海外の取引先と英語で価格交渉することになり、「うまく伝えられるだろうか」「沈黙が怖い…」と不安になっていませんか。
そういった悩みを抱え、価格交渉でよく使うフレーズを丸暗記する方もいるでしょう。
しかし実際の交渉の場面で、覚えたフレーズをどのタイミングで使えばよいのかわからず、言葉を詰まらせてしまうといったケースも少なくありません。
英語での価格交渉を成功させるために必要なのは、交渉を有利に進めるための「流れ」を理解することです。
この記事では、イギリスの大学院で経営学修士号(MBA)を取得し、アメリカ企業でのインターンシップを経験した筆者が、英語での価格交渉をスムーズに進めるための基本ステップをわかりやすく解説します。
また、よくある交渉パターンとして5つの具体的な実例も紹介するので、あなたの置かれている状況に近いケースがきっと見つかるはずです。
価格交渉の全体像をつかみ、英語での交渉でも落ち着いて対応できる状態を目指しましょう。
英語での価格交渉の基本的な流れ6ステップ
価格交渉ではいきなり金額を切り出すのではなく、相手の条件を確認しながら少しずつ話を詰めていくことで、合意につながりやすくなります。
ここでは、英語での価格交渉を6つのステップに分けて、有利になりやすい流れを紹介します。
1. 雑談・空気づくり(Icebreaking)
価格交渉に入る前に、軽く空気を和らげる一言(Icebreaking) を入れましょう。
商品の価格の話は、お互いにとって少なからず緊張する話題です。
最初に一言クッションを入れるだけで、相手も心の準備ができ、こちらの要望も聞いてもらいやすくなります。
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I hope you are doing well. Thank you for sending us the quotation.
(お元気でいらっしゃいますか。お見積もりをお送りいただき、ありがとうございます。)

We’re doing well, thank you. I’m glad to hear from you.
(こちらは順調です。ご連絡いただき、うれしく思います。)
\音声を聞く/
2. 価格調整の意思を伝える(State Your Position)
次は価格について相談したい意思を伝えます。この段階では、具体的な金額を出す必要はありません。
まずは「価格について話し合いたい」という姿勢を示し、価格に調整の余地があるかを確認しましょう。
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We would like to discuss the pricing with you. Is there any flexibility in the pricing?
(価格について相談させていただきたいと考えています。価格に調整の余地がありますか?)

It may be possible depending on the conditions.
(条件次第では可能かもしれません。)
\音声を聞く/
3. 相手の意思・条件を聞く(Understand Their Position)
相手の立場や条件を理解しないまま希望金額を提示すると、交渉の選択肢を自分から狭めてしまうことがあります。
ここでは、相手がどのような条件を重視しているのか、どこに調整の余地がありそうかを把握しましょう。
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What kind of conditions would make an adjustment possible?
(どのような条件であれば、調整が可能でしょうか。)

If the order volume increases, we may be able to offer a better price.
(注文数量が増えれば、より良い価格をご提案できるかもしれません。)
\音声を聞く/
4. こちらの希望条件・金額を提示する(Present Your Proposal)
次は、こちら側の希望条件や希望金額を具体的に伝える段階に進みます。
この時、希望金額は必ず「理由」や「背景」とセットで提示しましょう。
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In that case, we could increase the order by 500 units, and we were hoping for a price of around $9 per unit.
(今回検討している数量を踏まえると、1個あたり約9ドルを希望しています。)

That might be difficult, but we can review it internally.
(少し難しいかもしれませんが、社内で検討してみます。)
\音声を聞く/
希望価格を伝える時は断定せず、”hope”(希望する)や”around”(およそ)といった単語を使って、交渉の余白を残しましょう。
5. 譲歩・代替案を提示する(Offer Concessions / Alternatives)
相手からすぐに前向きな返答がもらえない場合は、別の条件を出して交渉してみましょう。
ここで大切なのは、一方的に値下げを求め続けないことです。
価格以外の条件を調整することで、相手にとっても受け入れやすい提案になります。
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If that price is difficult, we could also consider adjusting the delivery schedule or payment terms.
(もしその価格が難しければ、納期や支払条件の調整も検討できます。)

That sounds helpful. Let us review the options.
(それは助かります。選択肢を検討させてください。)
\音声を聞く/
6. 最終価格で合意する(Reach Agreement)
最終的な金額・数量・条件をまとめて確認し、双方が同じ内容を理解している状態を作りましょう。
価格や条件をあいまいなままにすると、あとから認識のズレが生じてしまうことがあります。
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The final price would be $9.20 per unit for an order of 1,500 units.
(最終的な価格は1,500個の注文で、1個あたり9.20ドルという理解でよろしいでしょうか。)

Yes, that is correct. We will proceed under those terms.
(はい、その内容で間違いありません。その条件で進めます。)
\音声を聞く/
【実例5選】英語での価格交渉の会話パターンと進め方
ここでは、海外の取引先との間でよくある5つの交渉タイプを紹介します。
あなたの交渉にもっとも近いタイプの実例を参考に、会話のパターンや進め方を把握しましょう。
1. 海外サプライヤーへの値下げ交渉
シチュエーション
あなたの会社は、日本で生活雑貨ブランドを運営しています。主力商品は、オフィスや自宅で使えるUSB充電式のデスクライトや小型家電です。これまで国内向けに販売してきたが、価格競争力を高めるため、海外の製造サプライヤーと量産契約を検討しています。品質や仕様には満足しているものの、初回提示された単価が想定よりやや高く、条件を調整できないか相談する状況です。
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The quality looks great, but the price is slightly above our target.
(品質はとても良いのですが、価格が少し想定を上回っています。)

I understand. Our pricing is based on the current material costs.
(理解しています。現在の材料費を反映した価格になっています。)
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Since this is our first large-scale production, we need to be cautious about the initial costs.
(今回が初めての大規模生産なので、初期コストは慎重に検討したいと考えています。)

That makes sense. What kind of price range are you aiming for?
(なるほど。どのくらいの価格帯を想定されていますか。)
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If we start with an order of 2,000 units, we were hoping to be closer to $12 per unit.
(2,000個からスタートする場合、1個あたり12ドル前後を希望しています。)

That would be challenging, but increasing the volume could help.
(それは簡単ではありませんが、数量が増えれば可能性はあります。)
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In that case, we could also consider a longer lead time to reduce the cost.
(その場合、リードタイムを長くすることも検討できます。)

That could work. Let us review the numbers again.
(それは可能性があります。改めて計算してみます。)
\音声を聞く/
2. 海外メーカーからの値上げ要求への対応
シチュエーション
あなたの会社は、日本で家電・生活雑貨を販売して、アメリカのメーカーから、スマートホーム関連製品を輸入し、日本国内で販売しています。これまで安定した価格で取引してきましたが、原材料費や人件費の上昇を理由に、メーカー側から価格改定(値上げ)の要請がありました。条件を見直すためのオンラインミーティングを行います。
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Thank you for the update. We understand, but this would impact our retail pricing in Japan.
(ご連絡ありがとうございます。理解していますが、日本での販売価格に影響があります。)

I see. We understand this may be challenging for your market.
(なるほど。御社の市場では厳しい状況になることは理解しています。)
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If we pass the full increase on to customers, it could affect our sales volume.
(値上げ分をそのまま価格に反映すると、販売数量に影響が出る可能性があります。)

That makes sense. What options would you like to explore?
(それは理解できます。どのような選択肢を検討されたいですか。)
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If we commit to a longer contract period, would it be possible to limit the price increase for this year?
(契約期間を長くすることで、今年の値上げ幅を抑えることは可能でしょうか。)

That could be an option. Let us review the terms internally.
(それは1つの選択肢ですね。社内で検討します。)
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Thank you. We’d like to find a solution that works for both sides.
(ありがとうございます。双方にとって納得できる解決策を見つけたいと考えています。)

Agreed. We’ll get back to you with an updated proposal.
(同感です。修正案をお送りします。)
\音声を聞く/
3. 数量を増やす条件での価格交渉
シチュエーション
あなたの会社は、日本でアパレル向けのOEM商品を企画・販売して、主にTシャツやスウェットなど、シンプルなベーシックアイテムを中心に展開しています。これまで海外メーカーから、シーズンごとに一定数量を仕入れてきましたが、新しく大手小売チェーンとの取引が決まり、次回はこれまでより大きなロットでの発注を検討しています。今回は発注数量を増やすことを前提に、1枚あたりの単価を見直せないかを相談するため、価格交渉を行います。
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We are planning a larger order for the next season.
(次のシーズンは、発注数量を増やす予定です。)

That’s good to hear.
(それは良いですね。)
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If we order 5,000 units, could you adjust the unit price?
(5,000枚発注する場合、単価の調整は可能でしょうか。)

It may be possible. It would depend on the final quantity.
(可能性はあります。最終的な数量次第ですね。)
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In that case, we were hoping for around $8 per unit.
(その場合、1枚あたり8ドル前後を希望しています。)

That price might be a bit tight for us.
(その価格は少し厳しいかもしれません。)
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Understood. What price range would work for you?
(承知しました。御社として可能な価格帯はいくらでしょうか。)

If the volume is confirmed, we could consider $8.50.
(数量が確定すれば、8.50ドルなら検討できます。)
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Thank you. Let us review this internally and get back to you.
(ありがとうございます。社内で検討して改めてご連絡します。)
\音声を聞く/
4. 納期・支払条件とセットでの交渉
シチュエーション
あなたの会社は、日本で業務用IT機器(タブレット端末・周辺機器)を法人向けに販売しています。今回、新モデルの端末を海外メーカーから仕入れるにあたり、提示された納期がやや短く、生産・輸送コストが上乗せされている状況です。そこで、「納期を延ばす」「支払条件を一部前倒しする」といった条件を組み合わせ、価格や追加コストを調整できないかを相談するため、交渉を行います。
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We’ve reviewed the quotation. The overall cost is higher than we expected.
(見積もりを確認しました。全体のコストが想定より高く感じます。)

Yes. The short lead time is increasing our production costs.
(はい。短い納期のため、生産コストが上がっています。)
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I see. If we extend the lead time, could the cost be adjusted?
(なるほど。では、納期を延ばすことでコスト調整は可能でしょうか。)

That may be possible. A longer lead time would help our production planning.
(可能性はあります。納期が長ければ、生産計画が立てやすくなります。)
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We could also consider a partial prepayment.
(前払いの一部も検討できます。)

That would certainly help.
(それは助かります。)
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In that case, could you review the pricing and delivery terms together?
(その場合、価格と納期条件を合わせて再検討していただけますか。)

Yes. We’ll review the package and get back to you.
(はい。条件全体を確認して、改めてご連絡します。)
\音声を聞く/
5. 交渉決裂を回避して代替案を提示
シチュエーション
日本でBtoB向けソフトウェアを提供するあなたの会社は、海外IT企業の分析エンジン(API)導入を検討しています。価格・ライセンス交渉を進めたものの、相手の最低価格を下回る条件では契約不可と判明。このままでは決裂の恐れがあるため、導入範囲やプラン変更などの代替案で関係を維持し、次につながる形で交渉を終えたい状況です。
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Thank you for the detailed explanation. However, this pricing is still difficult for us to proceed with.
(ご説明ありがとうございます。ただ、この価格では進めるのが難しい状況です。)

I understand. Unfortunately, this is our minimum pricing.
(理解していますが、こちらが提示できる最低価格です。)
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In that case, could we start with a trial for a small number of users?
(その場合、まずは少人数向けのトライアルから始めることは可能でしょうか。)

That could be possible.
(それなら可能かもしれません。)
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If the trial is successful, we would discuss expanding the contract.
(トライアルがうまくいけば、本契約の拡大を検討したいと考えています。)

That sounds reasonable. Let us review that option internally.
(それは妥当ですね。社内で検討します。)
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英語での価格交渉でよくある3つの失敗例と対策法
ここでは、英語での価格交渉で陥りやすい3つの失敗例と、その対策法を紹介します。
前もってつまずきやすいポイントを知っておけば、不利な条件で合意してしまったり、相手との関係を悪くしたりするリスクを減らせます。
1. 直接的すぎる表現を使ってしまう
英語で価格交渉する際、日本語の感覚のまま直訳すると、表現が強くなりすぎることがあります。
たとえば、「もう少し安くなりませんか?」という気持ちで ”Can you lower the price?”と伝えると、命令や要求のように聞こえてしまう場合があります。
価格交渉では断定を避け、hope / might / flexibility などのクッション表現を使って、余白を残しましょう。
- Is there any room to adjust the pricing?(価格について調整の余地はありますか。)
- We were hoping for some flexibility in the pricing. (価格に多少の柔軟性があればと考えていました。)
2. 聞き取れていないのに”Yes”と言ってしまう
英語での交渉では、反射的に “Yes” と答えてしまうと、「理解した・同意した」という意味で受け取られてしまうケースもあります。
後になって条件や金額の認識ズレが発覚し、大きなトラブルにつながることがあるため、注意が必要です。
- I see. (なるほど。)
- I understand the idea. (考え方は理解しました。)
聞き取れなかった場合は、無理に流さず、その場で確認しましょう。
- Sorry, could you say that again? (すみません、もう1度言っていただけますか。)
- Could you clarify that point? (その点をもう少し詳しく教えていただけますか。)
オンライン会議の場合、音声の乱れや通信環境の影響で、相手の話が一部聞き取れないことも珍しくありません。
そんな時は次のフレーズを使って、正直に伝えましょう。
- Sorry, the audio cut out for a moment. (すみません、少し音声が途切れました。)
- Could you repeat that last part? (最後の部分をもう一度お願いできますか。)
また、金額や条件など重要な内容は、チャットに書いてもらうと認識ズレを防げます。
- Could you put that in the chat? (チャットに書いていただけますか。)
3. 沈黙を恐れて不利な条件を即座に受け入れてしまう
価格交渉中の沈黙に耐えきれず、つい「それで大丈夫です」と即答してしまうのは、よくある失敗の1つです。
英語の交渉では「沈黙=拒否や不満」とは限りません。
次のようなフレーズを使って、考える時間を取る意思を、はっきり伝えましょう。
- Let me take some time to review this. (少し検討させてください。)
- Could we get back to you after reviewing the details? (詳細を確認したうえで、改めてご連絡してもよろしいでしょうか。)
| 社会人になってから英語をやり直し、仕事で英語の会議に参加するようになった実例を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 TOEIC®825点!スコアアップとビジネス英語を同時にマスターした驚きの勉強法とは!? |
まとめ:価格交渉の「流れ」をおさえてイメージを固めよう
英語での価格交渉を成功させるためには、英語力そのものではなく、有利になる交渉の進め方(流れ)を把握することが重要です。
以下のポイントを意識しておけば、英語での価格交渉も落ち着いて進められます。
- いきなり金額を出さず、調整の余地を確認する
- 相手の条件や背景を聞いたうえで、こちらの希望を伝える
- 価格以外の条件も組み合わせて交渉する
- すぐに結論を出さず、考える時間を取る
まずは、今回紹介した「基本の流れ」と実例をもう一度確認し、実際の交渉シーンを頭の中でイメージしてみてください。
自信を持って交渉に臨むための、第一歩となるはずです。
| 英語での商談をスムーズに進められるようになりたい方は、以下の記事もご覧ください。 フレーズ暗記に頼らない英語商談の進め方!4つの実例で全体像をつかみ不安を解消 |