この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
英語のいわゆる未来完了形とは、will have doneの形で表されるものである。
例えば、I will have retired by the year 2050.(私は2050までに退職しているだろう)であれば、will have retiredの箇所が未来完了形に該当する。
未来完了形はややマイナーな用法のためか、市販の文法書で取り上げられることが少ない。英語を学習しているあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?
- 未来完了形とは何なのかわからない…
- 未来完了形は適当に訳している…
- 未来完了形の正しい使い方を知りたい…
そこでトイグルでは、英語の未来完了形について、詳細を解説していく。他のどの文法書より詳しく説明するため、参考になると思う。
本記事を読めば未来完了形に関する疑問は解決する。そして、英文をより正確に、読んだり聞いたりできるに違いない。
1. 未来完了形の典型用法は「未来のある時点までに完了していること」
未来完了形のもっとも典型的な用法は、未来のある時点において、その行為が完結している様子を示すものである。
冒頭の例をもう一度見てみよう。
- (1) I will have retired by the year 2050.(私は2050年までに退職しているだろう)
ここでは、話し手は2050年までに退職するだろうと述べている。2050年は発話時点においては未来であり、その時点までに、退職という行為が完了する。
これをイラストにすると次のようになる。
発話をしているのは現在、基準となるのは2050年、そして出来事が起こるのは現在から2050年までの間となる。
以下、未来完了形のさらに詳しい使い方を見ていこう。
2. 未来完了形の使い方
未来完了形は、それが使われる場面や環境によって、以下の4つの解釈がある。
完了 | 未来のある時点までの行為の完了 |
経験 | 未来のある時点までに経験する動作 |
継続 | 未来のある時点までの状態の継続 |
推量 | 発話時における推量 |
このうち、現在完了形の基準時が未来に置かれているものは <完了>、<経験>、<継続> である。
一方、<推量>は未来完了形に特有と言える。
以下、これら4つの使い方を1つずつ見ていこう。
2.1. 未来のある時点までの行為の完了
- (2) We will have started a new project by the end of the year.
(今年の終わりまでに新たしいプロジェクトを始めているだろう) - (3) Karen will have finished her homework by the time her friend arrives.
(カレンは友人が到着するまでに、宿題を終えているだろう)
未来完了形は「…してしまっているだろう」の意味で、未来のある時点までの行為の完了をあらわす。
(2)は、話し手たちが年の終わりまでに、新しいプロジェクトを始めているだろうと述べている。
(3)は、カレンの友人が到着するまでに、宿題を終えているだろうと述べられている。
<完了> の意味の未来完了形は、believe(…ということを信じる)やhope(…ということを望む)などに導かれるthat節内で用いられることが多い。
2.2. 未来のある時点までに経験する動作
- (4) If I visit London again, I’ll have been there four times.
(もしロンドンにもう一度行ったら、4回行ったことになるでしょう)
未来完了形は「…したことになるだろう」の意味で、未来のある時点までに経験する動作をあらわすことがある。
(4)は、話し手がロンドンにもう一度訪れれば、その際、4回行ったことになるとの旨が述べられている。
<経験> をあらわす未来完了形の文は、たいていの場合、頻度をあらわす副詞語句を伴う。
2.3. 未来のある時点までの状態の継続
- (5) We will have been married for 10 years this summer.
(私たちは今年の夏で結婚して10年になる)
未来完了形は「…していたことになるだろう」の意味で、未来のある時点までの状態の継続をあらわすことがある。
(5)は、今年の夏の時点で、結婚して10年になっているだろうと述べている。
be marriedで「<人が>(…と)結婚している」という状態をあらわす。
2.4. 発話時における推量
- (6) It’s no use phoning – he’ll have left by now.
(電話したって無駄だよ―彼は今ごろ帰っているよ) - (7) You will have heard that Mark passed away a few weeks ago.
(数週間前、マークが亡くなったと聞いているはずです)
未来完了形には、「きっと…しただろう」の意味で、発話時における推量をあらわす用法がある。
(6)は「彼は今ごろ帰っているよ」と、話し手が現在の事柄について推量している。by now(今ごろ)が示す通り、未来に関する話ではない。
(7)は「…と聞いているはずです」と、話し手が過去の事柄について推量している。「マークが亡くなった」は過去の出来事であり、相手がそれを聞いたはずだと、確信を持って述べている。
この用法では、「…だろう」という推量の意味を表すwillが使われている。「未来完了形」のいち用法であるものの、「未来」のニュアンスは一切含まれない。
3. 未来完了形に関する発展的な知識
未来完了形に関する発展的な知識を見ていこう。
3.1. 時制の一致によってwould have doneになる
- (8) I wondered by what hour you would have returned.
(何時ごろまでに君が帰っているだろうか、と思っていた)
出典: 現代英文法講義
主節が過去時制で、従属節内に未来完了形がある時、時制の一致によって、形が would have done へと変化する。
(8)は、you will have returned が you would have returned に変わっている点に注目しよう。
時制の一致については別記事でも解説しているため、より深く知りたい方は参照されたい。
3.2. 時や条件の副詞節内では現在完了形を用いる
- (9) Be quiet until I have finished my homework.
(宿題が終わるまで静かにしてね)
英語では、時や条件をあらわす副詞節の中では、未来のことも現在形であらわすことが多い。
未来完了形も同様で、こうした条件下では、現在完了形を使用する。
(9)では、will have finished ではなく、have finished となっている。
3.3. byで始まる時の表現を使用できる
- (10) I will have completed the task by ten o’clock tomorrow.
(明日10時までにその仕事を終えているでしょう)
出典: 現代の英文法8 動詞
未来完了形の特徴は、by(..までに)のような期限をあらわす表現と一緒に使える点にある。
逆に、上記の例文にて、at ten o’clock tomorrow のような、特定の時をあらわす副詞と共に使うことはできない。
4. will と will have done の違い
will と will have done の違いについて述べていきたい。
4.1. 出来事が既に始まっているかどうか
- (11) In the near future, many of the planets will be explored.
(近い将来、惑星の多くは探索されるでしょう) - (12) In the near future, many of the planets will have been explored.
(近い将来には、惑星の多くは探検されてしまっているでしょう)
出典: Modern English: A Practical Reference Guide
willとwill have doneを比較すると、willは「これからはじまること」をあらわすのに対して、will have doneは「既にはじまっていること」について述べている点に、違いがある。
4.2. ほぼ同義の場合
- (13) By the end of the year we will cover the entire book.
(年末までに、その本を全部、終わります) - (14) By the end of the year we will have covered the entire book.
(年末までに、その本を全部、終わってしまいます)
ただし、willとwill have doneがほぼ同義で用いられることがある。これは、will have doneでは文体の上でかたい感じがするため、willでその意味を代用したものと言ってよい。
ほぼ同義ではあるものの、未来完了形のほうが、若干、「完了」のニュアンスが強調される。
5. 未来完了形のつくり方
未来完了形: will + have done
I | will (shall) | have | done |
You | will | have | done |
He / She / It | will | have | done |
We | will (shall) | have | done |
You | will | have | done |
They | will | have | done |
未来完了形は、助動詞will(またはshall)に完了不定詞を組み合わせた形をとる。
まれなケースとして、次の例のように、「will be done」が未来完了形の代わりとして使われることがある。
- (15) He will be gone by the end of the month.
(彼は月末までに行ってしまうだろう)
6. まとめ
この記事では、英語の未来完了形について詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- 未来完了形はwill have doneの形でつくる
- 未来のある時点までの行為の完了をあらわす
- 未来のある時点までに経験する動作をあらわす
- 未来のある時点までの状態の継続をあらわす
- 発話時における推量
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
トイグル式英文法|英語文法の学習に必要な知識と情報のすべてGood luck!