この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
不定詞の意味上の主語とは、to不定詞や原形不定詞があらわす動作・状態の主語を指す。
例えば、I want him to come.(私は彼に来てほしい)であれば、him(彼)がto come(来る)の意味上の主語となる。
この記事では不定詞の意味上の主語について、詳細を解説していく。学習の参考になるはずだ。
1. 意味上の主語とは何か
意味上の主語を文字通りに解釈すれば「意味の上での主語」であるから、文の主語とは当然区別される。それでは、意味上の主語とは何だろうか? 例を見てみよう。
- (1) Smith hopes to study abroad. (スミスは海外で学ぶことを望んでいる)
to study abroad(海外で学ぶこと)のtoは不定詞である。ここで、「海外で学ぶ」をするのは誰だろうか? それは「私」や「あなた」ではなく、「スミス」に他ならない。この時、Smith(スミス)を不定詞の意味上の主語と呼ぶ。
別の例を見てみよう。
- (2) Smith hopes you to come back soon. (スミスはあなたにすぐに戻ってくるよう願っている)
to come back soon(すぐに戻ってくる)のtoは不定詞である。この場合、「すぐに戻ってくる」のは誰だろうか? それは「私」や「スミス」ではなく「あなた」に他ならない。不定詞の意味上の主語はyou(あなた)となる。
このように、不定詞には動作・状態をあらわす主語が必ず存在する。(1)のようにto不定詞直前にあらわれない場合もあれば、(2)のようにto不定詞直前に出現することもある。
不定詞の意味上の主語を正しく捉えることは、文を正確に読み聞きする上で重要な能力となる。以下、意味上の主語のより詳しい使い方を見ていこう。
2. 意味上の主語の使い方
不定詞の意味上の主語は、明示的に示される場合、forによって示される場合、示されない場合の3つがある。
1つずつ詳細を説明していこう。
2-1. 意味上の主語が示される場合
- (3) We want you to help us. (我々はあなたに助けを求めたい)
- (4) I saw a woman enter the room. (私は女性が部屋に入るのを見た)
不定詞の意味上の主語が文中に示される場合、「主語+to不定詞(原形不定詞)」の構造になる。
(3)はyou(あなた)がto help us(私たちを助けること)の意味上の主語。(4)はa woman(女性)がenter the room(部屋に入る)の意味上の主語。(4)は原形不定詞が使われている点に注意したい。
文の構造は次のようになる:
- (3′) We want [you to help us].
- (4′) I saw [a woman enter the room].
2-2. 意味上の主語がforによって示される場合
- (5) It is possible for companies to manufacture their products in the U.S.
(企業にとってアメリカで製品を製造することは可能だ) - (6) It is time for Edwin to begin a new phase in his life.
(エドウィンにとって人生で新しいフェーズを始めるときである) - (7) In order for students to graduate, there are a few specific requirements.
(学生が卒業するためには、2、3の特定の要件がある)
意味上の主語がforによって示される場合、「for主語+to不定詞」の構造になる。
(5)はfor companies(企業にとって)がto manufacture their products in the U.S.(製品をアメリカで製造すること)の意味上の主語。
(6)はfor Edwin(エドウィンにとって)がto begin a new phase in his life(人生で新しいフェーズを始める)の意味上の主語。
(7)はfor students(学生にとって)がto graduate(卒業する)の意味上の主語。In order to(…するために)の意味上の主語がforで示されたもの。
文の構造は次のようになる:
- (5′) It is possible [for companies to manufacture their products in the U.S.]
- (6′) It is time [for Edwin to begin a new phase in his life].
- (7′) In order [for students to graduate], there are a few specific requirements.
尚、(5)は次のように書いてもよい(ただし、itを主語に置くほうが自然。)
- (5″) For companies to manufacture their products in the U.S. is possible.
2-3. 意味上の主語が示されない場合
- (8) It is not easy to write clearly and simply. (明確かつ簡素に書くことは簡単ではない)
- (9) Caren tried to get a new smartphone. (カレンは新しいスマートフォンを入手しようと試みた)
- (10) Jack persuaded Jane to visit the museum. (ジャックはジェーンに美術館に訪れるよう説得した)
意味上の主語は明示的に示されなくとも、潜在的に必ず存在する。意味上の主語を明らかにするには、文構造や文の意味から考えるとよい。
(8)は意味上の主語が一般の人々の例。「明確かつ簡素に書くことは…」という内容は、特定の人を指すのではなく、一般論として述べられている。
(9)は意味上の主語が文の主語と一致する。「新しいスマートフォンを入手する」の主体はカレン(文の主語)である。
(10)は意味上の主語が文の目的語と一致する。「美術館に訪れる」のはジェーン(文の目的語)であって、ジャック(文の主語)ではない。
文の構造は次のようになる(△は意味上の主語をあらわす):
- (8′) It is not easy [△ to write clearly and simply].
(△ = 一般の人々) - (9′) Caren tried [△ to get a new smartphone].
(△ = Caren) - (10′) Jack persuaded Jane [△ to visit the museum].
(△ = Jane)
3. まとめ
この記事では、不定詞の意味上の主語について詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- 意味上の主語とは不定詞の動作・状態の主体となる語
- 意味上の主語は不定詞の左側にくる一番近い名詞句
- 意味上の主語が明示的に示される場合がある
- 意味上の主語がforで示される場合がある
- 意味上の主語が示されない場合がある
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
Good luck!