英語の同格とは?使い方のポイントは並んだ名詞の関係性を知ること

同格

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英語の同格とは、2つ以上の名詞(あるいは名詞相当語句)が並び、後ろの要素が前の要素を説明する関係を言う。

たとえば、my friend Tom(私の友人トム)は、my friend(私の友人)とTom(トム)が同格の関係で並んでいるものである。

英語を勉強しているあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?

  • 同格とは何…?
  • 同格の使い方を知りたい
  • 同格を含む文を理解する方法を知りたい

そこでトイグルでは、英語の同格について詳細を説明していく。学習の参考になるはずだ。

1. 同格は名詞が他の名詞に並んで説明すること

同格について知るには、例を見るのが良い。次の例文を読んでみよう。

  • (1) John Lennon, one of the most famous singers in the world, died in 1980. (世界でもっとも有名な歌手の一人のジョン・レノンは、1980年に亡くなった)

この文では、John Lennon(ジョン・レノン)に対して、one of the most famous singers in the world(世界でもっとも有名な歌手の一人)が後ろから説明を加えている。こうした名詞の関係性を同格と言う。

同格には大きく2つの種類がある。1つは後ろの要素が前の要素の意味を限定する場合、もう1つは後ろの要素が前の要素の意味を補足説明する場合である。次の例文を比較してみよう。

  • (2) My tutor Smith is very friendly. (私の家庭教師のスミスは、とても親切です)
  • (3) Smith, my tutor, is very friendly. (スミスは私の家庭教師で、とても親切です)

(2)は後ろの要素Smith(スミス)が前の要素My tutor(私の家庭教師)の意味を限定している。「私の家庭教師のスミスが…」のように、2つの要素が対等の関係にあると言ってもよい。

(3)は後ろの要素my tutor(私の家庭教師)が前の要素Smithを補足説明している。「スミスは、そうそう、彼は私の家庭教師で…」のように、説明を付け加えている感じである。

同格は実際の英語使用場面でもよく用いられる。次の例文は、ある英語の書籍で同格が使われている箇所の抜粋である。

  • (4) Appendix A provides a chronology of the language – a résumé of the significant dates in English language history. (付録Aは言語の年表あらわしている – それは英語という言語の歴史における重大な期間の概略です)

(The English Language)

同格を用いた文はTOEICの長文問題にもよく出現する。受験予定のある方は、ぜひ知っておきたい。

  • (5) Wind Dynamics, the leading produce of wind turbines and wind energy technology across Europe, has announced plans to open a production plant in Mechelen, Belgium. (ヨーロッパ全土における風力タービンと風力エネルギー技術の主要な製造元であるWind Dynamics社は、ベルギーのメヘレンに製造工場を開設する計画を発表した)

(公式 TOEIC Listening and Reading 問題集2)

以下、同格の使い方について、より詳しく見ていこう。

同格について学ぶメリット
ビジネス英語や英字新聞といった堅い英文には、必ずといって言いほど同格を用いた文が出現する。口語であってもスピーチなどでは同格がしばしば見られる。同格を学ぶことで知的な英語を読み聞きできるようになるのである。

用語の解説
「同格」の名称は、前の名詞(句)と後ろの名詞(句)が同じ格を持っていることに由来している。

注: 厳密に言うと、同格になるのは「名詞句」であって名詞ではない。ただ、この記事ではわかりやすさの観点から「名詞」という呼び名で統一する。

2. 同格の使い方

同格の使い方について、様々な例を用いて紹介していこう。

2-1. 名詞+名詞

  • (6) The word “gospel means good news. (「ゴスペル」という単語にはよい知らせの意味がある)
  • (7) Mr. Jones, chairman of the committee, rejected the proposal. (委員会の長であるジョーンズさんは提案を拒絶した)

同格のもっとも典型的な例は、「名詞+名詞」の場合である。

(6)のThe word “gospel”は「”ゴスペル”という単語」の意味で使われている。後ろのgospelが、前のThe wordの意味を限定している。

(7)のMr. Jones, chairman of the committee, は「委員会の長であるジョーンズさん」の意味である。後ろのchairman of the committee(委員会の長)が、前のMr. Jones(ジョーンズさん)を補足説明している。

同格と句読点
同格を明確にするため、コンマ(,)、ハイフン(-)、ダッシュ(ー)、引用符(””)などの句読点を用いることがある。

2-2. 代名詞+名詞

  • (8) We teachers know what you are thinking. (我々教師はあなたが何を考えているかわかる)

代名詞に対して、同格の名詞が続くことがある。(8)のwe teachersは「我々教師は」の意味である。

「上から目線」に注意
We Japanese(私たち日本人)のような言い方は、日本語の語感と違って英語では「上から目線」と捉えられることがある。使う際は十分注意したい。

2-3. 名詞+名詞節

  • (9) Smith cannot accept the fact that his company went bankrupt. (スミスは彼の会社が倒産した事実を受け入れられない)
  • (10) The question whether zero is odd or even is left unanswered. (ゼロは偶数か奇数かという問はまだ答えられていない)

一部の名詞は、thatやwhetherなどではじまる節が同格の関係になることがある。この場合、名詞節が先行する名詞の内容を説明することになる。

(9)はthat節が使われている例である。the fact(事実)はthat his company went bankrupt(彼の会社が倒産したこと)である。

(10)はwhether節が使われている例である。the question(問)はwhether zero is odd or even(ゼロが偶数か奇数かどうか)である。

尚、同格として節を従えられる名詞には、限りがある。詳しくは『参考: 同格のthatを取る名詞一覧』で紹介する。

thatとwhetherの違い
thatは「…ということ」の意味で内容が事実であることを前提としている。一方、whetherは「…かどうか」の意味で内容が不確かな場合に使う。

2-4. 文+名詞

  • (11) Mary decided to go abroadthe best way to learn a foreign language. (メアリーは海外に行くことに決めた – それは外国語を学ぶもっとも良い方法である)

名詞が文に対して同格の関係になることがある。この場合、名詞が先行する文の内容を要約することになる。

(11)はMary decided to go abroad(メアリーは海外に行くことに決めた)という文に対して、the best way to learn a foreign language(それは外国語を学ぶもっとも良い方法である)が同格の関係になっている。

2-5. 名詞+of+名詞

  • (12) The City of New York continues to be a center of fine art. (ニューヨーク市は芸術の中心であり続ける)
  • (13) Williams is a mountain of a man. (ウィリアムは山のように大きな男性です)

「of+名詞」が前の名詞に対して、同格の関係になることがある。

(12)のThe City of New Yorkは「ニューヨーク市」の意味である。the A of Bで「BというA」をあらわす。

(13)のa mountain of a manは「山のように大きな男性」の意味である。a A of Bで「AのようなB」をあらわす。

前置詞ofの使い方
前置詞ofの詳しい使い方は別記事で解説している。より深く知りたい方は参照されたい。

3. 同格を使った例文一覧

同格を使った例文を紹介する。

ここでは特に、namely、for example、particularly、that is (to say)、in other wordsといった、同格を明確にする語と一緒に使われる場合の例を取り上げたい。

3-1. namely

  • (14) All proceeds will be given to charity, namely the Consultation Center for Children.(すべての収益は慈善団体、すなわち児童相談所に支払われる)

namelyは「すなわち」の意味で、同格を明確にする働きをもつ。

例文は、charity(慈善団体)とnamely the Consultation Center for Children(すなわち児童相談所)が同格の関係にある。

3-2. for example

  • (15) Applicants should have a masters degree in a related discipline, for example Economics, Psychology, or Political Science. (応募者は関連する学科、たとえば経済学、心理学、あるいは政治学で修士号を持っている必要があります)

for exampleは「たとえば」の意味で、同格を明確にする働きを持つ。

例文は、a related discipline(関連する学科)とfor example Economics, Psychology, or Political Science(たとえば経済学、心理学、あるいは政治学)が同格の関係にある。

for exampleの省略形
for exampleはe.g.と省略形で書かれることがある。

3-3. particularly

  • (16) The average time spent on domestic activities declined, particularly laundry and ironing. (家庭内の活動に費やされる平均時間は、とりわけ洗濯とアイロンがけにおいて減っている)

particularlyは「とりわけ」の意味で、同格を明確にする働きをもつ。

例文は、domestic activities(家庭内の活動)とparticularly laundry and ironing(とりわけ洗濯とアイロンがけ)が同格の関係にある。同格語句と主要語が離れている点に注意したい。

3-4. that is (to say)

  • (17) We released new software, that is a breakthrough. (私たちは新しいソフトウェアを発売しました、それは大きな発展です)

that is(to say)は「すなわち」の意味で、同格を明確にする働きをもつ。

例文は、new software(新しいソフトウェア)とthat is a breakthrough(それは大きな発展です)が同格の関係にある。

3-5. in other words

  • (18) Representatives of the brand—store associates, customer care representatives, sales representatives, or, in other words, real, authentic people, are your brand ambassadors. (ブランドの販売員、それは販売員、顧客サービス、セールスマン、あるいは、言い換えれば、本物の信頼できる人々は、あなたのブランドアンバサダーです)

in other wordsは「言い換えれば」の意味で、同格を明確にする働きをもつ。

例文は、Representatives of the brand(ブランドの販売員)とstore associates, customer care representatives, sales representatives(販売員、顧客サービス、セールスマン)がまず同格の関係にあり、さらにそれをor, in other words, real, authentic people(あるいは、言い換えれば、本物の信頼できる人々)が同格で言い換えている関係にある。

参考: 同格のthat節を取る名詞一覧

2-3. 名詞+名詞節』で紹介したように、名詞は名詞節(that節等)を同格として取れる。

ただし、すべての名詞が同格のthat節を取れるわけではない。例えば、the fact that she is a doctor(彼女が医者であるという事実)ということはできても、the book that…は不可である。

以下、同格のthat節を取れる名詞の代表を紹介したい。

announcement (発表)argument (議論)
assertion (主張)assumption (仮定)
belief (確信)chance (見込み)
complaint (不満)conclusion (結論)
condition (条件)confidence (確信)
exception (例外)explanation (説明)
fact (事実)idea (理解)
news (知らせ)opinion (意見)
possibility (可能性)probability (見込み)
report (うわさ)suggestion (提案)
truth (真実)understanding (理解)

まとめ

この記事では、英語の同格について詳細を解説してきた。

内容をまとめると次のようになる:

  1. 同格は名詞が他の名詞に並んで説明すること
  2. 同格は限定と補足説明の2種類がある
  3. 名詞+名詞ほか、名詞+that節などがある
  4. 同格の意味を明確にする語と共に使われることがある
  5. 同格のthatを取る名詞は限られている

トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。

Good luck!

4 COMMENTS

質問1
同格には、制限的なものと非制限的なものがあり、制限的なものにはコンマを用いず、非制限的なものにはコンマを用いるということでしょうか?(名詞,名詞などの場合)

質問2
Smith cannot accept the fact that his company went bankrupt.(制限的)

that節の同格の場合でも、カンマが付いて非制限(補足説明)を表す場合もあるのでしょうか?  例えば、his only suggestion (彼の唯一の提案) など

田邉竜彦

>蘭様

順番にお答えします。

質問1:
ご認識のとおりです。制限用法はコンマなし、非制限用法はコンマありです。この点は関係代名詞の時と似ていますね。

質問2:
「the fact that型」の場合ですが、通常はコンマなしで使われることがほとんどだと思います。

オックスフォード英英辞典の例文検索でも、見たところコンマなしの例文ばかりです。

尚、手元の資料では、『名詞表現の底力』という本にて唯一、コンマありの例が紹介されていました。

His argument, that the earth was round, was considered absurd.

ただ、通常はコンマなしで使われることが多いものと思います。

We teachers know what you are thinking. (我々教師はあなたが何を考えているかわかる)

この同格がコンマ無しで制限的なのは何故ですか? 

代名詞 We は、話し手と聞き手を含む特定の人々を指す。
例文では、意味から考えて、主語は聞き手を含まないという必要がある。(つまり、”聞き手を除外した私達”が教師である。)
そのため、We teachers として、教師ではない聞き手を除外している。制限的であるため、コンマはつけない。

※We は包括的に話し手と聞き手を含む人々を指すことも、除外的に話し手を含み聞き手を含まない特定の人々を指すことも出来る。今回は後者
参考:https://www.englishcafe.jp/answer/and-2.html

このような理解で正しいですか?

田邉竜彦

>蘭様

手元の文献では、「代名詞+名詞」におけるコンマの有無について詳細が書かれていないので、現時点で詳しくはわかりませんでした。

以下の2つの例文のように、weが主語でもコンマやハイフンの使われる例文もあります。

We – that is to say John and I – intend to visit Ireland. (ロイヤル英文法 p131)
We, the players, promise to do our best in the game. (表現のためのロイヤル英文法 p358)

これらはいずれも2番目の要素が「定の名詞句」なので、1番目の要素を補足説明する解釈しか持ち得ないことから、コンマが使われると推測できます。

尚、weが聞き手を含む用法と、含まない用法があるのは事実です。

ただ、We teachers are human too.のような例文では、聞き手を含むとも、含まないとも考えられるので、その違いがコンマの有無に決定的な影響を与えるとは必ずしも言い切れないと感じます。

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