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英語のallは「すべての」や「全部」などの意味で使われる語である。
英語を勉強しているあなたは、次のように疑問を持っていないだろうか?
- allの使い方がよくわからない…
- allとall ofの使い分けが難しい…
- allとall theの違いを知りたい…
そこでトイグルでは、allについて詳細を解説していく。学習の参考になるはずだ。
1. allは漠然とした全体の数量をあらわす
- (1) all of the books (その本すべて)
- (2) all of the money (そのお金すべて)
- (3) all of the pizza (ピザ全部)
allは「すべて」や「全部」の意味で、数や量の全体を指し示す語である。
(1)のall of the booksは「その本すべて」をあらわす。いま、ここに本が3冊以上あり、それらすべてを指し示すような場合である。図では黒い円を本1冊と見立てて、それが複数ある様子を示した。
(2)のall of the moneyは「そのお金すべて」をあらわす。英語の世界でお金は数えられない名詞なので、allはその量すべてを指し示すことになる。図ではお金の集合を灰色の円で表現した。
(3)のall of the pizzaは「ピザ全部」をあらわす。英語の世界でピザは数えられる名詞だが、それが単数形で使われると、(1つのピザが)まるまる全部の意味になる。図ではピザを1つの円で表現した。
このように、allは漠然とした全体の数量を指す意味を持つ。そして、用法を文法的に分類すれば、allは形容詞用法、代名詞用法、副詞用法の3つがある。
例 | |
---|---|
形容詞用法 | all children (子どもたちはみんな) |
代名詞用法 | all of the students (その子どもたちはみんな) |
副詞用法 | all over the world (世界中で) |
以下、それぞれの詳細を見ていこう。
注: 上記の図の中で、円の大きさに特別な意図はない。all of the booksを抽象化した円は小さく描かれているが、他の例と比較して大きさが異なることを意図していない。
2. allの形容詞用法
allは形容詞として用いられる。
形容詞用法の場合、直後に可算名詞の複数形を取る場合、定冠詞を伴って可算名詞の複数形を取る場合、不可算名詞と取る場合などが代表的な用法である。その他、マイナーな用法もある。
以下、例文とともに見ていこう。
2-1. all+複数名詞
- (4) All cars have wheels, windows, and doors. (すべての車に車輪、窓、そしてドアがある)
- (5) You must follow all traffic signs. (すべての交通標識に従わなければなりません)
allは直後に可算名詞の複数形を取れる。
(4)は「すべての車」の意味で、複数ある車のすべてを指す。(5)は「すべての交通標識」の意味で、複数ある交通標識のすべてを指す。
2-2. all+the+複数名詞
- (6) All the boys are wearing suits. (その少年たちはみんなスーツを着ています)
allは定冠詞theを伴って、可算名詞の複数形とともに使われる。theは対象を特定するはたらきを持つので、(6)は「(その特定の)少年たちみんな」の意味になる。
2-3. all+不可算名詞
- (7) All salt has a different weight. (すべての塩は重さが異なる)
- (8) Someone stole all the money. (誰かがすべてのお金を盗んだ)
allは不可算名詞とともに使われることがある。(7)は「すべての塩」、(8)はtheを伴って「すべてのお金」の意味。
2-4. all+身体の部位を表す語
- (9) I’m all ears. (ちゃんと聞いていますよ)
- (10) Everyone was all smiles. (みんなが満面の笑みだった)
allに身体の部位などを表す語を伴って、「全身で〜」の意味で使われることがある。
(9)のall earsは「熱心に聞いている(=ちゃんと聞いている)」、(10)のall smilesは「満面の笑み」の意味。
2-5. all+期間・範囲・地域等を表す語
- (11) I didn’t eat anything all day yesterday. (私は昨日、一日中何も食べなかった)
- (12) I have read all the book. (私はその本をまるまる読んだ)
- (13) All the city was destroyed. (街全体が破壊された)
allに期間、範囲、地域などを表す語を伴うことで、「〜じゅう」の意味で使われることがある。この場合、名詞は単数形が用いられる。
(11)はallに期間をあらわす語が続く例である。all dayで「一日中」の意味。同様の表現にall night(一晩中)やall afternoon(午後ずっと)などがある。
(12)はallに分割可能な名詞が続く例である。分割可能とは、概念的に区切れると考えられる対象物に対し、その全体を示すことである。all the bookは「(ある1冊の本を)まるまる読んだ」の意味になる。
(13)のようにallに地域を表す語があると、その地域全体を指す。all the cityは「街全体」の意味になる。
3. allの代名詞用法
allは代名詞としても用いられる。代名詞用法の場合、all of Xやall+関係詞のように、後ろに修飾語を伴うことが多い。
以下、用例を見ていこう。
3-1. all+of+名詞/代名詞
- (14) All of the students did a wonderful job. (その学生たちの全員が素晴らしい仕事をした)
- (15) We discussed all of them. (私たちは彼ら全員と議論した)
- (16) I love them all. (私は彼らみんなが好きだ)
(14)はall ofの後ろに名詞句が使われている例である。「その学生たちの全員が…」の意味。
(15)はall ofの後ろに代名詞が使われている例である。「彼ら全員と…」の意味。
(16)のように代名詞の直後にallを使うこともある。この語順は代名詞が動詞の目的語の場合のみに見られる。
3-2. all+関係詞
- (17) All you have to do is ask. (尋ねさえすればよい)
- (18) All I want is a friend. (私はただ友達がほしいだけです)
allの直後に関係代名詞を伴うことがある。
(17)はallの後に関係代名詞thatが省略されている。関係代名詞を復元すると次のようになる。
- (17′) All that you have to do is ask. (尋ねさえすればよい)
この場合、all+関係代名詞は「すべてのもの」の意味を持つ。「あなたがしなければならないすべてのことは尋ねることです」が直訳だが、日本語的に冗長なので、「尋ねさえすればよい」とした。
(18)もallの後に関係代名詞が省略されている例である。関係代名詞を復元すると次のようになる。
- (18′) All that I want is a friend. (私はただ友達がほしいだけです)
この場合、all+関係代名詞は「ただ〜だけ」の意味を持つ。
3-3. allの単独使用
- (19) All were invited. (全員が招待された)
- (20) All is lost. (すべてがだめになった)
代名詞用法のallは稀に、単独で使用されることがある。
(19)はallが人を指して「全員」の意味で使われる場合である。動詞は複数形で受ける。
(20)はallが物を指して「全てのもの」の意味で使われる場合である。動詞は単数形で受ける。
4. allの副詞用法
allは副詞としても使われる。
4-1. 強調用法
- (21) John lives all alone. (ジョンはたった1人で住んでいる)
- (22) She’s dressed all in white. (彼女は白ずくめの服装だった)
allが形容詞や前置詞の前で使われると、それらの意味を強調する役割を持つ。「まったく」、「ずっと」、「もっぱら」などと訳されることが多い。
(21)はall aloneで「たった1人」、(22)はall in whiteで「白ずくめ(=全身真っ白に)」の意味。
4-2. 比較級の修飾
- (23) We are all the better for his contribution. (私たちは彼の貢献でかえって良くなった)
allは比較級の修飾にも使われる。all the betterで「かえって良く」の意味。
5. allを使った慣用表現
allを使った慣用的な表現について、例文と共に取り上げよう。
5-1. above all
- (24) She’s incredibly organized. Above all, she is a lovely person. (彼女はものすごく仕事ができます。何よりも彼女は素敵な人です)
- (25) The team is well managed, well trained and above all, well maintained. (そのチームはよく管理され、訓練され、そして何よりもよく維持されている)
above allは「何よりも」や「とりわけ」の意味で、重要な情報を付け加えるはたらきを持つ。
(24)はabove allが文頭に用いられている例、(25)は文中に用いられている例である。
5-2. after all
- (26) It turned out to be a great night after all. (結局、良い夜になった)
- (27) Your chosen theme is one of the most important things. After all, a theme is responsible for a website’s design. (あなたの選んだテーマは最も重要なことの1つです。何しろ、テーマはウェブサイトのデザインに責任を持つからです)
after allは「結局は」の意味で使われる。(26)は「結局、良い夜になった」の意味で、事前の期待や予想に反している様子をあらわす。
after allは「何しろ…だから」の意味で使われることもある。これは(27)のように、前の文で述べられた意見に対して、その理由を述べるような場面で用いられる。
5-3. all but
- (28) All but one are over $50,000. (1つを除いて全部が5万ドル以上します)
- (29) Brand loyalty is all but forgotten. (ブランド・ロイヤルティはほとんど忘れられています)
all but Aで「Aのほかは全部」の意味がある。Aの位置には名詞(代名詞)が入る。(28)は「1つを除いてほか全部が…」の意味である。
all butが形容詞、副詞、動詞の過去分詞形などの前に使われて「ほとんど」を表すことがある。(29)は「ほとんど忘れられています」の意味である。
5-4. all in all
- (30) All in all what I am hearing is what I thought. (全体的に見て、私が聞いることは私が考えていたことです)
all in allは「全体的に見て」や「概して」の意味で使われる。
5-5. all that
- (31) It doesn’t work all that well. (それほどよく機能していません)
all thatは通例、否定文で使われて「それほど…でない」の意味を持つ。
5-6. all told
- (32) All told, you’ll save as much as $30 per item on dresses. (全部で、ドレスの品物ごとに30ドルと同量を節約できます)
all toldは「全部で」の意味。数量をひとまとめにするような文脈で使われる。
5-7. at all
- (33) That’s not at all unusual. (それは少しもおかしいことではない)
- (34) Do we have a performance problem at all? (いったい我々には業績上の問題はあるのか?)
- (35) Drink alcohol only in moderation, if at all. (もし飲むにしても、適度に飲んでください)
at allは主に、否定文、疑問文、条件文に使われる。
(33)はat allが否定の文中で「少しも…ない」の意味で使われている例。(34)のように疑問文で使われると「いったい」の意味になる。
(35)のようにat allが条件文で使われることがある。if at allで「もし…だとしても」の意味。
5-8. in all
- (36) There were 21 workshops in all. (全部で21の研修会があった)
in allは「全部で」の意味。
5-9. That’s all.
- (37) That’s all. (それで終わりです)
That’s all.は「それで終わりです」の意味。説明を終わらせるときによく使われるフレーズである。
5-10. not as … as all that
- (38) My cold is not as bad as all that. (私の風邪はそれほど悪くない)
not as … as all thatは「それほど…ではない」の意味になる。
参考: allの位置
参考として、allが文中で使われる位置について、簡単に述べておきたい。
*形容詞用法allの位置
形容詞用法のallは、あらゆる形容詞的要素の前に置かれる。
- (39) all students <all+名詞>
- (40) all the students <all+the+名詞>
- (41) all the ten students <all+the+数詞+名詞>
- (42) all the ten local students <all+the+数詞+形容詞+名詞>
*主語と同格のallの位置
本来、All of Xの形で主語になるAllが、名詞句から離れた位置に出現することがある。
- (43) They all have different characteristics. <一般動詞の前>
- (44) They are all the same color. <be動詞の後>
- (45) They have all been used. <完了形の後>
- (46) They will all have a wonderful time. <助動詞の後>
それぞれの例文はAll of Xとほぼ同義である。
- (43′) All of them have different characteristics.
- (44′) All of them are the same color.
- (45′) All of them have been used.
- (46′) All of them will have a wonderful time.
*目的語と同格のallの位置
- (47) I got them all. (私はそれらすべてを受け取った)
allが動詞の目的語と同格の位置に使われることがある。この場合、目的語は人称代名詞の場合に限られる(名詞は不可)。
まとめ: allがわかれば文が読める
この記事では、英語のallについて詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- allは「すべて」の意味で漠然とした全体の数量をあらわす
- allは形容詞用法で使われる
- allは代名詞用法で使われる
- allは副詞用法もある
- allを使った様々な慣用表現がある
allは一見すると小さな語だが、その奥深さがおわかりいただけたと思う。長文を読むときはallの使い方を意識してみよう。文がより正確に理解できるはずだ。
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。
Good luck!