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TOEIC Part5は、短文内の空白に最も適した語句を入れる、文法・リーディング問題である。
とりわけ、時制や受動態の使い方が問われる動詞問題を苦手としている方も多いだろう。
そこでトイグルでは、Part5の動詞問題に特化し、対策と勉強法を解説をしていきたい。解き方の順序がわかる動詞問題フローチャートも開発した。
*目次
1. 動詞問題の解き方
はじめに、動詞問題を解く5つのステップを紹介しよう。
例題はこちら。
Melissa Osty _____ hard to win the next round of the competition in her department.
- (A) work
- (B) is worked
- (C) is working
- (D) has been worked
(トイグルオリジナル問題)
ステップ1: 4つの選択肢を1〜2秒程度で把握
まずは、4つの選択肢を1〜2秒程度で眺める。
- (A) work
- (B) is worked
- (C) is working
- (D) has been worked
選択肢には、動詞workの形違いが並んでいる。ここから、この設問は動詞問題であることがわかる。
ステップ2: 設問文を読む
次に、空白を含む設問文全体を読む。
この時、文中の語句を意味のまとまりで分け、それを英語の語順のまま頭から理解すると良い。
先の例文は次のように解釈できる。
- Melissa Osty / _____ / hard / to win the next round of the competition / in her department.
- 「Melissa Osty氏は、◯◯する、一生懸命に、コンペの次の回で勝つために、彼女の部署で」
空白は動詞の位置にあることがわかった。
ステップ3: 明らかに不正解な選択肢を除外する
この時点で、明らかに不正解と思われる選択肢を除外する。
英語では、三人称単数の主語では、現在形の動詞の語尾に-s/-esをつける。この文の主語はMelissa Ostyで三人称単数なので、現在形だが-sがついていない(A)workは入り得ない。
よって、この選択肢は候補から外してしまおう。
(A) work- (B) is worked
- (C) is working
- (D) has been worked
ステップ4: 動詞問題の3要素から選択肢を選ぶ
Part5は文法と意味の両面からアプローチする。
動詞問題ではとりわけ、態・時制・活用の3要素の判断が必要だ。まずは態(能動態vs受動態)から見てみよう。
(A) work- (B) is worked→受動態
- (C) is working→能動態
- (D) has been worked→受動態
能動態は「(主語が)〜する」、受動態は「(主語が)〜される」を意味する。
先の例題では、Melissa Osty氏は「働かれる」のではなく「働く」が自然だろう。よって、唯一の能動態である(C)is workingが正解だ。
尚、態で正解を絞り込めなければ、時制の面からアプローチをかける。これら3要素の詳細は後ほど説明しよう。
2. 動詞問題フローチャート(β)
動詞問題は態・時制・活用以外にも、不定詞・分詞・品詞など、総合的な英文法の知識が要求される。部分的な知識の寄せ集めでは、動詞問題での正答率向上は見込めない。
そこでトイグルでは、解き方の手順を12のステップに分けた動詞問題フローチャートを開発した。このフローチャートに従えば、一部の難問を除いた動詞問題の正解を選べるようになっている。
- 動詞問題フローチャートは、問題集等で設問を解く際の練習用です。
- 動詞問題フローチャートは開発版(β)のため、適宜修正を加える可能性があります。
3. 動詞問題に必要な3つの知識
動詞問題は、態・時制・活用の3要素を総合的に判断して解答する。
- 態: 能動態と受動態を判定
- 時制: 正しい時間表現を選ぶ
- 活用: 正しい形を選ぶ
以下、それらを簡単に解説していこう。
3-1. 態
態とは、主語と動詞の意味的な関係性を指す。
通常の文章では「(主語が)〜する」のように、主語が動詞の動作主となる。主語が能動的に動作を行うから、これを能動態と呼ぶ。
対して、「(主語が)〜される」のように、主語が動作の受け手になることができる。主語が受動的に動作を受けるから、これを受動態(=受身形)と呼ぶ。
能動態は「主語+動詞」、受動態は「主語+be動詞+動詞の過去分詞形」を使って表す。まとめると以下のようになる。
- 能動態: 主語+動詞で「(主語が)〜する」
- 受動態: 主語+be動詞+動詞の過去分詞形で「(主語が)〜される」
例を見てみよう。
- 能動態: I locked the gate. (私が門を施錠した)
- 受動態: The gate was locked. (門は施錠された)
動詞問題の7割近くが、能動態・受動態の区別を正しく行えるだけで、正解を絞り込むことができる。瞬間的に判断できるよう練習しておこう。
3-2. 時制
時制とは、文章の時間関係を表す概念である。英語では、動詞の形を変えることで時制を表す。
まずは例を見てみよう。
- 現在形: I take the test every month. (私はそのテストを毎月受ける)
- 過去形: I took the test last month. (私はそのテストを先月受けた)
現在形ならtake, 過去形ならtookを使用することで、文の時間関係を明確にしていることがわかる。
さて、英語には現在と過去の2つの時制しか存在しない。
- 現在時制
- 過去時制
また、同じ現在・過去であっても、それを捉える視点によって見え方が変わってくる。例えば、同じ現在でも「普遍的な現在の事実」と「現在一時的に行われていること」なら、異なるニュアンスを持っている。
そこで英語では、一般・完了・進行・完了進行の4つの視点が使われる。
- 一般
- 完了
- 進行
- 完了進行
このように、2つの時制に4つの視点があるため、英語の時制は8つのパターンに分けられる。
尚、英語で未来を表す際は、助動詞を使用する。助動詞はwillやcanなどに代表される語句で、その出来事が未来に起こる可能性を表す。
3-3. 活用
活用とは、動詞の形を主語に合わせて変化させることを指す。
Part5で頻出な4つのルールを覚えておこう。
- 主語が3人称単数の現在形の場合、動詞の語尾に-sをつける (例: He works…)
- 助動詞の直後の動詞は原形 (例: You might find…)
- require, insist, suggest等の動詞の後のthat節内は動詞の原形 (例: He suggested that Mary go to the library. )
- 命令形は動詞の原形 (例: Work hard!)
4. 動詞問題その他のポイント
より高いスコアを狙う中・上級者向けに、動詞問題で知っておきたいその他のポイントを解説しよう。
4-1. 前置詞の直後は動詞の-ing形
前置詞の直後に動詞を入れる場合、動詞は-ing形を使用する。
例を見てみよう。
- on hearing the fire alarm… (火災警報器を聞いたら…)
- before moving to… (〜に引っ越す前に)
- after working on… (〜の仕事の後)
特に、Part5ではbefore/afterの直後に動詞の-ing形を入れる問題が頻出する。
4-2. to不定詞の後は動詞の原形
to不定詞の直後に動詞を入れる場合、動詞は原形を使用する。
例を見ていよう。
- to submit the report (レポートの提出のため)
- in order to raise funds (募金を集めるため)
- so as to avoid the traffic jam (その交通渋滞を避けるため)
尚、toは前置詞で使用される場合、『4-1. 前置詞の直後は動詞の-ing形』で説明したとおり、動詞の-ing形を入れる。
- I’ve been looking forward to meeting you. (私はあなたと会えるのを楽しみにしています)
4-3. be動詞+to不定詞
be動詞の直後にto不定詞を使用することができる。
まず、be動詞は「〜の状態にある」のイメージがある。
toのイメージは「〜に向かう」だ。
そこで、be動詞とtoのイメージを組み合わせることで、「〜に向かっている状態」の意味となる。
例を見てみよう。
- The students are to go to school by 8 o’clock. (学生たちは8時までに学校に行くことになっている)
この文章は、次のように解釈することができる。
- 主語A: The students (学生たち)
- 動詞: are (be動詞が変化したもの)
- 状態B: to go to school by 8 o’clock (8時までに学校に行く)
- ⇒学生たちは8時までに学校に行く状態にあることになっている
Part5でも時折出題されるので、注意しよう。
4-4. require, insist, suggest等のthat節内は動詞の原形
文章の主たる動詞にrequire, insist, suggest等が使われており、その直後のthat節内の動詞が空白の場合、そこには動詞の原形を入れる。
例を見てみよう。
The company’s rules require that each of the employees _____ only one guest to the award dinner.
- (A) bring
- (B) brings
- (C) brought
- (D) bringing
(トイグルオリジナル問題)
空白の直前の主語はeach of the employees。eachは三人称なので、これに対応する動詞は(B)bringsとなるはずだ。
しかし、この文章は動詞require直後のthat節内のため、原形の(A)bringを用いる。
正解は(A)bring。「会社のルールは、従業員のそれぞれが賞の夕食会にゲストを1人だけ呼ぶよう要求している」の意味となる。
4-5. 分詞問題
動詞問題では、分詞と呼ばれる用法が問われる設問が稀に出題される。
分詞は上級者向けのため、別エントリーで説明したい。
4-6. and等の接続詞でつながれる場合
andやbutなどの小さな接続詞は、その前後に同じ品詞の語句を用いる。
- 名詞 and 名詞
- 形容詞 and 形容詞
- 副詞 and 副詞
動詞も同様に、前後には同じ主語に対応する動詞を使う必要がある。
Part5では、and前後の距離を離すことで、and直後の空白をわかりにくくしているような難問が時折出題される。
例を見てみよう。
Chang Fan broke with precedent and _____ a new business in Tokyo.
- (A) launches
- (B) launched
- (C) launching
- (D) has been launched
(トイグルオリジナル問題)
andは同じ品詞をつなぐ。and直後には名詞precedent(先例)があるが、選択肢はすべて動詞。空白には何かしらの動詞が入る。
主語はChang Fanであり、その直後には過去形brokeが使用されている。よって、空白もChang Fanを主語とする過去形の動詞がほしい。
この条件に合うのは(B)launched(立ち上げた)のみなので、これが正解。「Chang Fan氏は先例を破り、新しいビジネスを東京で立ち上げた」の意味となる。
4-7. 倒置
稀なケースとして、倒置が起こる文に動詞を入れる問題が出題される。倒置は文意を強調するため、主語・動詞・目的語の位置関係が逆さまになる現象を指す。
以下、倒置のパターンを見てみよう。
*冒頭が否定の語句
- Never do I drink. (私は決して酒を飲まない)
- Seldom have I read such a difficult book. (そのような難しい本は滅多に読まない)
*冒頭が形容詞
- Happy about the news of the album are my son and daughter. (私の息子と娘はそのアルバムのニュースについて嬉しく感じています)
*冒頭が副詞句
- Into the room Elena came back. (エレナは部屋の中に戻った)
*冒頭が現在分詞形
- Working on my homework is Ken. (私の宿題をやっているのはケンです)
*冒頭が過去分詞形
- Located between Kyle Field and the Quad is the Sanders Center. (Sanders CenterはKyle Fieldとthe Quadの間に位置している)
*比較級
- You speak English better than do I. (あなたは私より英語をうまく話す)
- You are more engaged in Linguistics than is Sean. (あなたはショーンよりも言語学に没頭している)
*冒頭が比較級
- More beautiful than Miku is Hana. (ミクよりも美しいのはハナ)
*as
- Jammy was in the audience, as were his grandparents. (ジェイミーは聴衆の中にいた、彼の祖父母もそうだった)
*so that
- So lazy is Tom that he cannot cook dinner by himself. (トムは自分で夕食を作れないほどの怠け者だ)
5. まとめ
当エントリーでは、Part5動詞問題に特化し、その解き方を解説してきた。
動詞は文の心臓に当たるパーツのため、用法は多岐にわたる。だからこそ、ルールの暗記よりも使い方を理解し、応用問題にも対応できる力を身に着けてほしい。
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