TOEICの点数に伸び悩んでいる人は多い。
筆者はTOEIC対策スクールを運営しているが、リスニングスコアが伸びない、リーディングスコアが低い、TOEICがスランプ状態…など、新規のお客様からたくさんの相談を受ける。
TOEICスコアが上がらない人の多くは、「音読のやり方」や「リスニングのコツ」など、スコアが伸びない原因をTOEICの技術論に求める事が多い。
しかし、これまで200名以上にTOEICを教えてきた筆者の観点では、スコアの上がらない原因は別にある。
端的に言えば、TOEICスコアが伸びないのは勉強の量と質が不足しているからである。勉強方法の些細な点よりも、学習方針そのものの最適化が必要なのだ。
実際、筆者のTOEICスクールでは、受講者に対して学習の抜本的な改善を行っている。その結果、短期集中プログラムで圧倒的な成果を出した。
この記事では、TOEICスコアが上がらない主要な5つの原因と、その対処法を述べていきたい。
最後まで読み切れば、あなたがTOEICに伸び悩んできた根本原因がわかる。そして次に何をすればいいのかが明確になるだろう。
1. 勉強時間が不足している
次の表はTOEICスコアを上げるために必要な勉強時間を表している。
目標スコア | ||||||
現在のスコア |
450 | 550 | 650 | 750 | 850 | 950 |
350 | 225 | 450 | 700 | 950 | 1,225 | 1,550 |
450 | – | 225 | 450 | 700 | 975 | 1,300 |
550 | – | – | 225 | 450 | 725 | 1,050 |
650 | – | – | – | 225 | 500 | 825 |
750 | – | – | – | – | 275 | 600 |
850 | – | – | – | – | – | 325 |
(出典: Saegusa 1985)
仮にあなたの現在のスコアが450点で、目標スコアが650点だとすれば、必要な学習時間は450時間である。
平日に毎日1時間、土日の両方を5時間ずつ英語学習に当てたら、週に15時間の学習機会を確保できる。これをコンスタントに続けられたとして、450時間達成には約8ヶ月が必要だ。
あなたは必要な勉強時間に到達しているだろうか? 自分なりの勉強量で満足していないだろうか? 普段は忙しいと言いながらゴールデンウィークに英語を休んでいないだろうか?
筆者の経験上、TOEICスコアに伸び悩む原因の9割は勉強量の不足である。
あなたがTOEICスコアを本気で上げたいと願うなら、生活における英語の優先順位を一時的に引き上げてみよう。人付き合い、飲み会、旅行など、コントロールできる余暇をいったん制限し、土日祝日も含めてTOEIC学習に集中すれば、見える世界は変わる。
2. 勉強に集中していない
TOEIC学習は量だけでなく質も重要である。
TOEICスコアに伸び悩む方の多くが、勉強中の集中力に欠けており、せっかくの学習時間を無駄に使っている。
あなたは次のような状態になっていないだろうか?
- 勉強をしにカフェに行くが、学習よりもスマホを触っている時間が長い。
- 勉強をはじめるとウトウトしてしまい、気がついたら居眠りをしている。
- 勉強に集中できず5分から10分で飽きる。
集中力を持続できない場合、勉強量の上限を決めるのが良い。今日は30分だけ勉強すると決めて全力集中で取り組む。
貴重な時間を無駄にしないためにも、できるだけ学習の質を高める工夫をしよう。
13時から16時までカフェに滞在したら拘束時間が3時間と考える。目標達成に必要な学習時間は、注文してから席につく間、トイレに行く時間、スマホを触っている時間などを差し引いた実質の勉強時間である。
3. 解きやすいパートだけを学習している
TOEICはリスニングセクションとリーディングセクションの2科目から成る。
リスニングセクションはPart1からPart4の100問、リーディングセクションはPart5からPart7の100問、合計200問を解く。
Part1 | 写真描写問題 | 6問 |
Part2 | 応答問題 | 25問 |
Part3 | 会話問題 | 39問 |
Part4 | 説明文問題 | 30問 |
Part5 | 短文穴埋め問題 | 30問 |
Part6 | 長文穴埋め問題 | 16問 |
Part7 | 長文読解問題 | 54問 |
TOEICは解きやすいパートと解きにくいパートがある。
例えば、Part1(写真描写問題)、Part2(応答問題)、Part5(短文穴埋め問題)はどれも短文の英語を扱うので解きやすい。
一方、Part3(会話問題)、Part4(説明文問題)、Part6(長文穴埋め問題)、Part7(長文読解問題)は長文の英語を扱うので、練習をするのに手間と労力がかかる。
TOEICの点数が上がらない人は、解きやすいパートばかりを勉強し、解きにくいパートに手を付けていない傾向にある。
TOEICリーディングで点数が上がらないあなたは、いつも文法問題ばかりを解いていないだろうか? TOEICリスニングで点数が上がらないあなたは、いつも応答問題ばかりを解いていないだろうか?
学習内容の見直しが望まれる。
4. 問題集を十分に解いていない
市販のTOEIC教材には、大きく分けて参考書と問題集がある。
参考書とは各パートの解き方を解説する教材だ。600点対策などのレベル別に分かれていることが多い。
一方、問題集は設問解答を中心に学習する教材である。文法問題集、長文問題集、リスニング問題集など科目別に分かれていることが多い。
参考書の例 | ![]() |
問題集の例 | ![]() |
参考書と問題集は役割が異なる。参考書は解説を中心にTOEICを理解するコンセプトであり、問題集は解いて学ぶ形式である。
TOEICスコアに伸び悩む場合、参考書は丁寧に読むものの、問題集を使った練習が不足しているおそれが強い。参考書に付属している少量の設問に満足してはいけない。
あなたは問題集を何冊持っているだろうか? 十分な量の設問を解いているだろうか?
スコアの上がらない方は複数の問題集を用意し、まずは1,000問を解いてみよう。100問ではない、1,000問だ。
5. 本番試験対策を行っていない
TOEICはリスニング100問とリーディング100問を2時間連続で解く過酷な試験である。
練習では高得点が取れるのに、本番試験でスコアが上がらない原因は、本番試験対策を行っていないからである。あなたは「TOEIC試験当日が設問をもっとも多く解いた日」になっていないだろうか?
TOEICを受験する際は必ず本番試験対策をすることが望まれる。試験日が近づいたら、『公式 TOEIC Listening & Reading 問題集 4』などの模試を用意し、リスニングセクションとリーディングセクションをそれぞれ連続で解く練習をしてみよう。
- リスニングセクションを100問連続で解く
- リーディングセクションを100問連続で解く
- リスニングとリーディングを200問連続で解く
各セクションを連続で解くと、パート別で練習していた時とは異なる発見がある。
例えば、リスニングセクションは集中力が切れやすいため、意識が途切れたことに気が付き、それをリカバリーする能力が大切だ。
TOEICをある程度勉強している人なら、学習時間の半分を本番試験対策に当てても良い。TOEICは知識よりも習熟度が大切と覚えておこう。
まとめ: TOEICスランプは解消できる
この記事では、TOEICスコアが上がらない5つの原因とその対処法を説明してきた。
内容をまとめると次のようになる。
- 勉強時間が不足している
- 勉強に集中していない
- 解きやすいパートだけを学習している
- 問題集を十分に解いていない
- 本番試験対策を行っていない
筆者の経験上、これら5つの問題点を適切に対処すればTOEICスコアは上昇基調に入る。成果が出るから学習が楽しくなり、さらに成果が出る…といった正のループに入るだろう。
トイグルでは他にも英語学習に役立つ記事を発信しているため、興味のある方はぜひお読みいただきたい。
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