英語の代名詞itの意味は「それ」だけではない!itの使い方をわかりやすく説明

代名詞it

英語の代名詞のひとつにitがある。

通常、itは「それ」の意味で覚えられる語である。一方、itは「それ」以外の用法で使われることも多い。

英語を勉強中のあなたは次のような疑問を持っていないだろうか?

  • 文中にitが出てくると、いまいち訳し方がわからない…
  • 形式主語や形式目的語といった使い方が苦手…
  • itの使い方を見分けられるようになりたい…

そこでトイグルでは、英語の代名詞itについて詳細を解説していきたい。この記事を読めばitの全体像が明らかになり、用法の区別ができるようになる。学習の参考になるはずだ。

*目次

はじめに: 代名詞itの使い方一覧

代名詞itの使い方一覧

本記事で紹介する代名詞itの使い方は上記の4つである。

itが「それ」と訳されるのは「前に出た語・句・節を指すit」だけである。残りの3つは「何も指さないit」であり、文法的な要因で使われるものである。

英語初心者の方は『1. 前に出た語・句・節を指すit』と『2. 時・天候・距離・状況などを指すit』がわかればよい。

中級者の方はこれらに加えて『3. 形式主語・形式目的語のit』を学習しよう。上級者の方は『4. itを使った強調構文』を学べば、英文解釈の幅が広がるに違いない。

以下、それぞれの使い方を見ていこう。

1. 前に出た語・句・節を指すit

代名詞itは前に出た語、句、節を指すはたらきを持つ。itが「それ」の意味で訳される、もっとも基本的な用法である。

1-1. 特定の物

  • (1) “Where is my laptop?” “It‘s on the desk.” (「私のノートパソコンはどこ?」「それは机の上にありますよ」)

itは前に出現した特定の物を指す。例文では、it = my laptopである。

赤ちゃんをitで受けることがある
人を表す代名詞は通常、he(彼は)やshe(彼女は)だが、まだ性別のわからない赤ちゃんをitで指すことがある。

1-2. 節または文の内容

  • (2) “Do you think the cell phone is simple to use?” “I doubt it.” (「その携帯電話は使いやすいと思う?」「思いませんね」)

itは前の節、あるいは文全体の内容を指すことがある。例文では、itは「その携帯電話が使いやすいこと」であり、「私はそうは思わない」と述べている。

itの解釈は長文読解でも重要
itが何を指すか見極めることは、長文の英語を読む際に重要なスキルとなる。itを単に「それ」と訳すのではなく、その対象を常に考えながら読むようにしよう。
用語の解説
前に出た語・句・節を指すitは「逆行照応のit」と呼ばれることがある。

2. 時・天候・距離・状況などを指すit

代名詞itには時、天候、距離、状況などを表す用法がある。例を見てみよう。

  • (3) It was cloudy yesterday. (きのうは曇りだった)

この例文で使われているのは「何も指さないit」である。

意味的な観点で言えば、天候という漠然とした状況を示すのに主語は不要である。しかし、英語は必ず主語が必要なので、itを補うことで、主語の位置を埋めるのである。

したがって、時・天候・距離・状況などを指すitは日本語に訳出しない場合が多い。(3)は「きのうは曇りだった」と解釈すればよい(「それはきのう曇りだった」ではない。)

2-1. 天候・寒暖・明暗

  • (4) It‘s sunny in Tokyo. (東京は晴れです)
  • (5) It was raining yesterday. (きのう雨でした)
  • (6) It was dark outside. (外は暗かった)

itは天候、寒暖、明暗を指す際に使われる。(4)は天候、(5)は寒暖、(6)は明暗を示す例。

2-2. 時間・曜日・季節

  • (7) It‘s half past seven. (7時半です)
  • (8) It‘s Tuesday today. (今日は火曜日です)
  • (9) It‘s spring now. (今は春です)

itは時間、曜日、季節を指す際に使われる。(7)は時間、(8)は曜日、(9)は季節を示す例。

half past seven
pastは「…を過ぎて」の意味の前置詞。half past sevenは「7時を30分過ぎて=7時30分」と解釈される。pastはイギリス英語で見られる表現で、アメリカ英語はafterを使う。

2-3. 距離

  • (10) It‘s four miles from here to Harajyuku. (ここから原宿まで4マイルです)

itは距離を示すことがある。例文は「ここから原宿まで4マイルです」の意味。

2-4. 状況

  • (11) “Who’s there?” “It’s me.” (「どなたですか?」、「私です」)
  • (12) I can’t make it. (間に合わない)
  • (13) That’s it. (以上です)

itは漠然とした状況を指すこともある。

(11)はitが主語に使われている例。itは漠然とした人を指す。

(12)はitが動詞の目的語に使われている例。make itは「(時間に)間に合う」の意味がある。

(13)はitが補語の位置に使われている例。That’s it. = That’s the point.で、「以上です」と解釈される。

Who is it?
ドアや電話越しなど相手の素性がわからない時、Who is it? (あなたは誰?)のように言える。

3. 形式主語・形式目的語のit

形式主語・形式目的語のitとは、主語や目的語に長い句や節が来た時、それをitで置き換え、長い句や節を後ろに配置する際に使うものである。

次の例文を見てみよう。

  • (14) To do some exercise is important. (運動をすることは重要です)

この文は文法的に正しいが、主語(To do some exercise)が長くてバランスが悪い。そこで、主語をitに置き換え、to do以下を後ろに配置する。

  • (14′) It is important to do some exercise. (運動をすることは重要です)

このような「文末重心」の文をつくれるのが、予備のitの特徴である。

形式主語・形式目的語のitはthat節、不定詞節、動名詞節、wh節、名詞などで用いられる。以下、例文と共に見ていこう。

3-1. that節

  • (15) It is certain that my next letter will be from that address. (私の次回の手紙がその住所から来ることは確実だ)
  • (16) I took it for granted that everybody knew how to make tea. (みんながどうやって紅茶を作るか知っていることは当たり前とみなしていた)
  • (17) No wonder that people are unable to pay utility bills. (人々が公共料金の支払ができないのは不思議ではない)

形式主語・形式目的語のitはthat節の内容をあらわす。

(15)は予備のitが主語の位置に使われている例。that以下の内容(私の次回の手紙がその住所から来ること)がcertain(確実だ)としている。

(16)は予備のitが目的語の位置に使われている例。that以下の内容(みんながどうやって紅茶を作るか知っていること)を当たり前とみなしていたとしている。take A for grantedは「Aを当たり前とみなす」の意味。

(17)のようにit isが省略されることがある。it isを復元して書くと以下の通り:

  • (17′) It is no wonder that people are unable to pay utility bills. (人々が公共料金の支払ができないのは不思議ではない)
thatの省略
that節のthatは省略されることがある。

3-2. 不定詞節

  • (18) It is important for us to understand the problem. (問題を理解することが私たちにとって重要です)
  • (19) I found it difficult to listen to this whole episode. (この全部の話を聞くことは困難だった)

形式主語・形式目的語のitは不定詞節の内容をあらわす。

(18)は主語の位置に予備のitが使われている例。to以下(問題を理解すること)が重要であるとしている。

(19)は目的語の位置に予備のitが使われている例。to以下(この全部の話を聞くこと)が困難だとしている。

3-3. 動名詞節

  • (20) It‘s nice seeing you again. (またお会いできて嬉しいです)
  • (21) We found it pleasant working with them. (彼らと共に働けて楽しかった)

形式主語・形式目的語のitは動名詞節の内容をあらわす。

(20)は主語の位置に予備のitが使われている例。seeing you again(また会うこと)が嬉しかったと述べている。

(21)は目的語の位置に予備のitが使われている例。working with them(彼らと共に働いたこと)が楽しかったと述べている。

3-4. wh節

  • (22) It does not matter who decided to call off the wedding. (誰が結婚式を中止にしたかは問題ではない)
  • (23) We didn’t make it clear what we were looking for. (私たちが何を探しているかを明確にしてなかった)

形式主語・形式目的語のitはwh節の内容をあらわす。

(22)は主語の位置に予備のitが使われている例。who以下(誰が結婚式を中止にしたか)は問題ではないと述べている。

(23)は目的語の位置に予備のitが使われている例。what以下(私たちが何を探しているか)が明確ではなかったと述べている。

3-5. 名詞

  • (24) It is astonishing, the amount of websites. (ウェブサイトの量は驚くべきである)

形式主語のitが、後から出てくる名詞に言及する場合がある。例文では、it = the amount of websites(ウェブサイトの量)である。

that節, 不定詞, 動名詞の詳しい使い方
用語の解説
形式主語・形式目的語のitは「予備のit/導入のit/先行のit」のように呼ばれることがある。

4. itを使った強調構文

itを使った強調構文とは、it is … that 〜の型で「〜するのは…だ」の意味になる構文である。

…の位置には主として名詞や代名詞が入る。他にも、疑問詞や節を強調することもできる。以下、使い方を見ていこう。

4-1. 名詞や代名詞の強調

  • (25) Smith bought a smartphone from GizmoTrade yesterday. (スミスはきのうギズモトレードでスマートフォンを買った)
    • (25a) It was Smith that bought a smartphone from GizmoTrade yesterday. (きのうギズモトレードでスマートフォンを買ったのはスミスだった)
    • (25b) It was a smartphone that Smith bought from GizmoTrade yesterday. (スミスがきのうギズモトレードで買ったのはスマートフォンだった)
    • (25c) It was from GizmoTrade that Smith bought a smartphone yesterday. (スミスがきのうスマートフォンを買ったのはギズモトレードだった)
    • (25d) It was yesterday that Smith bought a smartphone from GizmoTrade. (スミスがギズモトレードでスマートフォンを買ったのは昨日だった)

itを使った強調構文を理解するため、(25)を元の文として、様々な例を見ていみよう。

(25a)はSmith(スミス)を強調した場合である。「きのうギズモトレードでスマートフォンを買ったのはスミスだった」の意味になる。

(25b)はa smartphone(スマートフォン)を強調した場合である。「スミスがきのうギズモトレードで買ったのはスマートフォンだった」の意味になる。

(25c)はfrom GizmoTrade(ギズモトレードで)を強調した場合である。「スミスがきのうスマートフォンを買ったのはギズモトレードだった」の意味になる。

(25d)はyesterday(きのう)を強調した場合である。「スミスがギズモトレードでスマートフォンを買ったのは昨日だった」の意味になる。

尚、(25a)のように人をあらわす語を強調する場合、thatの代わりにwhoを使ってもよい。

  • (25a’) It was Smith who bought a smartphone from GizmoTrade yesterday. (きのうギズモトレードでスマートフォンを買ったのはスミスだった)
強調構文のthatとは何か
(25a)や(25b)のような文ではthatを関係代名詞と捉えるのが一般的である。ただし、(25c)のような副詞的要素に用いられる場合、thatを接続詞と考えることもできる。学習上はIt … that …の構造を知っておけば事足りるので、細かい分類を気にする必要はない。

4-2. 疑問詞の強調

  • (26) Who was it that has been speaking to me? (私に話しているのは誰ですか?)
  • (27) Who is it that you want to teach? (あなたが指導したい人は誰ですか?)

itは疑問詞の強調にも使われる。(26)の構造を捉えるのが難しければ、次のように解釈するとよい:

  • Someone has been speaking to me. <平叙文>
  • It was Someone that has been speaking to me. <強調構文>
  • Who was it that has been speaking to me? <疑問の強調構文>

(27)も同様である:

  • You want to teach someone. <平叙文>
  • It is someone that you want to teach. <強調構文>
  • Who is it that you want to teach? <疑問の強調構文>

口語ではthatが省略されることがある。

  • (27′) Who is it you want to teach? (あなたが指導したい人は誰ですか?)

4-3. 名詞節や副詞節の強調

  • (28) It was what Mary says that I don’t understand. (私が理解できないのはメアリーが言うことです)
  • (29) It was after I met James that I realized the gap between management and workers. (労使の間の差異に気がついたのは私がジェームスに会った後です)

強調構文は名詞節や副詞節の強調もできる。(28)は名詞節(what Mary says/メアリーが言うこと)、(29)は副詞節(after I met James/私がジェームスに会った後)を強調している例である。

まとめ: 使い方を知ればitは怖くない

この記事では、代名詞itについて詳細を解説してきた。

内容をまとめると次のようになる:

  1. 代名詞itは前に出た語・句・節を指す
  2. 代名詞itは時・天候・距離・状況などを指す
  3. 代名詞itは形式主語や形式目的語になる
  4. 代名詞itは強調構文に使われる

itは一見すると複雑だが、使い方を正しく理解すれば、文を正確に読めるようになる。itで困ったときはぜひまたこの記事に戻ってきてほしい。きっと、あなたの求める答えが見つかるはずだ。

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