英語の比較構文とは?節型と句型の使い方を詳しく説明!

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英語の比較構文とは、物事の尺度を、相対的に比較する際の構造を指す。

例えば、Bob is taller than Ken is.(ボブはケンより背が高い)は、身長という尺度において、「ボブ>ケン」と述べられている。

学校文法では、比較級(-er than / more than など)や同等比較(as … as)について学ぶ。しかし、than や as の構造について詳しく知る機会はない。

その結果、私たちは英語をある程度学んでも、比較がどのように成り立っているか、いまいち把握できない。

例えば、比較について次のような疑問を感じたことはないだろうか?

  • than Ken is とは何だろうか? … because Ken is は不可なのに、なぜ … than Ken is が容認されるのか?
  • He is taller than I am / me / I. はいずれも文として容認される。事実、多くの参考書は「than I はふつう、than me はくだけて、than I はかたい」と説明している。しかし、文体の違いはともかく、構造的な違いは何か? なぜ、than の後に I am, me, I といった異なる要素を使用できるのか?
  • 英語の長文を読んでいると … than was expected. のような文をよく見かける。これは一体何なのか? 意味は単語から予想できるが、自分で英作文をする時、こうした英文を正しく書けるのか?

本記事は、上記のような学校文法で触れられない比較構文について、1つ1つを丁寧に検討し、それをわかりやすく伝えることを目的としている。

中上級以上の英語力を持っている方、一歩上の英語力を身に着けたい方、あるいは現場で英語を教える教員の方々に役立つと思う。

本記事を読めば、比較構文の正しい構造がわかる。リーディングで文が正確に読めるようになったり、ライティングで正しい文を書けるようになるに違いない。ぜひ最後までご覧いただきたい

1. 比較構文は節型と句型がある

英語の比較構文は、大きく分けて、節による比較構文と、句による比較構文の2種類があると考えて良い。

節による比較構文とは、than(あるいはas)以下が、潜在的に節(S V …)になっているものである。次の例文(冒頭の例の再掲)を見てみよう。

  • (1) Bob is taller than Ken is.
    (ボブはケンより背が高い)

この文において比較されているのは、「ボブの背の高さ(x センチメートル)」と「ケンの背の高さ(y センチメートル)」である。ボブはケンより背が高いため、x>y の関係が成り立つ。

私たちの直感では、Bob is taller than Ken is tall. と言えそうである。しかし、英語では「y センチメートル」に当たる部分は必ず省略しなくてはならない。… than Ken is tall. は不可で、… than Ken is. のように省略する結果、(1)の文ができあがる。

このように、省略がありつつ、than(あるいはas)以下が潜在的に節の構造になっているのが、節による比較構文である。

次に、句による比較構文を考えてみよう。

  • (2) It’s more than a kilometer to the airport. (空港までは1キロを超える)

この文では、空港までの距離が1キロメートルを超えると述べられている。

more than は数量をあらわす語句の前について「…より大である」と言っているだけで、節が省略されているわけではない。

このように、than(あるいはas)以下が潜在的に節の構造になっていないものが、句による比較構文である。

これまでの議論をまとめると、次の表のようになる。

節による比較構文Bob is taller than Ken is.
句による比較構文It’s more than a kilometer to the airport.

これら比較構文は、その構造によってさらに細かな分類がある。以下、使い方を1つずつ見ていこう。

専門用語の解説

専門用語について整理したい。Bob is taller than Ken is. という文がある時、Bob is taller を主節、than Ken is を比較節という。比較級は形容詞を比較する際の形で、この例であれば taller は tall の比較級である。as tall as のように同等比較をあらわすものもある。比較構文はこうした比較(同等比較を含む)によりあらわされるものを指す。

2. 節による比較構文

節による比較構文では、than以下の要素の省略の仕方によって、2つの種類にわかれる。

1つは、要素の省略が義務的なもので、これは本記事で「taller than Adam is のタイプ」と「The lake is deeper than the river is wide.のタイプ」と呼ぶ2つに相当する。

もう1つは、要素の省略が随意的なもので、これは本記事で「than Peter does のタイプ」、「than Lily bananas のタイプ」、「than Tom did beer のタイプ」、「than I thought のタイプ」、「than to Jane のタイプ」と呼ぶ5つに相当する。

義務的taller than Adam is のタイプ
The lake is deeper than the river is wide.のタイプ
随意的than Peter does のタイプ
than Lily bananas のタイプ
than Tom did beer のタイプ
than I thought のタイプ
than to Jane のタイプ

以下、1つずつ説明したい。

2.1. taller than Adam is のタイプ

  • (3) John is taller than Adam is.
    (ジョンはアダムより背が高い)
  • (4) Paul has more friends than Peter has.
    (ポールはピーターよりたくさんの友だちがいる)
  • (5) They are more afraid of us than we are of them.
    (彼らは私たちが彼らを恐れているよりももっと私たちを恐れている)
  • (6) Mary has as many books as Lucy has.
    (メアリーはルーシーと同じくらい本を持っている)

taller than Adam is のタイプでは、比較節内の対応する要素は必ず省略される。また、他にも同一の要素がある場合、省略される。

上記の例文は、対応する要素が省略された後の形である。このタイプについて理解するため、対応する要素を “___” であらわし、省略前の形を復元すると、以下のようになる。

  • (3′) John is taller than Adam is ___.
  • (4′) Paul has more friends than Peter has ___.
  • (5′) They are more afraid of us than we are ___ of them.
  • (6′) Mary has as many books as Lucy has ___.

(3)では、___ に意味的に相当するのはアダムの背の高さである。ただ、___ は義務的に省略されるので、… than Adam is となる。

(4)では、___ に意味的に相当するのはジョンに友だちがいることである。ただ、___は義務的に省略されるので、… than Peter has となる。

(5)では、___ に意味的に相当するのは話し手たちが彼らを恐れていることである。ただ、___ は義務的に省略されるので、… than we are of them となる。

(6)では、___ に意味的に相当するのはルーシーが本を持っていることである。ただ、___ は義務的に省略されるので、as Lucy has となる。

John is taller than Adam is. と John is taller than Adam. の違い

John is taller than Adam is. は上記に述べたように、than Adam is ___ に省略が起きたものである。一方、John is taller than Adam. は than を前置詞として、Adamがその目的語になっている。これら2つの文の意味はほぼ同じだが、こうした構造的な違いがある。… than Adam については、この後『3.2. taller than Adam のタイプ』で説明する。

2.2. The lake is deeper than the river is wide.のタイプ

  • (7) The lake is deeper than the river is wide.
    (その湖の深さの方がその川の幅より大である)
  • (8) Adam has more enemies than he has friends.
    (アダムに敵がいることが友だちがいることよりも大である)
  • (9) My mother drives as carelessly as I drive carelessly.
    (母は私が不注意な運転をするのと同様に、不注意な運転をします)

The lake is deeper than the river is wide.のタイプでは、主節と比較節において、比較の尺度が異なる際、比較節内の対応要素が省略されるものを言う。

上記の例文について、対応する要素を “___” であらわすと、以下のようになる。

  • (7′) The lake is deeper than the river is ___ wide.
  • (8′) Adam has more enemies than he has ___ friends.
  • (9′) My mother drives as carelessly as I drive ___ carelessly.

(7)では、「湖の深さ」と「川の幅」が比較され、「湖の深さ」がより大であると言っている。湖(the lake)と川(the river)は異なる尺度のため、省略されずに残る。同様に、深さ(deep)と幅の広さ(wide)も異なるため、省略されずに残る。

(8)は敵(enemies)の数と友だち(friends)の数が比較されている場合である。moreはこれら複数形の名詞を修飾する形容詞となる。

(9)のように as…as 構文でもこの規則は適用される。

2.3. than Peter does のタイプ

  • (10) Paul has more friends than Peter does.
    (ポールはピーターよりも多くの友人がいる)
  • (11) Nancy has been getting better marks than Sonia has (been).
    (ナンシーはソニアよりも良い成績を得ている)

than Peter does のタイプでは、助動詞の右側にある動詞句が、文中の別の動詞句と同一の際、省略されるものである。省略の後、助動詞が残置される。

(10)では、than 以下において have(has)が省略され、代わりに助動詞 does が残置されている。尚、この例の have(has)は助動詞ではなく、動詞である。

(11)のように助動詞に相当する要素が連続する場合、1つ、または複数の要素が省略される。この文では、than Sonia has been. と than Soinia has. のいずれも可。

(4) Paul has more friends than Peter has. と (10) Paul has more friends than Peter does. は一見類似しているが構造が異なる。(4)は「taller than Adam is のタイプ」で、than Peter has ___ の省略から作られている。一方、(10)は「than Peter does のタイプ」で、動詞have(has)が省略され、do(does)が残ったものである。

2.4. than Lily bananas のタイプ

  • (12) Daisy ate more apples than Lily bananas.
    (デイジーはリリーがバナナを食べたよりも多くのリンゴを食べた)

than Lily bananas のタイプでは、比較節内の動詞が省略され、2つ以上の要素が残る。

(12)では、動詞 eat(過去形では ate)が省略され、Lily(リリー)と bananas(バナナ)の2つの要素が残っている。

2.5. than Tom did beer のタイプ

  • (13) Susan drank more wine than Tom did beer.
    (トムがビールを飲むよりスーザンは多くのワインを飲んだ)
  • (14) Ken doesn’t understand me as well as I do him.
    (私がケンを理解しているほどケンは私を理解していない)

than Tom did beer のタイプは、「than Peter does のタイプ」に「than Lily bananas のタイプ」を重ね合わせたものである。

すなわち、比較節内の動詞を省略し、助動詞要素を残置しつつ、2つ以上の要素を残す。

(13)では、drink(過去形drank)が省略され、助動詞 did を残している。また、Tom と beer の2つの要素も残されている。

(14)では、understand が省略され、助動詞 do を残している。また、I と him の2つの要素も残されている。

than Tom did beer タイプの複雑な例

もう少し複雑な例を考えてみよう。John gave many more cookies to Mary than he gave candies to her. に本規則が適用されると、動詞 give(文中では過去形 gave)が省略され、助動詞 did が残置される。また、対照となる要素(candies)が残り、対照とならない要素(to her)が省略される。結果、John gave many more cookies to Mary than he did candies. の文が得られる。

2.6. than I thought のタイプ

  • (15) Brenda is more intelligent than I thought.
    (ブレンダは私が考えていたより賢かった)
  • (16) More men came to the party than was expected.
    (予想以上に多くの男性がパーティーに来た)

than I thought のタイプでは、比較対象を含む節全体が省略される。

上記の例文について、対応する要素を復元し、それが省略された形を “_” であらわすと、以下のようになる。

  • (15′) Brenda is more intelligent than I thought that she is ___.
  • (16′) More men came to the party than it was expected that ___ men came to the party.

(15)は節全体が省略された結果、I thought だけが残っている。

また、(16)も同様に、節全体が省略された結果、was expected が残っている。

(15)で than の後ろの動詞の数が was(単数形)になっている点に注意しよう。これは、省略されているのは men(男性たち)ではなく、it に導かれる節全体、すなわち that 以下であるからに他ならない。

2.7. than to Jane のタイプ

  • (17) John wrote more letters to Mary than to Jane.
    (ジョンはジェーンよりもメアリーに多くの手紙を書いた)
  • (18) It is better to try and fail than not to try at all.
    (まったく挑戦しないより、挑戦して失敗するほうがいい)

18: The Cambridge Grammar of the English Language

than to Jane のタイプでは、対比される要素を残し、重複する残りの要素を省略する。

(17)は前置詞句(to Jane)、(18)は不定詞節(not to try at all)が残った例である。

than to Jane のタイプの作り方

構造をより理解するため、(17)がどのような過程で作られるか考えてみよう。

1. John wrote more letters to Mary than he wrote to Jane.
2. John wrote more letters to Mary than he did to Jane.
3. John wrote more letters to Mary than to Jane.

1は元の形、2はそれに「than Tom did beer のタイプ」の規則によりwroteを省略しdidを残置したもの、そして3は「than to Jane のタイプ」の規則によりhe did を省略したものである。

3. 句による比較構文

句による比較構文とは、than以下の要素が句になっているものを言う。

以下、4つのタイプについて説明したい。

3.1. more men than women のタイプ

  • (19) More men than women came to the party.
    (パーティーには女性より男性のほうが多く来ていた)
  • (20) Smith sent more flowers to Susan than to Mary.
    (スミスはメアリーよりもスーザンに花を多く送った)

more men than women のタイプでは、対応する節の比較が存在しない。

(19)は than の後ろに名詞句、(20)は前置詞句を取る例である。

並列句比較構文における than の品詞

並列句比較構文において、than の品詞は前置詞ではなく、等位接続詞と考える立場がある。この考え方に従えば、(20)のように than の直後に前置詞句をとる場合を説明できる。

「対応する節の比較が存在しない」について補足的な説明をしたい。例えば、(19)では *More men than women came to the party came to the party. のようには言えない。なぜなら、[more men than women] は節を省略したものではなく、はじめからこの形であらわれているからである。

3.2. taller than Adam のタイプ

  • (21) John is taller than Adam.
    (ジョンはアダムより背が高い)
  • (22) Linda is as tall as Karen.
    (リンダはカレンと同じくらい背が高い)

taller than Adam のタイプでは、than(あるいはas)が前置詞となり、直後にその目的語をとる。

(21)は than による比較級、(22)は as … as による同等比較の例である。

than me と than I はどちらが自然か

He is taller than me.のように、than 後に目的格の代名詞を使う場合、thanは前置詞と考えてよい。一方、He is taller than I.のように、than 後に主格の代名詞を使う場合、これは than I am の省略であり、したがって than は接続詞と考えられる。文体という点では than me のほうが普通。

とはいえ、taller than Adam のタイプについて、than(as)を接続詞と前置詞のどちらとみなすかは論争がある。これを「taller than Adam is のタイプ」に「than to Jane のタイプ」の規則を適用させると考えれば、than(as)は依然として接続詞である。一方、taller than Adam の形がはじめからあらわれると考えれば、than(as)は前置詞となる。本記事は学習上の観点から、taller than Adam のタイプは than(as)を前置詞と考える立場をとる。

3.3. more enemies than friends のタイプ

  • (23) Adam has more enemies than friends.
    (アダムは友だちよりも敵のほうが多い)

more enemies than friends のタイプでは、比較級の形容詞に修飾された名詞が、than+名詞句(あるいは as+名詞句)を従える構造になる。

(23)では、比較級の形容詞 more が、名詞 enemies を修飾し、それが than friends を従えている。

(8) Adam has more enemies than he has friends. と (23) Adam has more enemies than friends. は一見類似しているが、その構造が異なる。(8)は [Adam has x enemies]と [he has y friends] いう異なる尺度が比較されているが、(23)は [more enemies] が [than friends] を従える形になっている。

Mary found a better solution than John’s.(メアリーはジョンのものより良い解決策を見つけた)において、John’sは a better solutionと対応している。よって、A better solution than John’s was found by Mary. と受動態も可。

3.4. taller than six feet のタイプ

  • (24) Joe is taller than six feet.
    (ジョーは身長が6フィートより高い)
  • (25) James is as tall as six feet.
    (ジェームズは身長が6フィートもある)

taller than six feet のタイプでは、than の後に長さ、速さ、頻度などの数量があらわれる。

(24)は than、(25)は as… as が使われている例である。

注: 1フィートは約30センチメートル。6フィートは約182センチメートル。

4. その他の比較構文

その他の比較構文について、説明していきたい。

4.1. more angry than sad のタイプ

  • (26) Ken is more angry than sad.
    (ケンは悲しんでいるというより怒っている)

more angry than sad のタイプは、more A than Bの形で「BよりむしろA」の意味をあらわすものである。

(26)は「sad(悲しい)よりも angry(怒っている)」と解釈される。

このタイプは、以下のように rather than を使った場合と、ほぼ同義になる。

  • (26′) Ken is angry rather than sad.
    (ケンは悲しんでいるというより怒っている)

尚、more angry than sadのタイプ(「メタ言語比較」とも言う)は別記事で詳しく解説している。より深く知りたい方は、下記リンクを参照願いたい。

>> 英語のメタ言語比較とは? more A than Bの使い方を詳しく説明

4.2. more than angry のタイプ

  • (27) Paul is more than angry.
    (ポールは怒っているなんてもんじゃない)
  • (28) Joe is more than six feet tall.
    (ジョーは身長が6フィートを超えている)

more than angry のタイプでは、more than(あるいは less than)が副詞のように用いられ、形容詞を修飾する。

(27)の more than angry は「怒っているなんてもんじゃない(= not just angry)」と解釈される。

(28)は more than が副詞のような役割にて、six feet tall((身長が)6フィート)を修飾している。

(24) Joe is taller than six feet. と (28) Joe is more than six feet tall. は一見類似しているが、その構造が異なる。(24)の than は前置詞で、six feet をその目的語としてとる。一方、(28)は more than が副詞的に使われている。

5. まとめ

この記事では、英語の比較構文について詳細を解説してきた。

内容をまとめると次のようになる:

  1. 比較構文は既存の文法知識で解釈できないことが多い
  2. 比較構文は節型と句型がある
  3. 節による比較構文は多くの場合、要素の省略が起こる
  4. 句による比較構文ははじめからその形であらわれる
  5. その他の比較構文もある

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