英語の所有格とは?使い方のポイントは多様な意味を理解すること

所有格

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英語の所有格とは、名詞の語尾に「’s」をつけ、「〜の」に相当する意味をもつものである。

例えば、John’s book(ジョンの本)では、John’sが所有格の名詞となる。

英語を勉強しているあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?

  • 所有格とはそもそも何…?
  • 所有格はどんな使い方をする…?
  • 所有格の上手な訳し方を知りたい

そこでトイグルでは、英語の所有格について詳細を解説していきたい。学習の参考になるはずだ。

1. 所有格は「〜の」に相当する格変化の1つ

とは、名詞や代名詞の語形が、文中での使われ方によって変化することである。まずは例を見てみよう。

  • (1) Emma’s watch (エマの腕時計)

ここでは、Emmaの語尾に「’(アポストロフィ)」と「s」がついて、Emma’s(エマの)のように語形が変化している。このような用法が所有格である。

格は所有格の他にも主格や目的格などがあるが、現代英語で語形が変わるのは所有格のみである。以下の例文を比較してみたい。

  • (2) Emma teaches English. (エマは英語を教えている/主格)
  • (3) I found Emma’s watch in the toilet. (トイレでエマの腕時計を発見した/所有格)
  • (4) I love Emma. (私はエマが大好きだ/目的格)

学習者にとって馴染みが深いのは、代名詞の所有格だろう。代名詞は人称と数によって別々の語が使われる。

  • (5) my watch/our watch (私の腕時計/私たちの腕時計)
  • (6) your watch (あなたの腕時計/あなたたちの腕時計)
  • (7) his watch/her watch/its watch/their watch (彼の腕時計/彼女の腕時計/それの腕時計/彼らの腕時計)

この記事で扱うのは、(1)のような名詞の所有格である。以下、所有格の用法を詳しく見ていきたい。

所有格の理解が英語習得に役立つ理由
所有格は一見すると存在感の薄い文法だが、実はその意味と用法において奥が深い。所有格を使った表現はどちらかと言うと話し言葉向きだが、書き言葉でも頻繁に用いられる。英語で積極的なアウトプットをしたいなら、所有格の正確な使い方を知っておくことが重要である。

用語の解説
厳密に言うと、所有格になるのは「名詞句」であって名詞ではない。ただ、本記事ではわかりやすさの観点から名詞と表記していく。

2. 所有格の使い方

所有格の使い方について、意味の観点から説明していきたい。

2-1. 所有・所属

  • (8) Britney’s wallet was found in the meeting room. (ブリトニーの財布は会議室で見つかった)
  • (9) Barry’s grandmother lives in Birmingham. (バリーの祖母はバーミンガムに住んでいる)

所有格のもっとも典型的な例は、その名の示すように、所有所属をあらわす場合である。

(8)のBritney’s wallet(ブリトニーの財布)では、所有格が所有の意味に解釈される。財布はブリトニーの所有物である。

(9)のBarry’s grandmother(バリーの祖母)では、所有格が所属の意味に解釈される。バリーの祖母はバリーと(血縁関係として)所属の関係にある。

2-2. 起源

  • (10) Einstein’s theory was published a century ago. (アインシュタインの理論は1世紀前に公開された)
  • (11) Thank you for sharing Suzanne’s letter. (スザンヌの手紙を見せてくれてありがとう)

所有格は起源をあらわすことがある。

(10)のEinstein’s theory(アインシュタインの理論)では、所有格が起源の意味に解釈される。その理論を考案したのはアインシュタインである。

(11)のSuzanne’s letter(スザンヌの手紙)では、所有格が作者の意味に解釈される。その手紙を書いたのはスザンヌである。

起源と作者の関連性
作者というのは要するに、その手紙や本の起源ということである。

2-3. 同格

  • (12) Think of your life’s journey. (人生の旅路について考えてごらんなさい)

所有格は同格をあらわすことがある。

(12)のlife’s journey(人生の旅路)では、所有格が同格の意味に解釈される。life(人生)とjourney(旅路)が並列の関係にある。

尚、現代英語で同格をあらわす場合、the city of Shibuya(渋谷という街)のように、ofを使うほうが自然である。

2-4. 部分

  • (13) Seventy percent of the earth’s surface is covered by water. (地球の表面の70%は水で覆われている)

所有格は部分をあらわすことがある。

(13)のearth’s surface(地球の表面)では、所有格が部分の意味に解釈される。「(地球の)表面」は「(天体としての)地球」の一部である。

2-5. 種類

  • (14) I went to a women’s college in the early 80’s. (私は1980年代初頭に女子大学に通っていた)

所有格は種類をあらわすことがある。

(14)のa women’s collegeでは、所有格が種類の意味に解釈される。「a women’s college = a college for women」と考えよう。

尚、この場合の不定冠詞aは、women’s collegeにかかるものである。women’sにかかるわけではない点に注意したい。

  • a [women’s college]

種類をあらわす所有格は制約がある
種類をあらわす所有格は用法に慣習的な制約がある。例えば、a summer’s day(夏の日)やa winter’s day(冬の日)と言えても、a spring’s day(春の日?)やan autumn’s day(秋の日?)は不自然な響きがある。

用語の解説
種類をあらわす所有格を「記述属格(descriptive genitive)」と呼ぶことがある。

2-6. 時間や価値

  • (15) Today’s lunch is last night’s dinner. (今日の昼食は昨晩の夕食です)
  • (16) Australia produced more than billion dollars‘ worth of gold last year. (オーストラリアは10億ドル以上の価値の金を昨年生産した)

所有格は時間価値をあらわすことがある。

(15)のToday’s lunch(今日の昼食)およびlast night’s dinner(昨晩の夕食)では、所有格が時間の意味に解釈される。

(16)のmore than billion dollars’ worth(10億ドル以上の価値)では、所有格が価値の意味に解釈される。

形容詞的な役割の所有格
時間や価値をあらわす所有格にもはや「所有」の意味はなく、形容詞に近いはたらきを持つ。

用語の解説
時間や価値をあらわす所有格を「度量の属格(genitive of measure)」と呼ぶことがある。

2-7. 主格関係

  • (17) The student’s application will be reviewed on an individual basis. (学生の応募は個別に検討されます)
  • (18) Who will cover in the doctor’s absence? (その先生の欠員を誰が埋めるのですか)

所有格のあらわすA’s Bにおいて、AとBが主述の関係になることがある。

(17)のthe student’s application(学生の応募)と、(18)のthe doctor’s absence(その先生の欠員)は、以下のような関係になる。

  • (17′) The student applied for …
  • (18′) The doctor was absent.

(17)は元が自動詞の語を名詞化した場合(apply→application)、(18)は元が形容詞の語を名詞化した場合(absent→absence)の例である。

2-8. 目的格関係

  • (19) Parents should involve themselves in their children’s education. (親は子供の教育にかかわるべきです)

(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)

所有格のあらわすA’s Bにおいて、AがBの意味上の目的語になることがある。

(19)のtheir children’s education(子供の教育)は、概ね以下のような関係になる。

  • (19′) Parents educate their children.

この例のように、元が他動詞の語を名詞化した場合(educate→education)、目的格と同等の関係になる。

主格と目的格の解釈があいまいな場合
場合によって、主格と目的格の解釈があいまいになることがある。例えば、Tim’s murder(ティムの殺人)はTim murdered someone.(ティムが誰かを殺した/主格関係)とSomeone murdered Tim.(誰かがティムを殺した/目的格関係)のどちらにも解釈できる。

用語の解説
以上に見たように、所有格は必ずしも「所有」だけを意味するものではない。そのため、厳密な英文法ではこれを「属格」と呼ぶことがある。本記事ではわかりやすさの点から「所有格」の名称で統一している。

3. 所有格表現とofによる表現の使い分け

<A’s B>の所有格表現は、<B of A>のようなofを使った表現と交換可能なことがある。

例えば、以下の2つにおいて、その表面的な意味はほとんど変わらない。

  • Picasso’s work: ピカソの作品
  • the work of Picasso: ピカソの作品

しかし、<A’s B>は無条件に<B of A>に書き換えられるわけではない。Mary’s smartphone(メアリーのスマートフォン)とは言えるが、the smartphone of Maryは不可である。

それでは、<A’s B>と<B of A>にはどのような違いがあるのだろうか? 以下、詳細を見ていこう。

3-1. A’s Bが好まれる場合

  • (20) We always called grandpa’s sister “great-aunt”. (私たちはいつも祖父の姉を「グレート・アーント」と呼んでいた)
  • (21) Yamanashi Prefecture is one of Japan’s fruit-producing regions. (山梨県は日本の果実生産地域の1つです)
  • (22) Toyota’s founder, Kiichiro Toyoda, named the company after himself. (トヨタの創業者である豊田喜一郎は、会社に彼自身の名前を命名した)
  • (23) I just read an article in today’s newspaper. (今日の新聞記事を読んだところです)
  • (24) It is less than a mile’s walk from here to Kings Cross. (ここからキングス・クロスまで徒歩1マイル未満です)
  • (25) Without a plan, you’re just writing for writing’s sake. (計画なしでは、ただ書く目的で書くだけになります)

<A’s B>の形が好まれるのは、人(20)、国名(21)、組織名(22)、時間(23)、距離(24)などをあらわす場合である。(25)のように慣用表現として使われることもある。

これらすべてに共通する特徴があるわけではないが、人間、あるいは人間の活動に何らかの関連があるものが多い。

3-2. B of Aが好まれる場合

  • (26) The bike racks are located at the front of the building. (自転車ラックは建物の正面に設置されています)
  • (27) Buy her a bunch of flowers. (彼女に花束を買ってあげなさい)
  • (28) I forgot the name of the singer who won the Song of the Year award last year. (私は「ソング・オブ・ザ・イヤー賞」を昨年受賞した歌手の名前を忘れた)

<B of A>の形が好まれるのは、主に(26)のように、無生物が主語の場合である。

内容的に重要な要素はofの後ろに置かれることがある。例えば、(27)をflowers’ bunchとするのはかなり不自然な印象になる。

Aの要素が長い場合、<B of A>の形が好まれる。(28)をsinger who won the Song of the Year award’s singerとすることは、かなり不自然である。

前置詞ofの詳しい使い方
前置詞ofの詳しい使い方は別記事で解説している。より深く知りたい方はご覧いただきたい。

4. 所有格のその他の用法

所有格に関する、その他様々な用法を見ていきたい。

4-1. 独立所有格

  • (29) This smartphone is George’s. (このスマートフォンはジョージのものです)
  • (30) I just went to the dentist’s. (歯医者に行ってきました)
  • (31) I had lunch at McDonald’s. (マクドナルドで昼食を取りました)

所有格の名詞が単独で用いられる場合、それを独立所有格と言う。独立所有格は既出の名詞ほか、建物などをあらわす語で起こる。

(29)は既出の名詞が省略されている場合である。George’sはGeorge’s smartphone(ジョージのスマートフォン)を指す。

(30)は建物の名称が省略されている場合である。the dentist’sはthe dentist’s office(歯医者)を指す。

(31)のように、固有名詞の後の建物名が省略されることがある。McDonald’sはMcDonald’s restaurant(マクドナルドの店舗)を指す。

以上の例文を省略なしにあらわすと、次のようになる。

  • (29′) This smartphone is George’s smartphone.
  • (30′) I just went to the dentist’s office.
  • (31′) I had lunch at McDonald’s restaurant.

独立所有格で建物名を省略できる理由
独立所有格で建物名を省略できる理由は、それが文化的・社会的に了解されているからである。たとえば「歯医者に行く」と言えば、それは「歯科医の運営しているクリニック」を指すことに異論の余地はない。

4-2. 二重所有格

  • (32) Sue is a friend of my mother’s. (スーは母の友人のひとりです)
  • (33) Look at that long brown hair of Cindy’s. (シンディの長い茶色の髪をご覧なさい)
  • (34) It was no fault of Kim‘s. (それはキムのせいではない)

<B of A’s>の形を二重所有格という。所有格は冠詞(a/the)や指示代名詞(this/thatなど)などと一緒に使えないから、冠詞や指示代名詞を伴う名詞と共に使う場合、<of+所有格>の形にするのである。

(32)のa friend of my mother’sは「私の母の友人のひとり」の意味である。上述の理由によって、a my mother’s friendとは言えない。そのため「of+所有格」であらわす。

(33)のthat long brown hair of Cindy’sは「シンディの長い茶色の髪」の意味である。指示代名詞thatが使われていることから、Cindy’s that long brown hairとは言えない。そのため「of+所有格」であらわす。

(34)のno fault of Kim’sは「キムのせいではない」の意味である。不定代名詞noが使われていることから、Kim’s no faultとは言えない。そのため「of+所有格」であらわす。

尚、二重所有格に関連して、次のような意味の違いに注意されたい。

  • a painting of my father’s (父が描いた絵/父が所有している絵)
  • a painting of my father (父を描いた絵)
  • my father’s picture (父を描いた絵/父が描いた絵/父が所有している絵)

a friend of mine
a friend of mine(私の友人の1人)は、of後に所有代名詞が使われている例である。これまで紹介したa friend of X’sより使用頻度が高い。

上級者向け: 形容詞的な所有格
記述属格(「2-5. 種類」を参照)および度量の属格(「2-6. 時間や価値」を参照)は、「不定冠詞+所有格の名詞+名詞」が可能である。これら所有格が「形容詞的」に使われているからである。

4-3. 所有格の副詞的用法

  • (35) The shop is open Sundays. (そのお店は日曜日に開いている)
  • (36) I can’t get used to work mornings. (午前中に働くのは慣れない)

古英語の時代は、名詞の所有格が副詞として使われることがあった。現代でも、Sundays(日曜日)やmornings(午前中)などはその名残があり、副詞的に使われる。

参考: 所有格のつくり方

所有格のつくり方について、まとめておきたい。

単数名詞の所有格

  • (37) a horse’s tail (馬のしっぽ)
  • (38) Rafael’s mother’s name (ラファエルの母親の名前)

単数名詞の所有格は、名詞の語尾に<‘s>をつけるだけでよい。(38)のように、所有格の名詞を続けることもできるが、口語的な表現である。

複数名詞の所有格

  • (39) boys’ books (少年たちの本)
  • (40) children’s clothes (子どもたちの衣服)

複数名詞を所有格にする場合、語尾が-sで終わるものは、<‘>のみをつける。これはsの重複を避けるためである。

語尾が-sで終わらない複数名詞は、単数名詞の場合と同様に、語尾に<‘s>をつける。

固有名詞の所有格

  • (41) Michael’s guitars (マイケルのギター)
  • (42) Dickens’s novels / Dickens’ novels (ディケンズの小説)

固有名詞を所有格にする場合、語尾が-s以外で終わるものは、<‘s>をつける。

語尾が-sで終わる固有名詞の場合、<‘>のみの場合と、<‘s>をつける場合の両方が可能である。

複合名詞の所有格

  • (43) my father-in-law’s motorcycle (義父のバイク)

複合名詞を所有格にする場合、最後の要素に<‘s>をつける。

群所有格

  • (44) Alexander the Great’s conquests (アレクサンドロス大王の征服)

複数の語によるまとまった単位を1つの名詞とみなして所有格にする場合、最後の語に<‘s>をつける。

A and Bの所有格

  • (45) Tom and Mary’s dictionary (トムとメアリーの辞書/共有)
  • (46) Tom’s and Mary’s dictionaries (トムの辞書とメアリーの辞書/個別)

andによって結ばれた名詞の場合、共有のものをあらわす際は最後の名詞に<‘s>をつける。(45)は「トムとメアリー(らによって共有されている)辞書」の意味である。

個別のものをあらわす場合、それぞれの名詞に<‘s>をつける。(46)は「トムの辞書とメアリーの辞書」の意味である。

所有格の発音
所有格のsの発音は三人称単数のsと同じで、有声歯擦音[z]、無声歯擦音[s]、歯擦音[iz]の3とおりがある。

まとめ: 所有格はもう苦手ではない

この記事では、英語の所有格について詳細を解説してきた。

内容をまとめると次のようになる:

  1. 所有格は「〜の」に相当する格変化の1つ
  2. 所有格は所有だけでなく、起源、同格、部分など様々な意味がある
  3. A’s Bの所有格はB of Aで言い換えられることがある
  4. 独立所有格や二重所有格などの用法がある
  5. 複数名詞の所有格は「’」をつけるだけでよい

トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。

Good luck!

15 COMMENTS

とっしー

田邊様 詳細な説明をありがとうございました。分かり易かったです。質問です。以下の文章の所有格は、ご説明いただいた区分のどれに当てはまりそうなものでしょうか。
The terrorist entered the politician’s hotel in the guise of a reporter.(そのテロリストは、政治家のいるホテルに記者のふりをして潜入した)
英検1級のパス単からの文章です。

田邉竜彦

コメントありがとうございます。
お役に立てたようで幸いです。

さて、ご質問にあった文の所有格ですが、おそらく本記事の「2-1. 所有・所属」に該当するのではないかと思います。

政治家がいたホテルということで、一時的な状態ではあるものの、ホテル(の一つの部屋)がその人物の所有関係にあったと考えられます。

ご参考まで…

目的格関係として19)が出ていますが、
これは主格関係ではないでしょうか?

A’s Bにおいて、AがBの意味上の目的語になる→目的格関係 とあります。

(19′) Newton discovered the law of gravity. (ニュートンは万有引力の法則を発見した)
これは、A(Newton)がB(discovery)の主語になっており、主格関係ではないのでしょうか?

Tim’s murder
→Tim murdered someone.(ティムが誰かを殺した/主格関係)
→Someone murdered Tim.(誰かがティムを殺した/目的格関係)

ここに当てはめても、(19′)は主格関係の方だと思います。

田邉竜彦

>蘭様

コメントありがとうございます。

ご指摘のとおり、元の例文は主格関係を表すものでした。
大変申し訳ありません。

ただ今、該当箇所の例文および説明を差し替えました。

今後ともよろしくお願いします。

the work of Picasso
これは、人がofの後に来ていますが、例外と考えれば良いでしょうか?

また、
the work of Picasso’s は使わないのでしょうか?

田邉竜彦

>蘭様

the work of Picassoはどちらかと言うとかたい表現で、その人物の生きた時代が若くなると、身近な人としての意識が強くなり、Picasso’s workとすることがあります(参考: ウィズダム英和辞典。)

the work of Picasso’sは「二重所有格」のようになるので、the work of Picassoでよろしいかと思います。

ご回答ありがとうございます.
というのも、
a painting of my father’s (父が描いた絵/父が所有している絵)
a painting of my father(父を描いた絵)
という二重所有格の意味があったので、
ピカソの作品(ピカソが作り上げた作品)という意味なら、
二重所有格で、
the work of Picasso’s となるのではないかと思ったのです。

何度も申し訳ありません….

a painting of my father
my father’s painting
(私の父を描いた絵)
は、Someone painted my father と考えられると思うので目的格関係ですか?

また、二重所有格の持つ意味は、名詞が変わっても同じですか?
このサイトでは、paintingを例に意味の違いを説明されてますが、
paintingが、pictureやworkなど他の名詞になっても基本的には同じなのでしょうか?

田邉竜彦

>蘭様

コメントありがとうございます。

my father’s paintingは

「父を描いた絵」
「父が描いた絵」
「父が所有している絵」

の3通りの解釈が可能です。

「父を描いた絵」であれば、Someone painted (a pictue of) my father. の意味になるので、目的格関係と言えると思います。

二重所有格はpaintingだけでなく、pictureやwork、さらには例文(32)のようなfriend、例文(33)のようなlong brown hair、例文(34)のようなfaultも可能です。

ありがとうございます。
二重所有格の the work of Picasso’s で、ピカソの作品 とならないのはなぜなのでしょうか?
a painting of my father’s (父が描いた絵/父が所有している絵)
a painting of my father (父を描いた絵)
この表現から考えると、疑問に感じてしまいます。

田邉竜彦

>蘭様

コメントありがとうございます。

the work of Picasso’sの件についてまとめました。
少し長くなりますが、お読みいただけると幸いです。

まず、当方が調べた限り、二重所有格は以下のような形で用いられます。

1. a/an X of Y’s
2. this/that X of Y’s
3. no X of Y’s

a painting of my father’sは「1. a/an X of Y’s」に相当します。

これは意味的にはmy father’s a paintingですが、このように書くとmyとaが衝突してしまいます。そのため、a painting of my father’sのように書くというのが、二重所有格の趣旨となります。

さて、安藤貞雄氏の『現代英文法講義』によれば、二重所有格の主要部(ofの前の部分/a paintingに相当)は「不定(indefinite)」でなければならないとあります。

したがって、以下の2つの例において、aは文法的に容認されるものの、bは不可という判断になります。

a. A friend of the doctor’s has arrived. (医者の友人がやって来た)
b. *The daughter of Mrs Brown’s has arrived.

翻って、the work of Picasso’sの場合、the workが「定(definite)」になるので、二重所有格として容認されない、と結論付けられます。

尚、それでは「ピカソの作品」はどう言えばいいかとなると、やはりthe work of PicassoかPicasso’s workが良いでしょう。日本語の「の」に該当するのはof(あるいは(’s)になります。)

追記1: 二重所有格はofの後の要素がofの前の要素にかかるものなので、仮にthe work of Picasso’sが容認されるとすれば、それはPicasso’s the workを意図することになります。しかし、そうであればシンプルにPicasso’s work、the Picasso’s workあるいはthe work of Picassoと言えばよいので、やはりこの例において二重所有格は不要になると感じます。

追記2: 本事例に関してネイティブ・スピーカーに確認を取ったわけではないため、the work of Picasso’sが容認される可能性が直ちにゼロとは断定できません。ただ、理論的には、容認可能性は低いのではないかと思います。

参考: 安藤貞雄 『現代英文法講義』pp.421

とても詳しく説明して頂き、ありがとうございます。モヤモヤしていたものが晴れたような気がします。
繰り返しの質問に、適切に答えていただき、本当にありがとうございました。

質問ではありませんが、感謝のコメントを送らせて頂きます。

田邉竜彦

>蘭様

また何かあればお気軽にご質問ください!

ココロ

質問1. 
所有を表す場合、主語が生物なら Mike’s bag のように所有格を用い、主語が無生物なら the top of a mountain のように of を用いる。

このようにロイヤル英文法は説明していたのですが、疑問があります。
それは、of で所有を表す用法と二重所有格の使い分けです。
以下のように考えましたが正しいでしょうか?

主語が無生物なら所有の of を使えるので、主語が生物(所有格を用いる状況)で、かつ不定冠詞や指示冠詞などを用いる必要が場合は、a friend of Mike’s のように二重所有格を用いる。

質問2. a friend of Mike’s (マイクのある友達) は a friend of Mike では成り立たないのでしょうか?
the top of a mountain の場合は、所有の意味で成り立つので。
これも、Mike が生物であるため、所有の of が用いれないため、二重所有格にするということでしょうか?

田邉竜彦

>ココロ様

質問1

はい、A of BのAに不定冠詞やthis/that等を含む場合、A of B’sの構造にします。

質問2

a friend of Mike’sですが、通常、a friend of Mikeは不可となります。
これは、*Mike’s a friendとは言えないからです。

例:
He’s a friend of the doctor’s. (彼はその医者の友人だ)
the friend of the doctor’s who runs a hotel (その医者のホテルを経営している友人)
a picture of my father’s (父が所有する絵)

the top of a mountainの場合、ofは【部分】をあらわすものなので、the mountain’sとはなりません。

例文の出典: ジーニアス英和辞典

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