜応用編〜
関係代名詞、あるいは関係代名詞に関連した表現で、より難易度の高い出題パターンを見ていこう。
4-1. those who
those whoは「〜の人々」を意味する。
- This seminar is for those who did not receive the instruction. (このセミナーは、その指導を受けていない人向けである)
Part5では、thoseあるいはwhoのどちらかが空白になる設問が頻出する。
- This seminar is for _____ who did not receive the instruction.
- This seminar is for those _____ did not receive the instruction.
4-2. コンマ+関係代名詞
which, who, whom, when, whereなどの関係詞は、「, (コンマ)」を直前に使用することがある。いわゆる非制限用法だ。
コンマの有無で文のニュアンスが変化するものの、その違いがPart5で問われることはない。
Part5対策では、以下の2点を覚えておこう。
- 空白の前にコンマがあれば、関係詞which, who, whom, when, whereの可能性を検討する
- 関係代名詞thatはコンマと共に使われない
4-3. 前置詞+関係代名詞
関係代名詞の直前に、inやtoなどの前置詞を用いることがある。
- The house in which I live is very large. (私が住んでいるその家はとても大きい)
これら前置詞は、もともと関係詞直後の動詞の後ろに置かれたものだった。それを関係詞の前に置くことで、フォーマルなニュアンスを出す効果を持つ。
- 普通: The house which I live in is very large. (私が住んでいるその家はとても大きい)
- フォーマル: The house in which I live is very large. (私が住んでいるその家はとても大きい)
Part5対策では、以下の2点を覚えておこう。
- 前置詞+関係代名詞の場合、関係代名詞はwhich, who, whomのみ (thatは不可)
- where, when等の関係副詞では、直前に前置詞は使わない (in whereは不可)
4-4. what
whatを関係代名詞として使用する場合、先行詞は用いない。whatには「漠然とした何か」の意味が既に含まれているためと、考えられる。
- What worries me is the result of the TOEIC test. (私を不安にさせるものは、トーイック試験の結果である。)
Part5対策では、以下の2点を覚えておこう。
- 空白の直前に先行詞があれば、whatは不可
- 空白の直前に先行詞がなければ、whatの可能性を検討する
4-5. both of whichなど
関係代名詞の直前にboth ofやthe first ofを使うことができる。これは、先行詞が複数のモノを表す際、「そのうちの◯◯」と、数を指定する役割を持つ。
- There are two examples, both of which involve input from an advisor. (2つの事例がある、それら両方はアドバイザーからの意見が含まれる)
Part5では、both ofが文中に登場し、関係代名詞が空白になるパターンが稀に出題される。
4-6. -ever
関係代名詞の語尾に-everをつけることで、「〜ならなんでも(誰でも)」と意味の強調を示すことができる。-ever系関係詞には既にヒト・モノ・コトの意味が含まれているため、先行詞は必要ない。
Part5では主語や目的語の位置が空白になっており、-ever系関係詞と通常の関係代名詞が混じっている設問が、稀に出題される。
ever系関係詞は、それ単体で主語や目的語になれる点に注意しよう。
- 主語: Whoever is responsible for this incident will be fined. (この問題に責任がある者は誰でも、罰金を課せられるだろう。)
- 目的語: I can give you whatever you want. (あなたが欲しいものなら何でも、あげることができます。)
また、-ever系関係詞はno matter who(which)の意味で使うこともできる。この場合、-ever系関係詞は接続詞のような感覚で、2つの文をつなぐ役割を持つ。
- Don’t come any nearer, whoever you are. (近づかないで、あなたが誰であっても)
- Whichever you choose, we’ll guide you to the best. (あなたがどちらを選んでも、我々はあなたに最高のものを案内します)
これらは-ever系の語句は、代名詞問題の選択肢にも頻出する。ハイスコアを狙う上級者は覚えておこう。
4-7. 関係代名詞+挿入
関係代名詞の直後に、I thinkなどの語句を挿入することができる。
- This is the book which I think we should buy. (これは、私が思うに我々が買うべき本です)
先行詞はthe book, 関係代名詞はwhichだが、その直後にI thinkを使うことで、主張を和らげる効果を持つ。
5. まとめ
当エントリーでは、Part5 関係代名詞問題の対策を解説してきた。
関係代名詞そのものが出題されることは少ないが、これら知識は英文をスムーズに読む際に必要となる。確実に理解しておこう。
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