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英語の rather は「とても」や「わずかに」の意味で使われる語である。
中上級レベルの英語を読んだり、聞いたりしていると、rather の含まれる文によく出くわす。
英語を学習中のあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?
- rather の意味がわからない…
- would rather とはなにか…
- rather than の使い方を知りたい…
rather は難易度の高い語だが、ネイティブ・スピーカーはこれを自然に使いこなす。
rather を使った文を自らが生み出すのは難しくても、読んだり聞いたりしてわかれば、英語の理解度は格段に上がる。
そこでトイグルでは、rather の使い方について、詳細を解説していく。ぜひ最後までご覧いただきたい
1. ratherの入った文を上手に訳す方法
rather は複数の異なる意味を持つ多義語である。
意味の解釈は状況によって様々だが、中心的な用法の1つに、程度の大きさをあらわすものがある。例を見てみよう。
- (1) It’s rather strange.
(それはちょっと変だね)
この例文では、rather は「ちょっと」の意味をあらわす。話し手は、状況が少々おかしいという様子を伝えている。
rather は than と共に用いることで、ある行為を優先して好むといったことを伝えられる。例を見てみよう。
- (2) She decided to quit rather than take part in the race.
(彼女はレースに参加するより辞退することにした)
A rather than B は「BよりもA」をあらわす。彼女は「レースに参加する(B)」よりも「辞退する(A)」を選んだのである。
rather は他にも色々な意味があるが、まずは上記の2点をおさえると、だいたいの文は解釈できる。
以下、さらに詳しい rather の用法を見ていこう。
rather は「早く」を意味する語が語源であり、「より早く」が「より速く」の意味になり、以後は「よりうまく」→「…よりむしろ」→「やや」→「多少」→「かなり」のように意味が広がっていったと考えられている(参考: 『英語語義語源辞典』)。
2. rather の使い方
rather は主に副詞として使われるが、様々な構文を持つことでも知られている。
ここでは、rather の使い方を構文別に紹介していきたい。
2.1. rather A
- (3) Lucy speaks Japanese rather well.
(ルーシーは日本語をかなり上手に話す) - (4) We’ve eaten rather too much.
(我々はちょっと食べすぎましたね)
rather A は「かなり」あるいは「ちょっと」の意味を持つ。Aの位置には、通例、副詞が用いられる。
(3)は rather が副詞を修飾している例である。
(4)のように、tooを修飾することもできる。
2.2. S be rather C
- (5) It was rather good.
(それはかなり良かった) - (6) This was rather more difficult than I expected.
(これは予想したよりちょっと難しかった) - (7) Her style is rather unique.
(彼女のやり方はいくぶん独特です)
S be rather C は「Sがかなり(ちょっと)Cである」の意味を持つ。Cの位置には、通例、形容詞が用いられる。
(5)は rather が形容詞を修飾している例である。
(6)のように、rather が比較級を修飾する場合もある。
Cの位置には通例、程度に段階のある語が入る。一方、(7)のように、段階性のない形容詞が使われることもある。
2.3. S be rather a(n) 名
- (8) He’s rather a fool.
(彼は結構なおバカさんだね) - (9) This was rather a surprising result.
(これはちょっと驚くような結果だった) - (10) I have rather a lot to do.
(すべきことがちょっとたくさんあります)
S be rather a(n) 名詞 は「Sがかなり…である」の意味を持つ。通例、Cの位置には「不定冠詞a/an + 名詞」が用いられる。
(8)は rather が a fool(= 不定冠詞+名詞)を修飾している例である。
(9)は rather が a surprising result(= 不定冠詞+形容詞+名詞)を修飾している。
(10)のように、rather が a lot を修飾する場合もある。
rather に「形容詞+名詞」が使われる際、不定冠詞a/an が rather の前(a rather difficult question)と、不定冠詞a/an がrather の後(rather a difficult question)のいずれの形も可能である。
両者について意味の違いを指摘するものもあるが、本記事では、意味上の差はほとんどないものと考える。
この構文では、C(名詞)の位置に複数形や裸名詞を入れることはできない。rather a fool は可能だが、rather fools(×)やrather fool(×)は不可となる。
注: Greenbaum and Whitcut は “Longman Guide to English Usage” の中で、”rather a and a rather are equally correct.” と述べている。(p593)
2.4. S rather V (O)
- (11) I rather enjoy the process.
(私はその過程をいくぶん楽しんでいる) - (12) “Do you like it?” “I rather do.”
(「それお好きですか」「ええ、わりあいに」)
12: 英語基本 形容詞・副詞辞典
S rather V (O) は「Sが(Oを)わりあいにVする」の意味を持つ。rather は動詞を修飾する。
(11)は rather が動詞を修飾している例である。
(12)のように、rather は代動詞do を修飾する場合もある。
2.5. rather+思考動詞
- (13) I rather think this might be your problem.
(これが問題なのかもしれないと思いますよ) - (14) I was rather hoping you would get here.
(あなたがここに来てくれることを望んでいたんです)
rather は think(…と思う)やhope(…ということを望む)など、思考をあらわす動詞と共に使われることがある。
rather を用いることで、ある程度確信のある話題を、控え目な口調で伝えることができる。
(13)は think、(14)は hope が用いられている例である。
このタイプの動詞には think, suspect, hope, doubt, feel, wish, guess, expect がある。目的語にthat節を取ることが多いが、そうでない場合もある。
2.6. A rather than B
- (15) I’ll play a video game rather than study.
(勉強するよりゲームしよう) - (16) It made her frighted rather than angry.
(それは彼女を怒らせるというより怯えさせた) - (17) Rather than using a dinner plate, use a dessert plate.
(ディナー皿を使うより、デザート皿を使いましょう)
A rather than B は「BよりもA」の意味がある。AとBには通例、文法上対等な要素が入る。
rather than には2つの意味がある。1つは、(15)のように、「BよりもむしろA」(行為の選択)である。
もう1つは、(16)のように、「BではなくA」(内容の修正)となる。
(17)のように、rather than が文頭に使われる場合がある。この場合、「行為の選択」の意味のみの解釈となる。
A rather than B において、Aの位置にto不定詞がある場合、Bには toなし不定詞あるいは -ing形が使われる。
例: I decided to write rather than phone / phoning. (私は電話するより手紙を書くことにした)
Rather you than me. は「私はいいのであなたがどうぞ」の意味で、面倒なことを相手に引き受けさせたい時などに使う。
2.7. would rather
- (18) We’d rather have something to drink.
(むしろ何か飲むものをいただきたいです) - (19) I’d rather play sports than work.
(仕事するよりスポーツをしたい) - (20) I’d rather you didn’t go out alone.
(1人で出歩かないでちょうだい)
20: Longman Dictionary of Contemporary English (6E)
would rather do は「むしろ…したい」の意味がある。’d のような短縮形で使われることが多い。
(18)は would rather do の形で使われている。
(19)は比較の対象がthan以下で示されている。
(20)のように、would rather (that) … (Sがむしろ…であるほうを好む)の形で使われることがある。通例、thatは省略され、that節内の動詞は仮定法が使われる。
I’d rather not eat dinner.(夕食を食べないほうがいい)のように、否定をあらわす場合、not は rather の後に置く。
古い英語では、would rather の代わりに had rather を用いることもできた。ただ、Swan も述べているように、現代において had rather は通常、使われない。
2.8. or rather
- (21) I learned, or rather relearned, important things.
(大切なことを学んだ、というより、学び直した) - (22) In the end he had to walk—or rather run—to the office.
(結局、彼は歩いて、というより、走ってオフィスに行くしかなかった) - (23) He worked for me. Or rather, he did work for me.
(彼は私のために働いた。というより、彼は私のために仕事をしたのです)
or rather は「というより」の意味で、前に述べた内容を言い直す際に使われる。
(21)のように、or rather の前に「,(コンマ)」が用いられることが多い。
(22)のように、「―(ダッシュ)」が使われることもある。
(23)は or rather が文頭に置かれている場合である。前の文の内容を訂正する。
2.9. not A, but rather B
- (24) The walls were not white, but rather a sort of dirty grey.
(壁は白ではなく、汚れたグレーのような色をしていた)
not A, but rather B は「AではなくてむしろBだ」の意味を持つ。前に述べた内容を否定し、新たな情報を付け加える役割を持つ。
AとBの位置には、文法的に対等な要素が入る。
2.10. Rather, S V (O)
- (25) Don’t try to memorize everything. Rather, try to understand the concepts.
(すべてを暗記しようとはしないでください。むしろ、概念を理解するように努めてください)
Rather は「むしろ S が(Oを)Vする」の意味を持つ。品詞的には副詞だが、意味的には前後の文をつなぐ役割がある。
(25)では、「すべてを暗記しようとしないでください」と「概念を理解するように努めてください」を意味的につないでいる。
3. 日常会話における rather の使い方
ここまでの rather に関する議論を見ると、次のように感じた読者がいるかもしれない。
「rather は難しい書き言葉で使われるのかな…? 日常会話で rather を使うことはあまりないのかも…」
たしかに、これまで紹介した例は、いずれも文語的で、かたい感じの文体が多かった。
ただ、rather は決して書き言葉だけで使うものではない。むしろ、日常の話し言葉では、何かを断ったり、同意できないことを、控え目に表す際などに rather が用いられる。
言い換えれば、rather を使えることで、より自然で、表現力のある会話ができるようになる。以下、日常会話における rather の使い方を見ていこう。
3.1. 何かを控え目に断る
rather は相手からの提案や要望を控え目に断る際に用いられる。
次のやり取り(26)では、Aの質問に対し、Bがそれを答えたくない旨を、控え目に表現している。
- A: “Where are you from?”
(どちらのご出身ですか) - B: “I’m sorry. I’d rather not say.”
(すいません、ちょっと言いたくないですね)
別のやり取り(27)では、I’d rather not.(遠慮しておきます)のフレーズを使うことで、相手からの提案を控え目に拒絶している。
- A: “Why don’t you come with us?”
(一緒に来ませんか) - B: “Thank you, but I’d rather not.”
(ありがとう、ただ、遠慮しておきます)
また、次のやり取り(28)では、相手にしてほしくないことを控え目に伝えている。
- A: “Do you mind if I smoke?”
(タバコを吸ってもいいですか) - B: “I’d rather you didn’t.”
(遠慮願いたいです)
3.2. 同意しかねることを控え目に伝える
rather は同意しかねることを控え目に伝えることがある。
次の例は、「ショーは退屈だったよ」と言った相手に対するリアクションである。
- (29) Well, I rather like it, actually.
(ええと、私は好きですけどね、実際のところ)
rather を使うことで、相手に配慮しつつ、しかし自分はその意見に賛成できないことをあらわしている。
3.3. 誤った選択に対する後悔
rather は誤った選択に対する後悔を示すことがある。
次の例を見てみよう。
- (30) I’d rather have been watching TV at home.
(家でテレビを見ていたほうがよかった)
ここでは、たとえば見に行った映画がつまらなかったなどの理由より、話し手がそれを後悔している様子を示している。
4. rather と fairly の違い
rather とよく似た語に fairly がある。
単語の使い方の幅を広げるためにも、これら2つの語の違いについて、解説していきたい。
4.1. rather は好ましくない内容の語を修飾することが多い
オックスフォード現代英英辞典(第10版)で rather と引くと、rather odd / strange / unusual (奇妙な/奇妙な/普通でない)と表記されているように、rather は好ましくない内容の語を修飾することが多い。
一方、同辞書で fairly と引くとfairly simple / easy / straightforward(単純な/容易な/わかりやすい)と表記されているように、fairly は好ましい内容の語を修飾する傾向にある。
次の例文を見てみよう。
- (31) Tom is fairly clever, but Peter is rather stupid.
(トムはかなり賢いが、ピーターは相当頭が鈍い)
31: 実例英文法
1つの文の中に fairly と rather の両方が含まれている。修飾される形容詞がそれぞれ、好ましい内容の語(clever)と好ましくない内容の語(stupid)になっている点に注目したい。
4.2. 中立的な意味の語は rather と fairly でニュアンスが変わる
形容詞の中には、客観的に見て、好ましいとも好ましくないとも決められないようなものがある。
このような場合、fairly は話し手の「好ましい」と思う気持ちをあらわし、rather は「好ましくない」と思う気持ちをあらわすことになる。
例を見てみよう。
- (32a) This soup is fairly hot.
(このスープはかなり熱いね) - (32b) This soup is rather hot.
(このスープはかなり熱いね)
32: 実例英文法
どちらも日本語訳は同じだが、ニュアンスが異なる。
(32a)は fairly が使われているが、これは話し手が「熱いスープが好き」と感じていることを示している。
一方、(32b)は rather が使われているが、これは話し手が「スープが熱すぎる」と不満を持っていることを示している。
このタイプの形容詞は fast, slow, thin, thick, hot, cold などがある。
4.3. 好ましい内容の語を修飾する場合、rather は very とほぼ同義になる
実際のところ、rather は好ましい内容の語を修飾することもある。
この場合、rather は very とほぼ同義で、その意味を強調する用法になる。
例を見てみよう。
- (33) She is rather clever.
(彼女はなかなか利口です)
33: 実例英文法
(33)の rather は very のように、clever(利口な)を強調する役割を持つ。前に述べた「好ましくない」のニュアンスはない点に注意したい。
好ましい語を修飾するrather は、むしろ、fairly より賞賛の気持ちが強い。
次の2つの例文を比較したい。
- (34a) It is fairly a good play.
(かなりいい芝居です) - (34b) It is rather a good play.
(かなりいい芝居ですよ)
34: 実例英文法
(34a)は良いと言っているだけで、聞き手としては、その芝居を見に行きたいと思う気持ちはわかない。
一方、(34b)はぜひ見に来てほしいという、話し手の勧誘の気持ちが込められている。
『4. rather と fairly の違い』については、その多くの点を、トムソン&マーティネットの『実例英文法』(原題は A Practical English Grammar)から抜粋した。
5. まとめ
この記事では、英語の rather について詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- rather は「ちょっと」や「むしろ」の意味で使われる
- rather の直後には形容詞や副詞等を取る
- rather の直後に「不定冠詞+名詞」を取ることがある
- rather は日常会話でも使われる
- rather と fairly には使われ方の違いがある
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
トイグル式英文法|英語文法の学習に必要な知識と情報のすべてGood luck!
I like coffee rather than tea.
この場合、「紅茶ではなく珈琲が好きだ」(紅茶は好きではない)の意味でも、「珈琲も紅茶も好きだが、珈琲の方が好きだ」の意味でも使えますか?
rather A than B の用法を調べると、A not B (not B but A)の意味でも使うと出てきました
https://kwansei.repo.nii.ac.jp/record/16047/files/20090121-3-19.pdf
A not B で訳せば「紅茶は好きではなく、珈琲が好きだ」となります
逆に、ジーニアス英和辞典の「~よりもむしろ」の訳で訳せば、「紅茶も珈琲も好きだが、紅茶よりも珈琲の方が好きだ」と訳せるように思います。
どちらにも訳せるということでしょうか。
>蘭様
rather than ですが、訂正をする場合などに、A not B の意味にもなるようです。
It rained rather than snowed. (雪でなくて雨だった/ジーニアス英和辞典)
I like coffee rather than tea.のような文においては、どちらの意味になるかは、文脈によって決まるものと思います。
ただ、通常は「Bは好きでない」ほぼ強いニュアンスは含まれず、単に「AがBよりも好き」といった感じと思いますが…