三人称単数現在のsとは、英語の文章で主語が三人称で単数、かつ時制が現在形の時、動詞の語尾に-s/-esをつける文法的変化のことを指す。略して、三単現のsと呼ばれることも多い。
三単現のsは英文法の基本項目であるものの、実はあいまいな理解のまま学習を進めていることがよくある。
そこでトイグルでは、Q&A形式で三単現のsの使い方を説明していこう。目次を参照し、知りたい情報をご覧いただけると幸いだ。
*目次
- Q1. 三単現のsとは何か?
- Q2. 三単現のsの活用表は?
- Q3. 三単現のsで意味は変わる?
- Q4. 三単現のsはいつ使うの?
- Q5. 三単現のsはbe動詞に使われる?
- Q6. 複数形で三単現のsはどうなるの?
- Q7. 過去形で三単現のsはどうなるの?
- Q8. 助動詞で三単現のsはどうなるの?
- Q9. 疑問文で三単現のsはどうなるの?
- Q10. 否定文で三単現のsはどうなるの?
- Q11. 現在完了形haveで三単現のsはどうなるの?
- Q12. 三単現のsの発音は?
- Q13. 三単現のsはなぜ使うの?
- *まとめ
Q1. 三単現のsとは何か?
「三単現のs」は「三人称単数現在のs」とも呼ばれる、英文法の用法の1つだ。三人称単数の名詞で時制が現在の時、動詞の語尾にsをつける活用を指す…と書いてもわかりづらいだろう。
三単現のsは「三人称」、「単数」、「現在」、「s」という4つのパーツから成り立っている。1つずつ理解していこう。
1. 三人称とは主語の種類のこと
三人称とは、主語の種類のことを指す。英語で主語の種類は「人称」と呼ばれ、次の3つがある。
- 一人称: I(私)とWe(私たち)
- 二人称: You(あなた)とYou(あなたたち)
- 三人称: 一人称・二人称以外のすべて
一人称は自分自身、二人称は相手のことを指す。そのため、英語のほとんどの主語は三人称ということになる。
2. 単数とは主語の数が1つだけのこと
英語は数に厳格な言語なため、主語が1つ(1人)か2つ以上(2人以上)かで、異なる文法を使わなくてはならない。
単数とは、主語の数が1つ(1人)だけのことを指す。
例を見てみよう。
- An apple is…(リンゴは…)
- Water is…(水は…)
apple(リンゴ)は数えられる名詞であり、「1つ」を表すanが使われているため、「1つのリンゴ」を意味する。water(水)は数えられない名詞だが、英語では数えられないモノは単数形と考える。
そのため、この2つの文章はどちらも主語が単数形であることがわかる。
3. 現在とは時間軸が今現在であること
次は動詞に関連する項目となる。
英語では、今日、昨日、来週の火曜日など、文章の表す時間軸を動詞を使って表現する。いわゆる時制を呼ばれる文法である。
英語の時制は現在と過去の2つのしか存在しない。三単現のsにおける現在とは、現在形のことを指す。
4. sとは動詞の語尾にsをつけること
英語の文章において、主語が三人称かつ単数形で、時間軸が現在の場合、その動詞の語尾にsという文字を付け足す。
これが「三人称単数現在のs」、あるいは「三単現のs」と呼ばれる文法である。
例を見てみよう。
- John works at an IT company. (ジョンはIT企業で働いている)
この文章を分析してみよう。
- 三人称: 主語はJohn(ジョン)であり、これは三人称
- 単数: 主語はJohn(ジョン)1人であり、これは単数形
- 現在: 動詞はwork(働く)であり、ここでは現在形で使われている
- ⇒三単現が成立しているので、動詞にsをつける
Q2. 三単現のsの活用表は?
三単現の場合、基本的には動詞の語尾にsがつく。
- John works at an IT company. (ジョンはIT企業で働いている)
しかし、動詞の形によっては、sの代わりに-esや、語尾のyをiに変えてesをつけることがある。
- Ken teaches English. (ケンは英語を教えている)
- Kana studies English. (カナは英語を勉強している)
活用の一覧は次のとおりだ。
動詞の語尾 | 三単現のs | 例 |
下記以外すべて | -s | know→knows |
-s | -es | miss→misses |
-x | -es | mix→mixes |
-ch | -es | teach→teaches |
-sh | -es | finish→finishes |
子音+o | -es | go→goes |
子音+y | yをiに変えて-es | study→studies |
Q3. 三単現のsで意味は変わる?
三単現のsをつけても、文章の意味は変わらない。
三単現のsは文法の形に変化を与えるだけで、意味には何の影響も及ぼさない。
Q4. 三単現のsはいつ使うの?
三単現のsは、主語が三人称かつ単数形で、時制が現在の時のみに使われる文法である。
三単現のsの使用は、次のフローチャートを確認しよう。
Q5. 三単現のsはbe動詞に使われる?
be動詞に三単現のsの概念は適用されない。
なぜなら、be動詞は主語の人称、主語の数(単数vs複数)、及び時制によって、不規則にその形を変えるからだ。
参考までに、be動詞の変化一覧を紹介しよう。
現在形 | 過去形 | ||
1人称 | 単数 | am | was |
複数 | are | were | |
2人称 | 単数 | are | were |
複数 | are | were | |
3人称 | 単数 | is | was |
複数 | are | were |
Q6. 複数形で三単現のsはどうなるの?
主語が複数形の場合、三単現のsは使われない。三単現の「単」は「単数」を表しており、複数形は三単現に該当しない。
次の2つの文章を比べてみよう。
- John works at an IT company. (ジョンはIT企業で働いている)
- Ken and I work at an IT company. (ケンと私ははIT企業で働いている)
1つ目の文章は三人称単数の主語に現在形の時制なので、worksとなっている。
一方、2つ目の文章は主語が複数形のため、workのまま使われている。複数形に三単現は適用されない。
Q7. 過去形で三単現のsはどうなるの?
時制が過去の場合、三単現のsは使われない。三単現の「現」は「現在」を表しており、過去の場合は三単現に該当しない。
次の2つの文章を比べてみよう。
- John works at an IT company. (ジョンはIT企業で働いている)
- John worked at an IT company. (ジョンはIT企業で働くだろう)
1つ目の文章は三人称単数の主語に現在形の時制なので、worksとなっている。
一方、2つ目の文章は時制が過去のため、workに-edがついてworkedとなっている。過去時制に三単現は適用されない。
Q8. 助動詞で三単現のsはどうなるの?
動詞の前にwillやcanなどの助動詞が使われる場合、三人称単数現在であっても、sをつける必要はない。これは、助動詞の後ろに置かれる動詞は原形になるからである。
次の2つの文章を比べてみよう。
- John works at an IT company. (ジョンはIT企業で働いている)
- John will work at an IT company. (ジョンはIT企業で働くだろう)
1つ目の文章は三人称単数の主語に現在形の時制なので、worksとなっている。一方、2つ目の文章は助動詞willが使われているため、動詞にsがつかずworkのままである。
Q9. 疑問文で三単現のsはどうなるの?
助動詞を伴う疑問文では、三単現のsは使われない。助動詞の直後の動詞は原形になるため、三単現のsをつける必要はない。
次の2つの文章を比べてみよう。
- John works at an IT company. (ジョンはIT企業で働いている)
- Does John work at an IT company? (ジョンはIT企業で働いているんですか?)
1つ目の文章は三人称単数の主語に現在形の時制なので、worksとなっている。一方、2つ目の疑問文は助動詞doesが使われているため、動詞にsがつかずworkのままである。
ただし、助動詞を使わない疑問文では、疑問詞(whoなど)を三人称単数とみなすため、三単現のsを使用することがある。
- Who wants another beer? (追加のビールがほしいのは誰?)
Q10. 否定文で三単現のsはどうなるの?
否定文では、三単現のsは使われない。
なぜなら、否定文はdo/does/didあるいはwillやcanなどの助動詞を使用するからだ。助動詞の直後の動詞は原形になるため、三単現のsをつける必要がない。
次の2つの文章を比べてみよう。
- John works at an IT company. (ジョンはIT企業で働いている)
- John does not work at an IT company? (ジョンはIT企業で働いているんですか?)
1つ目の文章は三人称単数の主語に現在形の時制なので、worksとなっている。一方、2つ目の否定文は助動詞doesが使われているため、動詞にsがつかずworkのままである。
Q11. 現在完了形haveで三単現のsはどうなるの?
現在完了形では、三単現のsは使用される。
現在完了形の時制は「現在」のため、主語が三人称・単数であれば動詞にsがつくことになる。
次の2つの文章を比べてみよう。
- I have worked at an IT company. (私はIT企業で働いていた)
- John has worked at an IT company. (ジョンはIT企業で働いていた)
1つ目の文章は主語がI(私)であり、これは三人称ではない。したがって、動詞haveがそのままの形で使われている。
一方、2つ目の文章は主語がJohn(ジョン)であり、これは三人称の単数形だ。したがって、動詞haveがhasに変化して使われている。
尚、haveにsがつくときは*havesとはならず、hasという形になる。
※過去完了形に三単現のsはつかない。なぜなら過去時制だからである。 |
Q12. 三単現のsの発音は?
三単現のsは、その動詞によって[s]、[z]、[iz]の三パターンの読み方がある。
それぞれ、例を使いながら音を確認しよう。
- [s]: talks, jumps, laughs
- [z]: runs, gives, knows
- [iz]: studies, finishes, rises
Q13. 三単現のsはなぜ使うの?
三単現のsに特定の意味がないにもかかわらず、これを使うのを不思議に思う方も多いだろう。端的に言えば、三単現のsは古い英語の特徴が現代まで残っているため、習慣的に使われていると考えられる。
まず、数百年前の英語では、三単現以外の場合でも、動詞の語尾に-sのような文字をつけることが普通だった。英語と似た言語であるスペイン語は、今でも主語の人称・性別・時制などによって、動詞を様々な形に活用させて使っている。
言葉は時代と共に変化していくものである。平安時代の日本語と今の日本語が異なるように、英語も時を経ながら徐々に文法・単語の使い方を変えていった。その中で、英文法はシンプルになっていったものの、なぜか三単現のsだけが現代に残ったのである。
2016年現在、アメリカやイギリスなどの英語を母国語とする国では、三単現のsは厳格に使われる。しかし、マレーシアやシンガポールなど、大部分の人が英語を第二言語として使う国では、日常会話において三単現のsが省略されることもある。
英語が世界語となっている今、たとえ教科書的には間違っていたとしても、三単現のsを使わないこともあり得るのだ。これから数百年語、ひょっとしたら三単現のsが消滅する可能性も、ゼロではないだろう。
*まとめ
当エントリーでは、英語の三人称単数のsの使い方を、様々な角度から分析してきた。
動詞の語尾にsをつけないことで話が通じなくなる恐れはないものの、大人で知的な英語を使うには、必ずマスターしておきたい文法項目だ。
*当記事を読んでもっと知りたいと思った方は、次のエントリーも参考にしていただきたい。
- 英文法の解説一覧はこちら⇒英文法まとめ|暗記に頼らず感覚で理解できる英語文法のすべて
- TOEIC勉強法はこちら⇒現役TOEIC講師が教える成果が120%出る勉強法
Good luck!
「疑問文では、三単現のsは使われない」と、ありますが例えば Who plays tennis?などの場合は疑問文でも主語のWhoを三単現としてsを付けるのですよね?
>RKさま
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、助動詞を使わない疑問文であれば、疑問詞を三人称単数とみなし、動詞の語尾に-s/-esをつけることがあります。
該当箇所、訂正させていただきました。