英語の倒置はなぜ起こる?全15種類の使い方をわかりやすく説明

英語の倒置

英語の倒置とは「主語+動詞」が「動詞+主語」の語順に変わることを指す。

例えば、He enjoyed the movie, and so did I.(彼は映画を楽しみましたし、私もそうでした)では、本来の語順はI did so(S+V)だが、倒置によってso did I(V+S)に変化している。

倒置は英文法の中でも複雑な分野の1つである。英語を学習中のあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?

  • そもそも倒置とは何…?
  • 倒置はなぜ起こるのか…?
  • 倒置の文の見分け方、訳し方を知りたい…

そこでトイグルでは、英語の倒置について詳細を解説していく。

この記事を読めば倒置の仕組みがわかる。そして、読解力や英作文能力の向上を実感できるに違いない。

*目次

1. 倒置は「S+V」が「V+S」の語順に変化すること

英語の文は通常、「主語 (S) +動詞 (V)」の語順で使われる。これを何らかの理由で「動詞 (V) +主語 (S)」に変化することを倒置と言う。

倒置:「主語+動詞」が「動詞+主語」になること

例を見てみよう。次の2つの文には、どのような違いがあるだろうか?

  • (1) You are a student. (あなたは学生です)
  • (2) Are you a student? (あなたは学生ですか)

(1)は平叙文である。倒置は起きておらず、語順は「主語(You)+動詞(are)」となっている。

一方、(2)は疑問文である。倒置の起きており、語順は「動詞(are)+主語(You)」と変化している。通常、英語は疑問文を作る時、主語と動詞の倒置が起こる。

少し複雑な例を見てみよう。あなたは次の文をどのように解釈するだろうか?

  • (3) You don’t know what people are talking about, nor are you trying to understand it either. (あなたは人々が何について話しているか理解していないし、理解しようともしていない)

倒置が起きているのはnorに続く節である。もとは「主語+動詞」の節が、norを文頭に置くことで、「動詞+主語」の語順に変化している。

  • you are trying to …
  • nor are you trying to …

そもそも、英語において倒置はなぜ使われるのだろうか? その理由は「文法上必要な倒置」と「意味内容を強調するための倒置」の2つに分けられる。

文法上必要な倒置とは、疑問文やnorを使った節のように、ある構造を作り出すため、倒置が義務的に求められるものを指す。

一方、意味内容を強調するための倒置とは、文法的には必ずしも倒置にする必要はないが、倒置によってその部分を文の「焦点」にすることで、結果的に強調をするというものである。

「文法上の倒置」と「強調のための倒置」を一覧にすると次のようになる。

英語の倒置

以下、1つ1つの用法を説明していこう。

倒置の知識が英語学習に役立つ理由
倒置は話し言葉よりも書き言葉で用いられることが多い。とりわけフォーマルな文体で用いられる。倒置の知識があれば高度な英文を読み書きできるようになる。一歩上の英語力を求めるなら、倒置について理解度をぜひ深めておきたい。

2. 文法上の倒置

文法上の倒置は、ある文を作り出すため、義務的に発生する倒置を指す。文法上の倒置には強調の意味はない。

文法上の倒置は疑問文、仮定を表すif節の省略、asやthanなどの接続詞による節、so/neither/norで始まる節、There構文、祈願文がある。

2-1. 疑問文

  • (4) Am I right? (合っていますか)
  • (5) Did you ever burn your hand while cooking? (料理中にやけどをしたことはありますか)
  • (6) Where did you get the bottle? (そのボトルをどこで手に入れたのですか)

疑問文は主語と助動詞(be動詞)を倒置させることによってつくる。

(4)はbe動詞を使った疑問文の例である。be動詞を使用する場合、主語とbe動詞を倒置させればよい。

(5)は一般動詞を使った疑問文の例である。一般動詞の場合、助動詞と主語の倒置が起こる。(6)のように疑問詞を用いることもある。

間接疑問文で倒置が起こることがある
間接疑問文はS+Vの語順になることが普通だが、場合によってV+Sになることがある

2-2. 仮定を表すif節の省略

  • (7) Should you have any questions, please do not hesitate to contact us. (質問があれば遠慮なくご連絡ください)
  • (8) Had it not occurred, the timing of the explosion would have been different. (それが起こらなければ、爆発のタイミングは異なっていただろうに)
  • (9) Were I you, I would not worry. (私があなたなら心配しません)

仮定をあらわす条件節において、ifが省略されると、義務的に倒置が生じる。省略が起こる場合は主に、条件節内にshould/had/wereが含まれている場合である。

ifを復元して書き直すと以下のようになる。

  • (7′) If you should have any questions, please do not hesitate to contact us.
  • (8′) If it had not occurred, the timing of the explosion would have been different.
  • (9′) If I were you, I would not worry.

ifの省略が起こるのはフォーマルな文体に多い。

Should you have any questions...はTOEICにも頻出
Should you have any questions…で始まる文はTOEIC試験にも頻出する。受験予定のある方はぜひ覚えておきたい。

2-3. asやthanなどの接続詞を使った節

  • (10) People who hold positive views are happier than are those who are more realistic. (楽観的な見解を持っている人は現実的な人よりも幸福である)
  • (11) His two sons agree, as does his mother. (彼の2人の息子も母親も同意しています)
  • (12) The longer they looked, the more did the couple feel interested in the unknown youth. (見れば見るほど、そのカップルは未知の若者に興味を抱いた)

asやthanなどの接続詞を使った節において、倒置が生じることがある。

(10)は接続詞thanを使った文である。than are those…のように、主語とbe動詞の語順が転倒している。

(11)は接続詞asを使った文である。as does this mother(agrees)のように、主語と助動詞の語順が転倒している。

(12)のように「the+比較級, the+比較級」の文で倒置が起こることもある。

2-4. so, neither, norで始まる節

  • (13) “They are very angry.” “So am I.” (「彼らはとても怒っています」、「私もそうです」)
  • (14) “He doesn’t accept the offer.” “Neither do I.” (「彼はその申し出を受領しません」、「私もしません」)
  • (15) She didn’t see anyone, nor did she hear it. (彼女は誰も見ていないし、何も聞いていない)

so、neither、norが文頭に置かれると、主語と動詞の倒置が起こる。soは肯定、neitherとnorは否定の文脈で用いる。

2-5. There構文

  • (16) There is nothing to do. (何もすることがない)
  • (17) There came a night of snow. (雪の夜がやってきた)

There構文(存在のthere)では、形式上の主語はThereだが、意味上の主語は動詞の後の名詞である。そのため、動詞と意味上の主語が倒置されていると考えて良い。

(16)はbe動詞、(17)は一般動詞を使った例である。

There構文の詳しい使い方
There構文の詳しい使い方は別記事で解説している。より深く知りたい方はご覧いただきたい。

2-6. 祈願文

  • (18) May all of your wishes come true. (あなたの願いが叶いますように)

祈願文は「…でありますように」の意味で、話し手の願いを伝える文である。古風な文体と見られがちだが、現代英語でも、フォーマルな文章で用いることがある。

3. 強調のための倒置

強調のための倒置は、文構造上必須ではないものの、ある要素を強調するために起こる。

強調のための倒置は、否定の意味を持つ要素、補語になる形容詞、比較を表す形容詞句、so…thatやsuch…thatなど、副詞的修飾語句、場所や方向を表すhere/there、動詞の分詞形に導かれた句、直接話法の伝達部、感嘆文などで用いられる。

3-1. 否定の意味を持つ要素

  • (19) Never had the house been kept so clean. (この家がこんなにきれいだったことはない)
  • (20) Seldom have I had a bad experience. (悪い経験をしたことがほとんどない)
  • (21) Under no circumstances should anyone consume alcohol while driving. (どのような状況においても、運転中にアルコールを摂取してはならない)
  • (22) Not a single word did she say. (彼女は一言もいわなかった)

強調のため、否定の意味を持つ要素が文頭に置かれることがある。この場合、主語と動詞の倒置が起こる。

(19)はnever(決して…ない)、(20)はseldom(ほとんど…ない)が文頭に置かれた場合である。(21)のunder no circumstances(どのような状況においても…ない)のように、前置詞を用いた否定の句が文頭にあらわれることもある。

(22)のように目的語が文頭に置かれても、否定の要素を伴っていれば、倒置が起きる。

3-2. 補語になる形容詞

  • (23) Available is a double bedroom. (ダブルのベッドルームが利用できます)
  • (24) Certain it is that both of them will agree. (両者が同意することは確かです)

SVCの文において、強調のため、補語の形容詞が文頭に置かれることがある。

(23)のように名詞が主語の場合(この例文ではa double bedroomが主語)、主語と動詞の倒置が起こる。

(24)のように代名詞が主語の場合、主語と動詞の倒置は起こらない点に注意したい。例文のCertain it is…は「主語+動詞」の語順である。

尚、倒置の構造がわかりづらい場合、文を元の形に戻してやれば良い。

  • (23′) A double bedroom is available.
  • (24′) It is certain that both of them will agree.
補語の前置は前出の要素との関連が必要
言うまでもなく、形容詞が補語の文はSVCの語順がふつうである。(23)のように補語の形容詞を文頭に置くのは、既出の情報と何かしら関連するからである。

3-3. 比較を表す形容詞句

  • (25) More important is the environment. (より重要なのは環境です)
  • (26) Most surprising of all was that there is no free Wifi. (もっとも驚くべきことは無料wifiがないことです)
  • (27) Just as surprising was much weaker wage inflation. (驚いたのは、賃金の上昇がはるかに弱かったことだった)

比較を表す形容詞句が文頭に置かれる場合、主語と動詞の語順が入れ替わる。

(25)は比較級、(26)は最上級、(27)はasを使った同格の表現である。

3-4. so…thatやsuch…that

  • (28) So shocked were we that we stopped talking. (私たちはとてもショックを受けたので話すのを止めた)
  • (29) Such was the success of his book that he went on to produce many more editions. (彼の本はとても成功したのでより多くの版をつくった)

so … that …(とてもAなので…だ)やsuch … that …(とてもAなので…だ)などの構文では、soやsuchを文頭に置き、主語と動詞を倒置させることがある。

3-5. 副詞的修飾語句

  • (30) Well do I know the road. (この道をよく知っている)
  • (31) Often had I wondered at his silence. (彼の沈黙についてしばしば不思議に思った)
  • (32) Up went the volume. (ボリュームが上がった)
  • (33) On the right is the old church. (右手にあるのは古い教会です)

副詞的修飾語句が文頭に置かれると、主語と動詞の倒置が起こることがある。

こうした文体が用いられるのは、文に対して躍動感を与えるためである。副詞要素の前置がある場合と、前置がない場合を比較してみよう。

  • (33a) The old church is on the right. (古い教会が右手にあります)
  • (33b) On the right is the old church. (右手にあるのは古い教会です)

(33a)は「古い教会」の存在がはじめに意識され、それが右手にあるという解釈になる。一方、(33b)は「右手にある」という情報がはじめに与えられ、それが古い教会だと説明される。

3-6. 場所や方向を表すhere/there

  • (34) Here comes the train! (電車が来たよ!)
  • (35) There comes the wind and rain. (風と雨がやってきた)

場所や方向をあらわすhere(there)が文頭に置かれると、主語と動詞が倒置されることがある。

尚、主語が人称代名詞の場合、倒置は起こらない。以下の2つの例文はS+Vの語順になっている点に注意しよう。

  • (36) Here they come. (みんなが来たよ)
  • (37) There they come. (みんなが来たよ)

3-7. 動詞の分詞形に導かれた句

  • (38) Speaking at today’s event will be Anthony Kurta. (今日のイベントで話すのはアンソニー・クルーターです)
  • (39) Attached is a link to the video. (動画へのリンクを添付します)

動詞の分詞形に導かれる句が文頭に置かれると、主語と動詞の倒置が起こる。

(38)は現在分詞、(39)は過去分詞の例である。

Attached is...はビジネスシーン必須の表現
Attached is…はEメールでよく使われる表現である。ビジネス英語の習得を目指す方は覚えておきたい。

3-8. 直接話法の伝達部

  • (40) “Who’s next? ” asked Tom. (「次は誰?」とトムは尋ねた)

強調のため、直接話法の伝達部(セリフの部分)が文頭に置かれると、主語と動詞の倒置が起こる。

尚、主語が代名詞の場合、倒置は起こらない。次の例文はS+Vの語順になっている点に注意したい。

  • (41) “Who’s next? ” he asked. (「次は誰?」と彼は尋ねた)

3-9. 感嘆文

  • (42) What a great story is Cinderella! (シンデレラはなんて素晴らしい話なんでしょう)
  • (43) How beautiful is this flower! (この花はなんて美しいのでしょう)

感嘆文では主語と動詞の倒置が起こる。感嘆文は驚きをあらわすものなので、強調のための倒置が起こるのは意味的に自然である。

尚、こうした感嘆文はやや古風な表現とも言われる。

まとめ: 倒置を理解して読解力を上げる

この記事では、英語の倒置について詳細を解説してきた。

内容をまとめると次のようになる:

  1. 倒置は「S+V」が「V+S」に変化すること
  2. 文法上の倒置と強調のための倒置がある
  3. 文法上の倒置は疑問文、so/neither/norで始まる節などで起こる
  4. 強調のための倒置は否定の要素の前置などで起こる
  5. 倒置を理解すると複雑な文が読み書きできる

倒置は英文法の中でも難易度の高い項目の1つである。学習中、倒置について不明な点があれば、いつでもこの記事に戻ってきてほしい。きっと、あなたの求める答えが見つかるはずだ。

トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。

トイグル英文法 英文法まとめ!はじめて学ぶ英語文法の全知識

Good luck!

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