この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
英語の強調構文とは、文中のある要素を強調するため、It is X that…の構造であらわす文である。
たとえば、It’s English that I teach. (私が教えているのは英語です)が強調構文を使った文である。
英語を学習しているあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?
- 強調構文がいまいちよくわからない…
- 参考書に強調構文の説明が詳しく書かれていない…
- 強調構文が出ると混乱する… 使い方を知りたい…
そこでトイグルでは、強調構文について詳細を解説していきたい。学習の参考になるはずだ。
1. 強調構文の作り方: 新情報を焦点として際立たせる
本記事で強調構文と呼ぶ文には、2つの種類がある。1つはit強調構文、もう1つはwhat強調構文である。それぞれの例を見てみよう。
- (1) I bought a leather coat. (私はレザーのコートを買った)
- (1a) It was a leather coat that I bought. (私が買ったのはレザーのコートである/it強調構文)
- (1b) What I bought was a leather coat. (私が買ったのはレザーのコートである/what強調構文)
(1)は強調構文になる前の「元の文」である。
(1a)のit強調構文を作るには、It wasの直後に強調したい要素(a leather coat)を入れ、thatの後に残りの要素(I bought)を入れる。
(1b)のwhat強調構文を作るには、Whatの後に残りの要素(I bought)を入れ、wasの後に強調したい要素(a leather coat)を入れる。
「強調構文」は名称のとおり、ある要素を他よりも際立たせるために使う。例えば、「ダッフルコートを買ったのですか」の質問に対し、本当はレザーのコートを買ったと伝えたければ、次のように言えばよい。
- (2) Did you buy a duffle coat? (ダッフルコートを買ったのですか)
- (2a) No, it was a leather coat that I bought. (いいえ、私が買ったのはレザーのコートです)
- (2b) No, what I bought was a leather coat. (いいえ、私が買ったのはレザーのコートです)
日本語には訳出しづらいが、(2a)と(2b)はどちらも「私が買ったのはレザーのコートであって、ダッフルコートでも、他のコートでもない」のニュアンスを含んでいる。
それでは、it強調構文とwhat強調構文の違いは何だろうか? 端的に言えば、これらの違いは強調する要素の示し方にある。
it強調構文は強調する要素をはじめに配置した上で、その前提となる情報をthat以降で述べる。それに対し、what強調構文は前提となる情報をはじめに述べた上で、強調する要素を後に配置する。
(1a)と(1b)の例文を再度見てみよう。例文の内容を強調する要素(= 新情報)と前提(=旧情報)に分けると、次のようになる。
*it強調構文(= 1a)の情報構造
It was a leather coat | that I bought |
<強調> | <前提> |
*what強調構文(= 1b)の情報構造
What I bought | was a leather coat |
<前提> | <強調> |
このように、強調構文は単に要素を強調するだけでなく、話者がどのように情報を伝えるかを示す文である。これまで説明した仕組みを理解すれば、強調構文を正確に読み書きできるはずだ。
以下、強調構文のさらに詳しい使い方を解説していこう。
2. it強調構文の使い方
it強調構文は次の形をとる。
it強調構文の[強調語句]は主として名詞と代名詞だが、他にも副詞や節を使用できる。以下、それぞれの例を見ていこう。
2-1. 名詞
- (3) It was the printer that John broke yesterday. (昨日、ジョンが壊したのはそのプリンターだった)
- (4) It was Mary who completed the task. (仕事を完了させたのはメアリーだった)
- (5) It’s the house whose door is painted red. (ドアが赤く塗られているのはその家だ)
(5: Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
it強調構文の[強調語句]には名詞が使われる。(3)はthe printer(そのプリンター)、(4)はMary(メアリー)、(5)はthe house(その家)が強調されている語句である。
(3)のようにthatを使うのが普通だが、人を強調する場合、(4)のようにwhoを用いることもできる。(5)のwhoseのように所有格の代名詞を使うこともある。
2-2. 代名詞
- (6) It is you who should be congratulated. (お祝いされるべきはあなたです)
- (7) Who was it who asked you? (誰に聞かれたのですか)
it強調構文の[強調語句]には代名詞も使用できる。
(6)は人称代名詞you(あなた)が強調されている例である。
(7)のように疑問代名詞who(誰)を強調することもできる。疑問文のため、語順が転倒している(It was who…→Who was it…?)点にも注意したい。
2-3. 副詞
- (8) It was yesterday that I heard about it. (私がそれを聞いたのは昨日だった)
- (9) It was in New York that Dr. Kano began to learn English. (カノ博士が英語を学び始めたのはニューヨークだった)
it強調構文の[強調語句]には副詞(あるいは副詞に類する語句)も使用できる。
(8)はyesterday(昨日)、(9)はin New York(ニューヨークで)が強調されている例である。
2-4. 節
- (10) It was not until I was on my way home that I realized I left early. (早く出たことに気がついたのは、帰り道になってからだった)
- (11) It is what happened in those years that really mattered. (本当に重要なのはその年に起こったことだ)
it強調構文の[強調語句]には節も使用できる。(10)は副詞節、(11)は名詞節の例である。
注: 名詞節であっても、that節や疑問詞節は通例、不可。
参考: it強調構文の焦点
it強調構文の[強調語句]を文の機能別に分ければ、次のようになる。
- (12) Susan wore a long white dress at the party yesterday.
- (12a) It was Susan that wore a long white dress at the party yesterday.
- (12b) It was a long white dress that Susan wore at the party yesterday.
- (12c) It was yesterday that Susan wore a long white dress at the party.
- (12d) It was at the party that Susan wore a long white dress yesterday.
(12)は「スーザンは昨日のパーティーで白いロングドレスを着た」の意味で、強調構文の元となる文である。
(12a)は主語、(12b)は直接目的語、(12c)は時をあらわす副詞、(12d)は場所をあらわす副詞相当語句が強調されている。
このように、元の文が同一であっても、強調構文は複数のパターンを生み出せる点を覚えておきたい。
3. what強調構文の使い方
what強調構文は次の形をとる。
what強調構文の[強調語句]は主として名詞だが、他にも形容詞、不定詞、節などを使用できる。以下、それぞれの例を見ていこう。
3-1. 名詞
- (13) What I bought was a luxury 4-door sedan. (私が買ったのは高級な4ドアのセダンです)
- (14) A luxury 4-door sedan was what I bought. (私が買ったのは高級な4ドアのセダンです)
what強調構文の[強調語句]には名詞が使われる。(13)はa luxury 4-door sedan(高級な4ドアのセダン)が強調されている例である。
(14)のように[強調語句]が前方に置かれる「反転疑似分裂文」もある。
注:「セダン」は4〜6人乗りの自動車の名称。
3-2. 形容詞
- (15) What Mary is is clever. (メアリーは賢い方です)
what強調構文では[強調語句]に形容詞を使用できる。(15)はclever(賢い)が強調されている例である。
尚、(15)の文構造がわかりにくければ、次のように考えるとよい:
- Mary is clever. <元の文>
- → What Mary is is clever. <what強調構文>
is isと並んでいるのは、<元の文>のMary isに、<what強調構文>のwhat isが組み合わさったからである。
注: 形容詞はit強調構文の[強調語句]にできない。したがって、It is clever that Mary is.は不可である。
3-3. 不定詞
- (16) What she does is to write science fiction. (彼女がするのはサイエンス・フィクションを書くことである)
what強調構文では[強調語句]に不定詞を使用できる。
(16)はto write science fiction(サイエンス・フィクションを書くこと)が強調されている例である。
3-4. 節
- (17) What happened was that each one helped the other. (それぞれが互いに助け合うということがあった)
- (18) What surprised people was how long I worked on my novel. (私が小説に取り組んだ時間の長さが人々を驚かせた)
what強調構文では[強調語句]に節を使用できる。(17)は名詞節、(18)は副詞節を強調している例である。
まとめ: 強調構文を知って文を正しく読む
この記事では、英語の強調構文について詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- 強調構文はある要素を他よりも強調する際に使う
- 強調構文は話者がどのように情報を伝えるかに関わる
- it強調構文とwhat強調構文がある
- it強調構文は名詞、代名詞、副詞、節などを強調する
- what強調構文は名詞、形容詞、不定詞、節などを強調する
一見すると、強調構文は教科書の中だけに出現する文法のように思える。しかし、ネイティブ・スピーカーの会話や文章を注意深く観察すれば、強調構文の使われた文を頻繁に目にする。
強調構文を学ぶことは英文を正しく読んだり書いたりする基礎になる。強調構文についてわからないことがあれば、ぜひまたこの記事に戻ってきてほしい。きっと、あなたの探している答えが見つかるはずだ。
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
Good luck!