時制とは、動詞を使って動作・状態の時間を表す文法である。英語には現在・過去の2つの時制があり、そこに一般・完了・進行・完了進行などの焦点を組み合わせ、8つのパターンで時間を表現する。
トイグルでは、イラストを使って英語の時制をわかりやすく解説していこう。
*目次
1. 時制とは何か?
英語の時制とは、時間軸と焦点の組み合わせである。
時制 = 時間軸 × 焦点
(トイグル)
時間軸とは文字通り、その文章が表す時間的な地点を指す。英語の世界では、現在と過去の2つの時間軸しか存在しない。
- 現在
- 過去
焦点とは、その時間軸を見るための角度だと思ってもらっていい。例えば、いま一時的に起こっている出来事と、定期的に行っている動作では、同じ現在と言ってもそのニュアンスは異なるだろう。
このような、時間軸を表現するための角度をトイグルでは焦点と呼び、英語には次の4種類が存在する。
- 一般
- 進行
- 完了
- 完了進行
時制は2つの時間軸と4つの焦点の組み合わせで決まる。そのため、英語の時制には8つのパターンが存在する。
*現在時制
- 現在形 = 現在 × 一般
- 現在完了形 = 現在 × 完了
- 現在進行形 = 現在 × 進行
- 現在完了進行形 = 現在 × 完了進行
*過去時制
- 過去形 = 過去 × 一般
- 過去完了形 = 過去 × 完了
- 過去進行形 = 過去 × 進行
- 過去完了進行形 = 過去 × 完了進行
ここから、それぞれの時制の用法を解説していこう。
参考: 英語の時制に未来形は存在しない。未来のことは助動詞と呼ばれる語句を用いて、その起こりうる可能性を現在の視点から推測する。
2. 現在形の使い方
現在形(=現在時制×一般)について、解説していこう。
英語の現在形には、動作の任意の点に焦点を合わせることで、常に同じ結果を得るようなイメージがある。
現在形: 動作のどの点に注目しても同じ結果が得られる
(トイグル)
例えば「ごはんを食べる」であれば、茶碗の米の量が減っていく過程のどの点を見ても、ごはんを食べていること自体に変わりはないことがわかる。
「動作のどの点に注目しても同じ結果が得られる」のイメージより、現在形は主に次の3つの用法で使われる。
2-1. 今現在行われていること
今現在行われている一般形な物事を表現する際は、現在形を使う。
- I work at an IT company. (わたしはIT企業で働いています。)
働くという動作は、その会社に入社した時から退社するまでの一連のプロセスを経る。しかし、どの点を見ても「働いている」ことには変わりない。
現在形の持つ「動作のどの点に注目しても同じ結果が得られる」がそのまま使われている用法と言える。
2-2. 一般的な事実
一般的な事実を表現する時は、現在形を使う。
- Water boils at 100 degree. (水は100度で沸騰する。)
普遍的な事実であれば、それが行われているどの点を観察しても、常に同じ結果が得られる。現在形のイメージがピタリと当てはまる。
2-3. 習慣的に行われている物事
習慣的に行われていることについて表現するときは、現在形を使う。
- I eat breakfast everyday. (わたしは毎日朝食を取る。)
定期的に行われる習慣であれば、それが行われているどの点を観察しても、常に同じ結果が得られる。やはり、現在形との相性が良い。
3. 現在完了形の使い方
現在完了形(=現在時制×完了)について、解説していこう。
現在完了形は、have/hasに動詞の完了形を組み合わせたものとなる。「現在形」のhave/hasに「完了形」が使われるので、現在完了形と呼ばれる。
現在完了形: have/has + 動詞の完了形
(トイグル)
have/hasは「持っている」を意味する動詞だ。「XがYを持っている」を図にすると、次のようになる。
完了形は、動詞のプロセスの最終段階を意味する。「ごはんを食べる」という動作であれば、食べ終わった状態が動作の最終段階だ。
ここで、動詞have/hasと完了形のイメージを組み合わせてみよう。
このように現在完了形の基本イメージは、主語が「動作の最終段階をhaveしている」である。
現在完了形: 動作の最終段階をhaveしている
(トイグル)
用法を1つずつ見ながら、基本イメージの理解を深めていこう。
3-1. 結果を表す現在完了形
現在完了形を使うことで、主語の動作の結果を表すことができる。例文を見ながらこの用法を確認していこう。
- I have finished my homework. (わたしは宿題を終えました。)
この例文は、finished my homework(宿題を終えた)という状態を、I(わたし)がhave(持っている)と解釈しよう。意味的に、結果を表す文章と言える。
3-2. 経験を表す現在完了形
現在完了形を使うことで、主語の経験を表すことができる。
- We have visited Tokyo before. (わたしたちは以前、東京を訪れたことがあります。)
こちらの例文も同様だ。visited Tokyo before(以前東京を訪れた)という状態を、we(わたしたち)がhave(持っている)と考えればいい。意味的に、経験を表す文章となる。
3-3. 継続を表す現在完了形
現在完了形を使うことで、主語の動作の継続を表すことができる。
- Tony has lived in this town for 10 years. (トニーはこの街に10年間住んでいる)
これまで同様、lived in this town for 10 years(この街に10年間住んでいる)という状態を、Tony(トニー)がhaveしていると解釈できる。意味的に、動作の継続を表す文章となる。
3-4. 未来に視点を置く現在完了形
使用頻度は少ないが、未来に視点を置いて現在完了形を使うこともできる。時間軸はあくまで今現在だが、未来の状況を想像するイメージだ。
次の2つの文章を比べてみよう。
- I will go to the gym when I finish my homework. (わたしはジムに行きます、宿題が終わったら。)
- I will go to the gym when I have finished my homework. (わたしはジムに行きます、宿題が終わったら。)
どちらも同じ日本語訳になってしまうが、英語のニュアンスに若干の違いがある。
1つ目の文は現在形を使ってwhen I finish my homeworkと言っている。宿題が終わるという動作そのものに焦点を当てている様子がわかる。
一方、2つ目の文は現在完了形を使ってwhen I have finished my homeworkとしている。finished my homeworkをhaveしている状態、すなわち動作の完了を意識している様子が伺える。
4. 現在進行形の使い方
現在進行形(=現在時制×進行)について、解説していこう。
現在進行形は、その名前が示す通り、be動詞の現在形に動詞の進行形を組み合わせたものとなる。
現在進行形: be動詞の現在形 + 動詞の進行形
(トイグル)
be動詞は「~である/~の状態だ」を意味する。「XがYの状態だ」を図にすると、be動詞は次のようになる。
進行形は、動詞の動作が行われている最中であることを示す。「ごはんを食べる」であれば、食べ始めから食べ終わりまでの一連のプロセスが「動作の最中」を表す。
ここで、be動詞と進行形のイメージを組み合わせてみよう。
このように現在進行形とは、「動作が今まさに行われている状態」を表す用法となる。
現在進行形: 動作が今まさに行われている状態
(トイグル)
用法を1つずつ見ながら、基本イメージの理解を深めていこう。
4-1. 動作が今まさに起こっている最中
現在進行形を使うことで、その動作が今まさに起こっている最中であることを描くことができる。
- I am cooking now. (今料理をしている最中です。)
この例文では、今まさに料理をしている瞬間がイキイキと描かれている様子が伺える。
4-2. 始まりと終わりがある動作
現在進行形が使われる場合、それは始まりと終わりのある動作であることがわかる。現在形が普遍的な動作であるのと、正反対の概念だ。
- I am working for a Japanese restaurant. (わたしは日本料理屋で働いている。)
この例文では、話し手は日本料理屋に就職した時から、いつか辞めるまでの一連の動作として捉えていることがわかる。一時的と言い換えることもできるだろう。
4-3. 未完了の動作
現在進行形の基本イメージは、ある動作が行われている最中である。最中であることはまだ動作が完了していないことを指すため、現在進行形の動作は未完了と考えられる。
- I am still working on my homework. (わたしはまだ宿題をやっています。)
宿題をまだやっているということは、宿題が終わっていないことと同義だ。つまり、進行形は完了形と対局にある表現方法であると考えてよい。
- 進行形(-ing) ⇔ 完了形(-ed)
4-4. 近い未来を表す進行形
現在進行形の持つ「動作が行われている途中」のイメージを使うことで、未来の様子を表現することができる。
次の例文を見てみよう。
- It is going to rain. (雨が降りそうだ。)
現在進行形を使うことで、今まさに雨が降りだそうとしている様子がイキイキと描かれている。雨雲がさしかかり、湿っぽい空気が流れ込んできた感じだろうか。
このように、既にその予兆が起こっている近い未来のことは、進行形を使って表現することができる。その未来の動作が行われている途中にあると、話し手が捉えていると考えればよい。
5. 現在完了進行形の使い方
現在完了形(=現在時制×完了進行)について解説していこう。
現在完了進行形は動詞have/hasに、「進行している動作の最終段階」を意味する完了進行を組み合わせたものとなる。
現在完了進行形: have/has + 動詞の完了進行形
(トイグル)
現在形have/has・完了形・進行形の3つが組み合わさった用法のため、その要素を1つずつ見ていこう。
have/hasは「持っている」を意味する動詞の現在形だ。「XがYを持っている」を図にすると、次のようになる。
完了形は、動詞のプロセスの最終段階を意味する。「ごはんを食べる」という動作であれば、食べ終わった状態が動作の最終段階だ。
進行形は、動詞の動作が行われている最中であることを示す。「ごはんを食べる」であれば、食べ始めから食べ終わりまでの一連のプロセスが「動作の最中」になる。
完了と進行を組み合わせると、「進行している動作の最終段階」となる。
ここで、動詞have/hasと完了進行形のイメージを組み合わせてみよう。
このように現在完了形の基本イメージは、主語が「進行している動作の最終段階をhaveしている」用法となるのだ。
現在完了進行形: 進行している動作の最終段階をhaveしている
(トイグル)
用法を1つずつ見ながら、基本イメージの理解を深めていこう。
5-1. 進行中の動作の最終段階
現在完了進行形を使うことで、進行中の動作の最終段階を示すことができる。動作がイキイキと行われていた瞬間と、それが完了した時点の両方を強調することになる。
- I have been running. (ずっと走っています。)
5-2. 今も進行中の動作を現時点で振り返る
現在完了進行形にはもう1つ、進行中だがまだ終わっていない動作を、現時点で振り返るようなイメージで使う機能がある。まだ継続中ではあるが、いったん今の時点で1つの区切りをつけ、そのプロセス全体を捉える用法だ。
- I have been studying English for ten years. (英語を10年間勉強しています。)
現在完了進行形の2つの用法に、意味の大きな差はほとんどない。文脈によって区別できることもあるが、たいていの場合はどちらの用法が使われているか判断することは困難だ。
どちらにせよ、現在完了進行形には「進行している動作の最終段階をhaveしている」ことを理解すれば、そのイメージが理解できるはずである。
6. 過去形の使い方
過去形(=過去時制×一般)について解説していこう。
英語の過去形には、動作の任意の点に焦点を合わせることで、常に同じ結果を得るようなイメージがある。
過去形: 過去に行われた動作のどの点に注目しても、同じ結果が得られる
(トイグル)
例えば「ごはんを食べた」であれば、茶碗の米の量が減っていく過程のどの点を見ても、ごはんを食べていること自体に変わりない。
用法を1つずつ見ながら、基本イメージの理解を深めていこう。
6-1. 過去の出来事
過去に行われた出来事について表現する時、過去形を使う。
- I went to the gym already. (私は既にジムに行きました。)
ジムに行くという動作は、家を出てジムに到着し、その後家に帰るまでの一連のプロセスを経る。しかし、どの点を見ても「ジムに行った」プロセスの一部と言える。
過去形の持つ「過去に行われた動作のどの点に注目しても、同じ結果が得られる」イメージと、ピタリと重なるのだ。
yesterday(昨日)やlast week(先週)など、過去の特定の時間を表すことも可能だ。
- I woke up at eight o’clock today. (私は今日、朝8時に起きました。)
6-2. 過去に習慣的に行われていた出来事
過去に習慣的に行われていた出来事について表現する時、過去形を使う。
- She usually spent the winter in Nagano. (彼女はたいてい長野で冬を過ごしていた。)
過去に定期的に行われていた習慣であれば、それが行われているどの点を観察しても、常に同じ結果が得られる。これも、過去形のイメージがピタリと当てはまる用法と言えよう。
7. 過去完了形の使い方
過去完了形(=過去時制×完了形)について、解説していこう。
過去完了形は、動詞hadに他の動詞の完了形を組み合わせたものとなる。haveの過去形であるhadに完了形が使われるので、過去完了形と呼ばれる。
過去完了形: had + 動詞の完了形
(トイグル)
hadは「持っていた」を意味する動詞だ。「XがYを持っていた」を図にすると、次のようになる。
完了形は、動詞のプロセスの最終段階を意味する。「ごはんを食べる」であれば、食べ終わった状態が動作の最終段階だ。
ここで、動詞hadと完了形のイメージを組み合わせてみよう。
このように過去完了形とは、主語が「過去のある地点で、動作の最終段階をhadしていた」を表す用法となるのだ。
過去完了形: 過去のある地点で、動作の最終段階をhadしていた
(トイグル)
用法を1つずつ見ながら、基本イメージの理解を深めていこう。
7-1. 結果を表す過去完了形
過去完了形を使うことで、主語の動作の過去の結果を表すことができる。例文を見ながらこの用法を確認していこう。
- I had already finished my speech when they arrived at the room. (わたしは既にスピーチを終えていた、彼らが部屋についた時には。)
過去完了が使われている部分はThe meeting had already finishedとなる。
この例文は、when they arrived at the room(彼らが部屋について時)に、already finished my speech(既にスピーチが終わっていた)という状態を、I(わたし)がhad(持っていた)と解釈しよう。
この例文の時間軸を整理すると、次のようになる。
- わたしが既にスピーチを終えたという状態を持っていた時 = 彼らが部屋についた時
過去形と過去完了形がどちらも同じ過去時制であることが、お分かりいただけるだろう。いわゆる大過去の考え方を使わずに、自然に解釈ができるはずだ。
この文章は意味的に、動作の結果を表す。
7-2. 経験を表す過去完了形
過去完了形を使うことで、主語の経験を表すことができる。
- I had never been to a foreign country before I went to the U.S. (わたしは外国に行ったことがなかった、アメリカに行く前は。)
先ほどと同様に解釈をしよう。before I went to the U.S.(アメリカに行く前)は、never been to a foreign country(外国に行ったことがない)という状態を、I(わたし)がhadしていたと考えれば良い。neverはnotよりも強い否定を表す語句だ。
この例文の時間軸を整理すると、次のようになる。
- わたしが外国に行ったことがないという状態を持っていた時 = わたしがアメリカに行く前
この文章は意味的に、主語の経験を表す。
7-3. 継続を表す過去完了形
過去完了形を使うことで、主語の動作の継続を表すことができる。
- We had known each other for five years when we got married. (私たちは知り合って5年間になっていた、結婚した時は。)
これまでと同様に解釈する。when we got married(結婚した時)は、known each other for five years(知り合って5年間)という状態を、we(私たち)がhadしていたのだ。
この例文の時間軸を整理すると、次のようになる。
- 私たちが知り合って5年間になっていたという状態を持っていた時 = 結婚した時
この文章は意味的に、動作の継続を表す。
参考: 従来の英文法では、過去完了形の文を過去と大過去に区別する。しかし「大過去形」なる時制がない以上、過去を2種類に分けることは混乱の元だ。これまで見てきたように、過去形と過去完了が混ざる文章であっても、その時制は過去であることに変わりない。
8. 過去進行形の使い方
過去進行形(=過去時制×進行形)について、解説していこう。
過去進行形は、be動詞の過去形に他の動詞の進行形を組み合わせたものとなる。
過去進行形: was/were+ 動詞の進行形
(トイグル)
was/wereは「~だった/~の状態だった」を意味する動詞だ。「XがYの状態だ」を図にすると次のようになる。
進行形は、動詞の動作が行われている最中であることを示す。「ごはんを食べる」であれば、食べ始めから食べ終わりまでの一連のプロセスが「動作の最中」となる。
ここで、was/wereと進行形のイメージを組み合わせてみよう。
このように過去進行形とは、「過去の動作の最中」を表す用法となるのだ。
過去進行形: 過去の動作の最中
(トイグル)
今はまだ腑に落ちないかもしれない。用法を1つずつ見ながら、この基本イメージの理解を深めていこう。
8-1. 過去の動作の最中
過去進行形を使うことで、過去のある地点において、その動作が行われていた最中であったことを表現することができる。
- I was going to the office. (わたしは会社に行く最中でした。)
この例文では、会社に向かって歩を進めている様子がイキイキと描かれている。
8-2. 始まりと終わりのある過去の動作
過去進行形が示す動作は、それ自体に始まりと終わりが意識される。一時的な動作であると言い換えてもよい。
- I was staying at London. (わたしはロンドンに住んでいた。)
この例文では、ロンドンに住んでいた期間の始まりと終わりが強調されている。
8-3. 動作は未完了
過去進行形の基本イメージは、過去の動作の最中である。途中であることはまだ動作が完了していないことを指すため、その時点では未完了と考えられる。
- It was 12 o’clock yesterday. Taro was driving home. (昨日の12時だった。太郎が車で帰宅していた。)
この例文では、昨日の12時に太郎が帰宅している様子が描かれている。少なくともこの時点では、太郎はまだ帰宅途中であり、家に到着していないことがわかる。
やはり、進行形は完了形と対局の考え方である。
- 進行形(-ing) ⇔ 完了形(-ed)
9. 過去完了進行形の使い方
過去完了進行形(=過去時制×完了進行)について、解説していこう。
過去完了進行形は動詞hadに、「進行している動作の最終段階」を意味する完了進行を組み合わせたものとなる。
過去完了進行形: had+動詞の完了進行形
(トイグル)
had・完了形・進行形の3つが組み合わさった用法のため、その要素を1つずつ見ていこう。
hadは「持っていた」を意味する動詞だ。「XがYを持っていた」を図にすると、次のようになる。
完了形は、動詞のプロセスの最終段階を意味する。「ごはんを食べる」であれば、食べ終わった状態が動作の最終段階だ。
進行形は、動詞の動作が行われている最中であることを示す。「ごはんを食べる」であれば、食べ始めから食べ終わりまでの一連のプロセスが「動作の最中」になる。
完了と進行を組み合わせると、「進行している動作の最終段階」となる。
ここで、動詞hadと完了進行形のイメージを組み合わせてみよう。
このように過去完了形の基本イメージは、主語が「進行している動作の最終段階をhadしている」となる。
過去完了進行形: 進行していた動作の最終段階をhadしている
(トイグル)
先に説明した基本イメージを使い、過去完了進行形の様々な用法を意味の面から見ていこう。基本イメージさえ知っていれば、すべてを直感的に理解することができる。
9-1. 過去に進行中の動作の最終段階
過去完了進行形を使うことで、過去のある期間に進行中だった動作の最終段階を示すことができる。動作がイキイキと行われていた瞬間と、それが完了した時点の両方を強調することになる。
- I had been working for three hours when I found it was 10 o’clock. (わたしは3時間働いていた、10時になっていると気がついた時。)
過去完了進行形が使われている部分は、I had been working for three hoursとなる。
まずは時間軸を整理しよう。ここでは、次のように解釈するとよい。
- わたしは3時間働いていたという状態を持っていた時 = 10時になっていると気がついた時
ここで、過去完了進行形が使われることにより、働いていた3時間という時間と、3時間経過したその時点の両方を強調することができるのだ。
9-2. 過去に進行中だった動作をその時点で振り返る
過去完了進行形には、完了の意味が含まれる。
しかし、それは必ずしもその動作が完了しているとは限らない。場合によっては、継続中ではあったものの、いったん今の時点で1つの区切りをつけ、そのプロセス全体を捉える場合もある。
先の例文をもう一度使ってみよう。
- I had been working for three hours when I found it was 10 o’clock. (わたしは3時間働いていた、10時になっていると気がついた時。)
ここでは、3時間働きその動作が完了したのか、それとも引き続き仕事を続けたのかは定かではない。
どちらにせよ、過去完了進行形には「過去において進行中の動作が、実際あるいは話者の感覚の中で最終段階を迎えた」ことを理解すれば、そのイメージが理解できるはずである。
10. 時制の一致
時制の一致とは、文章内に複数の動詞が使われる場合、結果としてそれらの動詞が同じ時制になることを言う。
時制の一致: 文中の複数の動詞の時制が、結果として同じになること。
(トイグル)
時制の一致は文の意味を考えた結果であって、原因ではない。「時制の一致が起こる」から動詞の時制を変化させるのではなく、意味的に最も適切な時制を選んだ結果、その時制が一致するのだ。
例文を見ながら理解を深めていこう。
10-1. 現在時制での時制の一致
まずは、シンプルな例をご覧いただきたい。
- I think you love him. (私は、あなたが彼を愛していると思う。)
文の意味は、I(私)はyouがlove him(彼を愛している)とthink(思う)、である。思っているのは今であり、愛しているのも今だ。どちらも同じ時間軸なので、結果的に時制の一致が起こっている。
これが、意味的に「私が、あなたが彼を(過去に)愛していたと思う」ならば、次のようになる。
- I think you loved him. (私が、あなたが彼を愛していたと思う。)
thinkの時と、lovedの時が異なるため、結果的に時制の一致は起こっていない。
10-2. 過去時制での時制の一致
時制の一致は過去時制でも往々にして発生する。例を見てみよう。
- I thought you loved him. (私は、あなたが彼を愛していたと思った。)
ここでyou(あなた)がhim(彼)を愛していたのは、いつの時点だか考えよう。thoughtと言っている以上、「思った」のは過去の地点であり、愛していたと判断したのもその過去の地点である。
したがって、ここではlove(愛している)の過去形であるlovedが使われ、結果的に時制が一致した。
別の例を見てみよう。
- I knew they had got divorced. (私は、彼らが離婚したことを知っていた。)
they(彼ら)がhad got divorced(離婚した状態をhadしていた)ことを、knewしていたと考えよう。その事実を知った時点では、彼らは既に離婚していたのだ。
10-3. 未来に関する出来事の時制の一致
英語に未来時制は存在しないため、未来の出来事は助動詞を使い、その起こりうる可能性を推測する。
したがって、未来に関する出来事は現在あるいは過去時制を使って述べることになる。ここでは説明のわかりやすさを重視し、項目を分けて解説していこう。
まずは例をご覧いただきたい。
- I think you will miss your flight. (私はあなたが飛行機に乗り遅れると思う。)
willは未来に起こる出来事を表す助動詞だが、この語句自体は現在時制である。したがって、thinkとwillはどちらも現在時制という点で一致している。
別の例も見てみよう。
- I thought you would miss your flight. (私はあなたが飛行機に乗り遅れるだろうと思った。)
「私は思った」時点では乗り遅れるかどうかは未来の出来事だったため、willの過去形であるwouldが使われている。結果的に、thoughtとwouldで時制の一致が起こっている。
11. まとめ
当エントリーでは、英語の時制の全8用法を検証してきた。これまで難解と思われてきた時制だが、イメージ図で考えると簡単に理解できるのではないだろうか。
英語の学習中に時制で困ったときは、ぜひまたトイグルに戻ってきてほしい。
Good luck!
[…] 尚、時制に関しては「[図多数]英語の時制は超シンプル! 感覚でわかる4つの用法」で詳細をまとめている。より深く知りたい方は、こちらもご覧頂きたい。 […]
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>>
I will go to the gym when I have finished my homework. (わたしはジムに行きます、宿題が終わったら。)<<
完了形はこういう条件節にも成りえるんですか?恥ずかしいけど知らなかったです。普通の動詞原型の条件節を使う場合とどんなに大きな差がありますか? すみません。説明が私には理解しにくいです。
現在完了形は条件説には使えないのではないでしょうか?
>ななお様
このような表現は十分可能です。
比較してみましょう。
・I will go to the gym when I have finished my homework. (私はジムに行きます、私が宿題が完了した状態を持つ時)
・I will go to the gym when I finish my homework. (私はジムに行きます、私が宿題を完了した時)
1つ目のhave finishedのほうでは、「宿題というプロセスの完了時点」が強く意識されています。
一方、2つ目のfinishでは、「宿題が終わる」という状況を淡々と述べている感じです。
この辺り、文脈や対象の語句によってニュアンスの変化もあるので、あくまで目安として捉えてください。
>ななお様
意味的におかしくなければ、使用することはできます。
本件に限らずすべての英文法に言えることですが、文法とは決められたルールの元で運用されるのではありません。
条件節には◯◯が使えて、××は使えない、という規則が定まっているわけではないのです。
文法には意味があります。現在完了形であればhave+動詞の過去分詞形で、「〜が完了した状態を今持っている」が基本イメージです。
これが、文章の意味に合致するのであれば、現在完了形を用いて問題ありません。
多くの文法参考書は、こういった文法成立の過程を解説せず、結果のみを箇条書きで伝えます。
なので、条件節には◯◯が…という論調が多いですが、トイグル式で文法の使い方を学ぶことで、ルールの暗記から解放された英文法を学習いただけると幸いです。