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英語のコロケーションとは、慣習的に用いられる英単語の組み合わせを指す。
例えば、rain(雨)ならheavy rain(ひどい雨)、light rain(小雨)、freezing rain(氷雨)などが代表的なコロケーションである。
自然なコロケーションを使えるようになれば、あなたの英語は一気にネイティブらしくなる。ライティングやスピーキングを練習する方にとって、コロケーションは必須の学習項目と言えよう。
そこでトイグルでは、コロケーションの知識と勉強方法を解説していく。学習の役に立つはずだ。
1. コロケーションが英語学習に役立つ理由
あなたは無意識のうちに「文法が正しい限り、出来上がる英文も正しい」と考えていないだろうか? そして、ライティングやスピーキングを行う際、「正しい文法構造に英単語を当てはめれば良い」の発想で英文を作ろうとしていないだろうか?
例えば、第三文型(SVO)は「主語+動詞+目的語」だから、主語(S)は名詞を、動詞(V)は他動詞を、そして目的語(O)は名詞を入れれば良い。それぞれの「スロット」に適した語句が入れば、たとえ意味に曖昧な点があっても、少なくとも間違った文にはならない…といった考え方である。
確かに、誤った文法を用いた文は確実に不可だから、文法が英語学習に必須なのは間違いない。一方、「文法的に正しい」ことは必ずしも「英文として正しい」ことを意味しない。実は「文法的に正しいのに文として誤っている」ケースが数限りなく存在するのだ。
例えば、「火をつける」はto set something on fireと言うが、to put something on fireとは言わない。たとえ「putは他動詞だから直後に目的語を使う」の文法ルールがあっても、ここでputを使うのは正しくない。
あるいは、英語ではblack and whiteと言うが、white and blackは容認されない。どちらも「名詞+and+名詞」の文法ルールに当てはまるが、慣習的にblack and whiteで定着しているから、特別な意図のない限りwhite and blackが使われることはない。
このように、たとえ文法的に正しい構造を作っても、英文の容認性を最終的に決めるのは単語の組み合わせ、すなわちコロケーションである。コロケーションの誤りが部分的であれば「不自然だが言いたいことはわかる」程度で済む。しかし、コロケーションの決定的な誤りは、文法ミスと同じ、あるいはそれ以上の悪印象を与えるだろう。
言い換えれば、ネイティブらしい英語を作れるかどうかは、コロケーションによるところが大きい。ライティングやスピーキングを練習している方で、英文から日本語の雰囲気が抜けない方はコロケーションの勉強をしてみよう。一気に英語らしい文体に変わるはずだ。
それでは、コロケーションにはどのような例があり、私たちはコロケーションをどうやって学べばいいのだろうか? 以下、具体的な方法を見ていこう。
by and large(全般的に)やof course(もちろん)のように、文法的には誤っているが英語として容認されるケースもある。文法と単語は分離可能ではなく、むしろその境界は曖昧であると考えよう。
2. コロケーションの種類と例
コロケーションは、語句の結びつきの強さによって4つの種類に分けられる。
レベル1 | shoot the breeze |
レベル2 | break a journey |
レベル3 | give (allow / permit) access to |
レベル4 | get (have / receive) a lesson (tuition / instruction) |
(出典: Schmitt 2000 より筆者作成)
1つずつ説明していこう。
レベル1: イディオム
レベル1のコロケーションはイディオムとも呼ばれ、語句の結びつきが最も強い。
例えば、shoot the breezeは「むだ話をする」を意味する。これをshoot a breezeやshoot breezeのように、構成語句を一語でも変えてしまうと元の意味は成立しない。
また、レベル1のコロケーションは、それぞれの語句を足し合わせても全体の意味はできない。shoot(打つ)、the(その)、breeze(その風)を足しても「むだ話をする」にはならず、shoot the breezeではじめて意味がとおる。
そのため、レベル1のコロケーションはフレーズ全体で覚えてしまうのが良い。レベル1のコロケーションの例を見てみよう。
kick the bucket: 死ぬ |
bite the dust: 敗北する |
the apple of my eye: かけがいのない人(物) |
give the green light: 許可を与える |
under the weather: 体の具合が良くない |
レベル2: 不変イディオム
レベル2のコロケーションは依然として語の結びつきが強いものの、各語句を足し合わせることで全体の意味が想像できる。
例えば、break a journeyはbreak(分断する)、a(1つの)、journey(旅)から「旅を中断する」の意味となる。
一方、この意味でstop a journeyやcease a journeyと言うことはできず、a journeyに結びつくのはbreakのみである。breakとa journeyに強い結びつきがあるのがわかる。
レベル2のコロケーションの例を見てみよう。
from head to foot: 全身に |
foot the bill: 勘定を払う |
kill two birds with one stone: 一石二鳥を得る |
take part in: 参加する |
keep in touch with: 頻繁に連絡を取る |
レベル3: 片側に複数の語句が使えるコロケーション
レベル3のコロケーションは、特定の語句に対して複数の候補が選択可能である。
例えば、名詞access(アクセス)はgive access to、allow access to、permit access toのような複数の動詞が選択可能だ。ニュアンスは若干異なるが、意味は概ね「アクセスできる」に近い。
レベル3のコロケーションの例を見てみよう。
take / have / be given precedence: 優先する |
have / feel / experience a need: 必要性がある |
great / heavy responsibility: 重大な責任(重い責任) |
highly / very suitable: とても適している |
completely / largely replace: 完全に取り替える(大規模に取り替える) |
レベル4: 両側に複数の語句が使えるコロケーション
レベル4のコロケーションは、特定の語句の前後に複数の候補が選択可能である。
例えば、get(得る)、have(持つ)、receive(受け取る)に対して、目的語はlesson(レッスン)、tuition(学費/授業)、instruction(指導)などの複数の候補が選択できる。
- get a lesson (教えを学ぶ)
- have tuition (授業を受ける)
- receive instruction (教育を受ける)
レベル4のコロケーションは自由度が高く、語句を入れ替えることで無数の英文を算出できる。ライティング時に間違いやすいところなので、注意したい。
例を見てみよう。
find (experience) trouble (difficulty) in: Xするのに困難(問題)を経験する |
as dark (black) as night (coal / ink): 夜(石炭/インク)のように暗い(黒い) |
Got it. (わかりました)やHow’s it going? (調子はどうですか?)など、英会話でよく使われるフレーズはイディオム(レベル1コロケーション)の同類と考えられる。文法的な操作なしにそのままの形で使えるため、初心者向けの書籍で紹介されることが多い。
3. コロケーションの覚え方
コロケーションを覚えるための3つの学習方法を紹介しよう。
3-1. 文脈で覚える
1つ目はリスニングやリーディングなどのインプットを通じて、コロケーションを文脈で覚えることである。膨大な数のコロケーションを暗記で対処するのは難しいから、英文を実際に読んだり聞いたりすることで、文中での使われ方を知る。
とりわけ、動詞と名詞(例: give a ride)、名詞と名詞(例: computer science)、形容詞と名詞(例: heavy rain)など、よく出現する品詞のまとまりに敏感になると良い。
3-2. フィードバックを受ける
2つ目はライティングやスピーキングなどのアウトプットを通じてコロケーションに関するフィードバックを受けることである。
例えば、あなたが英会話のレッスンを受ける時、誤ったコロケーションを使った表現をすれば、聞き手が解釈をするのに一瞬戸惑いを見せるだろう。もちろん、発音や文法など他の要素が影響することもあるが、うろ覚えな語句を使っていれば、コロケーションに誤りがあると気がつけるはずだ。
ライティングでも同様に、添削指導を受ければコロケーションの間違いを修正してもらえる。このようなフィードバックを通じて仮説・検証を繰り返し、語彙のネットワークを発達させていくと良い。
3-3. 辞書を使う
3つ目は辞書を使うことである。最近の英語辞書は内容が充実しており、使用頻度の高い語句はコロケーションの記載が数多くある。例えば、ロングマン現代英英辞典でjourney(旅)と調べると、make a journey(旅行をする)やbegin a journey(旅を始める)のようなコロケーションが見つかる。
コロケーションの専用辞書も発売されている。アカデミックやビジネスシーンなど専門的な場面で英語を使う方は、ぜひとも持っておきたい。
4. まとめ
この記事では英語のコロケーションについてまとめてきた。
内容をまとめると次のようになる。
- 文法的に正しいことは文として正しいことを保証しない。
- コロケーションは慣用的に用いられる英単語の組み合わせである。
- 正しいコロケーションは自然な英語を作る。
- 結びつきの強さによってコロケーションには様々なレベルがある。
- コロケーションは文脈や辞書で学ぶ。
学習の参考になれば幸いだ。
Good luck!
凄いです
数々のイデイオムを中高生時代に覚えましたがそれがコロケーションと言うものだとは知りませんでした!目から鱗ですね!
英語はメチャクチャ好きなので、各単語のイメージを越えたコロケーションの知識をどんどん増やしていきたいですね!
辞書引きは本当に好きですね☺️
高校時代は全国模試に英語がランキングされてました!けど化学者になりました。才能は無限大!
>中添勝代様
素晴らしいですね!
お役に立てたようで幸いです^^