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英語のbyとは、by the door(ドアのそばに)やby Monday(月曜日までに)などを典型的な用法とする前置詞である。
byは複数の意味を持つ多義語であり、使い方を覚えるのが難しい。英語を勉強しているあなたは、「byの用法がわからない」とお悩みではないだろうか?
そこでトイグルでは、前置詞byについて詳細を解説していく。byと他の前置詞の違いも紹介するため、英語初級者から上級者まで、学習の役に立つはずだ。
1. 前置詞byの中心的な意味は「近接」
多くの学習者にとって、byは受動態(受身形)に使われる単語と覚えられる。例えば、X cleans Y(XがYを掃除する)をY is cleaned by X(YはXによって掃除される)のように、byを受動態を通じて学んだ方は多いだろう。
しかし、実際に英語を読んだり聞いたりすると、byは受動態以外に使われることが多いと気づく。その用法は受動態のbyからは想像不可能であり、意味解釈に苦戦する方は少なくない。
実は、英語の前置詞は多くの場合、一つの核となる意味があり、それが比喩的に派生して複数の用法に発展している。byの中核的な意味は「近接(近さ)」であり、ほとんどすべての用法がこのイメージで解釈できる。
例を見てみよう。次の2つの文はいずれも「近接」のイメージで理解できる。
- a house by the sea (海の近くの家)
- by phone (電話で)
上の例は「海の近くの家」の意味。家と海は物理的に近接していることから、前置詞byで関係性を表現する。
下の例は「電話で」の意味。byはこのように手段を表す際にも使える。何かをする方法が近くにあることは、それを実行できることに他ならない。
byは他にも複数の用法があるが、そのいずれも「近接」の意味の拡張で解釈できる。以下、byの詳細を見ていこう。
2. 前置詞byの使い方
前置詞byは「近接」を中心的な意味として、そこから様々な用法に派生する。トイグルでは、前置詞byの意味ネットワークを次のように定義した。
用法を1つずつ見ていこう。
2-1. 場所を表すby
- (1) She stood by the window. (彼女は窓のそばに立っている)
- (2) I’ve walked by this building numerous times. (私は何度もこの建物のそばを歩いてきた)
- (3) I stopped by my local Walmart earlier today. (今日早く地元のウォールマートに立ち寄った)
- (4) We’ll stand by you. (あなたを支持しますよ)
(1)は位置を表すby。女性は物理的に窓のそばに立っている。前置詞byの持つ「近接」のイメージがそのまま使われている用法。
(2)は通過を表すby。話し手は建物のそばを歩いたことから、その場所を通過したと捉える。位置のbyが動きのない状況を表したのに対し、通過のbyは動きのある状況を示す。
(3)は立ち寄りを表すby。ある場所を一時的に訪ねる様子を表す。stop by(立ち寄る)、drop by(ちょっと訪ねる)、come by(ちょっと立ち寄る)などが代表的な例。
(4)は比喩的な位置を表すby。前置詞byの示す場所は、物理的空間だけでなく心的空間にも及ぶ。心的に誰かのそばにいることは、その人を支持するの意味。
2-2. 手段を表すby
- (5) Please contact the IT support team by email. (EメールでITサポートチームに連絡してください)
- (6) Did you happen to pick those up by mistake? (ひょっとして誤ってこれらを取ってしまったのですか?)
- (7) Susan caught me by the arm. (スーザンは私の腕をつかんだ)
- (8) The film was based on a novel by Edward Anderson. (この映画はエドワード・アンダーソンの小説に基づいています)
(5)は手段・方法を表すby。「…によって」と解釈するとわかりやすい。byの持つ近接のイメージが、方法へと比喩的に拡張したもの。
(6)は結果を表すby。手段・方法のbyの一種。by mistake(誤って)、by chance(偶然にも)、by luck(幸運にも)などが代表的な例。
(7)は「つかんで」のby。物理的に身体の一部をつかむこと。catch(つかむ)、grab(不意につかむ)、hold(しっかりつかむ)、take(取る)などの動詞と用いられることが多い。
(8)は行為者を表すby。受動態で使われるbyもこれの一種。
2-3. 時間を表すby
- (9) I need to make a decision by tomorrow. (私は明日までに意思決定をする必要がある)
- (10) He is in Dallas by the time we arrive at 11:40 a.m. (私たちが11時40分に到着するまでに、彼はダラスにいる)
- (11) She works by day as a nurse and by night as a blogger. (彼女は看護師として日中働き、ブロガーとして夜働く)
- (12) Several months went by and the sharp pain went away. (何ヶ月か経過し、鋭い痛みが消えて無くなった)
(9)は時間的限度を表すby。時間を表すbyはこの用法が多い。「…までに」と解釈するとわかりやすい。動作・状況がある時点までに完了することを示す。
(10)
(11)は期間を表すby。この用法のbyは「日中は…, 夜間は…」のように、時を対比させる際に使われることが多い。
(12)は時間的経過を表すby。(2)で紹介した「通過のby」が時間に拡張されたもの。時間が通過する(過ぎ去ってゆく)の意味。
2-4. 基準を表すby
- (13) By law, employers must keep accurate employment records. (法律によると、雇用主は正確な従業員の記録をつけなくてはならない)
- (14) Produce and meat are sold by the kilo. (農産物と肉はキログラム単位で売られる)
- (15) The population of Tokyo increased by 276,500 people. (東京の人口は276,500人増えた)
- (16) The dimensions at the base were 17.5 meters by 10 meters. (土台の寸法は17.5×10メートルです)
- (17) Ten multiplied by three equals thirteen. (10に3を掛けると30)
- (18) Smartphones usage in India is increasing day by day. (インドのスマートフォン使用数は日に日に増えている)
(13)は基準を表すby。前置詞byの「近接」のイメージが「基準」へと拡張されたもの。何かが近くにあるということは、それが判断の基準になり得るということ。
(14)は単位を表すby。重さや長さの基準に使われる。by the gallon(ガロン単位で)、by the hour(時間単位で)、by the pound(ポンド単位で)などが代表的な例。
(15)は程度を表すby。数や量が増えたり減ったりする様子を示す。この用法は直感的に分かりづらいので注意したい。
(16)は寸法を表すby。他にもa 4-by-5 card(縦4インチ横5インチのカード)のように、ハイフンを使って表すこともある。
(17)は乗除を表すby。乗除とは掛け算とわり算のこと。割り算はTen divided by two equals five. (10を2で割ると5)のように表す。
(18)は漸次的変化を表すby。漸次的(ぜんじてき)とは数量が徐々に増えたり減ったりすること。day by day(日に日に)、one by one(1つずつ)、step by step(1歩ずつ)のように使う。
3. byと他の前置詞の違い
byは他の前置詞と比較することにより、用法の違いがいっそう際立つ。
ここでは、byとuntilの違い、byとnearの違い、byとbesideの違い、by, per, inの違い、by oneselfとfor herselfの違いついて説明していきたい。
3-1. 時間を表すbyとuntilの違い
byとuntilはどちらも「…まで」の意味で時間を表すが、ニュアンスが異なる。次の例文を比較してみよう:
- Susan will be here by 3 o’clock. (スーザンは3時までにここに来る)
- Susan will be here until 3 o’clock. (スーザンは3時までここにいる)
byの表す時間は「動作・状態がその時までに完了する」である。スーザンが3時までに来れば、それが1時30分でも2時5分であっても構わない。
untilの表す時間は「動作・状態がその時点まで継続する」である。スーザンは3時までの間ずっといることが含意される。
3-2. 近接を表すbyとnearの違い
byとnearはどちらも近さを表すが、ニュアンスが異なる。次の例文を比較してみよう:
- We live by the sea. (海のそばに住んでいる)
- We live near the sea. (海の近くに住んでいる)
上の例文(live by the sea)は海が見えるくらい近い際に適した表現である。下の例文(live near the sea)も海に近いと言っているが、少々の距離(例えば海から5km)があっても使用できる。
3-3. 近接を表すbyとbesideの違い
byとbesideはどちらも「…の隣に」と訳される前置詞である。この意味において、次の例文はbyとbesideのどちらも使用できる:
- He was standing by the door. (彼はドアの隣に立っていた)
- He was standing beside the door. (彼はドアの隣に立っていた)
(A Comprehensive Grammar of the English Language)
一方、byとbesideが交換できない場合がある。次の例文を見てみよう
- The shell exploded by the wing of the aeroplane. (薬莢は飛行機の翼のそばで爆発した)
(英語の前置詞)
byは左右だけでなく上下の位置関係を含んでいる。爆発は翼の上(over the wing)や翼の下(under the wing)にも広がるが、byはこうした空間的な近接にも使える。
一方、besideは原則的に左右の位置関係であり、空間的な近接性を含まない。常識的に考えて、爆発は上下左右に広がっているはずなので、byをbesideに変えるのは不自然となる。
3-4. 単位を表すby, per, inの違い
単位を表す方法には、by(…で)、per(…につき)、in(…で)などがある。それぞれの用法を比較してみよう:
- We only sell it by the metre. (我々はそれをメートル単位でのみ売ります)
- Rooms cost £50 per person, per night. (部屋は1人につき1泊50ポンドです)
- They arrived in dozens. (彼らは何十人もの人で到着した)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
byを使って単位を表す場合、by the metre(メートル単位で)やby the year(1年ぎめで)のように「by+the+名詞」で用いることが多い。
perは「…につき」の意味で、50 kilometres per hour(時速50キロ)のように用いる。inはin groups(グループで)やin twos(2人ずつ)のように使う。
3-5. by oneselfとfor oneselfの違い
by oneselfとfor oneselfには意味の違いがある。次の例文を比較してみよう:
- I’m going to London by myself next week. (私は来週1人でロンドンに行く)
- Everyone knows what’s best for him- or herself. (誰もが彼あるいは彼女のために何が最善か知っている)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
by oneselfは「1人で」の意味。for oneselfは<目標のfor>により「…のために」と解釈される。
for oneselfは「他人に頼らないで自分で」の意味もある:
- I can’t tell you what to do – you’ll have to decide for yourself. (私はあなたに何をすべきか言えない. あなた自身で決めなくてはならない)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
4. まとめ
この記事では、英語の前置詞byについて詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- 前置詞byは「近接」のイメージ
- 位置、手段、時間、基準などに使える
- 受動態の行為者を表す際にも用いる
- 似た意味の他の前置詞がある
英語初級者の方は、基本的な用法である場所から覚えよう。中級者の方は比喩的に拡張された意味を理解すると良い。上級者の方は、他の前置詞との使い分けができると表現の幅が広がる。
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
Good luck!