英語がぐんぐん聞き取れるシャドーイングの実践方法

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

シャドーイングとは、英語の音声を聞きながら口ずさむ練習法である。

シャドーイングはリスニング力向上に効果がある。文章を見ないで英語を口にするため、音を識別する能力と、英語を短期的に記憶する能力が上がる。

実際、トイグルの主催するTOEICスクールはシャドーイングを取り入れたところ、TOEICリスニングセクションでほぼ満点を取った社会人学習者わずか1ヶ月半でTOEIC800点を超えた社会人学習者など、数々の成功事例を出してきた。

そこでトイグルでは、シャドーイングの効果と実践方法を説明していく。この記事を読めば、今日からでもシャドーイングを実践できるようになるはずだ。

1. シャドーイングがリスニング力向上に効果的な理由

私たちの英語リスニング力は、大きく分けて聞き取り力理解力の2つで構成されている。

聞き取り力とは、right(正しい)とlight(ライト)を区別できるような音の識別能力である。理解力とは聞き取った英文の単語や文法、あるいは状況や背景知識などから、意味を解釈をする力を指す。

聞き取りと理解はどちらか片方のみが行われるのではなく、英文を聞いた瞬間から、私たちの脳内で両方が同時に行われる。この時、音の識別ができずに「今の単語はrightとlightのどちらだろうか」と考えていれば、会話のスピードにたちまち置いていかれるだろう。

日本語と英語は音の構造が異なるので、特に大人の学習者は、英語を聞き取れるようになるには練習が必要である。英語が早口に聞こえてしまう最大の原因は、音の識別ができておらず、脳の処理が追いついていないからだ。

シャドーイングは、聞き取り能力を向上させるトレーニングである。シャドーイング中は英文の「意味」よりも「音」に意識を集中させられるので、英語の処理能力が高まり、リスニングができるようになる。

シャドーイングは日本国内を中心に、英語教育の分野でその効果が実証されている。日本人大学生40名を対象とした研究では、英会話の授業の一環として、週に1回のシャドーイングを5ヶ月間連続で行った。TOEIC Part2(短文穴埋め問題)を使ってリスニング力を測定したところ、学習者の多くに得点の向上が見られた。

とりわけ伸びが顕著だったのが、リスニングに苦手意識を持っていた初級レベルの学生たちだった。シャドーイングは上級者向けの学習法と思われがちだが、正しい方法で行えば、英語初心者にも効果があるのだ。

シャドーイングのルーツは通訳のトレーニング

シャドーイングはもともと通訳の練習として利用されていたが、近年になって一般の英語学習に応用されるようになった。

2. シャドーイングのやり方

シャドーイングのやり方は実際の例を見るとわかりやすい。次の動画を観てみよう。(7:16から再生)。

動画が観られない方、あるいは詳細な手順を知りたい方も心配は不要だ。以下、シャドーイングを行う5つの手順を説明しよう。

尚、ここで紹介する方法は、大人の学習者が独学で練習できるようアレンジしている。

手順1: 教材を準備する

シャドーイングを行うには英語の音声が必要である。

音声は市販の教材からYouTubeビデオまで、どのようなものであっても構わない。モチベーションを保って学習を進められるよう、興味のある話を選ぶと良いだろう。

音声のレベルは現在の英語力と同程度か、やや易しめなものを選ぶ。発話が速いと口が追いつかないので、スピーチなどのゆっくり話す題材が良い。

筆者はシャドーイングをするのに様々な教材を使ったが、変わったもので言えば、「What is Dropbox(ドロップボックスとは何か?)」のような企業の説明動画も使用できる。再生時間が短いのでシャドーイングに適している。

手順2: 音声を聞く

音声を用意したら、シャドーイングを行う前に、2回から3回程度音声をリスニングする。

目的は耳を慣らすためなので、内容の詳細まで理解する必要はなく、全体の雰囲気がわかれば大丈夫だ。

手順3: 意味を調べて英文を理解する

シャドーイングの最中に知らない単語が出現すると、私たちの意識は音の識別よりも意味の理解に回ってしまい、シャドーイングの目的である聞き取り能力の改善が実現しなくなる。そのため、英文の内容は事前に理解するのが望ましい。

市販の教材などで英文のスクリプト(文字起こし)があれば、知らない単語の意味を辞書で調べ、文全体の意味を理解しておく。時間があれば音読を行っておくと尚良い。

YouTube動画は字幕機能をオンにすれば、読まれる英文に目を通せる。ここでも同様に、意味を辞書で調べておくと良いだろう。

手順4: シャドーイングを行う

ここまで準備ができたら、実際にシャドーイングを行う。

音声が聞こえたら、一単語から二単語程度遅れて英文を口ずさむ。シャドーイングの目的は音声処理能力を上げることだから、英文の意味は気にせず、できる限り正しく復唱するようにする。

シャドーイングは暗唱と混同しないようにしたい。暗唱は英文を聞いた後に音声を止めて、暗記した英文を声に出すトレーニングである。対してシャドーイングは、音声を流しながらワンテンポ遅れで声を出す。

つまり、シャドーイングは声を出している最中に次の音が聞こえる同時進行のタスクである。発声中に次の音が覚えられない、あるいは音を聞くと発声ができないのは、脳の音声処理が間に合っていないおそれが強い。

逆に言えば、あなたの伸びしろはここにある。スムーズなシャドーイングは音の処理が自動化されている証拠だから、リスニング力が向上したと判断できる。

手順5: 次回学習への課題を決める

シャドーイングにはじめて挑戦する方は、英語を思うように声に出せず、悔しい思いをするだろう。ただ、はじめてのシャドーイングをいきなり成功させられる人はいない。同じ音声を2度・3度と繰り返し練習すれば、シャドーイングをできる感覚がつかめる。

シャドーイングを既に行った方は、進捗に応じて音声を変えてみよう。市販の教材を使っているなら、YouTubeでネイティブスピーカーが話している動画を使ってみる。上級者の方は、例えば医学の講義など、まったく知らない分野の題材にチャレンジしても良い。

シャドーイングは週に3回から4回程度の練習を1ヶ月やると効果が実感できる。スマートフォンなどを使って音声を録音すれば、発音が正しくできているか確かめられる。自分の声を聞くのは恥ずかしいが、時には試してみたい。

コンテンツ・シャドーイング

同じ音声を繰り返し使用すると、音だけでなく内容も理解できるようになる。英文を口にしながら同時に内容も理解する方法はコンテンツ・シャドーイングと呼ばれる。

3. おすすめ教材

シャドーイングに使えるおすすめ教材を紹介しよう。

3-1. 市販の教材

新ゼロからスタートシャドーイング 入門編

『新ゼロからスタート シャドーイング 入門編』は、初心者向けのシャドーイング教材。入門レベルの易しい文章で練習ができる。

シャドーイングにはじめて挑戦する方、あるいは英語初心者の方は、まずは本書を使ってやってみよう。

[amazonjs asin=”4863923406″ locale=”JP” tmpl=”Small” title=”新ゼロからスタートシャドーイング 入門編”]

3-2. スマートフォンアプリ

英会話リスニング

シャドーイングの練習は、スマートフォン向けのリスニングアプリでもできる。

『英会話リスニング』は1,460シーンの英会話を聞けるリスニングアプリ。日本語訳がついているので、初心者の方でも内容を理解しやすい。

  • 価格: 無料
  • レベル: はじめて〜初級者向け

App Storeからダウンロード

3-3. YouTubeビデオ

これまで紹介をしたように、YouTubeはシャドーイングに適した動画が豊富に揃えられている。動画の多くはネイティブスピーカー向けなので、リアルな英語で練習をしたい中・上級者におすすめ。

特に、スピーチはシャドーイングに適した題材である。スピーチは往々にしてゆっくり丁寧に話し、内容が一貫しているため、聞き取りやすい。

アクセントとシャドーイング

教材はアメリカ英語だけでなく、イギリス英語やオーストラリア英語、あるいはその他の地域の英語を使っても良い。

4. シャドーイングを行う際の注意点

筆者はTOEICスクールでシャドーイングの指導を行っているが、シャドーイングに慣れていない方に共通して見られる注意点があるため、以下に2点ほど指摘しておきたい。

注意1. 暗記した英文を復唱してしまう

シャドーイングは音声の処理と発声を同時並行で行うトレーニングである。シャドーイングを行っている最中は、直前に聞いた音と、今聞こえている音の両方を思い浮かべながら、復唱をするイメージだ。

ここで、同じ音声を何度か聞いていると、音声を覚えてしまうことがある。ただ、流れている音を無視して、暗記した英文を口にするだけでは、シャドーイングの体をなさない。シャドーイングが単なる作業にならないよう注意をしたい。

注意2. 単語を認知せず音だけを真似する

シャドーイングの初期段階は英語を口に出すことで精一杯になり、英語の声真似になってしまうことがある。

例えば、I have a pen. なら「I / have / a / pen」と4つの単語で構成されているが、これら単語を認知できず、ただ「アイハバペーン」と真似をするだけでは、シャドーイングの目的は達成されない。

このような状態になってしまうのは、シャドーイング前に知らない語句を調べなかったか、難易度の高すぎる英文を使っている場合が多い。ゆっくりとした短い英文で良いので、丁寧に練習をしたい。

5. まとめ

この記事では、シャドーイングの効果と実践方法を紹介してきた。

内容をまとめると次のようになる。

  1. シャドーイングは音声を聞きながら口ずさむトレーニング
  2. シャドーイングによって英語の聞き取り能力が向上する
  3. シャドーイングは十分に準備をしてから行う
  4. シャドーイングは市販の教材から動画まで様々な音声が使える
  5. シャドーイングが単なる声真似にならないよう注意する

リスニング力に限界を感じている方は、シャドーイングが聞き取り力向上の突破口になるだろう。ぜひとも試してみてほしい。

Good luck!

参考文献: 航空英語能力証明習得を目指したリスニング指導の考察

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です