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英語のonとは、on the table(テーブルの上に)やon Friday(金曜日に)などを典型的な用法とする前置詞である。
onは複数の意味を持つ多義語であり、使い方を覚えるのが難しい。英語を勉強しているあなたは、「onの用法がわからない」とお悩みではないだろうか?
そこでトイグルでは、前置詞onの使い方について詳細を解説していく。onと他の前置詞の違いも紹介するため、英語初級者から上級者まで、学習の役に立つはずだ。
1. 前置詞onの中心的な意味は「接触」
onを辞書で調べると、ジーニアス英和辞典には18、オックスフォード英英辞典にも18、ロングマン英英辞典は30もの意味が掲載されている。文法参考書にも複数の用法が載っていることが多く、onは英語学習の壁の一つである。
実は、英語の前置詞は多くの場合、一つの核となる意味があり、それが比喩的に派生して複数の用法に発展している。onの中核的な意味は「接触」であり、ほとんどすべての用法が「接触」のイメージで解釈できる。
「接触」の概念を理解するため、onを使った2つの例を見てみよう:
- a national park on the border (国境の国立公園)
- books on the table (テーブルの上の本)
上の例文(on the border)は、国立公園が国境に「接触」している状態を表す。国境は線と見立てられ、そこに公園が隣接している(あるいはまたがっている)感じである。
下の例文(on the table)は、テーブルという面に本が「接触」している状態を表す。通常、本はテーブルの上に置かれるから(本がテーブルの下に貼り付くことはあまりない)、「テーブルの上の本」の意味で解釈される。
onには他にも複数の用法があるが、そのいずれも「接触」の意味の拡張で解釈できる。以下、onの使い方の詳細を見ていこう。
2. 前置詞onの使い方
前置詞onは「接触」を中心的な意味として、そこから様々な用法に派生する。トイグルでは、前置詞onの意味ネットワークを次のように定義した。
用法を1つずつ見ていこう。
2-1. 位置・場所を表すon
- (1) The computer is on the desk. (コンピュータは机の上にある)
- (2) There is a picture on the wall. (壁に絵がある)
- (3) Can you see that lamp on the ceiling? (天井のランプが見えますか?)
- (4) We live on Carron Street. (私たちはキャロン通りに住んでいる)
onの持つ「接触」のイメージがもっとも典型的に用いられるのが、位置・場所を表すonである。
(1)は位置(上面)を表すon。コンピュータは机の上部に接触して置かれている。
(2)は位置(側面)を表すon。onは接触さえしていれば上下左右のいずれも可能なので、壁に絵がかかっている様子はonで表される。
(3)は位置(下面)を表すon。(2)と同様に、接触があれば何かの下でもonが使える。
(4)は場所を表すon。通りを線として捉え、そこに接触している様子を表す。
2-2. 時間を表すon
- (5) I usually go to gym on Monday. (いつも月曜日にジムに行く)
- (6) I was born on the 16th of September in 1985. (1985年9月16日に生まれました)
- (7) We don’t go to church on Sunday morning. (日曜日の朝には教会に行きません)
- (8) On hearing the fire alarm, leave the building immediately. (火災報知器を聞いたらすぐに, 建物から出てください)
onは「接触」のイメージが比喩的に解釈されて、時間を表す用法にも使われる。一定の長さのある時間に「接触」するイメージだ。
(5)は曜日を表すon。on Mondayは「月曜日に」、on Mondaysは「毎週月曜日に」の意味。
(6)は日にちを表すon。on September 16(9月16日に)と書いても良い。
(7)は特定の時間を表すon。「朝」といったまとまりのある時間は通常、in the morningと言うが、「日曜日の朝」など特定の場合はon Sunday morningと言う。
(8)は同時発生の時間を表すon。動作への接触から、「…するとすぐに」と解釈される。
2-3. 着用・所持・支えを表すon
- (9) Jane has a ring on her finger. (ジェーンは指輪をはめている)
- (10) Have you got any money on you? (お金を持っていますか?)
- (11) He lay on the bed and read a book. (彼はベッドに横たわり本を読んだ)
- (12) The ball hit me on my nose. (ボールが鼻に当たった)
(10はOALD)
onの持つ「接触」のイメージは、衣類や装飾品の着用、所持、支え、体の一部分などにも拡張して使われる。
(9)は着用を表すon。指輪が指に「接触」していることからonが用いられる。ジャケット、コート、帽子、手袋などもonが使える。
(10)は所持を表すon。何かを持っていることは、少なくとも一部分が接触していると考えられるので、onを用いる。
(11)は支えを表すon。物理的な支えの他にも、depend on(…に頼る)などの心理的な支えにも使える。
(12)は体の一部分を表すon。ボールが鼻に接触した様子を示している。
2-4. 比喩的な意味のon
- (13) The next item on the agenda is the publicity budget. (議題の次の項目は公共予算についてです)
- (14) The band is working on a concept album about Nostradums. (そのバンドはノストラダムスについてのコンセプトアルバムに取り組んでいる)
- (15) They put pressure on her to resign. (彼らは彼女に辞任するよう圧力をかけた)
- (16) The city is best explored on foot. (その街は徒歩で探索されるのが良い)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
onの持つ「接触」の意味は、様々な比喩的な用法に拡張される。
(13)はテーマを表すon。「議題の掲載された紙の上の項目」と考えればわかりやすい。
(14)は従事を表すon。従事とは、仕事や任務に取り組むこと。
(15)は負担を表すon。「接触」が悪い意味で捉えられている。
(16)は交通手段を表すon。「足に接触して」から「徒歩で」と解釈される。
3. onと他の前置詞の違い
onは他の前置詞と比較することにより、用法の違いがいっそう際立つ。
ここでは、onの有無による意味の違い、乗り物を表すon、onとontoの違い、テーマを表すon、on doingとin doingの違いについて説明していきたい。
3-1. onの有無による意味の違い
onの有無により、特定の動詞の解釈が変わることがある。次の例文はどちらも「ステファンはドアをノックした」だが、そのニュアンスが異なる。
- Stephen knocked the door.
- Stephen knocked on the door.
上の例文(knocked)は「叩く」の影響が直接的にthe doorに及んでいる。ドアをどんどんと、壊れんばかりの強さで叩いた感じだ。
下の例文(knocked on)は、接触を表すonが使われている。「叩く」が影響を及ぼすのはドアの接触面だけなので、こんこんとノックをするような、やさしい雰囲気が伝わってくる。
これらの関係を図にすると、次のようになる。ニュアンスの違いを覚えておこう。
- knocked → the door
- knocked → on the door
3-2. 乗り物を表すonとinの違い
交通手段を表す場合、通常はby train(電車で)のように、前置詞byを用いる。
- I usually go to work by train. (いつもは電車で職場に行く)
乗り物にいる様子はonやinを使って表すこともできる。次の例文はどちらも「ジョアンナは電車に乗っている」だが、そのニュアンスが異なる。
- Joanna is on the train.
- Joanna is in the train.
上の例文(on the train)は「接触」を表す前置詞onが使われている。ここで言うonは、電車の床への物理的な接触ではなく、電車を「輸送手段」として抽象化して、それに「支えられている(on)」状態を表す。走行中の電車に乗っているような場面にふさわしい。
下の例文(in the train)は「空間」を表す前置詞inが使われている。電車を容器として捉え、その空間の中にいる状態を示すから、輸送手段としての電車はイメージされない。駅に停車している電車内にいるような状態だ。
3-3. onとontoの違い
onと似た用法の前置詞にontoがある。どちらも様々な用法があるので一括りにはできないが、端的に違いを言えば、onは静的、ontoは動的な様子を表すのに使われることが多い。
- The document was in shreds on the floor. (書類はずたずたに破れて床に散乱している)
- Move the books onto the second shelf. (それらの本を2段目の棚に移動させてください)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
上の例文(on the floor)は、その書類が床の上にある状態を示す。「モノが…にある」という動きのない状況を示している。
下の例文(onto the second shelf)は、本を棚に動かす動作を示す。「モノを…させる」という動きのある状況を示している。
3-4. テーマを表すonとaboutの違い
「…について」の意味でテーマを表す場合、onとaboutのいずれをも選択できる場合が多い。下の例文は、onとaboutのどちらを使っても意味は通る。
- She is lecturing on/about new techniques of management. (彼女はマネジメントの新しい技術について講義している)
(A Comprehensive Grammar of the English Language)
他方、onとaboutで解釈が変わることがある。(日本語訳では違いがわかりにくいが)、以下の例を比べてみてほしい。
- Kevin spoke on marketing. (ケビンはマーケティングについて語った)
- Kevin spoke about marketing. (ケビンはマーケティングのことを話した)
上の例文(on marketing)は、「…について語った」と訳されているが、これは講義や講演などで話をしたことを示唆する。onはフォーマルな含みを持つので、正式な場面で行われた話と解釈される。
下の例文(about marketing)は、「…のことを話した」と訳されているが、これは友達との会話などでその話が出たことを示唆する。aboutはカジュアルな含みを持つので、くだけた会話で行われた話と解釈される。
3-5. on doingとin doingの違い
on doingとin doingはニュアンスの違いがある。例文を比較してみよう。
- On arriving, we went straight to the front desk. (到着するとすぐに, フロントに直行した)
- In buying a car, what points are important? (車を買う時にはどんな点が重要ですか?)
(English Prepositions Explained/Wisdom)
上の例文(On arriving)は、動作への接触から、「到着という状態に接すると = 到着するとすぐに」の意味で解釈される。
下の例文(In attempting)は、動作という空間の内部に位置しているので、「車を買う時は(間は)」の意味で解釈される。
in doingが結果を表すこともある。
- In attempting to save the child from drowning, she nearly lost her own life. (溺れかけた子供を助けた結果, 彼女はもう少しで自分の命を落とすところだった)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
In attempting…は、動作の終点に視点が置かれ、「…した結果」の意味になる。この用法は、往々にして好ましくない事態の結果を示す。
4. まとめ
この記事では、英語の前置詞onについて詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- 前置詞onは「接触」のイメージ
- 接触は「線の接触」と「面の接触」がある
- onのもっとも基本的な用法は位置・場所
- onは比喩的に拡張されて時間、支えなどにも使われる
- 異なるニュアンスの他の前置詞がある
英語初級者の方は、基本的な用法である位置・場所から覚えよう。中級者の方は比喩的に拡張された意味を理解すると良い。上級者の方は、他の前置詞との使い分けができると表現の幅が広がる。
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
Good luck!
前置詞かわからず、また前置詞であればどの用法に当たるのか気になったので、質問させて頂きます。
go on to do や go on doing の on は前置詞でしょうか? to do の名詞的用法、動名詞が目的語に来ていると考えればそうなるのですが、
>蘭様
ジーニアス英和辞典によれば、go onのonは副詞と分類されていました。
Let’s go on to the next question. (引き続き次の問題に進みましょう)
→ ジーニアス英和辞典の「on(副詞)」より
go onのような「動詞+小さな副詞」は句動詞と呼ばれます。文型的にはgo onで1つの動詞とみなして問題ありません。
続いて、go on to do(およびgo on doing)ですが、故・安藤貞雄氏の『英語の文型』では、この2つの用法が共にSVO(第3文型)の例文として掲載されていました。
通常、O(目的語)には名詞(または名詞相当語句)が使われます。
したがって、この場合のto doは不定詞の名詞的用法、doingは動名詞と判断できるものと思います。
ありがとうございます。
go on(副詞) doing/to do(名詞相当語) と考えると、go が他動詞として扱われているという認識で正しいでしょうか?
on が前置詞と考えると、go(自動詞) on(前置詞)→go on [他動詞相当] となりますが、on が副詞であるとすると go が他動詞である必要があると思います。
>蘭様
こちらのgo onですが、考えを以下にまとめました。
1. onは品詞的には副詞ではあるものの、go onのように動詞と結びついて1つの句動詞を形成するため、beautifullyのような典型的な副詞とは異なる性質を持っています。onのような副詞のことを、副詞小辞(あるいは不変化詞やパーティクル)と呼びます。「動詞+副詞小辞/前置詞」が句動詞です。
2. goという動詞単体は、一般に自動詞ですね。go onが「自動詞+副詞」であれば、それは句動詞としては自動詞の扱いとなります。故・安藤貞雄氏の言うタイプ1です。一方、go onを「自動詞+前置詞」とすれば、句動詞としては他動詞の扱いとなります。故・安藤貞雄氏の言うタイプ2です。「ロングマン 英語句動詞英和辞典」を見てみましたが、go onは「動詞+副詞」と「動詞+前置詞」の両方がありました。
3. はじめのご質問にあったgo on to doとgo on ingに関してですが、「ロングマン句動詞英和辞典」では、go onを「動+副」とした上で、その中に不定詞を伴う例(… the chairman went on to give details of the meeting / p350)と動名詞を伴う例(… Do go on telling me your adventures. / p350)を掲載しています。やはり、go on to doとgo on ingのonはともに副詞だったと判断できます。
4. ただ、以前にも紹介したように「自動詞+副詞(小辞)」のgo onが、SVOのV(他動詞)で扱われていた例があるのは、矛盾が生じます。やや無理やりですが、goには他動詞の用法も少なからずあるので、go on to doやgo on doingのgoは他動詞であると考えられなくもありません。「他動詞+副詞(小辞)」の場合、句動詞としては他動詞扱いになります。そうすると、to doやdoingが来るのはなんら矛盾しません。
5. 他にも色々な句動詞辞典に当たってみましたが、ここの動詞が他動詞・自動詞のどちらであるかを書いているものはほぼ存在しないので、最終的な判断な困難なものと思われます。
またわかったことがあれば追記します。明確な答えが出せず申し訳ありません。
丁寧に調べて頂き、本当にありがとうございます。
ロングマン句動詞英和辞典を元に考えるのであれば、go(自動詞) on(副詞) の構造ではあるが、後ろに 動名詞/不定詞 を取ることが出来る。(自動詞は目的語を取れないはずなので、«go on» は例外?)
一方で、後ろに 動名詞/不定詞 を取り、go(他動詞) on(副詞) という構造とする辞書/参考書 もある。(他動詞なので、当然動名詞/不定詞が来れる。)
このように理解できそうですね。
動名詞を取る点から考えれば、後者は矛盾がないですが、前者は矛盾のように感じますね。
go on doing についてですが、go shopping (自動詞+現在分詞) から考えてみると、現在分詞の主格補語と考える。
go on to do の場合は、不定詞の副詞的用法の結果の用法と考える。
このような考え方を書かれている日本語のサイトはごく少数あるようですが、文法的にはあり得るのでしょうか?
確かに、go on (自動詞+副詞) の後に来るのであれば、これなら矛盾は生じなさそうです。
>蘭様
すいません、いまロングマン句動詞英和辞典を再度見たのですが、go on to doの例文は、to doが副詞的用法で使われている例のようでした。
After introducing the speaker, the chairman went on to give details of the meeting. (p350)
そうすると、go onは「自動詞+副詞小辞」として使われる用法(ロングマン句動詞英和辞典の解釈)と、「他動詞+副詞小辞」として使われる用法(安藤貞雄氏の解釈)の2つがあり得るということかもしれません。
そして、もともとの質問にあったgo on to doは「他動詞+副詞小辞」として扱われているため、to doは名詞的用法になり、したがってSVOの文型になるということだと思われます。
「不定詞の副詞的用法の結果の用法と考える」と書かれているのは、ロングマン句動詞英和辞典的な解釈であれば可能ですね。
「現在分詞の主格補語」に関しては、onのような副詞小辞が入る場合、そうした解釈が成り立つかどうかは、当方の持っている知識では判断が難しいですね…
本当に何度も質問にお答え頂き、ありがとうございます。
英文法を全て理論立てて説明することは難しいということの一例ですかね..
(私はまだまだ未熟なので、その域には到底及びませんが..)