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英語の単純過去形とは、過去のある時点における動作や状態をあらわす際に使われるものである。
たとえば、We discussed the topic.(私たちはその話題を議論した)では、discussedに単純過去形が使われている。
英語を勉強しているあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?
- 単純過去形とは何…?
- 単純過去形の使い方がわからない…
- 複雑な文に単純過去形が使われる際の用法を知りたい…
単純過去形は英語でもっとも使用される時制の1つである。しかし、市販の英文法書では、あまり詳しく説明されてこなかった。疑問を持っている方も多いと思う。
そこでトイグルでは、英語の単純過去形について詳細を解説していく。この記事を読めば単純過去形の使い方がわかる。学習の参考になるはずだ。
1. 単純過去形の中心的な意味は「距離感」にある
単純過去形の中心的な意味をひとことで言えば、「距離感」である。単純過去形には複数の使い方があるが、そのほとんどは「距離感」の考えで解釈できる。
距離感のもっとも代表的な例が「時間的な距離感」である。例を見てみよう。
- (1) Mike worked for Google in the past. (マイクは過去にグーグルで働いていた)
マイクがかつてグーグル社で働いていたという事実を述べている。マイクが務めていたのは発話がされた時点よりも以前である。単純過去形は現在と過去の時間的な距離感を示している。
単純過去形は「心理的な距離感」をあらわす際も使われる。例を見てみよう。
- (2) I wish I were a morning person. (私が朝型の人だったらなぁ)
話し手は朝型ではないのだが、そうだったよかったのにと、仮定の話を述べている。こうした用法は仮定法と呼ばれるが、その仕組みは、単純過去形の示す心理的な距離感である。
また、単純過去形は「対人的な距離感」をもあらわす。例を見てみよう。
- (3) I wanted to ask some questions. (お尋ねしたいことがあります)
話し手は聞き手に対して聞きたいことがあると述べている。文中で単純過去形が使われているのは、相手との対人的な距離感を示すことで、丁寧さをあらわせられるからである。
単純過去形の意味をまとめると次のようになる。
時間的な距離感 | 過去の動作や状態 |
心理的な距離感 | 現実と異なる仮定の話 |
対人的な距離感 | 丁寧さをあらわす |
「単純過去形」という名称こそあるものの、時間的な過去だけでない、様々な意味の広がりを持った使われ方があることを覚えておきたい。
2. 単純過去形の基本的な使い方
単純過去形の基本的な使い方は、過去の動作、状態、習慣、および現在に関する丁寧な表現である。1つずつ見ていこう。
2-1. 過去の動作
- (4) I met Susan yesterday. (私はきのうスーザンに会った)
- (5) The accident happened at 5:40 A.M. (その事故は5時40分に起こった)
単純過去形は過去のある時点に起きた動作をあらわす。(4)は「会った」という動作があったことを伝えている。
(5)の「起こった」のように、単純過去形は出来事の発生をあらわすこともある。
2-2. 過去の状態
- (6) I was very sleepy all day. (私は一日中、とても眠かった)
単純過去形は過去のある時点の状態をあらわす。
(6)は話し手が「眠かった」という状態にあったことを伝えている。
2-3. 過去の習慣
- (7) I got up at nine every morning. (私は毎朝9時に起きた)
単純過去形は過去の習慣をあらわすことがある。
(7)は話し手が「(毎朝9時に)起きる(習慣があった)」ことを伝えている。
2-4. 丁寧な表現
- (8) I wondered if you had any idea. (何かご意見をお持ちであればと思うのですが)
- (9) Did you want to talk about something? (何かお話したいことはおありですか)
単純過去形は現在に関することを丁寧に伝える際にも使われる。
(8)はwonder(…かしらと思う)が単純過去形で使われている。この文は「…と思うのですが」のように、話し手がいま考えを持っていることを伝える文である。「…と思っていた」のような時間的な過去とは解釈しない。
(9)のwant(…したい)も同様である。この場合は、Did you want…?(…したいですか)と疑問文になっているが、単純過去形の示すのは現在に関することである。
3. 単純過去形の応用的な使い方
単純過去形には、仮定法過去、時制の一致、現在完了形の代用、過去完了形の代用、および未来から見た過去といった用法もある。1つずつ見ていこう。
3-1. 仮定法過去
- (10) If I were you, I would ask him. (もし私があなたなら、彼に尋ねるでしょう)
- (11) I wish I had the recipe. (そのレシピを持っていたならと思う)
仮定法過去は「もし〜なら、…なのに」の意味で、現在の事実に反する仮定をあらわす用法である。仮定法過去は単純過去形を用いることで、現実と仮定世界の距離感をあらわす。
(10)は「もしわたしがあなたなら…」と述べている文である。「わたし」は「あなた」ではないが、仮にそうだとしたらという、仮定の状況を考えている。動詞がwere(be動詞の単純過去形)になっている点に注意しよう。
(11)は「私がそのレシピを持っていたならば…」と述べている文である。実際には話し手はレシピを持っていないが、もしそうであればと仮定の状況を考えている。動詞がhad(haveの単純過去形)になっている点に注意しよう。
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3-2. 時制の一致
- (12) I thought you were in London. (あなたがロンドンにいると思っていました)
時制の一致とは、従属節の動詞の時制を、主節の動詞の時制に一致させることを指す。
(12)において、従属節の動詞に単純過去形wereが使われているのは、主節の動詞thought(thinkの過去形)に時制を一致させるためである。
- I think you are in London.
- → I thought you were in London.
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3-3. 現在完了形の代用
- (13) My grandmother once saw Queen Victoria. (祖母は昔、ビクトリア女王に会ったことがあります)
- (14) Did you ever hear Maria sing? (マリア=カラカスの歌を聞いたことがありますか)
(実例英文法)
いくつかの限られた文脈では、現在完了形の意味内容を、単純過去形で述べることがある。
(13)と(14)はともに、過去のある期間内のいち時点に起きた動作を示している。現在完了形の「経験」の用法に近い。
3-4. 過去完了形の代用
- (15) I (had) phoned the store before I arrived. (到着する前、そのお店に電話した)
本来であれば過去完了形が用いられる場面において、文意から前後関係が明白な場合、単純過去形で代用されることがある。
(15)では、「私がお店に電話をした」のは、「私が到着した」よりも前に起きた出来事である。そのため、過去完了形でhad phoned(電話をした)と言ってもよい。
ただ、接続詞before(…の前に)があることから、そうした前後関係が明らかなので、phoned(電話をした)と単純過去形で代用しているのである。
3-5. 未来からみた過去
- (16) In the year A.D. 2201, the interplanetary transit vehicle Zeno VII made a routine journey to the moon with thirty people on board. (西暦2201年, 惑星間輸送船ジーノ7号は, 乗客30人を乗せて月への定期飛行を行った)
(Meaning and the English Verb)
未来のある時点から見て、過去と思われる出来事に関しては、単純過去形を使う。
(16)は西暦2201年より後に述べられていることだが、その時点から見て、西暦2201年は過去である。そこで起こった月への飛行について言うため、単純過去形が使われる。
参考: 単純過去形のつくり方
単純過去形はbe動詞と一般動詞で形が異なる。
一般動詞はさらに規則変化動詞と不規則変化動詞にわかれる。
be動詞の単純過去形
I | was |
You | were |
He | was |
She | was |
It | was |
We | were |
You | were |
They | were |
be動詞の単純過去形では、I(1人称×単数)、He(3人称×単数)、She(3人称×単数)、It(3人称×単数)でwasを使う。また、それ以外の場合はwereを使う。
規則変化動詞の単純過去形
I | worked |
You | worked |
He | worked |
She | worked |
It | worked |
We | worked |
You | worked |
They | worked |
規則変化動詞は、その名称の示すとおり、規則的な変化を伴うものである。規則変化動詞では、主語の人称や数にかかわらず、単純過去形は動詞の語尾の-edをつける。
不規則変化動詞の単純過去形
不規則変化動詞とは、その名称の示すとおり、動詞によって不規則な変化を伴うものである。
たとえば、break(壊す)の単純過去形はbrokeとなる。
まとめ: 単純過去形を使いこなす
この記事では、英語の単純過去形について詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- 単純過去形は距離感をあらわす
- 時間的な距離感では過去の出来事を述べる
- 心理的な距離感では仮定の話を述べる
- 対人的な距離感では丁寧さをあらわす
- 時制の一致など文法的な要因でも使われる
単純過去形はよく使われる時制の1つである。正しく使えることは、英作文や英会話など、英語を産出する活動でも役立つ。
単純過去形で迷うことがあれば、またこの記事に戻ってきてほしい。きった、あなたの求める答えが見つかるはずだ。
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
Good luck!