英語の会議で、思うように発言できず悩んでいませんか。
日本語の会議では問題なく発言できるのに、英語の会議になると話についていけず、黙ってしまう…そんな経験がある人も多いでしょう。
筆者自身も、まさにそうでした。
海外の大学院で経営学修士号(MBA)を取得し、アメリカ企業でのインターンシップも経験しましたが、英語の会議では何度も苦い経験をしています。
会議中に突然話を振られて、言葉に詰まり赤面したことも、一度や二度ではありません。
当時は「話せるようになれば解決する」と考え、英語会議用のフレーズを丸暗記して試したこともあります。しかし、実際の会議では全く伝わらず、むしろ失笑を買う結果に終わりました。
その後、英語の会議を何百回と経験する中で、はっきりしたことがあります。
英語会議で発言できない本当の理由は、「話せないこと」ではなく「聞けていないこと」です。
内容を追うだけで頭がいっぱいになり、自分の考えを整理できないまま、会議に置き去りにされてしまいます。
この記事では、筆者の体験を踏まえて、英語会議で「置いてきぼり」になる本質的な原因と、その対処の考え方をわかりやすくお伝えします。
あわせて、聞き取りが追いつかない状況でも役立つ、実用的なフレーズも厳選して紹介します。
最後まで読むことで、英語会議で苦労してきた理由と、改善の方向性が見えてくるはずです。
対面の会議はもちろん、Zoom、Teams、Google Meetなどのオンラインミーティングでも活用できる内容なので、ぜひ読み進めてください。
英語の会議で「置いてきぼり」になってしまう3つの原因
英語会議で思うように発言できないのは、多くの場合、会議特有の「聞き取りの難しさ」や「進み方」に対応できていないことが原因です。
これらの原因を理解すれば、英語会議で意見を伝えるために、何を優先して鍛えるべきかがはっきりします。
原因1:欧米式「割り込み型」の会議文化に慣れていないから
日本式の会議に慣れた人が海外メンバーを含む会議に参加すると、発言するタイミングがわからず、発話の機会を逃してしまうケースが多く見られます。
それは、会議におけるコミュニケーションの前提が日本の会議と大きく異なるためです。
一般的に日本の会議には、次のような進め方が多く見られます。
- 相手の話が終わるのを待ってから発言する
- 議題に沿って順番に意見を述べる
- 空気を読み、全体の流れを乱さないことが重視される
一方で、欧米の会議では、次のようなやり取りが行われることも珍しくありません。
- 意見があれば、話の途中でも発言する
- 賛成・反論を問わず、まず自分の考えを出す
- 発言の量やスピードが、参加姿勢として評価される
こうした違いを理解していないと、発言のタイミングを待ち続け、気づけば会議の流れから取り残されてしまいます。
まずは、「最後まで聞いてから話すべき」という感覚をいったん脇に置き、会議は同時進行で意見が飛び交う場と認識しましょう。
欧米の会議では、相手の話が終わるのを待たずに発言することがよくあります。
意見や補足があれば、その場で口を挟むことが「積極的に参加している姿勢」と受け取られる場合もあります。
もちろん遮るように話すのは避けるべきですが、要点を短く伝えるのであれば、失礼に受け取られないケースがほとんどです。
”Sorry to interrupt, but…(話の途中ですみませんが…)”と、一言添えて発言しましょう。
原因2:複数人の会話を同時に聞き取る訓練ができていないから
英語会議で話についていけなくなってしまうのは、多くの場合、複数人が話す場面で英語を処理する訓練が不足していることが原因です。
これまで多くの人が経験してきた英語リスニングは、次のような環境が中心です。
- 基本的に1人の話し手が話す
- 話の流れが途切れにくい
- 誰が話しているのかを意識しなくても理解できる
たとえば、オンライン英会話は1対1が基本で、グループレッスンでも「先生1人+学習者複数人」という構成がほとんどです。
TOEICのリスニングセクションでも、複数人が話すのはPart3の「3人の会話問題」のみで、同時に話す場面はほとんどありません。
そのため、英語会議では、「誰が」「何について」「どの立場で」話しているのかを整理しきれず、思考が追いつかなくなってしまいます。
会議中に内容を把握するには、英語を聞く力そのものではなく、複数人の会話を構造的に捉える力を意識的に鍛えることが必要です。
原因3:会議中の英語は音声的に聞き取りにくいから
英語会議で話の内容を把握しにくい原因は、もう1つあります。
それは、会議特有の話し方によって、英語の音が大きく変化するからです。
会議中の英語では発言が即興的になりやすく、次のようなことが頻繁に起こります。
- 早口になり、弱形がさらに弱まる
- 単語と単語がつながり、区切りが分かりにくくなる
- 短縮形や省略表現が多く使われる
こうした音声的な変化が重なることで、単語を知っていても、会話の中でその単語が使われたことに気づけません。
結果として話の要点を取り逃し、会議全体の流れについていけなくなってしまいます。
この問題を解決するためには、会議でよく使われる単語やフレーズを覚えるだけでは不十分です。
次の章で紹介する「会議中のリスニングを改善する法則」を通して、英語の音の仕組みそのものを理解していきましょう。
会議中のリスニングを改善する3つの法則
英語会議で内容を把握するには、会議中の英語がどのような音で流れてくるのかを理解し、その特徴に沿って聞き方を変える必要があります。
ここでは、会議のリスニングを改善するうえで押さえておきたい3つの法則を紹介します。
弱形を聞き取れると「文の骨組み」が見えてくる
英語の会議は、即興的でテンポが速くなりがちです。そのため、重要でない単語ほど弱く発音されます。
特に弱形になりやすいのが、次のような単語です。
- to
- for
- of
- at
- and
- you / your
これらは意味を支える「骨組みのパーツ」ですが、会議中はほとんど存在感のない音になります。
例えば、会議中によく使われる次のフレーズを見てみましょう。
- What do you think about it? (それについてあなたはどう思いますか)
教科書通りに読むと、”what” “do” “you”… と、それぞれの単語が同じリズム、同じ強さで発音されます。
しかし実際の会議では、
wʌdə yə θɪŋk əbaʊɪt「ワダ ユ シンク バウィット」
のように聞こえます。
\音声を聞く/
ここで起きていることは次の通りです。
- do you が「ドゥ ユー」ではなく、ほぼ「ダ」に近い音になる
- about it が「バウィット」に近い音になる
音が弱くなるという前提を知らないと、「単語が消えた」「聞いたことのない音に変わった」と感じてしまいます。
結果として、知っているはずのフレーズなのに、認識できないという状態が起こります。
リンキングを理解すると、英語が「塊」で聞こえ始める
会議中の英語では早口になりやすいことから、単語と単語の間にほとんど「区切り」がありません。
こうして音がつながって聞こえる現象を、リンキングと言います。
たとえば、次のフレーズを見てみましょう。
- We need to talk about our budget. (予算について話す必要があります。)
\音声を聞く/
実際の会議では、次のようにつながって聞こえます。
- We need to → ウィーニートゥ
- talk about → トーカバウ
- about our → バウダワ
結果として、「ウィーニートゥトーカバウダワバジェット」のような、ひと続きの音で聞こえます。
こうしたリンキングが起きていることを知らないと、知っているはずの単語が聞き取れず、「全然知らない単語やフレーズばかりでついていけない」と感じてしまいます。
短縮形を知ると、会話のスピードについていける
会議中の英語では、よく使われる表現ほど短く発音される傾向があります。
このような話し方を「短縮」と呼びます。
たとえば、次のフレーズを見てみましょう。
- I’m going to check with him. (彼に確認します。)
実際の会議では、次のように聞こえます。
I’m gonna check with him「アイムガナ チェックウィズム」
\音声を聞く/
“I’m going to”のような頻出表現の多くは、音がまとめて短く発音されます。
さらに、もう1つ例を見てみましょう。
- Do you want to take a look? (ちょっと見てみますか?)
こちらも、実際の発音は次のようになります。
D’you wanna take a look?「ジュワナ テイカ ルック」
\音声を聞く/
この場合も、”Do you want to…”といった表現が ”D’you wanna”のような短い音に圧縮され、文全体のスピードが一気に上がります。
会議中にこうした短縮が起きていることを理解していないと、知っているフレーズであっても認識できず、話の流れを見失いやすくなります。
会議中に英語の音が大きく変化していることは理解できても、「どう練習すればいいのか」と迷う人も多いでしょう。
そんな時は、実際の英語会議の動画を使って、予行演習をしておくのがおすすめです。
例えば、以下の動画は、実際のオンライン会議の様子が YouTube で公開されたものです。
https://www.youtube.com/watch?v=lBVtvOpU80Q
視聴する時は、一語一語を拾って日本語に訳そうとする必要はありません。
それよりも、次のような「話の流れ全体」を意識して聞いてみましょう。
- 会議のテーマは何か
- 何が議論されているのか
- 会議で何が決まったのか
音の変化を前提に、意味をまとめて捉える練習をしておくことで、実際の英語会議でも話についていきやすくなります。
英語会議で突然話を振られた時に役立つフレーズ7選
ここでは、会議で話を振られた時に使えるフレーズを、7つ厳選して紹介します。
これらのフレーズを押さえておけば、英語を完全に聞き取れていない状態でも、会議の流れから外れずに対応できるようになります。
1. 聞き取れなかったことを伝える時
何か質問されて答えられない時は、これまでの話の内容を聞き取れなかったことを伝えましょう。
そのまま黙ってしまうと、会議の流れから外れてしまいます。
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I’m sorry, I missed the last part.
(すみません、最後の部分を聞き逃してしまいました。)
\音声を聞く/
オンライン会議で音声がよく聞こえない時は、” Sorry, I can’t hear you very well.” (すみません、あまりよく聞こえません。)と伝えましょう。
さまざまな国籍の参加者が集う会議では、「英語を聞き取れなかった」と伝えることは、ごく自然なコミュニケーションの一部です。
むしろ、正直に伝えたほうが、会議としては健全(=認識のズレをその場で修正できる状態)だと言えます。
筆者がアメリカ国籍の知人と話していて印象的だったのは、母語話者は会議中に「言語として聞き取れない」という経験をほとんどしたことがないという点でした。
そのため、会議で参加者が黙っていると、「なぜ反応しないのか分からない」と感じることがあるそうです。
一方で、「言語的に聞き取れなかった」と伝えると、「そういうことか」とすぐに状況を理解してもらえます。
聞き返すことは、恥ずかしいことではありません。
議論の内容を正確に理解しようとする姿勢として、十分に理解されますよ。
2. もう一度質問を繰り返してほしい時
質問の内容そのものを聞き逃した時は、遠慮なく聞き返しましょう。
正しく理解した上で答えようとしている姿勢として受け取られます。
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Sorry, could you repeat the question, please?
(質問をもう一度言ってもらえますか?)
\音声を聞く/
会議中は、ネイティブスピーカーでも聞き返すことはよくあります。聞き返すことを恐れず、内容を正確に把握することを優先しましょう。
3. 聞き取れた内容を確認したい時
英語会議では「たぶんこういう意味だと思うけど、合っているか自信がない…」という場面がよくあります。
議論をスムーズに進めるためにも、自分の理解が正しいかどうかを確認しましょう。
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Just to clarify, are you saying …?
(確認ですが、〜ということですか?)
\音声を聞く/
4. 要点をまとめてほしい時
話があちこちに広がり「結局、何が重要なのか分からなくなった」という場面もよくあります。
そんな時は、進行役に要点をまとめてもらいましょう。
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Could you give me the main points?
(要点をまとめていただけますか?)
\音声を聞く/
要点を確認することで、自分だけでなく他の参加者も話の道筋を理解でき、会議の方向性を共有できます。
5. 考える時間がほしい時
意見を求められて考えがまだまとまっていない時は、無理に話し始める必要はありません。
一言クッションを入れることで、沈黙を不自然に感じさせず、会議の流れを保てます。
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Let me think for a moment.
(少し考えさせてください。)
\音声を聞く/
6. 具体例を示してほしい時
話の内容はなんとなく分かっていても、具体的に何を指しているのかをつかめない場合は、次の表現が便利です。
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Could you give me an example?
(具体例を教えていただけますか?)
\音声を聞く/
7. 発言しようとしていた話題に戻したい時
英語会議では、発言しようと考えている間に、話題が次へ進んでしまうこともあります。
そのような時は、「少し補足したい」という形で、前の話題に戻るのがおすすめです。
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Before we move on, can I add one more thing?
(次に進む前に、もう一点よろしいでしょうか?)
\音声を聞く/
まとめ:英語会議では「聞こえない理由」を理解した上でリスニング力を鍛えよう
英語会議で「置き物状態」から脱却するには、やみくもに発言しようとする前に、なぜ聞き取れないのかを正しく理解することが必要です。
英語の会議には次のような特徴があります。
- 複数人が同時に発言し、話題がテンポよく切り替わる
- 発言は音が弱まったり、つながったり、短縮されたりする
- 「一語ずつ正確に聞く」前提では処理しきれないスピードで進む
こうした環境の中では、単語を知っているだけのリスニング力では対応できません。
会議特有の進み方や音の変化を理解し、話の流れや論点をまとめて捉える力が必要となります。
まずは「全部聞き取ろう」とする意識を手放し、何が決まり、何が議論されているのかを大づかみで追う聞き方を意識してみましょう。
「聞こえない理由」を知ることは、効果的なトレーニングへ進むための第一歩です。
その土台があってこそ、英語会議でのリスニング力は確実に伸びていきますよ。
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