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英語のcanとは「…できる」を代表的な意味とする語である。
英語を勉強中のあなたは、次のような疑問を持っていないだろか?
- canの使い方を知りたい… 複数の意味を効果的に覚えるにはどうすれば…
- 「…できる」だけではうまく訳せないことがある。どう理解すればいいのか…
- canとcould, canとmayなど、似た助動詞の違いを知りたい…
そこでトイグルでは、canの使い方について詳細を解説していく。イラストを用いて説明するので視覚的にも理解しやすい。学習の参考になるはずだ。
1. canの中心的な意味は「能力×自由×疑い」
canには様々な用法があるが、それらの意味は「能力」、「自由」、「疑い」の3つに集約できる。
「能力」は「…できる」の意味で、肉体的、精神的、あるいは性能的に実現可能な状態をあらわす。例を見てみよう。
- (1) Emma can speak five different languages. (エマは異なる5つの言語を話せる)
この例文では、エマが異なる5つの言語を話す能力があるとしている。
「自由」は「ある状況の実現を妨げる要因がない」ことをあらわす。例を見てみよう。
- (2) You can eat breakfast, lunch and dinner here. (朝食、昼食、夕食をここで召し上がれます)
- (3) Can I ask you a few questions? (いくつか質問してもいいですか)
(2)は「朝食、昼食、夕食をここで食べることを妨げる要因がない = 食べる自由がある」、(3)は「質問することを妨げる要因があるか = 質問する自由を求める」である。
「疑い」は「…のはずがない」の意味で、強い疑いの気持ちをあらわす。例を見てみよう。
- (4) I don’t believe it. It can’t be true. (私は信じない。それが正しいはずがない)
話し手は強い疑いの気持ちをもって、その話が真実でないと判断しているのである。
このように、canは「能力×自由×疑い」のいずれかの用法を持つ。英語の文中にcanが出てきた場合、どの意味に該当するか確かめながら読んでみよう。文をより正確に理解できるはずだ。
注: 専門的な文法用語を使えば、能力と自由は「根源的用法」、疑いは「認識的用法」に相当する。
2. canの使い方
canは「能力×自由×疑い」を中心的な意味としつつ、さらに細かく分ければ、以下の8つに分類できる。
使い方 | 代表的な意味 |
---|---|
能力 | …できる |
機会 | …できる |
依頼 | …してくれますか |
申し出・提案 | …しましょうか |
指示・命令 | …しなさい |
許可 | …してよい |
一般的可能性 | …することがある |
推量 | …のはずがない |
「能力」は「…できる」だが、「自由」は機会、依頼、申し出・提案、指示・命令、許可、一般的可能性に分けられる。「疑い」は推量を指す。
以下、使い方を1つずつ見ていこう。
2-1. 能力
canは、先天的・後天的を問わず、主語が身につけている能力をあらわす。
- (5) I can speak English. (私は英語を話せる)
- (6) Cats can see color. (猫は色が見える)
- (7) Computers can create art. (コンピュータは芸術を作り出せる)
(5)は人が主語の場合である。主語「私」が英語を話せることを示す。(6)のように動物や、(7)のように機械が主語でもよい。
能力をあらわすcanは、see(見る)やhear(聞く)などの知覚動詞と共に用いられることがある。この場合、canの有無によって解釈が変わることがある。次の例を比較してみよう。
- (8) I see a bird! (鳥が見えるよ!)
- (9) I can see a bird. (鳥が見えているよ)
(8)のように知覚単体で使われる場合、瞬間的な知覚をあらわす。上空に鳥があらわれ、思わず口にしたような状況だ。
一方、(9)のように「can+知覚動詞」で使われる場合、今まさに知覚している状態をあらわす。「見えている」の訳語のとおり、一定期間、その状態が継続しているニュアンスがある。
これまで紹介した能力は主として、現在のことであった。「能力そのものを未来に身につける」を示したければ、will be able toと言えばよい。
- (10) In a few decades man will be able to land on Mars. (数十年後、人類は火星に着陸できるようになるだろう)
(現代英文法総論)
2-2. 機会
機会とは、周囲の事情によってはじめて、それが可能になる場合を指す。
- (11) You can ski here. (あなたはここでスキーができます)
- (12) Can you come to a class tomorrow? (明日クラスに来られますか)
- (13) Sorry, we cannot meet you because we are taking a rest. (申し訳ありません、休息をいただくためお会いできません)
(11)は肯定文の例である。「ここでスキーができる」ということは、別の場所ではできない可能性を示唆する。特定の状況があってはじめてスキーをできる、の意味である。
(12)は疑問文の例で、「明日」という特定の状況で来られるかどうか尋ねている。
(13)は否定文の例で、「休息を取るから」という事情により、会うことができないと言っている。
2-3. 依頼
canは依頼をする際にも使われる。
- (14) Can you tell us about that? (それについて教えてくれませんか)
- (15) Can you please help? (手伝ってもらえませんか)
(14)のようにCan you…?と言うのが依頼をあらわすcanの基本的な形である。友人など、上下関係のない相手に用いることが多い。(15)のようにpleaseをつければ、丁寧さの増す表現になる。
あまり親しくない相手、店員と客、その他社会的上下関係がある場合、Could you…?が用いられる。CanをCouldにすることで、過去形の持つ「距離感」のニュアンスを利用し、丁寧さを出すのである。
- (16) Could you help me? (手伝ってくださいませんか)
Can’t you…?のように否定の疑問文にすると、「…できないんですか(…してくださいよ)」のような、話者の苛立ちが含まれる。
- (17) Can’t you drive any faster? (もっと速く運転できないんですか)
2-4. 申し出・提案
canは申し出や提案をする際にも使われる。
- (18) Can I carry your bag? (カバンをお持ちしましょうか)
- (19) We can watch football on other channels. (他のチャンネルでサッカーを観られますね)
(18)は申し出の例である。話し手がそれを実施できるので、「…しましょうか?」のニュアンスになる。
(19)は提案の例である。話し手と聞き手の両方がその動作をできるので、「…しましょう」のニュアンスになる。
注: 申し出と提案は常に明確に区別できるものではない。例えば、We can tell you more about it if you want to learn. (もしあなたが知りたいなら、それについてもっと話せますよ)は申し出と提案のどちらにも取れる。学習上、あまり厳密にしすぎる必要はないだろう。
2-5. 指示・命令
canは場合によって、指示や命令の意味に解釈されることがある。
- (20) You can give me a call tonight. (今夜電話をしてください)
- (21) You can shut up or get out! (黙るか、出ていきなさい)
(20)は「(あなたは)電話をできる」が「電話をしてくれ」へと、依頼の意味に解釈される例である。
(21)は「黙ることができる」が「黙れ」へと、命令の意味に解釈される例である。
2-6. 許可
canは許可をあらわす際にも使われる。「…することができる」が「…してよい」と解釈されるものである。
- (22) You can use my camera. (私のカメラを使っていいですよ)
- (23) Can I use your camera? (あなたのカメラを使えますか)
- (24) You can’t use my camera. (私のカメラを使ってはいけません)
(22)は許可を与える例、(23)は許可を求める例、(24)は許可をしない例である。
さて、許可を与える助動詞は、canの他にmayがある。次の2つの例文を比較してみよう。
- (25) You can park on the street. (その通りに駐車できます)
- (26) You may park on the street. (その通りに駐車してよい)
canは状況が与える許可である。法律的に駐車可能とか、他の車がないので空いているとか、そういった客観的理由をもとに許可を示している、というニュアンスがある。
mayは話し手が与える許可である。話し手がそうさせたいからといったような、主観的な理由が想定される。当然、mayよりcanのほうが丁寧な響きがある。
許可を求める際、Can I…?だけでなく、Could I…?と言うこともできる。couldはcanの過去形だが、過去形のもつ「距離感」を利用することで、丁寧さをあらわすのである。
- (27) Can I use your office? (事務所を使ってもいいですか)
- (28) Could I use your office? (事務所を使わせてもらえませんか)
尚、Could I…?に対する答えとして、You could…は使えない。このような言い方は「過去の能力」の読みになるからである。Could I…?に対して肯定の答えをする場合、You can…と言わなければならない。
- Could I use your office?
- 正: Yes, of course, you can.
- 誤: Yes, of course, you could.
2-7. 一般的可能性
canは一般的可能性をあらわす際にも使われる。これは「…することがある(あり得る)」の意味を示すものである。
- (29) We all can make mistakes. (人は誰でも間違いをすることがある)
- (30) Smoking can cause a chronic cough. (喫煙は慢性的な咳の原因になり得る)
(29)は人、(30)は無生物の主語に対して、そうした事態が起こる論理的可能性を示唆している。
可能性をあらわすには、canだけでなく、mayを使用できる。次の例を比較してみよう。
- (31) The road can be blocked. (その道は通行止めのことがある)
- (32) The road may be blocked. (その道は通行止めになっているかもしれない)
(Meaning and the English Verb)
(31)のようにcanが使われる場合、定期的に工事をするなどの理由で、一般論として通行止めになりうる可能性を示唆する。
(32)のようにmayが使われる場合、いま工事をしているなどの理由で、通行止めかもしれないという可能性を示唆する。
「能力」と「一般的可能性」はしばしば、区別をつけづらいことがある。次の例文は異なる2つの解釈ができる。
- (33) Elephants can kill crocodiles.
- (33a) Elephants have the ability to kill crocodiles. (ゾウはワニを殺すことができる)
- (33b) It can happen that an elephant kills a crocodile. (ゾウはワニを殺すことがある)
(Modal Expressions in English)
(33a)は「能力」、(33b)は「一般的可能性」の読みでパラフレーズしたものである。
2-8. 推量
canは推量をあらわす際にも使われる。
- (34) Your story can’t be true. (あなたの話は真実であるはずがない)
- (35) This can’t have been a secret. (これが秘密だったはずがない)
- (36) Can the rumor be true? (そのうわさは真実であり得るのだろうか)
(34)は現在に対する否定の推量である。can’t be…の形をとる。「…であるはずがない」と解釈するとよい。
(35)は過去に対する否定の推量である。can’t have done…の形をとる。「…だったはずがない」と解釈するとよい。
(36)は「いったい…であり得るのだろうか」の意味で、強い疑いを示す。「そんなことがあり得るはずがない」といったニュアンスが含まれることもある。
尚、推量をあらわすcanは肯定文には使えない。「明日雪が降るかもしれない」は、canの代わりにmayなどの助動詞を使う。
- 正: It may snow tomorrow.
- 誤: It can snow tomorrow.
参考: canの否定形
通常、canの否定形はcannotのように1語に続けて書く。
- (37) I cannot tell you how important that is. (それがどれほど重要であるか私には言えません)
Oxford Dictionary of Englishによれば、書き言葉ではcannotのように一語で続けて書くことが、can notと2語に離して書く場合の3倍多いという。
会話ではcan’tのように短縮することが多い。
- (38) I can’t wait! (待てないよ!)
- (39) Can’t you see? (見えないの)
can notと2語に分けて書くのは、主として動詞の意味を強調する場合である。
- (40) Can you not touch my face? (私の顔に触れないでくれますか)
否定の疑問文にて、Can I not…?のように言うこともある。
- (41) Can I not continue to do this? (このまま続けてはいけないのでしょうか)
canがnot only … but also …のようなフレーズに続く場合も、canとnotは分けて綴られる。canとnot onlyが別の要素とみなされるからである。
- (42) You can not only use this app on computers but also tablets and smartphones. (このアプリはコンピュータ上だけでなく、タブレットやスマートフォン上でも使える)
まとめ: canを正しく使って表現の幅を広げる
この記事では、英語の助動詞canについて詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- canの中心的な意味は「能力×自由×疑い」
- 能力は「…できる」の意味で内在的な力をあらわす
- 自由は機会、依頼、申し出・提案、指示・命令、許可、一般的可能性がある
- 疑いは否定文や疑問文で疑念をあらわす
- canの否定は通常、cannotやcan’tを使う
canは書き言葉だけではなく、話し言葉でも頻繁に使用される助動詞である。canを正しく使えることで表現の幅を広げていきたい。
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
Good luck!
【参考;CANの否定形】 の文中に記載があった、
(38) I can’t wait! (待てないよ!)
(39) Can’t you see? (見えないの)
これらの can は、「能力 自由 疑い」の中の「能力」と考えてよろしいのでしょうか?
ご教示いただけますと幸いに存じます。
ご質問ありがとうございます。
(39)に関しては「機会」をあらわすと考えられます。
このような否定疑問文の形を取ると、しばしば、話し手の「困惑・いらだち」を示します。
(38)はなんとも言えないところですが、どちらかというと「能力」ではないかと思います。
ただ、話し手に待つ能力がないというよりは、待てない程に楽しみだ、という解釈になります。
ご参考まで…