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現在、ビジネスパーソンにとって必須のスキルが英語力である。
外資系企業に勤めていれば、メールや電話会議などで英語を使う機会が頻繁にある。国内企業においても、TOEICスコアが人事評価に加点されるケースが増えている。
もはや、英語は限られた一部の人のみが使う特殊技能ではない。企業間競争がますます国際化する中、英語はあなたの人材価値を高める重要な指標となるだろう。
しかし、現実には英語学習に成功する大人は少ない。英語を勉強しているあなたは、次のような状態になっていないだろうか?
- 色々な英語勉強法を試してみたが、一向に成果が上がらない。
- TOEICスコアが上がるどころか下がってしまった。
- 英語の知識は増えたが、実際に英語を使えるようにならない。
このような状態になってしまう原因は単純で、英語学習のやり方が間違っているからである。正しい方法で十分な学習を行えば、目標を達成する英語力は必ず身につく。
実際、筆者は社会人向けTOEICスクールを運営しているが、TOEICリスニングセクションでほぼ満点を取った社会人学習者、3ヶ月間でTOEIC830点を取得した社会人学習者など、数々の成功事例を出してきた。
この記事ではトイグルが提唱する英語勉強法を紹介したい。英語学習の具体的な方法がわかり、今日からでも新たな勉強法を実践できるようになるだろう。
*目次
1. 英語学習のゴールは使える英語力を身につけること
私たちは英語をやり直すにあたって、何を目標に勉強すればいいのだろうか? 大人に必要な英語力とは何だろうか?
英語を使う場面は様々だが、ビジネスシーンに限定して言えば、英語学習のゴールは使える英語力を身につけることではないだろうか。
以下、その理由について議論していきたい。
1-1. いわゆる受験英語の勉強法
「使える英語」の重要性が叫ばれ、小学校から外国語の授業が行われるなどの変化が見られる今日だが、私たち大人が英語と聞けば、思い出すのがいわゆる「受験英語」である。
受験英語にも多様な形態があるが、典型的な特徴は次のとおりだ。
- 英単語を日本語訳との対応で暗記する
- 複雑で難易度の高いテキストを使用する
- 一言一句を日本語に訳しながら読解する
この「文法訳読方式」と呼ばれる学習方法は、海外の文献を読み込み、論文を発表するような研究者の育成には適している。大学はもともと学問を修める場所だから、これらが入学試験で問われるのは決して間違ったことではない。
一方、私たち大人の英語学習者が必要なのは、こうした受験英語的な知識ではない。私たちは今すぐTOEICスコアを取りたいし、今すぐ海外スタッフと英文チャットでやり取りができるようになりたい。
つまり、文法訳読方式そのものが否定されるわけではないが、大人に必要な学習方法は別にある。「自分が経験した方法と同じやり方で英語を学び直す」のは、失敗の元となるだろう。
1-2. 求められるのはコミュニケーションができる英語力
大人に求められる英語力とは英語コミュニケーション能力である。これは会話だけでなく、聞き取り、読解、英作文などのスキルを使用し、その場に必要なコミュニケーションを取れる力だ。
想像してみよう。あなたはある外資系企業の日本法人に務めている。今回、アメリカで開催される展示会で製品のデモンストレーションを行うことになった。
あなたはまず、展示会の申込みをする。幸いにして今はインターネットで予約ができるから、英語で電話をする必要はない。画面に会社の情報を英語で入力し、いくつかの英訳した資料を添付する。
展示会の前日に現地入りして、現地スタッフと英語で簡単な打ち合わせをする。当日、会場に着いたら英語の案内板を読んで受付を探す。申込みは事前に済ませてあるが、受付シートに滞在先のホテルなどの情報を英語で記入する。
来場者はアメリカ人ほか、中国人やアラブ人など様々で、使用言語は当然英語である。ソフトウェアの特徴を英語で説明し、質疑応答もその場で聞いて回答する。出展が終わったら見込み客に英文メールを送り、その後は現地スタッフと英語で会食を行う…
このように、英語を実際に使用する場面では、「スピーキングだけ」など部分的な英語スキルを使うことは稀である。求められるのはリスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの総合的な技能だ。
もちろん、使用頻度には程度の差がある。日本国内で業務を行うなら、話すことよりもメールやチャットのほうが多いだろう。
どちらにせよ、私たちに求められるのは英語を使って何かを行う能力である。英語ができるとは、英語について詳しくなることではなく、英語そのものが使えることを意味するのだ。
1-3. 正しい英語学習で得られる成果
正しい英語学習は結果に現れる。
次の3つの事例は、トイグルでTOEIC対策を学んだ受講者様の成功事例である。TOEICで基礎的な英語力を身に着け、現在は英語を使った夢を実現している。
2. あなたが取り組むべき英語学習の全体像
次に、英語学習の全体像について考察していく。
私たちの最終目標は使える英語力を身につけることだが、英語の達人が10人いれば、ほとんど10通りの「英語勉強法」が提唱される。
例えば、ある人は「文法を理解しなければ英語はできるようにならない」と言う。別の人は「英語は音が大事だから発音から練習すべき」と言う。何を信じればいいのだろうか?
結論的に言えば、外国語習得は母語、年齢、動機、環境などの影響が複雑に絡み合う結果だから、特定の勉強をすれば一定の成果が得られるといった保証はない。英語学習に成功した人でさえ、自分がどうやって英語を身に着けたかよくわかっていない。
しかし、英語力の全体像がわかれば、何が重要で何がそうでないか、学習の範囲を絞ることができる。
2-1. 英語学習の全体像
サンフランシスコ州立大学のDouglas Brown名誉教授は、言語能力を植物にたとえた。
トイグルではこれを英語学習に応用し、簡略化した図を使って説明していきたい。
(出典: Principles of Language Learning and Teachingから筆者が簡略化して作成)
2-2. 英語を運用する力
英語を運用する力とは、私たちが英語を実際に使用する力である。ここには4つの力がある。
*リスニング
リスニングは英語を聞いて内容を理解する力である。
リスニングには2つの状況がある。1つは相手の話を聞いた後、直ちに反応をする必要のないタイプのリスニングだ。TOEICの設問を解く、プレゼンテーションを聞く、多人数が参加する会議の発言を聞く、などが該当する。
もう1つは相手の話を聞いた後、即座の反応が求められるタイプのリスニングである。対面での会話、電話、少人数の会議などが該当するだろう。
TOEICリスニングセクションでスコアが取れても、実際の会話で聞き取りができないのは、即座の反応を求められるリスニングに慣れていない可能性が高い。英会話の練習を通じて養っていきたい。
*リーディング
リーディングは英文を読んで内容を理解する力である。
リーディングというと「長文読解」を想像することが多いが、道路標識やレストランのメニューなどの短文もリーディング学習の範囲である。
ビジネスシーンなら、Eメールやチャットを読むことが多い。TOEICでもリーディングはスコアアップにもっとも重要な能力の一つである。
*スピーキング
スピーキングは英語を話して相手とコミュニケーションをする力である。
日常会話はレストランでの注文、友人との雑談、パーティーでの会話など、インフォーマルな形式を指す。くだけた表現が多いため、文化的な知識が必要だ。
ビジネス英会話は、プレゼンテーションや会議などフォーマルな形式を指す。表現の丁寧さなど社会言語的な能力が要求される。
*ライティング
ライティングは英語を書いて相手とコミュニケーションをする力である。Eメールやチャットのほか、プレゼンテーション資料などもその範囲に含まれる。
ライティングはスピーキングと異なり、調べたり修正をしながら内容を構成できるのが特徴である。一方、些細な文法ミスが悪影響を与えるため、ライティングを身につけるにはある程度の練習期間が必要だ。
2-3. 英語の知識
英語を運用するには知識が必要である。英語には大きく5つの知識がある。
*単語力
使える英語を身につけるには、単語力が何よりも重要である。
単語の暗記は骨の折れる作業だが、少しずつ単語量を増やしていくのが王道だ。リーディングやリスニングなど、英語の使用を通じて単語を覚えることもあるので、英語に触れる機会を増やして語彙力を伸ばしていこう。
*文法力
英文法の学習範囲は広いが、文法は1つの項目が他と関連して作用するので、使える英語のためには全体の知識を身に着けたい。
例えば、「関係代名詞」だけを学んでも、動詞の知識がなければ文は読めない。関係代名詞と動詞のどちらか一方を勉強するのではなく、両方を広く学ぶことが望まれる。
*発音
一般に、大人の日本人がネイティブスピーカー並の発音を身につけるのは、不可能ではないが極めて困難である。
発音は相手に不快感を与えない程度のレベルを目指すのが現実的だろう。
*文化の理解
文化の理解は英語の運用に大きな影響を与える。
例えば、日本語の挨拶は「こんにちは」や「お疲れ様です」だが、英語では挨拶でHow are you doing? (調子はどう?)と尋ねて、少々の雑談を行うのが一般的である。
挨拶の作法を知らないと、なぜ調子について尋ねられるのかわからず固まってしまう。他にも、日本語特有の文化、英語特有の文化があるから、これらの知識はコミュニケーションに必須である。
*その他の知識
その他の知識として次のようなものがある。
- 意味論: 意味を解釈する力。
- 語用論: 場面や状況からメッセージを解釈する力。
- ストラテジー: 発音しにくい語句を別の語句で言い換えるなど、コミュニケーションを円滑にする力。
2-4. 目的に合わせた個別の学習方法
資格試験を受験する場合、英語力に加えて試験のノウハウも必要な要素となる。
*TOEIC
TOEIC(トーイック)は日本でもっとも人気な資格試験の1つである。TOEICスコアを目指して英語を学習する人は多い。
TOEICはリスニングとリーディングの二科目の試験なので、ライティングやスピーキングは試験では問われない。TOEICで基礎的な英語力を身に着けた後、ライティングやスピーキングに移行すると良いだろう。
*TOEFL
TOEFL(トーフル)は英語圏の大学・大学院に留学をするのに使われる試験である。
TOEFLはリスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの四科目で構成され、アカデミックな内容が多い。アメリカのMBAに留学するなら、TOEFLを受験することになるだろう。
*IELTS
IELTS(アイエルツ)も英語圏の大学・大学院に留学をするのに使われる試験である。IELTSはイギリスの大学で採用されることが多い。
IELTSもリスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの四科目で構成され、アカデミックな内容が中心である。イギリスのMBAに留学するなら、IELTSを受験することになるだろう。
2-5. 英語は段階的に学習する
このように、英語学習とは様々な知識・能力の組み合わせを指す。使える英語のためには総合的な学習が必要だ。
ただ、英語初心者の方がはじめからすべてを行うのは難しい。現実的には、以下のような段階的な学習が望まれるだろう。
- ビジネス英語: TOEICでリスニング・リーディング・単語・文法の基礎知識を習得し、その後スピーキングやライティングを加えた学習に発展させてゆく。
- 日常英会話: 英会話学校でスピーキングと発音の指導を受けつつ、市販の教材でリスニング・単語・文法を学習する。
- MBA留学: TOEFLあるいはIELTSの通過を目指す。その後、経営学の洋書を読んで事前知識を習得する。
場面に特化した英語力、例えば英文メールの書き方などは、市販の参考書が有効である。大型書店に行けば様々な教材があるから、目的に合ったものをやってみよう。
- 間違いを恐れるから英語を話せない。
- 読めない英語は話せない。
- 子供は読めなくても話せる。
- 文法ばかり勉強するから英語が話せない。
- 文法なしに良い英語は身につかない。
- ネイティブスピーカーは文法を知らない。
- 正しく発音しなければ良い英語ではない。
- カタカナ英語でも伝えることが大切。
- 日本語と英語は音の周波数が異なる。
- 聞き流すだけで英語が話せるようになる。
3. 今日から実践できる英語勉強法10選
今までの議論で、英語には様々な能力が必要であることがわかった。
ここから、英語学習は特定の一つの方法で済むものではなく、複数の方法を組み合わせて行うのが効果的であるとの結論に到達する。
それでは、私たちはどのようにして英語を勉強すればいいのだろうか? 具体的な10の方法を説明しよう。
3-1. アルファベットを覚える
英語のやり直しをする人にとって、最初に学習をすべきはアルファベット(ローマ字)である。
アルファベット表を使って、書き方と発音を覚えよう。
3-2. スマートフォンアプリで英語に慣れる
現在、英語学習のできる優れたスマートフォンアプリがリリースされている。
アプリはゲーム感覚で英語を勉強できるほか、電車内などスキマ時間を活用できる。これから英語を始める人は、アプリで英語に慣れるところからやってみよう。
3-3. 英単語ノートで語彙力をつける
英単語を覚えるとは、語句の意味だけでなく、スペルや発音などの形、他の語句との使われ方など、様々な知識を得なければならない。
トイグルが作成した単語ノートは、これら英単語に関する知識を1枚の用紙にまとめられる。英単語ノートを作るプロセスそのものが単語学習になるため、初心者の方は単語ノートづくりからはじめてみてはいかがだろうか?
英単語ノートはこちらの記事からダウンロードできる。
3-4. 音読で英文解析力を上げる
音読とは英文を声に出して読む勉強法である。
音読を行うことで、英語の文字の識別能力が上がる。結果、英語の文章をスムーズに読めるようになる。
音読は次の5つの手順で行おう。
- 教材を入手する
- 英文の内容を理解する
- 音声を聞いて単語の読み方を知る
- 音読を行う
- 課題を見つける
3-5. スラッシュリーディングで読解力を高める
スラッシュリーディングとは、英語の文にスラッシュ(/)を入れながら読む勉強法である。
スラッシュリーディングは英語初心者の方に適している。英文の構造を把握できるので、リーディング力の向上が期待できる。
例を見てみよう。
- I / can’t believe / that / he’s / only 17.
スラッシュを入れる位置は、意味が大きく区切れる点である。手持ちの教材を使い、ぜひやってみてほしい。
3-6. ディクテーションで聞き取りの正確さを上げる
ディクテーションとは、英語の音声を書き取る勉強法である。
ディクテーションの狙いはリスニングの正確性を養うことである。音声の書き取りを通じて、英語の音を正しく判別できるようになる。
例を見てみよう。
ディクテーションは市販のTOEIC問題集やYouTube動画を使えばすぐにできる。聞き取りに苦戦している人はやってみてほしい。
3-7. 多読で英語をインプットする
多読とはたくさんの英語の本を読む学習法を指す。
多読で使用するテキストは難易度が低めのものが良い。知らない単語がほとんど出現せず、スラスラと読め進められる本が望ましい。分厚い本である必要もなく、薄くて読みやすい本で構わない。
本の内容は必ずしも「お勉強」的なものである必要はない。自分の趣味、好きなこと、ゴシップ、その他興味を持って読み進められるなら何でも良い。日本語の本を読む時と同じ感覚で、娯楽として英語の本を読む。
多読中に辞書を使って意味を調べたり、文法構造を分析する必要はない。わからない箇所は飛ばして読み進め、本の大意を理解する。読書中につまらないと思ったら、その本を読むのを止めても構わない。
多読は『ラダーシリーズ』などの多読用教材が有効だ。リーディングだけでなくライティングやスピーキング力の向上にもつながる。
3-8. YouTube動画で生の英語を聞く
YouTubeなどの動画配信サービスを利用すれば、英語圏で発信されている情報を無料で視聴できる。
*大学の講義
大学の講義は多聴に最適な教材だ。講義は話す速度がゆっくりで、カジュアルな表現が少なく、特定のテーマに沿った内容が話されるので、理解しやすい。
*日本文化の紹介
海外の方が作った日本文化の紹介は、私たち日本人にとっても興味深いものである。日本に関することは事前知識があるので、内容を理解しやすい。
*スピーチ
スピーチも多聴に適した題材である。スピーチは往々にしてゆっくり丁寧に話し、内容が一貫しているため、聞き取りやすい。
3-9. シャドーイングで英文処理能力をつける
シャドーイングとは英語の音声を聞きながら口ずさむ練習法である。
シャドーイングはリスニング力向上に効果がある。文章を見ないで英語を口にするため、音を識別する能力と、英語を短期的に記憶する能力が上がる。
シャドーイングのやり方は実際の例を見るとわかりやすい。次の動画を観てみよう。(7:16から再生)。
シャドーイングは専用教材が発売されているが、TOEIC問題集やYouTube動画でもできる。気に入った音声で練習しよう。
3-10. Skype英会話でスピーキングを練習する
現在、Skypeなどのオンラインで英会話ができるサービスが増えている。スマートフォン一つあれば受講できるため、会話の練習をしたい方はぜひとも活用されたい。
まとめ: 圧倒的な英語力を身に着けよう
この記事では、社会人の英語勉強法について解説してきた。
内容をまとめると次のようになる。
- 英語力はビジネスパーソンに必須のスキル。
- 大人に必要なのは使える英語力。
- 英語力は運用と知識の2つの側面がある。
- 段階的に学習を行う。
- 複数の英語勉強法を組み合わせて行う。
筆者は日本で生まれ育ち、学生時代はいわゆる「学校英語」のもとで学習をした。会社務めを経た後、ふとしたきっかけでイギリスの大学院に留学。経営学と応用言語学の修士号を取得した。
留学中の課題は常に英語力にあった。はじめは英語が聞き取れず、恥ずかしい思いをたくさん経験した。英語にある程度慣れたら、次は思うように話せないことにフラストレーションを感じ、会話や発音の練習を行った。
大学院ではレポートの提出があるため、大量の英文を読んで大量の英文を書く毎日だった。単語や文法の知識も独学で学び直し、英語という言語の面白さを知った。
こうした経験から、筆者は「英語を学ぶのは決して簡単ではない。しかし、諦めずに学習を続ければ、どんな人でも英語ができるようになる」と考えている。
私たちの時間は有限である。英語を学ぶのは、勉強をしなければできた他の余暇を諦めることで、英語学習をするという人生の選択である。
だからこそ、英語をやると決めたら本気で学習してほしい。そして迷った時はまたこの記事に戻ってきてほしい。あなたの答えがきっと見つかるはずだ。
Good luck!