英語の動名詞とは?使い方のポイントは「名詞句に出現する文」の機能を知ること

動名詞

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英語の動名詞とは、<動詞の-ing形>を含む文を名詞として使う用法である。

例えば、I love swimming.(私は水泳だ大好きだ)であれば、swimming(水泳)が動名詞に該当する。

動名詞は学習中に必ずぶつかる壁の1つである。英語を勉強しているあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?

  • そもそも動名詞とは何…?
  • 動名詞と現在分詞の違いがわからない…?
  • TOEICで動名詞を選ぶ問題が苦手…

そこでトイグルでは、英語の動名詞に関して詳細を解説していきたい。よくある8つの質問はQ&A形式にまとめたため、学習の参考になるはずだ。

1. 動名詞とは文の性質を持った名詞

動名詞は他の名詞と同様、主語や目的語等の位置に使われる。例を見てみよう:

  • Writing is a process of discovery. (書くことは発見のプロセスだ)
  • Playing video games is a stress reliever for me. (ゲームで遊ぶことは私のストレス発散方法である)
  • We really enjoyed talking with you. (あなたと話せて本当に楽しかったです)

例文はそれぞれ、Writing(書くこと)、Playing video games(ゲームで遊ぶこと)、talking with you(あなたと話すこと)が動名詞に該当する。

動名詞の特徴は、名詞でありながら、文の特徴を保持している点にある。先ほどの例をもう一度見てみよう。動名詞の及ぶ範囲が、まるで文のように機能している:

  • [Writing] is a process of discovery.
  • → [△ (主語’) + writing (動詞’)] is a process of discovery.
  • → [主語’+動詞’] + 動詞 + 補語 + 修飾語
  • [Playing video games] is a stress reliever for me.
  • → [△ (主語’) + playing (動詞’) + video games (目的語’)] is a stress reliever for me.
  • → [主語’+動詞’+目的語’] + 動詞 + 補語 + 修飾語
  • We enjoyed [talking with you].
  • → We enjoyed [△ (主語’) + talking (動詞’) + with you (修飾語’)]
  • → 主語 + 動詞 + [主語’+動詞’+修飾語’]

1つ目の例文はWriting(動名詞)が主語、isが述語動詞、それ以下と続く。2つ目の例文はPlaying video games(動名詞)が主語、isが述語動詞、それ以下と続く。3つ目の例文はWeが主語、enjoyedが述語動詞、talking with you(動名詞)が目的語。

要するに、動名詞は内部的には主語や目的語などの構造を持つが、外部的(=文全体)には名詞句に他ならない。上記の例文で動名詞の内部構造を「主語’」や「目的語’」と表記したのはそのためである。

動名詞は名詞
動名詞は文の性質を保持していると述べたが、品詞はあくまで名詞である。動名詞は「名詞句の位置に出現する文」と考えればよい。

注: 動名詞は多くの場合、その主体(=意味上の主語)が省略されて使われる。上記の△は省略された主語をあらわす。詳しくは『3. 動名詞の意味上の主語』と『Q8. 動名詞の主語が示される場合とは?』で述べる。

2. 動名詞の使い方

動名詞は主に、主語、主語補語、動詞の目的語、前置詞の目的語の位置で使われる。それぞれの詳細を見ていこう。

2-1. 主語

  • Skiing is a sport with fun and adventure. (スキーは楽しさと冒険心を伴うスポーツです)
  • Thank you Durk. It was a pleasure meeting you. (デュルクさんありがとう。お会いできたことは大変な喜びでした)

動名詞は文の主語として使える。例文上はSkiing(スキーをすること)が主語。

例文下のように、形式主語Itを使い、動名詞を後ろに置くこともある。例文のItmeeting you(お会いできたこと)を指すと考えればよい。

2-2. 主語補語

  • My main job was selling cars. (私の主な仕事は車を売ることだった)

動名詞は文の主語補語として使える。主語補語はSVCのCに該当する要素のことで、例文ではselling cars(車を売ること)が該当する。

動名詞が主語補語として用いられる場合、進行形と混同しやすい。例文を「私の主な仕事が車を売っていた」と解釈しないようにしよう。

2-3. 動詞の目的語

  • Dr. Canfield just finished writing a book. (キャンフィールド博士は本の執筆をちょうど終えた)

動名詞は動詞の目的語として使える。例文の動詞はfinished(終えた)、目的語はwriting a book(本の執筆)。

2-4. 前置詞の目的語

  • I am interested in learning more about economics. (私は経済学についてより多くを学ぶことに興味を持っている)

動名詞は前置詞の目的語としても使える。例文はlearning more about economics(私は経済学についてより多くを学ぶこと)が前置詞inの目的語。

前置詞はat、on、inなどに代表される語だが、前置詞の直後は通常、名詞か代名詞が使われる(例: John is in Tokyo.)。動名詞は名詞なので、前置詞の目的語になることは、何ら不自然ではない。

否定の動名詞
動名詞を否定にする場合、直前にNotをつければよい(例: Not making money is…)

3. 動名詞の意味上の主語

動名詞の意味上の主語とは、動名詞の動作・状態の主体となる存在を指す。

動名詞は多くの場合、意味上の主語が表現されない。例えば、I like working. (私は働くことが好きだ)は、working(働くこと)の主体は示されていない。

動名詞の意味上の主語について、3つのパターンを見ていこう。

3-1. 主文の主語と一致

  • Emma went to bed without taking a bath. (エマは風呂に入らずに寝た)

動名詞の意味上の主語は、しばしば主文の主語と一致する。例文は状況的に、「風呂に入らなかった」のは主語Emma(エマ)と考えられる。

構造的には以下のように考えるとよい。

  • Emma went to bed without [△ taking a bath].
  • △ = Emma

3-2. 目的語と一致

  • Thank you for visiting my lesson. (私のレッスンにお越しいただきありがとうございます)

動名詞の意味上の主語は、しばしば目的語と一致する。例文は状況的に、「レッスンに来た」のは目的語you(あなた)と考えられる。

構造的には以下のように考えるとよい。

  • Thank you for [△ visiting my lesson].
  • △ = you

3-3. 一般の人々

  • Working too much is a common cause of business failure. (働きすぎることはビジネスが失敗する共通の原因である)

動名詞の意味上の主語は、しばしば一般の人々を指す。例文は状況的に、「働きすぎること」は世の中一般の話と考えられる。

構造的には以下のように考えるとよい。

  • [△ Working too much] is a common cause of business failure.
  • △ = 一般の人々

意味上の主語を学ぶ理由
意味上の主語について論理を知らなくとも、英文をたくさん読めば「フィーリング」である程度理解できるようになる。しかし、フィーリング読みには正確さの限界がある。また、後に見るように動名詞は意味上の主語を示す場合があるので、基礎的な知識を身に着けておくのは有益ではなかろうか。

動名詞Q&A: よくある8つの疑問とその答え

動名詞によくある8つの疑問とその答えを述べていきたい。

Q1. 動名詞と現在分詞の違いは?

動名詞と現在分詞は混同されやすいので整理したい。動詞の-ing形は次の用法で使われる:

-ing形の使い方
  • 進行形: I was walking on the treadmill for 20 minutes. (20分間トレッドミルで歩いた)
  • 形容詞: This article is interesting. (この記事は興味深い)
  • 分詞構文: Waiting at the bus stop, I met Oliver. (バス停で待っている時、オリバーに会った)
  • 動名詞: My hobby is collecting board games. (私の趣味はボードゲームを集めることです)

要するに、現在分詞と動名詞の違いは使い方のみにあると言ってよい。現在分詞は動詞用法では進行形、形容詞用法では形容詞、副詞用法では分詞構文に用いる。動名詞は名詞として用いる。

-ingは「…している」
-ingは様々な用法に使われるが「…している(…すること)」の意味で概ね一致する。用法の区別にこだわりすぎず、文の意味を捉えられるようにしよう。

Q2.「動名詞+名詞」と「現在分詞+名詞」の見分け方は?

複合名詞において、「動名詞+名詞」と「現在分詞+名詞」では意味が異なる。次の例を比較してみよう:

  • a sleeping car (寝台車)
  • a sleeping child (寝ている子供)

a sleeping carsleepingは動名詞で、「寝る」という目的や用途を示している。一方、a sleeping childsleepingは現在分詞(形容詞用法)で、「寝ている」という動作や状態を示している。

  • a sleeping car = a car used for sleeping
  • a sleeping child = a child that is sleeping

ところで、いまsleepingを動名詞や現在分詞などと区分したが、これを見分ける手がかりは語の意味である。車(列車)は寝ることはなく、人を寝させる用途に用いられる。子供は人間なので寝ることができる。

したがって、場合によって意味が曖昧なこともある:

  • a dancing teacher (踊りの先生/動名詞)
  • a dancing teacher (踊っている先生/現在分詞)

(英文法総覧)

構造よりも意味で捉える
英文法の問題集でよく「Xは動名詞だから正解」といった記述があり、なぜ動名詞かと言えば、それは現在分詞より動名詞の意味が自然だから…といった解釈になることがある。結局のところ構造で判断でき余地は限られており、最終的には意味的に自然なものを選ぶほかない。

用語の解説
ここで紹介した現在分詞は「現在分詞の形容詞用法」なので、品詞で言えば形容詞。「-ing(現在分詞)の形を持つ形容詞」と考えればよい。

Q3. 動名詞と「名詞化された動名詞」違いは?

動名詞の中には、動名詞の特徴を失い、完全に名詞化した語がある。例えば、buildingは「建物」の意味を持ち、「名詞化された動名詞」として使われる。

名詞化された動名詞の代表例は以下の通り:

building(s)
(建物)
cutting(s)
(切り抜き)
clipping(s)
(切り取られたもの)
earning(s)
(所得)
painting(s)
(絵画)
meeting(s)
(会議)
saving(s)
(節約)
shaving(s)
(剃ること)
surrounding(s)
(環境)
wedding(s)
(結婚式)

(現代英文法総論)

Q4. 動名詞には不定冠詞a/anがつくのか?

動名詞は動詞の-ing形が名詞化したものなので、通常は不定冠詞a/anをつけずに使う:

  • Swimming is the most challenging part of race day. (水泳はレース日に最もやりがいのあるものだ)

ただ、動名詞の中には名詞としてのニュアンスが強いものがあり、その場合は不定冠詞a/anを使用できる:

  • Soros seems to have a liking for e-commerce companies. (ソロスは電子商取引企業が好きなようである)

不定冠詞は辞書で調べる
動名詞は無数に存在するので、不定冠詞の有無による動名詞リストを作るのは困難である。困った時は都度辞書を見てたしかめよう。

Q5. 動名詞は複数形を持つのか?

動名詞には複数形をもつものと、もたないものがある。例を見てみよう。

  • All students should develop understandings of historical perspectives. (すべての学生は歴史的観点の理解を発達させるべきである)

understanding(理解)は名詞としてのニュアンスが強い動名詞なので、複数形をとれる。一方、動詞としてのニュアンスが強い動名詞は複数形をとらない。

Q6. 動名詞を修飾するのは形容詞か副詞か?

動名詞は動詞の-ing形が名詞化したものなので、通常は副詞が修飾する:

  • Speaking fluently is important. (流暢に話すことは重要だ)

ただ、動名詞の中には名詞としてのニュアンスが強いものがあり、その場合は形容詞で修飾する:

  • I understand the constant changing of uniforms. (ユニフォームの絶え間ない変更は理解している)

Q7. 動名詞はいつの出来事を表すのか?

動名詞のあらわす「時」は、大きく3つのパターンに分かれる。

*述語動詞の時よりも後

  • Would you mind telling us about your background? (あなたの職歴について我々に話してくれませんか?)

動名詞は述語動詞よりも後に起こる出来事を示すことがある。例文で「話す」のは現在よりも後である。

*述語動詞の時と同じ

  • I really want to thank you for being honest. (正直でいてくれることに本当に感謝したいです)

動名詞は述語動詞と同じ時を示すことがある。例文で「正直でいる」のはいま現在の状態である。

*述語動詞の時よりも前

  • I remember sending her a picture of some pancakes. (彼女にパンケーキの写真を送ったことを覚えている)

動名詞は述語動詞よりも前に起こった出来事をあらわすことがある。例文で「写真を送った」のは現在より前である。

動名詞の時は意味で見分ける
述語動詞よりも以前に起きた出来事を強調する場合、having sentのような完了形の動名詞が使われることがある。それ以外を構造で見分けるのは困難なので、動名詞の示す「時」は意味の面から捉えられるようにしたい。

Q8. 動名詞の主語が示される場合とは?

3. 動名詞の意味上の主語』で見たように、動名詞の主語は表現されないことが多い。

一方、動名詞の主語が主節の要素と異なる場合、主語は義務的に表示される:

  • I remember the room being very small. (とても小さい部屋を覚えている)

次の例文の違いに注意:

  • He hates my screaming. (彼は私の叫び声がきらいだ)
  • He hates me screaming. (彼は叫んでいる私がきらいだ)

my screamingは所有格の人称代名詞myが使われているので、「私の叫び声」の意味となる。他方、me screamingは目的格の人称代名詞meが使われているので、「叫んでいる私」の意味となる。

*まとめ: 動名詞の苦手意識を払拭しよう

この記事では、英語の動名詞について詳細を解説してきた。

内容をまとめると次のようになる:

  1. 動名詞は文の性質を持った名詞
  2. 動名詞は主語、補語、動詞の目的語、前置詞の目的語などに使われる
  3. 動名詞の意味上の主語はしばしば表示されない
  4. 動名詞と現在分詞は用法が異なる
  5. 動名詞の時制に注意する

動名詞は文法問題集を解くと、必ず出現する文法項目である。筆者はTOEICスクールを運営しているが、動名詞に関して質問を受けることが多い。

ただ、動名詞について理解すれば、-ingの使い方で迷うおそれは格段に減る。動名詞でわからないことがあれば、またこの記事に戻ってきてほしい。きっと、あなたの求める答えが見つかるはずだ。

トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。

Good luck!

2 COMMENTS

大学生

Let me start my apologizing for my absence lately

この場合、apologizingの意味上の主語 my は let の目的語 me と同じなので、意味上の主語 my は省略できるのではないかと思ったのですが、違うのでしょうか?

田邉竜彦

>大学生様

たしかにそうですね…

例文を変更しました。申し訳ありません。

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