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TOEICスコアを転職に活かしたい社会人は多いだろう。
そこでIT企業の元人事で、現在はTOEICスクールを運営する筆者が、TOEICと転職の関係について解説していきたい。転職を希望する方の役に立つだろう。
1. TOEICスコアと人材価値
転職(中途採用)で採用担当者がもっとも評価するのは、応募者のスキルである。ポテンシャルを買われる新卒採用と違い、中途採用は「即戦力」として直ちに実績を出す力が求められる。
英語を実務で使う企業では、TOEICスコアは即戦力のいち部分だ。TOEICに加えて留学経験、あるいは海外赴任経験などがあれば、あなたの英語力は肯定的に評価されるだろう。
一方、ほとんどの日本企業は英語を実務で使わない。この場合、採用の可否に直接の影響を与えるのは、TOEICスコアよりも職務経歴である。
それでは、転職においてTOEICスコアは無意味なものだろうか? TOEICを取るのは英語を使った仕事をしたい人だけだろうか? 筆者はこれに対して「ノー」と考える。
現在は大手企業を中心に、TOEICを人事評価に取り入れる動きが出ている。表の理由は「グローバル人材を育成するため」だが、裏の目的は年功序列の見直しだ。全世代共通の課題を与え、それに対する取り組み度合いを測る手段として、TOEICが使われている。
つまり、TOEICはあなたの人材価値を補完する「第二の学歴」なのだ。TOEICそのものに意味があるかどうかは別として、TOEICハイスコアを持っていることで、キャリアアップの意欲が高く、自分への投資を惜しまない人材であることを示せる。
ここから、少なくとも一般に思われている以上に、TOEICは転職の役に立つことがお分かりいただけるだろう。それでは、転職において具体的にどの程度のスコアが必要なのだろうか? 以下、議論を進めていこう。
2. 転職で役立つTOEICスコアは700点
次の表は、中途採用で企業が求めるTOEICスコア一覧を表す。
TOEIC 800点以上 |
楽天(800点) 日本IBM(Mobile Consultant/800点/必須) プラダジャパン(800点) 日立製作所(人事/800点) 京セラドキュメントソリューションズ(800点/必須) |
TOEIC 700点以上 |
シチズン時計(730点/必須) アクセンチュア(RPAコンサルタント/700点) 小松製作所(700点/必須) 大和ハウス工業(海外駐在/700点/必須) |
TOEIC 600点以上 |
パナソニック(海外勤務者/650点/必須) 日産自動車(600点) 三菱自動車工業(海外営業/600点/必須) ルネサス エレクトロニクス(600点/必須) Peach Aviation(600点/必須) UACJトレーディング(600点/必須) |
英語公用語化で有名な楽天はTOEIC800点、外資系コンサルティングファームのアクセンチュア(RPAコンサルタント)はTOEIC700点、パナソニック(海外勤務者)はTOEIC600点を求めている。入社時にTOEICを必要とする企業は、概ね600点から800点台であることがわかる。
これ以外の企業、すなわちTOEICスコアを明確な採用要件とは位置づけていないものの、人材価値として評価する企業では、最低でもTOEIC600点、できれば700点を取得していることが望まれる。
日本人の平均スコアは580点なので、600点台はアピールの材料としてインパクトに欠ける。一方、700点以上を持っていれば、他の転職希望者と差をつけられるだろう。
もし、あなたの現在のスコアがTOEIC600点未満であれば、履歴書にTOEICスコアを書かないほうがいいのだろうか? この答えは「ケース・バイ・ケース」だ。
例えば、あなたが第二新卒として採用試験を受けるならば、TOEICスコアは努力の証として好印象を与えるかもしれない。一方、一定の年齢での転職なら、悪印象を与えることにも成りかねない。
冒頭に述べたように、中途採用は即戦力を求められるから、もっとも大切なのはあなたのスキルと経験である。TOEICはあなたの評価を代替するのではなく、補完するものであると考えてほしい。
- 情報は2018年3月現在です。同一企業でも職種によって必要なTOEICスコアが異なる場合があります。
3. 転職でよくある失敗例
転職時にTOEICを間違えて使った失敗例を紹介しよう。フィクションのストーリーだが、皆さんの周りにもこのような人たちがいないだろうか。
3-1.「とりあえず資格」でTOEIC
Aさんは28歳の女性。都内の大学を卒業した後、大手広告代理店に勤務するものの1年で退社。その後はいくつかの会社を渡り歩くが長続きせず、次で4社目になる予定だ。
Aさんには、専門性を磨くという発想が欠けている。給料は「稼ぐもの」ではなく「もらうもの」であり、常に受け身の姿勢で仕事をしてきた。大学卒業から6年ほどが経っても、採用時にアピールできる技能が見当たらない。
Aさんは、スキル・経験が転職の鍵であることに気がついていないため、資格があれば良い印象を与えるだろうと安易に考えている。これまで宅建、簿記、中小企業診断士とチャレンジし、今はTOEICの勉強に移った。
巷で「履歴書に書ける最低ライン」と呼ばれるTOEIC500点を取得し転職活動を続けるものの、感触は悪い。
3-2. 中高年の転職でTOEIC
Bさんは45歳の男性。大学を卒業後に大手電機メーカーに就職。営業職として20年以上勤めあげてきた筋金入りのサラリーマンだ。
かつては世界的に知られた優良企業だったものの、最近はイノベーションを生み出せず業績が低迷。社内改革の一貫という名目で地方工場への異動となったが、事実上の戦力外通告に耐え切れず転職を決意した。
Bさんもまた、スキルが十分とは言えないキャリアを築いてきた。もともと終身雇用で定年まで働き上げるつもりだったから、自己への投資は一切してこなかった。他社では応用できない社内特殊的な技能しか備わっていない。
そこでBさんは、TOEICの勉強を開始。元の会社のブランド名とTOEICスコアさえあれば、どうにかなるだろうという甘い考えの下だった。
前職を辞めてから半年以上経ったが、面接に辿りつけた会社は数えるほどだ。Bさんは未だにbe動詞の活用に四苦八苦しながら、TOEICの勉強を続けている。
まとめ: TOEICを勉強するなら700点を取ろう
当エントリーでは、転職とTOEICの関係について論じてきた。
内容をまとめると次のようになる:
- TOEICは人材価値にプラスの影響を与える。
- 転職時にはTOEICは700点以上を取りたい。
- スキルとTOEICスコアの両方があって転職が成功する。
仕事で英語を使いたい人はもちろん、英語を使わない人であっても、TOEICは使い方によって、あなたのキャリアに良い影響を与える。
もし転職でTOEICを活用したいと思ったら、ぜひとも700点以上を目指して学習をしてほしい。トイグルでは他の記事でTOEIC勉強方法を紹介しているので、ぜひともお読みいただきたい。
Good luck!