インバウンド需要の高まりにともない、外国人観光客が日本を訪れる機会は年々増えています。
「英語ができないと接客なんて無理…」と不安を感じている飲食店のスタッフやオーナーの方も多いでしょう。
しかし、実際の接客では、入店から会計まで「シンプルな定番フレーズ」だけで十分に対応できます。
長い英文を覚える必要はありません。
この記事では、飲食店でよくある接客シーンに沿って、今すぐ使える英語フレーズを紹介します。
会話例を通じて、お客様とのやり取りをイメージしながら練習できます。
インバウンド対応の第一歩として、現場で少しずつ使ってみましょう。
シーン1. 入店時の会話例
入店時の英語のやり取りは決まったパターンが多いため、よく使うフレーズを覚えて、スムーズに迎え入れましょう。
挨拶と人数を確認する時
「いらっしゃいませ」にあたる決まった英語表現はありません。
”Hello.”や”Good evening.” など、時間帯にあわせたシンプルな挨拶で迎え入れましょう。
\会話の例/

Hello! How many people?
(こんにちは。何名様ですか?)

Two, please.
(2人です。)
\音声を聞く/
予約の有無を確認する時は、”Do you have a reservation?” と尋ねましょう。
満席で待ってもらう時
すぐに席へ案内できない時は、順番待ちリストに名前を書いてもらいましょう。
\会話の例/

Please write your name here.
(こちらにお名前をご記入ください。)

Sure. How long is the wait?
(はい。どのくらい待ちますか?)

About 15 minutes. We’ll call your name.
(15分ほどです。順番にお呼びします。)
\音声を聞く/
待ち時間を伝える時は “about+時間” を使ってシンプルに伝えましょう。
席に案内する時
待ってもらったお客さまには、笑顔で ”Thank you for waiting. (お待たせしました)”と伝えて、席へ誘導しましょう。
\会話の例/

I’ll take you to your table.
(席までご案内します。)

Yes, please.
(はい、お願いします。)
\音声を聞く/
席への誘導がない場合は、”Please have a seat wherever you like.(お好きな席へどうぞ)”と伝えましょう。
入店時に“ It’s a non-smoking restaurant. (店内は禁煙です。)” と伝えておくと、トラブルを避けられます。
英語メニューは必要か尋ねる時
写真つきの英語メニューがあると、注文ミスの防止にもつながります。
\会話の例/

Would you like an English menu?
(英語メニューは必要ですか?)

Yes, please. Thank you.
(はい、ありがとうございます。)
\音声を聞く/
シーン2. 注文時の会話例
外国人観光客の中には宗教や食文化、アレルギーなどの理由で食事制限がある人も少なくありません。
代表的な食事制限について基本的な知識を持っておくと、安心して対応できます。
メイン料理の注文をとる時
欧米のレストランでは、お客さまが声をかけずに店員が来るのを待つケースも多いため、注文のタイミングではスタッフから声をかけるとスムーズです。
\会話の例/

Are you ready to order?
(ご注文はお決まりですか?)

Yes. I’ll have the A lunch set.
(はい。Aランチセットをお願いします。)
\音声を聞く/
ご飯とパンを選んでもらう場合は “Would you like rice or bread?”(ご飯とパンどちらにしますか?)と尋ねましょう。
おすすめを聞かれた時
その土地ならではの料理を楽しみにしている観光客も多いため、名物のグルメなどを紹介するのも良いでしょう。
\会話の例/

Do you have any recommendations?
(おすすめはありますか?)

Please try the tempura set.
(天ぷらセットを試してみてください。)
\音声を聞く/
- It’s made with seasonal ingredients. (旬の食材を使っています。)
- We use local vegetables. (地元の野菜を使っています。)
- It’s a local specialty. (このエリアの名物です。)
飲み物の注文をとる時
”What would you like…(~は何になさいますか)”の丁寧な表現を使ってオーダーを取りましょう。
\会話の例/

What would you like to drink?
(お飲み物は何にしますか?)

Two beers, please.
(ビールを2つお願いします。)
\音声を聞く/
水が有料の国もあるため、“Water is free.”(水は無料です)と伝えると親切です。
焼き加減などの希望を聞く時
ステーキなどを提供する場合は、焼き加減を尋ねるフレーズを覚えておくと便利です。
- rare(レア):外側を軽く焼いて、中はほとんど生の状態。
- medium(ミディアム):中までほぼ焼けているがジューシーさが残っている。
- well-done(ウェルダン):全体にしっかり火が通っている。
\会話の例/

How would you like your steak cooked?
(お肉の焼き加減はどうされますか?)

Medium, please.
(ミディアムでお願いします。)
\音声を聞く/
食事制限があるか確認する時
ベジタリアンやヴィーガン、ハラール対応が必要かどうかを確認すると、安心して食事を楽しんでもらえます。
- vegetarian(ベジタリアン):肉や魚を食べない
- vegan(ヴィーガン):動物由来の食材を一切食べない
- halal(ハラール):イスラム教の教えに沿った食事
\会話の例/

Do you have any dietary restrictions?
(食事制限はありますか?)

Yes. I’d like something without pork.
(はい。豚肉を使っていない料理が良いです。)
\音声を聞く/
シーン3. 料理の提供後に役立つフレーズ
すべての料理を提供した後、快適に過ごしてもらうためのフレーズを紹介します。
すべて料理を提供し終えた時
提供した料理に漏れがないかどうかを確認しましょう。

Is everything on the table?
(お食事はすべておそろいですか?)
\音声を聞く/
追加注文の希望を聞く時
食事が終わったタイミングで、追加のドリンクやデザートの希望について尋ねましょう。

Would you like anything else?
(何か追加でいかがですか?)
\音声を聞く/
食事後の皿を片付けても良いか尋ねる時
食事が終わった様子を確認したら、声をかけて片付けてよいか確認しましょう。

May I take your plates?
(お皿を下げてもよろしいですか?)
\音声を聞く/
シーン4. 会計時の会話例
お客さまが気持ちよく店を出られるよう、シンプルな英語フレーズを使って笑顔でお見送りしましょう。
会計をお願いされた時
お客さまの食事が終わって会計を依頼されたら、レジの場所を指して誘導しましょう。
\会話の例/

Can I have the bill, please?
(お会計をお願いします。)

All right. Please pay at the register.
(はい、レジでお願いします。)
\音声を聞く/
チップ文化のある国からの観光客も多いため、“No tip needed. (チップはいりません。)” と伝えると安心してもらえます。
伝票制の店舗では、テーブルに置いた伝票をレジまで持ってきてもらうよう、”Please bring your bill to the register.(レジに伝票を持っていってください)”と案内しましょう。
支払い方法を確認する時
支払い時は、現金かカードかをシンプルに確認しましょう。
\会話の例/

Cash or credit card?
(現金ですか?クレジットカードですか?)

Card, please.
(カードでお願いします。)
\音声を聞く/
会計が終わってお見送りする時
会計後はお礼を伝えて、笑顔で送り出しましょう。
\会話の例/

Here’s your change and receipt.
(お釣りとレシートです。)

Thank you!
(ありがとう!)

Thank you very much. Have a nice day!
(ありがとうございました。よい1日をお過ごしください!)
\音声を聞く/
トラブル対応で役立つ英語フレーズ
英語での接客の際、ちょっとしたトラブルが起きることもあります。
落ち着いて対応できるよう、以下のフレーズをおさえておきましょう。
英語が聞き取れない時
英語がうまく聞き取れない時は、「ゆっくり話してほしい」と伝えましょう。
聞き返すことは失礼にあたりません。

Sorry. Could you speak more slowly?
(すみません。もう少しゆっくり話していただけますか?)
\音声を聞く/
お客さまの希望に沿ったメニューやサービスを提供できるよう、必要があれば聞き返したり、翻訳アプリを活用したりしましょう。
料理の提供が遅くなった時
提供が遅れてしまった時は、謝罪をしたうえで、状況を簡潔に伝えましょう。

I’m sorry for the delay. Your food is coming soon.
(お待たせして申し訳ございません。料理はもうすぐ来ます。)
\音声を聞く/
注文と異なる料理を提供してしまった時
注文内容と違う料理を出してしまった場合は、すぐに対応する姿勢を見せましょう。

I’ll bring the correct one right away.
(正しい料理をすぐにお持ちします。)
\音声を聞く/
カード決済できない時
クレジット決済を受け付けていない場合は、現金払いをお願いしましょう。

I’m sorry. We only accept cash.
(申し訳ありません。現金のみです。)
\音声を聞く/
まとめ:接客はシンプルな英語フレーズで大丈夫!
実際の接客の場面では、長い英文よりも、短くてシンプルに伝わるフレーズが役立ちます。
基本的なフレーズをいくつかおさえて、笑顔で親身になって対応すれば、お客さまをもてなそうとする気持ちは十分に伝わるはずです。
はじめから全てのフレーズを完璧に覚える必要はありません。
この記事をきっかけに、日々の接客で少しずつ英語を使いながら、インバウンド対応に慣れていきましょう。