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英語の比較級とは、bigger(より大きな)やmore important(より重要な)に代表される一連の文法表現である。
比較級は英文法の中でもマイナーなためか、詳しく解説している参考書が少ない。英語を学習しているあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?
- 比較級について詳しく理解していない
- 比較級の出現する文に苦手意識を感じる
- 比較級と最上級の違いを知りたい
そこでトイグルでは、英語の比較表現について詳細を解説したい。よくある5つの間違いとその対処法についても述べるため、学習の役に立つはずだ。
1. 比較はモノの程度を比べる時に使う表現
私たち人間が複数の何かを認識するとき、それらを比較しながら考えたり、一方を基準として別のモノの評価を下す、といったことを日常的に行っている。
例えば、スーパーに買い物に行ったら、690円の刺身三種盛りと、980円の刺身五種盛りが売っていたとしよう。この際、「690円より980円のほうが値段は高い」とか、「三種盛りより五種盛りのほうがお得感はある」といったように、無意識に比較をすることは多い。
また、別の場面では「ランチセットCの値段がもっとも高いので、今日はランチセットAかBにしよう」のように、もっとも高い(あるいは低い)ものを基準に考えることもある。
英語の世界でも同様に、「AはBよりも…だ」とか「Cはこの中でもっとも…だ」といった認識は共通して存在する。英文法でそれらを表す方法は比較表現(比較構文)と呼ばれ、主として形容詞や副詞の形を変えることで比較を表す。
例を見てみよう。
- Jane is taller than Ken. (ジェーンはケンより背が高い)
- Communication is more important than performance. (コミュニケーションは業績よりも重要だ)
- Jane is the tallest in my company. (ジェーンは会社内でもっとも背が高い)
- Communication is the most important in business. (コミュニケーションはビジネスでもっとも重要だ)
-erや-est、moreやmostといった語が、比較表現のもっとも典型的な用法である。比較表現が存在するおかげで、私たちは複雑な現実世界を豊かなことばで産出できる。
それでは、比較級・最上級はどのように使えばいいのだろうか? 以下、その具体的な方法を解説していこう。
2. 比較級・最上級の作り方
比較表現になる前の、もともとの形容詞・副詞の形を原級と呼ぶ。比較級・最上級は、形容詞や副詞の語形を変化させたり(-er/-est)、別の語を付け加えることでつくる(more/most)。
2-1. 語尾に-er / -estをつける比較級・最上級
多くの形容詞は、原級の語尾に-erや-estをつけることで、比較級・最上級を表す。
原級 | 比較級 | 最上級 |
tall (高い) | taller (より高い) | tallest (最も高い) |
pretty (かわいい) | prettier (よりかわいい) | prettiest (最もかわいい) |
wise (賢い) | wiser (より賢い) | wisest (最も賢い) |
副詞も同様に、原級の語尾に-erや-estをつけることで、比較級・最上級を表す。
原級 | 比較級 | 最上級 |
early (早い) | earlier (より早い) | earliest (最も早い) |
2-2. more / mostを使う比較級・最上級
文字数の多い形容詞、具体的には3音節以上で構成される場合、moreやmostを伴うことで、比較級・最上級を表す。
原級 | 比較級 | 最上級 |
reliable (信頼できる) | more reliable (より信頼できる) | most reliable (最も信頼できる) |
diligent (勤勉な) | more diligent (より勤勉な) | most diligent (最も勤勉な) |
famous (有名な) | more famous (より有名な) | most famous (最も有名な) |
副詞も同様に、文字数の多い語はmoreやmostを使って比較級・最上級を表す。
原級 | 比較級 | 最上級 |
reliably (確実に) | more reliably (より確実に) | most reliably (最も確実に) |
diligently (勤勉に) | more diligently (より勤勉に) | most diligently (最も勤勉に) |
famously (よく知られて) | more famously (よりよく知られて) | most famously (最もよく知られて) |
一部の形容詞は-erとmoreの2通りに変化する. 例えば, politeはpoliterとmore politeのどちらも可.
2-3. 不規則変化をする比較級・最上級
限られた一部の語は、-er/-estやmore/mostによる比較変化をせず、不規則変化をする。
原級 | 比較級 | 最上級 |
good (良い) | better (より良い) | best (最高の) |
bad (悪い) | worse (より悪い) | worst (最悪の) |
little (小さい) | less (より小さい) | least (最小の) |
far (遠くに) | further(さらに進んで) farther(もっと遠くに) | furthest(最も進んで) farthest(最も遠くに) |
old(年とった) | older(年上の) elder(年上の) | oldest(一番年上の) eldest(一番年上の) |
olderが普通だが, 家族の年齢について言うときはelderを使うことがある(特にイギリス英語).
比較表現に使われる語は主に形容詞と副詞である. 「形容詞と副詞の違いをおさらいしたい」と思った方は別記事の解説もご覧いただきたい.
3. 比較級を使った文の作り方
比較級を使用すれば、「AはBより大きい」とか、「CはDより小さい」といった事態を表現できる。
比較級の使い方を説明しよう。
3-1. 比較級の基本表現 -er / more + than
比較表現でもっともよく使われるのは、than(…よりも)を用いて2つの物事を比べる用法である。
- A is …-er (more …) than B
- → AはBより…だ
比較の尺度になるのは形容詞が多いが、副詞もよく使われる。
*形容詞を使った比較表現
- I’m older than her. (私は彼女よりも年上です)
- She was far more intelligent than her sister. (彼女は姉よりはるかに頭が良かった)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
上の文でolderは「年上の」の意味。私(A)は彼女(B)よりも「年齢」おいて高い程度にあることを示している(A > B)。
下の文でmore intelligentは「より頭がいい」の意味。彼女(A)は姉(B)よりも「賢さ」において高い程度にあることを示している(A > B)。
*副詞を使った比較表現
- You work harder than John. (あなたはジョンより一所懸命に働く)
- The school operates more expensively than other state schools. (その学校は他の州の学校よりも高額に運営している)
上の文でharderは「(より)一所懸命に」の意味。あなた(A)はジョン(B)よりも「一所懸命働く」ことを示している(A > B)。
下の文でmore expensivelyは「(より)高額に」の意味。その学校(A)は他の州の学校(B)よりも「高額に運営している」を示している(A > B)。
3-2. 程度の低さを表す less+原級+than
AがBよりも程度が少ないことを示す時、lessを使う場合がある。
- A is less … than B
- → AはBほど…ではない
2つの例文を比較してみよう。
- Monday was hotter than Tuesday. (月曜日は火曜日よりも暑かった)
- Tuesday was less hot than Monday. (火曜日は月曜日ほど暑くなかった)
(The Cambridge Grammar of the English Language)
気温において「月曜日>火曜日」の状況は同じだが、hotterの文が「月曜日」に焦点を当てて「より暑かった」と言っているのに対し、less hotの文は「火曜日」に焦点を当てて「より暑くなかった」と言っている。
実際のところ、lessを使った表現は回りくどさがあるので、使用頻度はそれほど高くない。lessを使った文を使うとすれば、difficultのような2音節以上の形容詞で「…より程度が低い」を表す時である。
- This problem is less difficult than the previous one. (この問題は前の問題ほど難しくはない)
3-3. 比較級を修飾する方法
比較表現はmuch(はるかに)やsubstantially(十分に)などの語で修飾できる。
*比較級を修飾する語句の例
even (さらに) | much (はるかに) |
far (ずっと) | considerably (かなり) |
substantially (十分に) | significantly (著しく) |
somewhat (いくぶん) | rather (かなり) |
a bit (少し) | a little (少し) |
a lot (たくさん) | a great deal (よりずっと) |
- She’s even more intelligent than her sister. (彼女は姉よりもはるかに頭が良い
- Food prices are significantly lower in the US. (食料価格はアメリカで著しく低い)
- I’m feeling a lot better today. (私は今日はるかに気分が良い)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
very+比較級は不可だが, very much+比較級は可能. 同様に, so+比較級は不可だが, so much+比較級は可能.
例: They are very much more straightforward. (それらははるかにとてもわかりやすい)
3-4. 比較級の発展的な用法
比較級の発展的な用法を紹介しよう。
*比較級 and 比較級
「比較級 and 比較級」は、程度が徐々に増えたり減ったりする様子を表現する。
- It gets warmer and warmer outside. (外は次第に暖かくなっている)
*The 比較級, the 比較級
「The 比較級, the 比較級」は、「Xすればするほど、Yになる」を意味する(Xが原因、Yが結果)。
- The more I thought about it, the less I liked the idea. (私がそれについて考えるほど、そのアイディアを好きでなくなる)
(Longman Dictionary of Contemporary English)
*漠然とした程度を示す「絶対比較級」
対象となるモノ(ヒト)を持たず、漠然とした程度を表す用法は絶対比較級と呼ばれる。
- higher education (高等教育)
higher education(高等教育)は別の教育と比較して「より高い」と言っているわけではなく、「高いレベルの教育」のニュアンスで使われている。
「2つのうちの1つ」のように特定の何かを表す場合、the+比較級の形を取る.
例: This shirt is the better of the two.(このシャツは2つのうちより良いほうです)
4. 最上級を使った文の作り方
最上級を使用すれば、「Aはもっとも大きい」とか、「Bがもっとも効果的」といった事態を表現できる。
最上級の使い方を紹介しよう。
4-1. 最上級の基本表現
最上級でもっともよく使われるのは、「AがBの中でもっとも…だ」の用法である。
比較の尺度になるのは形容詞が多いが、副詞も使われる。それぞれの用法を見ていこう。
*形容詞の最上級
- Burj Khalifa is the tallest building in the world. (ブルジュ・ハリファは世界でもっとも高い建物です)
- It was the most terrifying experience of my life. (それは私の人生でもっとも恐ろしい経験だった)
(例文2: LDOCE)
上の文でthe tallest buildingは「もっとも高い建物」の意味。形容詞tallの語尾に-estをつけることで、最上級を表している。
下の文でthe most terrifying experienceは「もっとも恐ろしい経験」の意味。形容詞terrifyingは-estのつかない語なので、mostで最上級を表す。
*副詞の最上級
- A lesson is most effectively taught if the teacher demonstrates the idea in a practical way. (レッスンはもっとも効果的に教授される, 教師が実用的な方法でそのアイディアを説明すれば)
(一般Webサイト)
most effectivelyは「もっとも効果的に」の意味。ほとんどの副詞は-lyの語尾を持つので、mostをつけることで最上級を表す。
inは場所, ofは期間を表す際に使うことが多い。
例: in the world(世界という場所の中で), of my life(私の人生という期間で).
4-2. 最上級を修飾する方法
最上級はever(今までに)やby far(はるかに)などの語で修飾できる。
*最上級を修飾する語句の例
ever (今までに) | by far (はるかに) |
much (ずっと) | easily (断然) |
quite (完全に) | very (本当に) |
- The last of these reasons is by far the most important. (これらの理由のうち最後ははるかに一番重要である)
- It’s easily the best play I’ve ever seen this year. (それは私が今年観た断然に最高の試合だ)
- They wanted the very best quality. (彼女らは本当に最良の品質を求めていた)
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
4-3. 最上級の発展的な用法
最上級の発展的な用法を紹介しよう。
*「もっとも…のうちの1つ」
英語ではよく、「もっとも…のうちの1つ」といった表現が使われる。
- Tokyo is one of the best cities in the world. (東京は世界でもっとも良い都市の1つだ)
都市を比較する基準は複数あるから、単一の尺度を持って「東京はもっとも良い都市だ」と言い切ることはできない。また、主観的に最高だと思っていたも、大人のコミュニケーションにおいて安易な断定は避けられる傾向にある。
そのため、「もっとも良い都市のうちの1つ」と言えば、ある程度の客観性を含んだ上で程度の大きさを表現できる。こうした表現は英語で頻繁に使われるので、ぜひとも覚えておきたい。
*最上級の順序
「2番目に…である」のように、最上級には順序をつけられる。
- The party is still the second strongest in Italy. (その政党はいまだにイタリアで2番目に強い)
(Collins Cobuild Advanced American English Dictionary)
*of句の前置
「最上級+of」の文において、of以下が文頭に配置されることがある。
次の2つの例文を比較してみよう。
- John is the most polite of the three boys. (ジョンは3人の少年のうちもっとも礼儀正しい)
- Of the three boys, John is the most polite. (3人の少年のうち、ジョンはもっとも礼儀正しい)
(A Comprehensive Grammar of the English Language)
2つの例文はどちらも同じ状況を表しているが、話題の焦点が異なる。John is…では話者の関心がジョンにあるが、Of the three boys…は「3人の少年のうち…」により強調が置かれている。
of以下が前置される文はTOEIC文法問題でもたまに問われる. 最上級の文体と瞬時に見抜けるようにしよう.
5. 比較級によくある5つの間違いとその対処法
比較級を使った文は、話し言葉より書き言葉で複雑化する傾向にある。また、私たちが英文を書く時、比較級の用法に誤りが生じることがある。
ここでは比較級によくある5つの間違いとその対処法を紹介しよう。
5-1. -er/-estとmore/mostを二重に使わない
比較級を学ぶ初期段階では、-er/-estとmore/mostを二重に使ってしまう間違いが起こりやすい。
例を見てみよう。
- 誤: My aunt is more shorter than me.
- 正: My aunt is shorter than me. (おばは私よりも背が低い)
short(背が低い)は-er/-estを付与するタイプの語なので、more shortやmore shorterは容認されず、shorterと言わなくてはならない。
筆者の経験上、日本人学習者は「moreをつける場面に-erをつけてしまう間違い」はあまりないが、「-erをつける場面にmoreをつけてしまう間違い」が発生するように思える。
「-er/-estとmore/mostをきちんと区別しよう」と意識するだけで変わるので、英語をアウトプットする機会のある方は、ぜひとも覚えておきたい。
音楽の歌詞や若者言葉では, 本来-er/-estをつける語にmore/mostを使うこともある. これは非標準的な言い方なので, 率先して使うべきではないだろう.
5-2. 比べられる対象同士を比較する
比較級を使うときは比べられる対象同士を比較しなければならない。
例を見てみよう。
- 誤: The population of India is larger than the US.
- 正: The population of India is larger than that of the US.
誤りの文は、The population of India(インドの人口)とthe US(アメリカ)を比較している。インドの人口と比較できるのは国家としてのアメリカではなく「アメリカの人口」なので、今のままではふさわしくない。
正しい文は、The population of Indiaとthat of the US(= the population of the US)を比較している。「インドの人口はアメリカ(の人口)よりも大きい」で文として成り立つ。
比較級を使った文を書く時、日本語で考えた内容を直訳すると、どうしても上のような誤った文になってしまう。英文を書くときはできるだけ英語の構造を意識するようにしたい。
「異なる対象に見られる共通の尺度の比較」ではなく,「同一の対象と異なる尺度の比較」を表すこともできる.
例: Kelly is more active than social. (ケリーは社会的というよりむしろ活動的です)
5-3. taller than I と taller than meのどちらが正しい?
次の2つの例文はどちらが正しいだろうか?
- He is taller than I. (彼は私より背が高い)
- He is taller than me. (彼は私より背が高い)
結論的に言えば、1と2は文法的にはどちらも可能だが、日常的により使われるのは2のthan meである。1のthan Iはフォーマルな言い方に聞こえる。
実際、コーパスと呼ばれる言語のデータベースで調べると、taller than Iとtaller than meは使用頻度に2倍以上の差が見られる:
- taller than I: 617件
- taller than me: 1,743件
こうした表現の違いは、ネイティブスピーカーの中でも意見が分かれるようである。発話の場面によっても異なるが、取り急ぎtaller than meで覚えておいて差し支えない。
ラテン語に由来する一部の語は, 比較級にthanではなくtoを使用する.
例: This model is technically superior to its competitors. (このモデルは技術的に競合製品に優れている/OALD)
5-4. moreには2種類の用法がある
moreには大きく2つの用法がある。1つは形容詞・副詞の比較変化を作るmore、もう1つはmany(much)の比較級としてのmoreである。
例文を比較してみよう。
- Computers are more interesting than television. (コンピュータはテレビよりも面白い)
- I have more foreign books than her. (私は彼女より多くの外国の本を持っている)
(ジーニアス英和辞典/一部変更)
1は「形容詞・副詞の比較級を作るmore」である。これは、比較を原級に戻したとき、Computers are much interesting.やAre computers much interesting?と言えないことから明らかだ(muchは否定文に使う)。
一方、2は「manyの比較級としてのmore」である。比較を原級に戻してI have many foreign books.と言えることから、moreはmanyが比較変化したものと考えられる。
もちろん、moreの用法がどちらであっても「より多い」の意味には変わりない。ただ、潜在的な違いがわかれば、複雑な文を正しく解釈する1つの手がかりになるだろう。
形容詞・副詞の比較級を作るmoreは副詞, many/muchの比較級としてのmoreは限定詞と解釈される. more interesting(副詞+形容詞)とmore books(限定詞+名詞)が可能なのはこのためである.
5-5. 比較級でthan以下の要素を義務的に削除するメカニズム
比較表現におけるthan以下の構造は複雑なため、リーディングやライティング時に間違いを起こさないよう、その仕組みについて理解しておきたい(上級者向け)。
*-erを用いた比較のthan
- John is [taller] [than Ken is X tall].
- → John is taller than Ken (is).
- → John is taller than Ken.
比較されているのは背の高さだから、ジョンの身長がより高いならば、ケンもX程度の高さがあるはずなので、文の基盤は1のように想定される。
2で性質の同じ(別の意味を持たない)X tallが削除される。isは残ることもあるが、通常は削除されて3で文が完成する。
(文の意味: ジョンはケンよりも背が高い)
*moreを用いた比較のthan
- We are [more afraid of you] [than we are X afraid of them]
- → We are more afraid of you than (we are) of them.
- → We are more afraid of you than of them.
比較されているのは「恐れ」の度合いだから、あなた(You)が「より恐ろしい」なら、彼ら(them)もX程度の恐ろしさがあるはずなので、文の基盤は1のように想定される。
2で性質の同じ(別の意味を持たない)X afraidが削除される。than以下のwe areも重複しているから、3でこれが省略されて文が完成する。
(文の意味: 私たちは彼らを恐れるよりも、あなたを恐れています)
*異なる性質を比較する際のthan
- The lake is [more deep] [than the river is X wide].
- → The lake is deeper than the river is wide.
この文では比較の対象が「その湖の深さ>その川の幅」であり、主たる節と比較節の内容が異なる。そのため、形式的なXが削除されるだけで、残りの項目(the river is wide)はそのまま残る形になった。
様々なパターンがあるが、どの場合も「比較変化が起こる時、than以下の重複要素が義務的に削除される」で一致している。他の複雑な文を読むときは、これらの点に注意されたい。
(文の意味: その湖の深さは、その川の幅よりも大である)
thanを使った比較表現において, than以下の主語と動詞が倒置されることがある. これは対比されている主語を文末に置くためと考えられる.
例: The scores are much lower than were measured by previous assessments. (そのスコアは以前の査定で測られていたスコアよりもはるかに低い)
6. まとめ: 比較表現は暗記よりも理解で取り組もう
この記事では英語の比較表現について詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる。
- 比較表現は「より大きい」や「もっとも安い」を表す時に使う
- 比較級は-erやmoreを使う
- 最上級は-estやmostを使う
- -er/-estとmore/mostを正しく使い分ける
- than以下の節は重複要素が義務的に削除される
いわゆる「受験英語」の世界では、比較表現は「no more… than… = not … any more than…」とか「比較級を最上級の文に書き換えよ」といった形式的な文の操作を中心に学習が行われ、比較はいわば暗記科目のように扱われていた。
一方、日常英会話、ビジネス英会話、さらにはTOEICなどの実務的な英語力を身につけるには、比較表現の根本的な理解が必要不可欠である。この記事を読んで英文法が「暗記」から「理解」に変わったと感じたら、筆者としてこれほど幸せなことはない。
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
Good luck!
The lake is [more deep] [than the river is X wide].
→ The lake is deeper than the river is wide.
deepの比較級が1つ目の文ではmore deepになっていて、2つ目の文ではdeeperになっているのはなにか理由はあるのでしょうか?
>葉山様
2つ目のdeeperの文が正しい英文で、1つ目のmore deepは、2つ目の文の構造をあらわしたものになります。
「no 比較級 than = as 反対の意味の形容詞の原級 as」と「ジーニアス英和辞典」にあります。例えば、以下のような例文です。
a. John is as short as Mary. 「ジョンは、メアリーと同じくらい背が低い」
b. John is no taller than Mary. 「ジョンは、背が高くなく(低く)、メアリーと同じくらいだ」
どちらも、メアリーは背が低いという前提で、同じくらい背が低い(背が高くない)ということを言っていると思います。何かニュアンスの違いはありますか?
以前、以下のように、聞いたことがあるのですが、どうなのでしょうか?
b. の文には「メアリーが背が低く、ジョンはそれよりは大きいことを想定していたが、実際は同じだった(同じくらい背が低かった)」というニュアンスがあり、逆に a. の文は、単純に「メアリーが背が低いのと同じくらいジョンも背が低い」というニュアンスがある。
b. は、no taller で taller を否定しているから、a. は、short を直接使っているから)
>秀ちゃん様
2つの文の知的意味は実質的に同じになりますが、ニュアンスに違いがあると言われます。
a.はご指摘のとおり、shortという語が使われていることから、両者がともに「背が低い」ことを前提とした上で、身長が同程度であると述べています。
b.にはそこまでの前提はないのではないかと思います。基本的な解釈はご指摘の通りで良いでしょう。
参考:
「no+比較級」では, noは比較級にかかり, 比較の対象となる人[物]の間の差がないことを表す「語否定」の機能を持ち, しばしばas+反意語の原級+as …とほぼ同じ意味を表す(ウィズダム英和辞典)
いつも本当にありがとうございます。
a taller boy than Jack 「ジャックより長身の男の子」(限定用法)
a boy (who is/was) taller than Betty 「ベティより長身の男の子」(叙述用法)
同類同士の比較の場合は、その男の子に日常的に備わっている性質を表わすべく限定用法、別の範疇の相手と比較する場合は、一時的な比較を表わすべく叙述用法を用いる。
このように習いました。
質問1
先日、辞書を使っていると、同類の比較なのに後置(叙述用法)になっているものを見つけました。
a computer with the display one size bigger than the former one.
これは、ディスプレイという同じ範疇なのに、後置されています。これは、one size bigger ということで、比較級に副詞句が付いて長くなっているから、後置していると考えてよいのでしょうか?
質問2
つまり、many や much などのような数量詞(限定詞)の比較級を除いて、「比較級単体が名詞を修飾する場合は、同類なら比較級を前置し、別の範疇の比較なら後置する。比較級に副詞句が付いている場合は、長くなるので後置する。」と考えて良いのでしょうか?
>蘭様
申し訳ありません。
「同類同士の比較の場合は、その男の子に日常的に備わっている性質を表わすべく限定用法、別の範疇の相手と比較する場合は、一時的な比較を表わすべく叙述用法を用いる」について、当方は存じ上げませんでした。
このことについて説明されている文献などあれば、教えていただきたく思います。
飯田康夫氏の「道場主の英文法いじわる2択 250」という問題集の解説にあります。以下は、飯田康夫氏のブログでその問題を取り上げたものです。
http://blog.livedoor.jp/eg_daw_jaw/archives/28877006.html
同じ範疇の比較(男の子同士など)であれば限定用法(a taller boy than)が可能だから、異なる範疇の比較(男の子と女の子の比較など) は限定用法が使えず叙述用法になる。
>蘭様
出典、ありがとうございます。
一般的に、形容詞には限定用法と叙述用法があります。
『現代英文法講義』では以下のように述べられています。
限定用法: 修飾する名詞の左側に置かれて、通例、名詞の恒常的な特徴を表す
叙述用法: 修飾する名詞の右側に置かれて、通例、その名詞の一時的な状態を表す
(p475)
おそらく、出典元のブログで書かれているのは、そうした用法に関連することだと思われます。
ただ、大変恐れ入りますが、当方の知識不足により、本件についてたしかなことはわかりませんでした。
ありがとうございます。
比較級も一般の形容詞と考えて、やはり比較級自体が二語以上になると、後置されるように感じました。