英語リーディングの仕組みと勉強方法

英語の長文読解に苦戦する学習者は多い。

あなたは、英文を読むスピードが遅い、あるいは文を読んでも内容を忘れてしまう、といった悩みを抱えていないだろうか?

または、TOEICリーディングセクションが時間内に解き終わらず、速く読めるようになりたいと思っていないだろうか?

リーディングはスピーキング(会話)やリスニング(聞き取り)と比べて地味な科目なので、勉強方法を取り上げられることがあまりない。読解力をつけるには、ひたすら音読をするしかないと思い込んでいる人も多いだろう。

実は、私たちが外国語の文章を読み、その内容を理解するメカニズムは、認知科学の分野で大きく研究が進められている。リーディングの仕組みを知れば、読解に苦戦する理由がわかり、あなたにとって必要な勉強法がわかる。

実際、筆者の運営するTOEICスクールはリーディング力の抜本改善を行った結果、TOEICリスニングセクションでほぼ満点を取った社会人学習者リーディングスコア400点超えでTOEIC830点を取得した社会人学習者など、数々の成功事例を出してきた。

この記事では、英語リーディングの仕組みと勉強法について解説する。リーディング上達のポイント、独学でできる3つの勉強方法、そして英文をスラスラ読める5つのスキルを取り上げるので、すぐに読解力を上げたい人にも役立つ。

英語を本気で学んでいる方を想定読者としているため、やや専門的な領域にも踏み込んでいるが、予備知識なしでもわかる平易な説明を心がけた。この記事を読めばリーディングで何をすればいいか、明確にわかるようになるだろう。

1. リーディング上達のポイントは「解析力」と「理解力」

リーディングとは「英単語を1つずつ翻訳し、文法ルールを使って意味をつなぎ合わせていく作業」ではない。

リーディングとは、文字で示された情報をもとに、書き手の意図を解釈するプロセスである。テキストに書かれている内容だけでなく、背景知識や状況などの情報を活用することで、読み手は文の意味を能動的に解釈する。

すべての文章を「速く」かつ「正確」に読める必要はない。リーディングを行う場面は様々なのだから、大切なのは目的に応じて読み方を変えることだ。

例えば、あなたがTOEICなどの試験問題を解く場面なら、文章を隅々まで読んで設問のヒントを探すだろう。逆に、娯楽のために英語の雑誌を眺めるなら、文の大意が理解できれば良い。

リーディング力を向上させるには、読解中に脳内で起こるプロセスに注目をしよう。様々なモデルがあるが、もっともシンプルなのはリーディングを解析理解の相互作用と考えるモデルである。

リーディング = 解析 × 理解

(トイグル)

詳細を説明しよう。

1-1. 解析とは英語の文字を音声化すること

解析とは英語の文字を音声化するプロセスを表す。

次の例文を見てほしい。

The meeting will be held in the conference room at 10 am.
(ミーティングは10時に会議室で行われる)

(出典: Longman Dictionary of Contemporary English)

私たちがこの文を目にすると、それがアラビア語でもロシア語でもなく、英語で書かれたものとすぐに判断できる。冒頭の語句Theはt/h/eの3文字、meetingはm/e/e/t/i/n/gの7文字で構成される語句であり、これら文字の配列はつづり(スペル)と呼ばれる。

文章を読むときは、たとえ黙読であっても、文字が音となって脳内に現れる。この記事を読んでいる最中、あなたは無意識に脳内で文字を朗読していないだろうか? 英語でも同様に、文字を音声化する力は読解において重要な役割を果たす。

英語力の高い人は、文字の音声化が自動で行われる。英単語から音が自然に思い浮かぶので、脳の容量を文章の理解に集中させられる。よく見かける語彙は音声化が高速で行われ、文字を見ただけで瞬時に意味を抽出できる。結果、リーディングが正確かつ速くなる。

一方、初級の読み手は文字の音声化に課題が見られる。見慣れた単語は滑らかに読めても、conferenceのような文字数の多い語句でつまずいたり、amを「エーエム」と読めずに別の語句に解釈するなど、音の変換に多大なエネルギーを消費する。結果、リーディングが不正確かつ遅くなる。

日本語は平仮名・片仮名・漢字などを使用するのに対し、英語はローマ字(アルファベット)を使用するため、文字体系が大きく異なる。「英文を読んでも覚えられない」といった悩みは、音声化に脳の容量を使われた結果、意味理解に意識が回っていないからと考えられる。

1-2. 理解とは英文の内容を把握する能力

理解とは英文の内容を把握するプロセスである。

次の例文を見てほしい。

The discussion was mainly about sales. The latest annual report shows organic sales growth was 6%, which continued through the second half year.
(議論は主に販売に関するものだった。最新の年次リポートが示すには、既存事業の売上成長率は6%で、それは下半期から続いている。)

この文を読み進めるとき、私たちは次のような手順で理解を行う。

  1. 議論は販売に関するものだった
  2. 最新の年次リポートが示された
  3. 既存事業の売上成長率は6%だった
  4. これは下半期から続いている

1で販売に関する議論が行われたことがわかり、2で年次リポートという新情報が現れ、文脈からそれが議論の中で取り上げられたと判断する。3で成長率が6%だったとわかり、4で下半期から続くトレンドと理解する。

このように、私たちは文を読む過程で新規の情報を取り入れたら、それを既存の情報と照合しながら内容を積み重ねて理解する。文字通りの意味を理解するには、最低でも文中の95%の語句を知っている必要があると言われる。

同時に、文の理解には背景知識が活用される。先程の話がビジネスに関連しているとわかるのは、「年次リポート」や「売上」などがビジネス用語と知っているからだ。

つまり、文の意味とは単語や文法などのテキスト情報だけに存在するのではなく、読み手の解釈を伴ってはじめて成立するのである。解釈が書き手の意図とあまりにずれるのは「誤読」だが、文をどのように読むかは、読み手の判断によって成立する。

1-3. 求められるのは流暢なリーディング力

技術の進歩によって英語の文章に誰もがアクセスでき、多国籍企業では異なる母語を持つ人々が英語を媒介にコミュニケーションをする現在、私たち一般の学習者に求められるのは流暢なリーディング力である。

流暢なリーディングとは、特別な注意を払わずに英文をスラスラと読める状態である。英語を外国語として学ぶ我々は、最低でも70%の理解度を持って1分間に200ワードを読めるのが目安だ。

英語の文章をスラスラと読むには、解析と理解の両方を同時並行で進められる力が必要だ。とりわけ、初級から中級レベルの学習者が力を入れるべきなのが解析力である。音声化できない英単語はうろ覚えなので、意味も曖昧なまま認識してしまうことが多い。

同時に、単語力や文法力を身に着け、たくさんの英文に触れる経験を増やすことで、理解力を強化することも重要だ。以下、これら2つの力を身につけられる勉強方法を紹介していこう。

TOEICとリーディング力

TOEIC Listening and Reading Testはリーディングセクションの100問のうち、69問が長文関連の問題である(Part6/Part7)。TOEICの問題形式は流暢な英語力を測定するようになっているとわかる。

2. あなたのリーディング力を上げる3つの勉強法

リーディング力を向上させる3つの勉強法を紹介しよう。

いずれも予備知識は必要なく、日本人が市販の教材を使って独学でできる。

音読 声に出して英文を読む
精読 難しい英文を丁寧に読む
多読 簡単な英文をたくさん読む

1つずつ説明しよう。

2-1. 音読で書き言葉に慣れよう

音読とは、英語の文章を声に出して読む勉強法である。

音読の目的は解析力の向上である。スペルと音を結びつける能力が強化されるから、解析の自動化ができるようになる。

音読を行う手順は次のとおり。

  1. 教材を入手する
  2. 単語の意味を調べて内容を理解する
  3. 音声を聞いて単語の読み方を知る
  4. 音読を行う
  5. 次回の音読への課題を見つける

はじめての音読は『英会話・ぜったい・音読 【入門編】』を使おう。

2-2. 精読で英文を正確に読めるようになろう

精読とは、英語の文章を丁寧に読む勉強法である。

精読では、現在の英語レベルと同じか、やや難し目の教材を選ぶ。テキストは短いもので構わない。知らない単語の意味を辞書で調べながら、一行ずつ丁寧に文を黙読する。

精読の目的は解析と理解の両方の強化である。文の詳細を理解するから、単語力や文法力の発展も期待できる。

精読の手順は次の通り。

  1. 教材を入手する
  2. 英文を読む
  3. 知らない単語の意味を辞書で調べる
  4. 難解な英文の文法構造を分析する
  5. 次回の精読への課題を見つける

音読と精読を組み合わせて学習しても良い。音読をした教材を精読したり、精読前に音読を取り入れるのも効果的だ。

精読用教材のおすすめは『究極の英語リーディング』。スラッシュリーディングの練習もできる。

2-3. 多読で大量の英語をインプットしよう

多読とは、たくさんの英語の本を読む学習法を指す。

多読で使用するテキストは難易度の低いものが良い。知らない単語がほとんど出現せず、スラスラと読め進められる本が望ましい。分厚い本である必要もなく、薄くて読みやすい本で構わない。

多読中に辞書を使って意味を調べたり、文法構造を分析する必要はない。わからない箇所は飛ばして読み進め、本の大意を理解する。読書中につまらないと思ったら、その本を読むのを止めても良い。

多読でたくさんの英文をインプットすることで、リーディングの理解力の向上が期待できる。多読の手順は次の通り。

  1. 教材を入手する
  2. 英文を読む
  3. 新しい本を読む

多読は『ラダーシリーズ』などの多読用教材がおすすめ。

最高のリーディング勉強法

読む力を伸ばすもっとも良い方法とは、実際に英文を読むことである。

3. 英文をスラスラと読めるようになる5つのスキル

流暢なリーディングは読み方の工夫で改善できる。

英文をスラスラと読めるようになる5つのスキルを紹介しよう。

3-1. プレビューイングで全体像を把握する

プレビューイングとは、本文にざっと目を通し、全体像を把握するスキルである。

例を見てみよう。

英語の例文

デザインから文章がEメールであることがわかる。上部のFromやToは差出人と宛先を表すから、内容を理解するにはDear all(皆さまへ)から始まる本文を読めばいい。

このように、事前にプレビューイングを行っておくことで、重点的に読む箇所と不要な箇所を区別できる。流暢なリーディングには、文を読まない判断も必要なのだ。

3-2. プリディクティングで内容を推測しながら読む

プリディクティングとは、内容を予測しながら英文を読む読解法である。

例を見てみよう。

英語の例文

タイトルは「Professional Department Seminars」で「専門能力開発セミナー」の意味。ここから、表はセミナーの詳細であると予想する。

1行目はLondon(ロンドン)で、4つの科目と日付が記載されている。その下にSwitzerland(スイス)やMalaysia(マレーシア)と続くが、これらもセミナーの詳細を述べているものだと推測できる。

このように、私たちは英文を読んでいる最中、次に来る内容を推測しながら読解を行う。プリディクティングは自然なリーディングスキルだが、意識的に行うことで文をよりスムーズに読める。

3-3. スキミングで文の大意を理解する

スキミングとは、要点をつかむため、文章を飛ばし読みする読解法である。

いま、あなたが大学院に留学するため、海外の大学のWebサイトを見ているとする。はじめは仕組みがわからないから、サイトを隅々まで読んで情報を探すだろう。

いくつかのWebサイトを見ると、授業料や出願方法など、どの大学もある程度共通する内容を述べていることがわかる。これらの情報は大学ごとに一言一句を読まなくても、飛ばし読みで要点だけ把握すれば良い。

もっと日常的な例は書店での立ち読みだ。パラパラ読みから購入の意思決定をするのはスキミングのスキルである。

3-4. スキャンニングで必要な情報を探す

スキャンニングとは、特定の情報を探すためにテキストを速読する読解法である。

例として、架空のレストランのメニューを見てみよう。

英語の例文

あなたが飲み物を頼むなら、メニューから「Drink」を探し、そこから注文を決めるだろう。

また、一緒にいる友人に「前に来た時、スパイシーチキンバーガーが美味しかった」と言われたとする。その場合、あなたはメニューから「スパイシーチキンバーガー」を探し、価格や他の料理と比較検討するだろう。

このように、スキャンニングは私たちが無意識に活用するリーディングスキルの1つである。

3-5. 知らない単語を適切に対処する

英語の文章を読んでいる時、文中のすべての語句を知っている状況はあまりない。よほど難易度の低いテキストを扱う場合を除き、文には知らない語句が出現すると考える。

知らない語句が出てきた場合、3つの対処法がある。

  1. 無視をして読み進める
  2. 文脈から内容を推測する
  3. 辞書を使って意味を調べる

1の負担がもっとも少ないが、文中の98%以上の単語を知らないと、特定の語句を無視したときに文の理解に影響が出る。2は流暢なリーディングの必須スキル。3は単語力強化に有効だが、読むのを一時的に中断するデメリットもある。

メタ認知

「リーディング上達には様々なスキルが必要である」を意識的に理解して行動することは、読解力向上に大きな影響を及ぼす。

まとめ: 圧倒的なリーディング力を身につけよう

この記事では、英語リーディングの仕組みと勉強方法を紹介してきた。

内容をまとめると次のようになる。

  1. リーディング上達のポイントは「文字の音声化」と「理解」
  2. 音読は文字の音声化を促進する
  3. 精読は音声化と理解を促進する
  4. 多読は英文の理解力を上げる
  5. 様々なスキルを用いることで英文を流暢に読める

リーディングはテキストと読み手の間に行われる相互作用である点において、コミュニケーションを重んじる現代の学習方針と何ら矛盾は生じない。

特に、ビジネスや社会人留学で英語を学ぶ大人にとって、リーディングは他の技能と同じか、それ以上に重要な能力となるだろう。

勝つために、圧倒的な英語リーディング力を身に着けよう。

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