英語の絶対複数とは?常に複数形で使われる名詞の使い方を説明

絶対複数

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英語の絶対複数名詞とは、名詞の中でも常に複数形で使われるものを言う。

たとえば、jeans(ジーンズ)やglasses(メガネ)は絶対複数名詞である。

英語を勉強しているあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?

  • 絶対複数とはどんな名詞を指す…?
  • 絶対複数の使い方を知りたい…
  • 絶対複数は単数・複数のどちらで一致する…?

そこでトイグルでは、絶対複数について詳細を解説していく。学習の参考になるはずだ。

1. 絶対複数は常に複数形で使われる名詞

はじめに、絶対複数の典型例として、次の英文を見てみよう。

  • (1) Use scissors to cut the cord. (電源コードを切るためにはさみを使いなさい)

scissors(はさみ)は、常に複数形の語尾-sを伴って使う。a scissorのように単数で用いられることはない。このように、常に複数形で使われるものが絶対複数名詞である。

scissors(はさみ)が絶対複数で使われる理由は、左右の2つの刃が組み合わさってできているからである。はさみは、それ自体は1つのものだが、英語の世界では「2つ」の組み合わせとして認識される。そのため、常に複数形になるのである。

絶対複数の例

「1つのはさみ」や「2つのはさみ」のように、数えたい時は、a pair of(1つの〜)やtwo pairs of(2つの〜)のような単位を使えばよい。

  • (2) I bought a pair of scissors. (私は1組のはさみを買った)
  • (3) I bought two pairs of scissors. (私は2組のはさみを買った

「このはさみ」は、these scissorsと表現する。対象は1つであっても、文法上は複数なので、theseを使う(this scissorsは間違い)。

  • (4) These scissors have extra-long blades. (このはさみはとても長い刃があります)

複数扱いの名詞なので、動詞も複数で一致する。

  • (5) Scissors are used to cut off branches. (はさみは枝を切るのに使われる)

a pair of scissors(1つのはさみ)が主語の場合、動詞はpairに呼応して単数で一致する。

  • (6) A pair of scissors is used to cut off branches. (はさみは枝を切るのに使われる)

scissors(はさみ)を受ける代名詞は、複数形のtheyである。

  • (7) These scissors will never rust. They are also safe for light duty electrical use. (これらのはさみは決して錆びつきません。これらは軽負荷の電気使用にも安全です)

真の絶対複数名詞
絶対複数名詞はtongs(トング)のように複数形しか認められないものと、custom(習慣)とcustoms(税関)のように、特定の意味を表す際に複数形になるものがある。本記事では両者を(広い意味の)絶対複数として区別せず取り扱う。

2. 絶対複数の使い方

英語の絶対複数には様々な種類のものがある。以下、例文と共に見ていこう。

2-1. 対になる2つの部分からなるもの

  • (8) Jeans are popular for both genders. (ジーンズは男女両方に人気です)
  • (9) About 96 Million people wear glasses around the world. (世界で約9,600万人の人々がメガネをかけている)

対になる2つの部分から構成されるものは、常に複数形で使われる。

(8)のjeans(ジーンズ)は左右の2つの部分から成る衣類、(9)のglasses(メガネ)は左右の2つのレンズから成る器具である。

これらは物体としては1つだが、英語の世界では2つの部分が意識されるため、常に複数扱いとなる(『1. 絶対複数は常に複数形で使われる名詞』で紹介したscissors(はさみ)も同様の例である。)

対になる2つの部分からなる絶対複数の名詞は、他に以下のようなものがある。

overalls (オーバーオール)slacks (スラックス)
trousers (ズボン)trunks (トランクス)
clippers (植木ばさみ)nippers (くぎ抜き)
pliers (ペンチ)tongs (トング)
binoculars (双眼鏡)goggles (ゴーグル)

glassとglasses
glass(不可算用法)は「ガラス」、a glass(可算用法の単数形)は「コップ」、glasses(可算用法の複数形)は「メガネ」の意味である。

2-2. 様々なものの集合体

  • (10) Be careful of your belongings. (所持品に注意してください)

様々なものが集まってできた集合体は、常に複数形で使われるものがある。

例文のbelongings(所持品)は、かばんや財布といった、持ち運びのできる持ち物を指す。これら複数の集合体なので、常に複数の-sを伴って使われる。

集合体をあらわす絶対複数の名詞は、他に以下のようなものがある。

furnishings (家具)goods (商品)
groceries (日用雑貨)leftovers (食べ残し)
proceedings (一連の出来事)remains (残り物)
refreshments (軽い飲食物)valuables (貴重品)

2-3. 固有名詞

  • (11) The Philippines is a tropical country. (フィリピンは熱帯の国です)

固有名詞の中には、常に複数形で使われるものがある。

例文のthe Philippines(フィリピン)は、複数の島々で構成されるため、常に複数形で使われる。ただ、1つの国として見られることから、単数動詞と一致する。

絶対複数の固有名詞は、他に以下のようなものがある。

Brussels (ブリュッセル)Olympics (オリンピック)
the Alps (アルプス山脈)the Netherlands (オランダ)
the United Nations (国連)the United States (アメリカ合衆国)

絶対複数の固有名詞を複数動詞で受ける場合
上記のように絶対複数の固有名詞は単数動詞と一致するのが原則だが、the United States of America areのように、複数動詞で受けることもある。

注: Brussels(ブリュッセル)はベルギーの首都

2-4. 病気の名称

  • (12) Measles can be a serious infection. (はしかは重篤な感染症に成ることがあります)

病気をあらわす名詞の中には、常に複数形で使われるものがある。

この類の名詞は、複数形の語尾を取るものの、不可算名詞として使われる点に注意したい。

病気をあらわす絶対複数の名詞は、他に以下のようなものがある。

diabetes (糖尿病)mumps (おたふく風邪)
rabies (狂犬病)rickets (くる病)

2-5. 学問の名称

  • (13) Politics is a tool by which we serve the public. (政治学は私たちが社会に使えるための道具です)
  • (14) His politics are more liberal than right of centre. (彼の政治観は中道右派よりもリベラルです)

学問をあらわす名詞の中には、常に複数形で使われるものがある。

(13)のpolitics(政治学)のように、学問の名称をあらわす場合、単数扱いで使用される。

一部の学問の名称をあらわす名詞は、(14)のpolitics(政治観)のように、一般的な意味で使われることがある。その場合、通例、複数動詞と一致する。

学問の名称をあらわす絶対複数の名詞は、他に以下のようなものがある。

economics (経済学)ethics (倫理学)
linguistics (言語学)mathematics (数学)
physics (物理学)statistics (統計学)

2-6. 競技やゲーム

  • (15) You can play billiards at the hotel. (ホテルでビリヤードをできますよ)

競技やゲームをあらわす名詞の中には、常に複数形で使われるものがある。

この類の名詞は、複数形の語尾を取るものの、不可算名詞として使われる点に注意したい。

競技やゲームをあらわす絶対複数の名詞は、他に以下のようなものがある。

bowls (ボウルズ)cards (トランプ遊び)
darts (ダーツ)dominoes (ドミノ)

注: Collins Cobuild Advanced Learner’s Dictionary (9th)では、これらの語に不可算名詞のラベルがつけられている。

2-7. 単複両扱いの複数名詞

  • (16) The corporate headquarters is [are] in the United States. (本社はアメリカにあります)

常に複数形を取る名詞の中には、単複両扱いのものがある。

(16)のheadquartersは単数動詞、複数動詞のいずれにも一致する。

単複両扱いの絶対複数名詞は、他に以下のようなものがある。

barracks (宿舎)crossroads (交差点)
means (手段)premises (敷地)

2-8. 語尾が-s以外で終わる複数名詞

  • (17) Some people prefer to work long hours. (長時間働きたい人がいる)

いくつかの絶対複数名詞は、語尾が-s以外で終わるものがある。

この類の名詞は、他に以下のようなものがある。

cattle (牛)livestock (家畜)
offspring (子供たち)personnel (職員)

3. まとめ

この記事では、英語の絶対複数名詞について詳細を解説してきた。

内容をまとめると次のようになる:

  1. 絶対複数は常に複数形で用いられる名詞
  2. 対になる2つの部分から構成されるものは典型的な絶対複数名詞
  3. 絶対複数名詞は他にも、一部の固有名詞や学問の名称がある
  4. 絶対複数名詞は複数動詞で受けることが多いが、単数で一致することもある
  5. 単複両扱いの絶対複数がある

トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。

Good luck!

2 COMMENTS

https://toiguru.jp/subject-verb-agreement
こちらには the United States of America の後の動詞は単数になるとしています。

ロイヤル英文法も確認しましたが、単数に呼応するとあります。

[参考]the United States と数:
「アメリカ合衆国」は政治的には1つの国なので,正式には単数で受ける。ただし《英》ではときに複数扱いをしている例もある。

田邉竜彦

>蘭様

おっしゃるとおり、the United States of Americaは通例、単数で一致しますね。

the Philippinesと同様と考えられますでしょうか。

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