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TOEIC Listening & Reading Test(以下TOEIC)は英語の資格試験である。
2017年に国内の受験者は約250万人となった。学生だけでなく、キャリアアップを目的とする大人の受験者も多い。
TOEIC500点について調べているあなたは、次のような疑問をお持ちではないだろうか。
- TOEIC500点はどのくらいの難易度?
- TOEIC500点は英語がはじめての人でも達成できる?
- TOEIC500点を取るにはどんな勉強法が良いの?
TOEIC500点は英語初心者が目指す目標であるにもかかわらず、市販の参考書で触れられることは驚くほど少ない。
そこでトイグルでは、TOEICに興味を持っている方のために500点の難易度と学習方法を説明していきたい。
市販の参考書のおすすめも紹介する。本記事を読めばTOEIC500点を取得する具体的なイメージができるはずだ。
- 筆者はTOEIC公開テストを毎回受験し、最新の傾向と対策を研究しています。当エントリーはそれを踏まえて2018年6月に全面改訂しました。
1. TOEIC500点は英語初・中級レベル
TOEICはリスニングセクションとリーディングセクションの二科目で構成される。結果は合否ではなくスコアで表示され、最低スコアは10点、最高スコアは990点、日本人の平均スコアは約580点である。
トイグルでは、TOEIC500点を英語初・中級レベルと考えている。TOEIC500点は英語力の土台ができつつある状態だ。基礎的な単語の多くに見覚えがあり、短文であれば読解もできる。長文リスニングは苦手だが、短文なら選択肢を絞れる。
TOEIC500点達成時点の感覚は、「英語はまだまだ難しいが、頻出問題の型を繰り返し練習することで、どうにか設問を解けるようになってきた」といった状態だ。
TOEIC500点台は全受験者の約20%が該当する。
*TOEIC500点は英検準2級から2級レベル
TOEIC500点の難易度をイメージするため、私たちが慣れ親しんでいる実用英語技能検定(以下、英検)とスコアの比較をしてみよう。
次の図は、TOEICと英検のスコア換算を表している。
TOEIC500点は英検準2級(高校中級程度)は合格できるものの、英検2級(高校卒業程度)には及ばないレベル感だ。TOEIC500点台後半を取得すれば、英検2級程度の英語力と想定できる。
(筆者注: TOEICと英検のデータは受験者の自己申告によるものです。両試験は形式がまったく異なるため、特定の級を取れば直ちに該当のスコアを取得できるわけではありません。あくまで参考程度にお考えください。)
*TOEIC500点に必要な勉強時間は225時間から450時間
次の表はTOEICスコアを上げるために必要な勉強時間を表している。
目標スコア | ||||||
現在のスコア | 450 | 550 | 650 | 750 | 850 | 950 |
350 | 225 | 450 | 700 | 950 | 1,225 | 1,550 |
450 | – | 225 | 450 | 700 | 975 | 1,300 |
550 | – | – | 225 | 450 | 725 | 1,050 |
650 | – | – | – | 225 | 500 | 825 |
750 | – | – | – | – | 275 | 600 |
850 | – | – | – | – | – | 325 |
(出典: Saegusa 1985)
仮にあなたがTOEIC未経験であり、現在のスコアを350点程度と想定すると、550点達成には約450時間の学習が必要である。現在の実力が450点なら、550点達成は225時間だ。
もし平日に毎日1時間、土日に5時間ずつの学習を行うと、1週間で15時間の学習機会を確保できる。勉強が順調に進めば225時間には約4ヶ月、450時間には約8ヶ月で達成できる。
参考までに、日商簿記検定2級の平均勉強時間は250時間、宅地建物取引主任者は400時間と言われている。もちろん、異なる試験を学習時間だけで比較するわけにはいかないが、おおよその目安にはなるだろう。
TOEICを導入している企業では、500点が人事査定の最低ラインになることが多い。採用(新卒・中途)では600点以上を求められることがある。
2. TOEIC500点を達成する勉強方法
TOEIC500点を達成する勉強方法について解説したい。
まず、トイグルではTOEIC試験対策をリスニング対策、リーディング対策、本番試験対策の3つに分けている。
リスニング対策はリスニングセクション(Part1からPart4)の勉強、リーディング対策はリーディングセクション(Part5からPart7)の勉強、本番試験対策は実際の試験で2時間連続に耐えられる集中力づくりが学習対象だ。
TOEICでスコアを上げるには、これら3つを総合的に改善する必要がある。それぞれの詳細を説明しよう。
2-1. リスニング勉強法
TOEICリスニングセクションは4つのパートで構成される。
Part1 | 写真描写問題 | 6問 |
Part2 | 応答問題 | 25問 |
Part3 | 会話問題 | 39問 |
Part4 | 説明文問題 | 30問 |
*TOEIC Part1は主語と動詞までを逃さず聞き取る
TOEIC Part1は写真描写問題である。問題用紙に記載された写真をもっとも適切に表す選択肢を選ぶ。
人物、乗り物、風景などの様々な写真が出るが、どの選択肢にも共通して、使われる英文は「主語+動詞+目的語+その他」のシンプルな文型である。thatの省略や分詞構文といった複雑な文は出てこない。
TOEIC Part1を勉強する際は、これら4要素が順番に出てくることを意識する。表を作って音声の書き取りをすれば、Part1がよく理解できるはずだ。
もちろん、今すぐ完璧な聞き取りができる必要はない。文の前半部分、すなわち主語と動詞を逃さない意識で聞き取ろう。
*TOEIC Part2は重複ワードを避ける
TOEIC Part2は応答問題である。短い英文を聞いた後、その返答として最も適切なものを1つ選ぶ。
TOEIC500点を目指す段階では、Part2はある程度テクニックによってスコアを上げられる。例を見てみよう。
Where is the post office? (郵便局はどこですか?)
(A) I went to my office.(私は自分のオフィスに行きました) |
「郵便局はどこですか?」に対し、適切な返答は選択肢Bの「その通りを越えたところにありますよ」だ。
ここで不正解の選択肢Aに注目したい。選択肢Aには、はじめの英文で読み上げられた語句officeが含まれている。
聞き取りに課題のある受験者は「よく聞こえなかったけど、officeという音が聞こえたから、Aが正解かな」と飛びつきがちだ。
TOEICはこうした傾向を知っているため、はじめの英文に含まれる語句と同じ語句、あるいは似た音の語句の入った選択肢は不正解になることが多い。
つまり、TOEIC Part2においては、同じ語句の入った選択肢は選ばないようにしよう。Part2は3択なので、不正解を消せるだけで正解の確率が上がる。
本テクニックが有効なのはPart2のみである。Part3やPart4では重複ワードが正解になることがある。
*TOEIC Part3/Part4は1問目に集中する
TOEIC Part3は会話問題、Part4は説明文問題である。どちらも30秒から60秒程度の長文を聞き、内容に関する3つの設問に答える。
両パートは、本文と設問の順番が概ね一致する。設問1は音声の前半、設問2は音声の中盤、設問3は音声の後半にヒントが出現することが多い。
そのため、Part3とPart4を解くときは、音声の序盤に意識を集中させ、1問目の設問を絶対に正解する意識で進めよう。問題用紙には設問と選択肢が印字されているので、音声が始まる前にこれらを先読みしても良い。
500点を目指す段階では長文リスニングに課題を感じることも多いが、全問を正解する必要はなく、全体のおおよそ50%が取れていれば目標達成だ。正解したい問題(1問目)、運が良ければ正解したい問題(2問目)、当てずっぽうで解く問題(3問目)と設問の目的を分け、戦略的に解答していきたい。
2-2. リーディング勉強法
TOEICリーディングセクションは3つのパートで構成される。
Part5 | 短文穴埋め問題 | 30問 |
Part6 | 長文穴埋め問題 | 16問 |
Part7 | 長文読解問題 | 54問 |
*TOEIC Part5は品詞問題と代名詞問題を重点対策する
TOEIC Part5は短文穴埋め問題である。空白のある英語のセンテンスに、文法あるいは意味的に最も適した選択肢を入れる。
TOEIC Part5に出る英文は短文なので、初心者の方にも解きやすい。とりわけ重点的に対策をしたいのは、名詞・形容詞・副詞の形を選んで入れる品詞問題と、主格・所有格・目的格などを入れる人称代名詞問題である。
これらは市販のTOEIC問題集でも必ず取り上げられているので、事前に練習をすることで、自信を持って解けるようにしたい。
品詞問題と人称代名詞問題に興味のある方は、別記事も参照していただきたい。
*TOEIC Part6は時間調整パートと捉える
TOEIC Part6は長文穴埋め問題である。各文章に4つの空白があり、文法・意味的に最も適した選択肢を入れる。
TOEIC500点を目指す段階では、Part6は時間調整パートと捉える。Part5に時間を使いすぎてしまった時はPart6を思い切って飛ばし、次のPart7に時間を使えるようにしたい。練習時はPart6の優先順位は低めで良い。
*TOEIC Part7は2問型シングルパッセージを重点的に行う
TOEIC Part7は長文読解問題である。英語の長文を読み、内容に関する2つから5つの設問に答える。
Part7はさらに、1つの文章を読んで2つから4つの設問に答えるシングルパッセージ、2つの文章から5つの設問に答えるダブルパッセージ、3つの文章から5つの設問に答えるトリプルパッセージに分けられる。
シングルパッセージにおいて、設問が2問だけのものは英文が短いことが多く、英語初心者の方にも解きやすい。練習時点では、この「2問型シングルパッセージ」を重点的に行い、Part7を解ける感覚を養おう。
2-3. 本番試験対策
TOEIC本番試験はリスニング・リーディングセクションを200問連続で解答する。試験時間は約120分で、途中の休憩はない。
TOEICがはじめての方によくある失敗は、練習時にパート別の設問を丁寧に解くものの、まとまった設問を解く練習を事前にしなかったため、本番で集中力が切れてしまうことである。
そのため、テストまで残り2週間になったら模試を使い、リスニング・リーディングを100問連続で解く練習をする。集中力や時間配分を鍛えよう。
TOEIC500点を目指す段階では単語帳の使用が効果的である。英単語と日本語訳を紙に書く方法が有効だ。
3. おすすめ参考書
TOEIC500点を取得するのにおすすめの教材(参考書・問題集)について説明しよう。
TOEICスコアアップにはリスニング・リーディング・本番試験対策の他に、これら能力を支える単語力・文法力が必要である。
1冊の教材ですべてをカバーすることは難しいため、TOEIC500点を取るには複数の教材を組み合わせるのが効果的だ。
トイグルでは、TOEIC500点向けの参考書を5冊選んだ。
単語帳 | |
文法問題集 | |
リスニング問題集 | |
リーディング問題集 | |
模試 |
3-1. 単語帳
『世界一わかりやすいTOEICテストの英単語』は関正生氏によるTOEIC単語帳。初級レベルの語句から順に紹介されているので、英語初心者の方に使いやすい。
驚くべきことに、本書はすべての単語にTOEICでの出題ポイントが解説されている。単語を覚える目的が明確になるので、語彙の効率的な定着が期待できる。本書を使ってTOEICに必要な単語を覚えよう。
3-2. 文法問題集
『1駅1題 新TOEIC TEST 文法 特急』は英語初心者向けの文法問題集。Part5(短文穴埋め)の形式で英文法の基礎を学べる。
本書は通勤鞄にも収容しやすいコンパクトなサイズ。解説も充実しているので英文法をこれから学ぶ方におすすめ。まずは本書を解き終えて文法の基礎力を養いたい。
3-3. リスニング問題集
『TOEIC L&R TEST 初心者特急パート1&2』は初心者向けのリスニング問題集。Part1(写真描写問題)とPart2(応答問題)の設問が収録されている。
本書は英語初心者向けに、本番よりも難易度の低めな単語で英文が作られている。聞き取りに苦手意識を持っている方は、本書を使うことで「リスニングを解ける」感覚を養おう。
3-4. リーディング問題集
『新TOEIC TEST 初心者特急 読解編』は、初心者向けの長文読解問題集。本番よりも短く、かつ平易な語彙を使った英文で、長文読解の練習ができる。
現在のTOEICはリーディングセクションの約7割が長文に関連したパートなので、TOEIC500点を目指す段階でも長文読解は必須である。まずは本書で長文への抵抗感をなくしたい。
3-5. 模試
『世界一わかりやすいTOEIC L&Rテスト 総合模試1 [600点突破レベル]』は、本番試験と同じ200問の設問が2回分収録されている模試。
600点突破レベルがテーマなので、実際のTOEIC試験よりも易しめな英文が使われている。TOEIC500点を目指す段階では本書が使いやすい。
本書を購入したら、まずはリスニングセクションとリーディングセクションを100問ずつ連続で解いてみよう。集中力や時間配分など、パート別の勉強ではわからなかった課題が見えてくる。
ここまでの5冊をきちんと勉強すれば、TOEIC500点を達成する土台は十分にできるはずだ。あとは自信を持って試験を受けよう。目標達成はもう目の前にある。
*まとめ: TOEIC500点は短期集中で突破しよう
これまで、TOEIC500点のレベル、勉強方法、およびおすすめ参考書を紹介してきた。
本書の内容をまとめると次のようになる。
- TOEIC500点は英語初・中級者レベル。
- TOEIC500点は英検準2級から2級程度。225時間から450時間の学習が必要。
- リスニング対策、リーディング対策、本番試験対策の3つを行う。単語力と文法力も必要。
- TOEICは複数の教材を組み合わせて学習する。
- TOEIC500点のためには、基礎的な単語力、文法力、リスニング力、リーディング力、本番力を身につける。
英語がはじめての場合、TOEIC500点は高い目標に感じられるだろう。ただ、高校時代の英語を思い出すのが学習の中心になるので、短期集中で達成することは十分可能である。
トイグルでは、英語学習やTOEIC試験対策に役立つ情報を発信している。本書が「役に立った!」と思う方は、ぜひ他の記事もお読みいただきたい。
Good luck!
(「TOEIC」は米国Educational Testing Service(ETS)の登録商標です。記事内のAmazonリンクはアソシエイトリンクを使用しています。)
とても参考になります。有難うございます。
Toeicの練習問題を解いていると以外に一般生活の事;例)オフィスでの会話等であり、昔に受けたToeflのような少し踏み込んだ各分野の事:例)天文、政治経済、歴史等の事がでてきてないような気がします。そういった人文学や科学的な事は用意しなくてもいいのでしょうか?
宜しくお願いします。
小さい子供が2人いて日曜だと保育園が使えずできれば土曜日開催があると助かります!
今後あるとうれしいです。
>森下様
コメントありがとうございます。
承知いたしました。8月末か9月を目処に、土曜日開催のセミナーを開催したいと思います。
トイグルのFacebookページにて最新情報の更新をお知らせしているため、こちらも併せてご覧くださいませ。
https://www.facebook.com/toeicguruclub/
Part1で
絵を見て、単語を予想するのはアリですか?
はい、有効かと思います。
また、たくさんの問題を解いて慣れると、絵を見るだけで文の予測ができるようになりますよ。