英語の疑問代名詞とは、不明な名詞句について尋ねる際に使う代名詞である。
疑問代名詞にはwho(誰)、whom(誰を)、whose(誰の)、what(何)、which(どれ)がある。
英語を勉強しているあなたは、次のような疑問を持っていないだろうか?
- 疑問代名詞の使い方を知りたい…
- 疑問代名詞の違いや区別を知りたい…
そこでトイグルでは、英語の疑問代名詞について詳細を解説していく。学習の参考になるはずだ。
*目次
1. 疑問代名詞は不明な名詞句を尋ねる際に用いる
はじめに、疑問代名詞の一覧を見てみよう。
主格 | 所有格 | 目的格 |
---|---|---|
who (誰) | whose (誰の) | whom (誰を/誰に) |
what (何) | – | what (何を/何に) |
which (どれ) | – | which (どれを/どれに) |
who(誰)、whose(誰の)、whom(誰を/誰に)は「人」について尋ねる際に使う疑問代名詞である。whoは主格(主語の位置)、whoseは所有、whomは目的格(目的語の位置)に使う。
what(何/何を/何に)は「もの」について尋ねる際に使う疑問代名詞である。whatは所有格を持たず、主格と目的格の形が同じである。
which(どれ/どれを/どれに)は「人・もの」について尋ねる際に使う疑問代名詞である。whichは所有格を持たず、主格と目的格の形が同じである。
2. 疑問代名詞の使い方
疑問代名詞には代名詞用法と限定詞用法(= 形容詞用法)の2つがある。一覧を示すと、以下のようになる。
代名詞用法 | 限定詞用法 | |
---|---|---|
who | ◯ | × |
whom | ◯ | × |
whose | ◯ | ◯ |
what | ◯ | ◯ |
which | ◯ | ◯ |
代名詞用法は疑問代名詞を代名詞として用いるものである。たとえば、Who is he? (彼は誰)のwhoは代名詞用法である。
限定詞用法は疑問代名詞が名詞と共に使われるものである。たとえば、Whose bag is this? (この鞄は誰のものですか)のwhoseは限定詞用法である。
それぞれの疑問代名詞の使い方を見ていこう。
2-1. who
- (1) Who is Brian Tracy? (ブライアン・トレーシーとは誰ですか)
- (2) Who built this temple? (この神社を建てたのはどなたですか)
whoは「誰」の意味で、人について尋ねる疑問代名詞である。whoは代名詞用法のみで用いる。
(1)はbe動詞、(2)は一般動詞の例である。
2-2. whom
- (3) Whom did you call? (あなたは誰に電話しましたか)
- (4) For whom do you serve? (あなたは誰にお仕えしているのですか)
whomは「誰の/誰に」の意味で、人について尋ねる疑問代名詞である。whomは代名詞用法のみで用いる。
(3)はwhomが他動詞call(電話する)の目的語として、(4)はwhomが前置詞forの目的語として用いられている例である。
尚、(3)のような他動詞の目的語の場合、whomはwhoで代用されることが多い。whomはかしこまった響きを与えるからである。
- (3′) Who did you call? (あなたは誰に電話しましたか)
2-3. whose
- (5) Whose is this smartphone? (このスマートフォンは誰のものですか)
- (6) Whose smartphone is this? (これは誰のスマートフォンですか)
whoseは「誰の」の意味で、所有者について尋ねる疑問代名詞である。whoseは代名詞用法と限定詞用法の2つがある。
(5)はwhoseが代名詞用法で使われている例で、「このスマートフォンは誰のものですか」の意味になる。
(6)はwhoseが限定詞用法で使われている例で、「これは誰のスマートフォンですか」の意味になる。
2-4. what
- (7) What happened? (何が起きたのですか)
- (8) What is your opinion? (あなたの意見は何ですか)
- (9) What color is your hair? (あなたの髪は何色ですか)
whatは「何/何を/何に」の意味で、主に不特定の物について尋ねる疑問代名詞である。whatは代名詞用法と限定詞用法の2つがある。
(7)と(8)はwhatが代名詞用法で用いられている例である。(7)は一般動詞、(8)はbe動詞が使われている。
(9)はwhatが限定詞用法で用いられている例である。what colorは「何の色」の意味と解釈するとよい。
2-5. which
- (10) Which do you prefer? (あなたはどちらを好みますか)
- (11) Which way do you go? (どちらの道を行きますか)
- (12) Which of the following statements is correct? (次の陳述のどちらが正しいのですか)
whichは(どれ/どれを/どれに)の意味で、2つ以上の特定の人や物から尋ねる疑問代名詞である。whichは代名詞用法と限定詞用法がある。
(10)はwhichが代名詞用法、(11)はwhichが限定詞用法として用いられている例である。
(12)のように、Which of Xの言い方が可能である。これはwhichの指す範囲を明確にする場合に用いる。
3. 疑問代名詞の注意すべき用法
疑問代名詞に関して、注意すべき使い方を紹介していこう。
3-1. whatとwhichの違い
疑問代名詞whatは話し手が不特定の範囲を前提としながら、「何」の意味で用いる。一方、疑問代名詞whichは話し手が特定の範囲を前提としながら、「どれ」の意味で用いる。
次の例文は、こうしたwhatとwhichの違いを端的にあらわしている。
- (13) What writer do you like? (どんな作家が好きですか)
- (14) Which writer do you like? (どの作家が好きですか)
(現代英文法講義)
(13)は不特定の作家を前提としていることから、作家一般に関する質問である。(14)は特定の作家を前提としていることから、すでに名前のあがっている特定の作家に関する質問である。
whichを特定できる対象に用いることはできない。次の例文が文法的に不可なのは、通常、人間の指は5本と範囲が決まっているからである。
- 誤: What finger have you hurt?
正しくは、次のように言わなくてはならない。
- (15) Which finger have you hurt? (どの指を切ったのですか)
(Collins Cobuild English Usage)
ただし、場合によっては、whatとwhichのどちらも使えるときがある。次の例文では、whichとwhatに意味の差はほとんどない。
- (16) Which/What is the hottest city in the world? (世界のもっとも暑い都市はどこですか)
世界の都市には限りがあるので厳密にはwhichが正しい。ただ、話し手が都市の範囲を明確に意識せず、「(たくさんの無数の)都市の中でどこが一番暑いか」といったことを前提とするなら、whatを選んでも問題ない。
3-2. 疑問代名詞と前置詞の位置
疑問代名詞who/whomが前置詞の目的語になるとき、文体によって前置詞の位置が変わる。
次の例文のように前置詞が文頭にある場合が、もっともフォーマルである。
- (17) To whom should I send transcripts? (成績証明書は誰に送ればいいですか)
前置詞は文末に残留することもある。この場合、フォーマルさはやや薄れる。
- (18) Whom should I send transcripts to? (成績証明書は誰に送ればいいですか)
会話ではwhomの代わりにwhoを用いることが多い。これがもっとも普通の言い方である。
- (19) Who should I send transcripts to? (成績証明書は誰に送ればいいですか)
3-3. 疑問代名詞whoを複数扱いする場合
疑問代名詞whoは通例、単数扱いで用いる。
- (20) Who is in charge of the office? (事務所の責任者はどなたですか)
一方、想定される答えが複数の場合、whoを複数扱いにすることがある。
- (21) Who have not heard of her name? (彼女の名前を聞いていないのはどなたですか)
つまり、whoは単複同形の疑問代名詞と考えて差し支えない。
3-4. 疑問代名詞における主語と補語の区別
主格の疑問代名詞が問うのは、主語の場合と補語の場合の二通りがある。次の例文を比較してみよう。
- (22) Who is in charge of that? (それの責任者は誰ですか)
- (23) Who is Mr. Boring? (ボーリングさんとは誰ですか)
(22)のwhoは文の主語、(23)のwhoは文の補語である。これは、whoに想定される答えを入れれば明らかになる。
- (22′) Richard is in charge of that. (リチャードが責任者です)
- (23′) Mr. Boring is a doctor. (ボーリングさんは医師です)
次の例文は、疑問代名詞が主語と補語のどちらを尋ねているか、文の形からだけではわからない。したがって、答え方も二通りが可能である。
- (24a) What is the capital of Japan? (日本の首都はどこですか)
- (24b) Tokyo is. (東京です)
- (24c) It’s Tokyo. (それは東京です)
(24b)のように答えれば、主語について問われていた(と回答者が考えた)ことになる。(24c)のように答えれば、補語について問われていた(と回答者が考えた)ことになる。
注: 英語で話せるようになるには、こうした「分類」は必ずしも必要ではない。ただ、英文を読んだり書いたりできるようになるには、文法に対する明示的な知識もある程度必要ではなかろうか。
4. まとめ
この記事では、英語の疑問代名詞について詳細を解説してきた。
内容をまとめると次のようになる:
- 疑問代名詞は不明な名詞句を尋ねる際に用いる
- 疑問代名詞はwho, whom, whose, what, whichがある
- who, whom, whoseは人、whatは物、whichは人と物に対して使う
- whatは不特定、whichは特定の範囲を対象とする
- 主格の疑問代名詞は主語と補語のどちらにもなり得る
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。

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