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英語の「前置詞+名詞」は文中で様々な使われ方をする。
英語を学習しているあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?
- 前置詞は名詞の修飾以外に使えるのか?
- 前置詞を名詞の後と動詞の後に使う場合の違いは何か?
- be動詞+前置詞の用法をどう解釈すればいいのか?
そこでトイグルでは英語前置詞の機能について説明していきたい。学習の参考になるはずだ。
*前置詞つきの句には3つの用法がある
英語の前置詞とは、at、on、inなどに代表される語(または句)である。
前置詞は通例、名詞(または名詞相当語句)を伴うことで「前置詞つきの句」を形成する。例を見てみよう。
- (1) The committee consists of five members. (その委員会は5人のメンバーを含んでいる)
- (2) John is from Australia. (ジョンはオーストラリア出身です)
- (3) Between nine and ten would suit me. (9時と10時の間が都合が良いです)
(1)は前置詞ofにfive members(5人のメンバー)、(2)は前置詞fromにAustralia(オーストラリア)、(3)は前置詞betweenにnine and ten(9時と10時)が続く例である。
前置詞つきの句は文中で、副詞句になる副詞用法、形容詞句になる形容詞用法、名詞句になる名詞用法の3つの使い方がある。
副詞用法は(1)のように前置詞つきの句が動詞等の要素を修飾する。形容詞用法は(2)のように前置詞のつきの句が補語になったり、名詞を修飾する。名詞用法は(3)のように主語として使われる。
これまでの議論をまとめると次のようになる。
副詞用法 | 副詞句として用いる 例文(1)に相当 |
形容詞用法 | 形容詞句として用いる 例文(2)に相当 |
名詞用法 | 名詞句として用いる 例文(3)に相当 |
各用法の違いは何だろうか? 文中でどのような区別をして使われるのだろうか? 以下、それぞれの詳細を説明しよう。
注: 「前置詞句」という名称を用いる文法書もある。本記事では「前置詞つきの句」で統一したい。
1. 前置詞の副詞用法
前置詞つきの句は副詞句として用いられる。
1-1. 動詞の修飾
- (4) I agree with you. (あなたに賛成です)
副詞句として用いられる前置詞つきの句は、動詞を修飾するはたらきを持つ。
(4)はwith you(あなたに)がagree(同意する)を修飾している例である。
1-2. 形容詞の修飾
- (5) My mother is good at cooking. (私の母は料理が上手です)
副詞句として用いられる前置詞つきの句は、形容詞を修飾するはたらきを持つ。
(5)はat cooking(料理が)がgood(上手)を修飾している例である。
1-3. 副詞の修飾
- (6) I’m living away from home. (私は家から離れて暮らしています)
副詞句として用いられる前置詞つきの句は、副詞を修飾するはたらきを持つ。
(6)はfrom home(家から)がaway(離れて)を修飾している例である。
1-4. 文全体の修飾
- (7) In my opinion, most people do not need these type of bikes. (私の意見として、ほとんどの人々はこれらの種類の自転車を必要としていない)
- (8) My wife has never, to my knowledge, visited Toronto. (私の知る限り妻はトロントを訪れたことがない)
副詞句として用いられる前置詞つきの句は、文全体を修飾するはたらきを持つ。
(7)は前置詞つきの句が文頭、(8)は文中に用いられている例である。
2. 前置詞の形容詞用法
前置詞つきの句は形容詞句として用いられる。
2-1. 限定用法
- (9) Students in the class are asked to write an essay. (クラスの学生は小論文を書くよう求められる)
形容詞句として扱われる前置詞つきの句は、限定用法で用いられる。限定用法は名詞の意味を限定するもので、前置詞つきの句の場合、名詞の後ろに置かれる。
(9)はStudents in the class(クラスの学生)の意味である。
2-2. 叙述用法
- (10) A new campus is under construction. (新しいキャンパスは建設中です)
- (11) Please make yourself at home. (どうぞごゆっくりおくつろぎください)
形容詞句として扱われる前置詞つきの句は、叙述用法としても用いられる。
叙述用法は主語の性質や状態を説明するもので、(10)のような主語補語の場合と、(11)のような目的語補語の場合がある。
3. 前置詞の名詞用法
まれな場合として、前置詞つきの句は名詞句として使われる。
3-1. 主語
- (12) Across the street is an old-fashioned candy store. (通りの向かいには古い駄菓子屋がある)
- (13) After dinner would suit me. (夕食の後が都合が良いです)
名詞句として扱われる前置詞つきの句は、主語になる。
(12)はAcross the street(通りの向かい)、(13)はAfter dinner(夕食の後)が主語として使われている例である。
3-2. 前置詞の目的語
- (14) A low voice replied from behind the door. (ドアの向こう側から低い声が返ってきた)
名詞句として扱われる前置詞つきの句は、前置詞の目的語になる。
(14)はbehind the door(ドアの向こう側)が前置詞fromの目的語として扱われている例である。
4. まとめ
この記事では、前置詞の機能について詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- 前置詞に名詞(相当語句)を伴うことで「前置詞つきの句」になる
- 前置詞つきの句には3つの用法がある
- 副詞用法は前置詞つきの句が副詞句として用いられること
- 形容詞用法は前置詞つきの句が形容詞句として用いられること
- 名詞用法は前置詞つきの句が名詞句として用いられること
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
Good luck!
コメントさせていただきます。 英検の例文にあったのですが、If you got under 90 on the entrance test, ・・・ 入学試験で得点が90点未満だった場合は・・・
このunderは副詞で、90 ( points) つまり、形容詞90を修飾している。名詞pointsは省略 ということですよね? 前置詞句のunder 90が目的語にも見えますが?
>ST様
コメントありがとうございます。
ご質問の件について以下、当方の調べた範囲でお答えします。
・たしかに、意味的には90 pointsに相当するので、If you got under 90 points…といった言い方が可能です。この場合、基数詞90はpointsを修飾する形容詞として使われていると言えます。ただ、pointsが省略された場合、pointsが文の表面にあらわれていない以上、90を名詞として捉えてよいかもしれません。
・underには副詞としての用法がありますが、ウィズダム英和辞典(第4版)によると、次のような限定された使い方になるようです。
1. 下に(へ)(通例、go, pull, comeなどの動詞と共に用いられる)
例: go under
2. A and [or] 〜
例: children 6 and under
3. 効いて
The doctor put him under.
under 90 pointsの例に戻ると、たしかに一見すると「副詞+形容詞+名詞」に見えなくはないものの、用例的にこうした解釈をしてよいのか、直ちに断言ができません。
・『アルファ英文法』という文法書では、前置詞つきの句が動詞の目的語になる場合として、という注意書きをしながら、次の例文を提示しています(p720)
We must prevent under the desk from getting too untidy.
この場合のunderは副詞ではなく前置詞ということです。
・したがって、取り急ぎの結論としてunderは前置詞であり、under 90は動詞getの目的語になっているのではないかと考えます。
明確な答えをお示しできず申し訳ありません。
以上、よろしくお願いします。
納得いたしました。お忙しい中お調べご回答いただきありがとうございました。前置詞句を目的語と見ればスッキリするのに、例文が見当たらず質問させていただきました。その後、他にも例文も見つけることが出来ました。You have till ten to-night.(今夜10時まで待ってやる)
>ST様
お役に立てたようで光栄です。
ありがとうございました。
(12) Across the street is an old-fashioned candy store. (通りの向かいには古い駄菓子屋がある)
これは An old-fashioned candy store is across the street. [SVC]の倒置とは考えられないのでしょうか?
After dinner (夕食の後という時間帯)、Across the street(通りの向かいという場所)、behind the door(ドアの向こう側という場所)というような感じで、名詞句として働いているという考えで良いのでしょうか?
2つ連続の質問となってしまい、申し訳ありません。宜しくお願いします。
>金谷様
(12)ですが、この例文ではSVCの倒置とも解釈できますね。
ただ、総称表現などを除けば、不定冠詞a(an)から文を始めて、A … is …という文は、英語の情報構造の観点から若干違和感を感じます。
(12)の文なら
There is an old-fashioned candy store across the street.
と言ったほうが自然かもしれません。
その意味で、「前置詞つきの句が名詞用法として主語の位置に使われている」と考えて差し支えないと思います。
2つ目の質問ですが、after dinner, across the street, behind the doorなどは、こうした名詞の位置に来るという場合においては、名詞句と判断してよいと思います。
尚、これは用語の問題ですが、「前置詞句」という言い方をする場合もあります。その場合は「前置詞句の名詞用法」になります。
学習文法では前置詞句という言い方は一般的ではないので、「前置詞つきの句」と言うこともあります。
詳しく解説して頂き、本当にありがとうございました。
久しぶりの質問となりますが、宜しくお願いします。
It(S) is(V) [20 percent](M) [off the marked price](C).
Q1.以下の文で、off以下は前置詞句ですが、これは前置詞句の”形容詞的用法(叙述用法)”という理解で良いのでしょうか?
Q2.前置詞の区別は以下のようになるのでしょうか?
“名詞以外+前置詞句”または”前置詞句が文を修飾”→副詞的用法
名詞+前置詞句→形容詞的用法(限定)
前置詞句が補語→形容詞的用法(叙述)
前置詞句が”主語”または”前置詞の目的語”→名詞的用法
先程の質問に付け足しです。
質問1で、off以下の前置詞句が、形容詞的用法(叙述)であるかという質問をしたのは、副詞的用法とも考えられるかと思ったからです。
例えば以下の文は、SVC構文で、Cに副詞の”on”が来ています。そうすると、off以下の前置詞句は副詞的用法とも考えられるのではないかと思いました。
The microwave was [on].
その上で、副詞”on”などには単体で形容詞としての用法が無いので、補語に副詞が来ていると考えるしかないです。しかし、前置詞句は形容詞的用法(叙述)を持っているので、それであれば形容詞的用法だと考えるのが妥当かとは思っています。
>蘭様
Q1.
・結論的に言うと、先の例文のoff以下は「形容詞用法」の「限定用法」と思われます。
・It is 20 percent off the marked price.の文ですが、こちらは
It (S) / is (V) / 20 percent (C) / off the marked price (M)
のように分析すると良いでしょう。
off以下は20 percentを後から修飾しているので、限定用法です。
(”20 percent”はMではなくC)
続いて、2つ目のコメントにあった副詞のonですが、副詞は文の補語(C)になり得ます。
例えば、『現代英文法講義』のp55には、副詞が補語になる例として以下の例文が記載されています。
Her secret was out. (彼女の秘密はばれてしまった
したがって、たしかにonに形容詞用法はありませんが、副詞として補語になれるので、The microwave was on.の文も、意味の面ではともかく、文法的には適格です。
そうした点からIt is 20 percent off the marked price.を再度考えますが、off以下の解釈にかかわらず、20 percentが補語になるので、off以下は叙述用法にはなりえませんし、副詞用法にもならないと結論づけられます。
尚、ウィズダム英和辞典にoffが前置詞の場合の近い例があったので、参考までに掲載いたします。
この場合の30 percentは補語ではなく目的語ですが、off以下の解釈は、変わらず形容詞用法の限定用法です。
You’ll save 30 percent off the usual price. (いつもの値段の3割引になっています)
Q2.
・基本的には書いていただいたとおりです。
・尚、名詞用法が「動詞の目的語」になる場合も、まれにあるようです。
We must prevent under the desk from getting too untidy. <アルファ英文法より>