英語のリンキングとは、隣り合う単語の音を、必要以上に区切らずにつなげて発音することです。たとえば an apple は、an の最後の /n/ から apple の母音へ続けて発音します。文字の区切りごとに止まらず、意味のまとまりを保って話す練習をしましょう。
音声はアメリカ英語をモデルにした学習用の合成音声です。各項目の後に、続けて発音する間があります。男性・女性のどちらかで練習し、慣れたらもう一方でも確認しましょう。「Listen to these words.」という案内がある音声では、必要に応じて一時停止しながら練習してください。
1. 仕組みと、間違えやすいポイント
子音の後に母音が続くところから練習します
turn off の /n/ と /ɔ/、pick up の /k/ と /ʌ/ のように、語末の子音と次の語頭の母音が続く箇所は、つなげる感覚をつかみやすい例です。子音の後に日本語の母音を足してから次の語を読む必要はありません。
綴りではなく、実際の音で考えます
an hour は、hour の h を発音しないため、/n/ の後に母音が続きます。一方、a university の university は /j/ から始まります。最初の文字が母音字かどうかと、最初の音が母音かどうかは別です。
同じ子音が続く場合は、間に母音を挟みません
big game の /ɡ/、some milk の /m/ のように同じ子音が続く場合、同じ構えを保ってから次の音へ移ることがあります。一つ目を日本語の音節として読み、余分な「ウ」などを挟むのは避けます。ただし、子音の長さや実現の仕方には違いがあります。
母音同士の間には、滑らかな移行が聞こえることがあります
see it や go out では、母音から母音へ続く間に、/j/ や /w/ に近い移行が聞こえることがあります。すべての母音の間に、独立した強い「イ」や「ウ」を挿入する規則ではありません。まず声を途切れさせずに読み、過剰な音を足さないようにします。
米語のRと、英国式のlinking Rを混同しないようにします
米国英語では、far などの語末のRは単語単独でも通常発音されます。far away でも、そのRから次の母音へ続けます。Rを単独では発音しない英国英語の一部で扱う linking R と、同じ説明をそのまま使わないようにしましょう。
つながることと、音が変わることは分けて考えます
米語の get it では、/t/ が短く舌先を当てるフラップ音になることがあります。これは単語をつなげることに伴って起こりうる別の音変化です。リンキングを「すべての子音が別の音になる現象」とは考えず、まず語と語の境目で止まらない練習から始めます。
2. 語末の子音から、次の母音へ進む
an + apple → an‿apple
/ən/ + /ˈæpəl/ → /ən ˈæpəl/
/n/ で舌先を歯茎につけ、そのまま次の母音へ進みます。
pick + up → pick‿up
/pɪk/ + /ʌp/ → /pɪk ʌp/
/k/ の後に「ウ」を足さず、次の /ʌ/ を出します。
turn + off → turn‿off
/tɝn/ + /ɔːf/ → /tɝn ɔːf/
語の間に大きな休止を入れません。
矢印は音や文字の対応を示す学習用の図です。実際の発音には、話者・場面・前後の音による違いがあります。

つなげることを「速く読むこと」に置き換えないでください。ゆっくりした速さでも、子音の後に余計な母音を足さず、次の母音へ進む練習はできます。速さは、その動きに慣れてから上げましょう。
3. 単語単独と、つながったまとまりを比べる
an → apple → an apple、pick → up → pick up、turn → off → turn off の順です。単語単独の音と、まとまりの中での音のつながりを比べます。単語だけを読む部分と同じ間隔で、句の内部を区切らないようにしましょう。
音声の順序:an → apple → an apple → pick → up → pick up → turn → off → turn off
男性音声(英語の案内の後に練習語を読みます)
女性音声(英語の案内の後に練習語を読みます)
4. 基本の形を練習する
音声は各項目を上から順に読みます。意味を確認してから、一つずつ声に出してください。発音記号は基本形の目安で、文中では弱くなる音もあります。
4-1. 子音と母音をつなぐ基本の形
an apple /ən ˈæpəl/
リンゴ1個
練習のポイント:an の /n/ から母音へ進みます。
pick up /pɪk ʌp/
拾う・迎えに行く
練習のポイント:/k/ の後に余分な母音を足しません。
turn off /tɝn ɔːf/
消す
練習のポイント:/n/ と次の母音をつなぎます。
come in /kʌm ɪn/
中に入る
練習のポイント:/m/ の閉じた唇から次の母音へ進みます。
leave it /liːv ɪt/
それをそのままにする
練習のポイント:/v/ から次の /ɪ/ へ続けます。
男性音声(英語の案内の後に練習語を読みます)
女性音声(英語の案内の後に練習語を読みます)
4-2. ほかの境目も確認する
some milk /səm mɪlk/
いくらかの牛乳
練習のポイント:/m/ の間に余分な母音を挟みません。
big game /bɪɡ ɡeɪm/
大きな試合
練習のポイント:/ɡ/ の構えから次の母音へ進みます。
see it /siː ɪt/
それを見る
練習のポイント:母音の間で声を大きく切りません。
go out /ɡoʊ aʊt/
外出する
練習のポイント:二つの母音を滑らかにつなぎます。
far away /fɑːr əˈweɪ/
遠く離れて
練習のポイント:米語のRを残し、次の弱い母音へ進みます。
男性音声
女性音声

文全体を一息で読もうとすると、意味の区切りまで失うことがあります。短い意味のまとまりの中をつなぎ、まとまりの境目では必要に応じて休むと、聞き手に伝わりやすくなります。
5. フレーズで練習:短いまとまりを5つ
音声は1番から5番の順です。単語の間を必要以上に空けず、意味のまとまりとして読みます。
1. pick it up
それを拾う
練習のポイント:pick の /k/ から it の母音へ進みます。
2. turn off the light
明かりを消す
練習のポイント:turn と off をつなぎます。
3. an old friend
昔からの友人
練習のポイント:an の /n/ から old の母音へ進みます。
4. come in and sit down
中に入って座る
練習のポイント:come と in を続けます。
5. leave it on the desk
それを机の上に置いたままにする
練習のポイント:leave と it をつなぎます。
男性音声
女性音声
6. 文で練習:会話で使える5文
まず内容を確かめ、次に音声に続いて読みます。速さだけをまねず、意味が伝わるまとまりを保ちましょう。
1. Please pick it up.
それを拾ってください。
練習のポイント:語の区切りごとに止まらないようにします。
2. Can you turn off the light?
明かりを消してもらえますか。
練習のポイント:turn と off の境目を確認します。
3. I met an old friend.
昔からの友人に会いました。
練習のポイント:an と old を滑らかにつなぎます。
4. Come in and sit down.
中に入って座ってください。
練習のポイント:短いまとまりを保って読みます。
5. Leave it on the desk.
それは机の上に置いておいてください。
練習のポイント:leave・it・on の間に余分な母音を足しません。
男性音声
女性音声
7. 仕上げの練習とセルフチェック
練習した文から2つを選び、音声を止めて発音してみましょう。録音できる場合は、お手本と自分の声を交互に聞きます。声の高さを似せる必要はありません。
- 語末の子音の後に日本語の母音を足していませんか。
- 意味のまとまりの中で、不必要に止まっていませんか。
- 速さを上げても内容と区切りを保っていますか。
聞き取れなかった箇所は、綴りを確認してからもう一度聞きます。難しい場合は短いまとまりに戻り、最後に文全体へ戻してください。
関連する発音も学ぶ
弱形や脱落も、単語を続けて話すときの聞こえ方に関わります。
母音・子音・音変化などの解説と練習記事は、英語の発音まとめに一覧で掲載しています。
参考資料
- British Council:Connected speech
- British Council:Connected speech — part 2
- UCL・John Wells:米語と英国英語の発音の違い