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多読とは楽しみながら英語の本を読む勉強法である。
多読に興味を持ったあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?
- 多読は英語力向上に効果がある?
- 多読の効果的なやり方を知りたい。
- 多読用教材のおすすめを知りたい。
トイグルでは、多読は英語力向上に大変有効な手段だと考えている。多読は必ずしも英語上級者だけでなく、英語初級者・中級者の方にも適している。
実際、トイグルTOEICスクールではレッスンに多読を取り入れたところ、英語力の改善とモチベーション向上の両方が見られた。
そこでトイグルでは、英語多読のやり方を詳細に解説していきたい。多読によって得られる効果、多読と精読の違い、多読を実践する3つのステップ、おすすめの多読教材を紹介していく。
この記事を読めば多読のやり方を理解できる。そして、今日からでも多読を実践できるようになるはずだ。
1. 多読の効果
多読は英語教育の分野で研究が進められ、その効果が世界的に実証されている。
多読が英語力向上に及ぼす3つの効果を説明しよう。
1-1. 多読でリーディング力が上がる
多読によってリーディング力の向上が期待できる。
日本人の高校生96人を対象に行われた研究では、授業の冒頭に多読を行うことで、リーディングの速度と理解力の両方に向上が見られた。
また、イエメンで大人の学習者を対象に行われた研究では、精読を行ったクラスよりも、多読を行ったクラスのほうが、リーディング力において高い伸びが確認された。
1-2. 多読で単語力が上がる
多読によって単語力の向上が期待できる。
香港の大学生を対象に行われた研究では、半年間の多読の講座によって語彙が約3,000ワード増加した。これは小学五年生のネイティブ・スピーカーが1年間に身につける量に相当する。
1-3. 多読でTOEICスコアが上がる
多読によってTOEICスコアの向上が期待できる。
日本人の大学生37名を対象に行われた研究では、多読の量に比例してTOEICスコアの向上が見られた。年間に約31万ワードを読んだ学生の平均スコアは435点、約82万ワードを読んだ学生の平均スコアは498点、約180万ワードを読んだ学生の平均スコアが604点となった。
多読の量 | TOEICスコア |
310,000 words | 435点 |
660,000 words | 498点 |
1,800,000 words | 604点 |
筆者の個人的な経験では、多読によってリスニング力も向上する。これは多読で英文の処理能力が高まる結果だと思われる。
2. 多読と精読の違い
多読は文字通り、たくさんの英語の本を読む学習法を指す。
多読で使用するテキストは難易度が低めのものが良い。知らない単語がほとんど出現せず、スラスラと読め進められる本が望ましい。分厚い本である必要もなく、薄くて読みやすい本で構わない。
本の内容は必ずしも「お勉強」的なものである必要はない。自分の趣味、好きなこと、ゴシップ、その他興味を持って読み進められるなら何でも良い。日本語の本を読む時と同じ感覚で、娯楽として英語の本を読む。
多読中に辞書を使って意味を調べたり、文法構造を分析する必要はない。わからない箇所は飛ばして読み進め、本の大意を理解する。読書中につまらないと思ったら、その本を読むのを止めても構わない。
多読と逆のアプローチが精読である。精読はいわゆる「学校英語」のように、英文を丁寧に訳しながら読む方法だ。
多読と精読の違いをまとめると次のようになる。
多読 | 精読 |
たくさんの本を読む | 少量の本を読む |
難易度の低いテキスト | 難易度の高いテキスト |
大意の理解 | 完全な理解 |
英語のまま解釈する | 日本語に翻訳する |
もちろん、多読と精読は完全に区別できるものではない。多読の最中に解釈の難しい文に出会ったら、一時的に日本語に訳して読むことはあるだろう。逆に、精読のつもりでも簡単な文は即座に理解できる。
重要なのは多読と精読の違いを理解し、目的を明確にしてリーディングをすることだ。多読は勉強としての義務感を負わず、ワクワクしながら本を読み、読書そのものを楽しむのがポイントである。
多読を行うことでリーディングの流暢さが向上し、結果的に英文を読む速度が上がる。
3. 多読のやり方
多読を実践する3つのステップを説明しよう。
ステップ1: 環境を作る
学校で多読が導入される場合、カリキュラムの一環として授業時間が用いられる。自宅学習もあるが、基本的には教師の管理のもとで行われる。一方、私たち大人の学習者は、多読の環境を自ら構築しなければならない。
環境は時間と場所の2つがある。時間に関しては、1度に本を読む時間を15分から30分程度と定め、休憩を挟みつつ1日に60分以上行う。最低でも週に3日以上の機会を確保することで、1冊を10日以内に読み終えるのが理想だ。
場所に関して特段の制約はない。自宅、カフェ、図書館、有料自習室など、読書に集中できればどこでも良い。通勤電車内など静かに読めない場所はおすすめできない。
ステップ2: 本を購入する
多読は読書を楽しむのが第一なので、選ぶ本はどんなジャンルでも構わない。興味の赴くままに色々な本を読もう。
多読で読む本は、現在の英語レベルよりも一段階易しめのものが良い。最低でも文中の95%の語句が理解できるものを選ぼう。
ステップ3: 本を読む
ここまで準備ができたら実際に多読を行う。
本はひとり静かに集中して読む。音読をせず、辞書を引かず、大体の理解で構わないので、流れるように読み進める。
わからない単語は文脈から推測するか、無視をして読み飛ばす。もし読解に詰まってしまうなら、その本はレベルが高すぎたことになる。思い切って読みやすそうな新しい本を手に入れよう。
多読はたくさんの本を読む活動なので、読書記録をつけるのも良い。読んだ本を本棚に飾るとモチベーションが高まる。
日本人は精読を中心に学習してきたせいか、知らない語句を無視したり、文の大意を理解するといった多読の方法に違和感を覚えることがある。多読をする時は正確さへのこだわりを捨て、思い切って読み進めるようにしよう。
4. 多読におすすめの教材
現在、多読を目的とした様々な教材が販売されている。レベル別におすすめを紹介しよう。
4-1. ラダーシリーズ
ラダーシリーズは英語学習者用に作られた多読用教材。レベル1(TOEIC300点以上)からレベル5(TOEIC470点以上)の5段階に分かれ、物語から政治経済まで幅広いジャンルのタイトルを選べる。
- レベル1: TOEIC300点以上
- レベル2: TOEIC350点以上
- レベル3: TOEIC400点以上
- レベル4: TOEIC470点未満
- レベル5: TOEIC470点以上
多読がはじめての方は、レベル1の『絵で読む英語 First Steps in Reading English』が良い。日本と外国の文化の違いに興味がある人はレベル3の『ガイコク人ニッポン体験記 Jon’s Chopsticks』やレベル4の『ジャパン FAQ Japan FAQ』、音楽に興味のある人はレベル4の『ビートルズ・ストーリー The Beatles’ Story』、ビジネス英語はレベル5の『日本の経済 The Japanese Economy』や『日本の株式市場 The Japanese Stock Market』がおすすめ。
尚、上述のレベルはあくまで英単語の目安なので、実際に本を読むには一段階高いレベルの英語力が必要。例えば、あなたの現在のレベルがTOEIC600点なら、レベル5(TOEIC470点以上)ではなく、レベル3(TOEIC400点以上)辺りから読んでみよう。
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4-2. Graded Readers
Graded Readers(グレーデッド・リーダーズ)は学習者向けに作られた多読用教材。ラダーシリーズが日本人向けに作られているのに対し、グレーデッド・リーダーズは主に英語圏の出版社から発売されている。
有名なグレーデッド・リーダーズは次の通り。
グレーデッド・リーダーズは多読に適した教材だが、大型書店以外では取り扱いがあまりない。Amazonなどのネット書店を活用されたい。
4-3. 洋書
洋書とは英語圏で販売されている書籍の総称である。
洋書は多読用教材としては作られておらず、英語のネイティブ・スピーカーを想定読者としているため、難易度が高い。目安として、TOEIC800点以上の英語力があり、ラダーシリーズなどで多読に慣れた人向けである。
洋書を読めるようになれば世界中の知にアクセスできる。海外で発売された話題の本、日本語に翻訳されていない本、専門書、その他あらゆるジャンルの本を読める。英語学習の幅が大きく広がるのが実感できるだろう。
ビジネス系の英語に興味のある人は『Blue Ocean Strategy(ブルーオーシャン戦略)』がおすすめ。マーケティング戦略が平易な英語でわかりやすく書かれている。「iモード」や「QBハウス」など、日本の事例も紹介されており興味深い。
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5. まとめ
この記事では、多読の効果と実践方法を紹介してきた。
内容をまとめると次のようになる。
- 多読はリーディング力、単語力、TOEICスコアアップなどに効果的。
- 多読は娯楽として楽しみながら本を読む。
- 興味を持って読み進められるジャンルの本を選ぶ。
- ラダーシリーズなどの多読用教材がおすすめ。
読解力を高めるもっとも効果的な方法は実際に本を読むことである。あなたの夢は多読で実現する。
Good luck!
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