前置詞overの使い方!覚え方のポイントは「半円形の経路」のイメージを理解すること

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英語のoverとは、over the river(川を越えて)などを典型的な用法とする前置詞である。

overは複数の意味を持つ多義語であり、使い方を覚えるのが難しい。英語を勉強しているあなたは、「overの用法がわからない」とお悩みではないだろうか?

そこでトイグルでは、前置詞overについて詳細を解説していく。overと他の前置詞の違いも紹介するため、英語初級者から上級者まで、学習の役に立つはずだ。

1. 前置詞overの中心的な意味は「半円形の経路」

前置詞overのイメージ

英語の前置詞は多くの場合、一つの核となる意味があり、それが比喩的に派生して複数の用法に発展している。overの中核的な意味は「半円形の経路」であり、多くの用法がこのイメージで理解できる。

「半円形の経路」について知るため、4つの例を見てみよう:

前置詞overの使い方
  • (a) Smith jumped over the water. (スミスは水たまりを飛び越した)
  • (b) The plane flew over the building. (飛行機はビルの上を飛んでいった)
  • (c) The sun came up over the hills. (太陽が丘の向こうから登ってきた)
  • (d) Roy fell over the chair (ロイは椅子から落ちた)

(a)の「飛び越える」は、overの持つ半円形の経路のイメージがそのまま使われている事例。(b)は「飛行機がビルの上を飛んだ」で、これは経路の中央部分に焦点が置かれている。

(c)の「登ってくる」は経路の上向き部分、(d)の「落ちる」は経路の下向き部分に焦点が置かれている。用法は様々だが、いずれの場合も半円形の経路が中心であることが、おわかりいただけるだろう。

2. 前置詞overの使い方

前置詞overは「半円形の経路」を中心的な意味として、そこから様々な用法に派生する。トイグルでは、前置詞overの意味ネットワークを次のように定義した。

前置詞overの意味ネットワーク

用法を1つずつ見ていこう。

2-1. 位置・経路を表すover

位置・経路を示すover
  • (1) A thick mist hung over the mountain. (濃い霧が山にかかっていた)
  • (2) Oliver tried to jump over a fence. (オリバーはフェンスを飛び越えようとした)
  • (3) Jack tossed the rope over the branch. (ジャックはロープを枝に投げた)
  • (4) Susan is over the bridge now. (スーザンはもう橋を渡ってしまっている)

(1)は位置を表すover。霧が山の真上にかかっている様子を示す。overの持つ半円が静的に使われている事例。

(2)は経路を表すover。ジャンプをしてフェンスを飛び越える動作は、弧を描く半円そのもの。位置のoverと違い、経路のoverは動的なイメージを持つ。

(3)も経路を表すover。ジャックがロープの片側を持ち、もう片方を投げて枝にかかるといった様子が示されている。ロープがたどる経路を表していることから「伸びる経路」と言っても良いだろう。

(4)は結果状態を表すover。スーザンは橋を渡ったことにより、現在の場所に到達した。橋を渡る経路ではなく、橋を渡った「結果」に焦点が置かれた例。

「つまずく」を表すover
overは「つまずく」を表すこともある.
例: Emily fall over a stone. (エミリーは石に躓いた)

2-2. 覆っている状態を表すover

覆っている状態のover
  • (5) Spread a few paper towels over the sink drain. (何枚かの紙タオルを流しの排水管に広げてください)
  • (6) Oscar hit him over the head with the hammer. (オスカーはハンマーで彼の頭をたたいた)
  • (7) Lily has become popular all over the world. (リリィは世界中で人気になった)
  • (8) We went over the checklist together. (一緒にチェックリストをよく調べた)

(5)は覆っている状態を表すover。紙タオルが排水管を覆っている。位置のoverは離れた状態で「上に」だったが、覆いのoverは接触している状態で「上に」の意味。

(6)は「たたく」を表すover。覆いのoverの一種。

(7)は全域を表すover。場所・地域を覆うことで、全域に状態が広がると考える。この用法ではallを伴うことが多い。

(8)は「考えて」を表すover。覆っている状態が比喩的に解釈されたもの。go over(よく考える)、run over(しっかりと見直す)などがよく使われる。

2-3. 上位を表すover

  • (9) Barcelona maintained a two point lead over Real Madrid. (バルセロナはレアル・マドリードに対して2ポイントのリードを維持した)
  • (10) I would prefer coffee over tea. (私はお茶よりコーヒーがいいです)

(9)は上位を表すover。半円形の経路のイメージが比喩的に用いられている例。

(10)は優先を表すover。上位のoverの一種。お茶よりもコーヒーが優先であることを示す。

支配を表すover
overは支配を表すこともある.
例: I have no control over what he does. (彼がすることの制御手段がない)

2-4. 時間を表すover

  • (11) Relax over the weekend, Denise. (週末はリラックスしなさい、デニス)
  • (12) We continued the discussion over lunch. (昼食を食べながら議論を続けた)

(11)は期間を表すover。半円形の経路のイメージが物理的空間から時間的空間へと拡張された例。例文は「週末の間は…」の意味。

(12)は同時進行を表すover。その時間に何かが行われたことは、同時進行と解釈される。

2-5. その他の用法のover

  • (13) World Soft employs over 100 people in San Diego. (ワールド・ソフト社はサンディエゴで100人以上の人を雇っている)
  • (14) Sophie got over the shock of the haircut. (ソフィはそのヘアカットのショックから立ち直った)
  • (15) Economists have long argued over the meaning of capital. (エコノミストは資本の意味を長く議論してきた)
  • (16) You can look reviews over the Internet. (インターネットでレビューを見られますよ)

(13)は超過を表すover。数・量が溢れ出ている様子を示す。

(14)は克服を表すover。困難や障害から立ち直るの意味。

(15)は関連を表すover。「…について」と解釈するとわかりやすい。

(16)は手段を表すover。他にもover the telephone(電話で)やover the radio(ラジオで)のように使える。

分数を表すover
overは分数を表す際にも使う.
例: thirty-one over sixty (60分の31)

3. overと他の前置詞の違い

overは他の前置詞と比較することにより、用法の違いがいっそう際立つ。

ここでは、位置を表すoverとaboveの違い、期間を表すoverとthroughの違い、全域を表すoverとthroughoutの違いについて説明していきたい。

3-1. 位置を表すoverとaboveの違い

overとaboveは共に「…の上に」を表すが、そのニュアンスが異なる。次の例文を比較してみよう:

  • The gym is over the cafe. (ジムはカフェの上にある)
  • The gym is above the cafe. (ジムはカフェの上にある)

上の例文(over the cafe)では前置詞overが使われている。overは「直接的に上(真上)」の意味なので、同じ建物内でカフェが1階、ジムが2階、といったような状況を示唆する。

下の例文(above the cafe)では前置詞aboveが使われている。aboveは「単にあるものが高い位置にある」の意味なので、カフェが1階でジムが2階、あるいはカフェが1階でジムが3階など、複数の解釈が生まれる。

3-2. 期間を表すoverとthroughの違い

「…の間」の意味で、動作や状態の継続を表す場合、overやthrough(out)が使用できる。次の例文を比較してみよう。

  • We camped there over the weekend. (私たちは週末にそこでキャンプをした)
  • We camped there through(out) the summer. (私たちは夏の間そこでキャンプをした)

(A Comprehensive Grammar of the English Language)

上の例文(over the weekend)は前置詞overが使われている。overは休日や祝祭日を表す語と共に使用する場合が多い。

下の例文(through the summer)は前置詞throughが使われている。throughは「夏の間」など、長い期間を表す際に使用することが多い(throughoutは「ずっと」の強調)。

ただし、over the winter(冬の間)のように比較的長い期間にoverを使ったり、through the night(夜じゅう)のように比較的短い時間にthroughを使う場合もある:

  • I was running on this path over the winter. (冬の間この道を走っていた)
  • Service representatives worked through the night. (顧客担当者は夜じゅう働いていた)

over Mondayは不自然
over Saturdayやover Sundayは容認される一方, over Mondayは通常使わない. 英語の世界では土曜・日曜は特別な日である一方, 平日は普通の日だからか.

3-3. 全域を表すoverとthroughoutの違い

「…を隅々まで」の意味で<全域>を表す際、overとthroughoutは交換可能な場合が多い:

  • They’ve travelled all over the world. (彼らは世界中を旅した)
  • They export their products to markets throughout the world. (彼らは世界中のマーケットに製品を輸出する)

(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)

throughにも「隅々まで」の意味はあるが、throughoutは「くまなく」の意味が強調される:

  • I looked through the reviews on the store. (お店のレビューを詳しく調べた)
  • I searched throughout the rest of the document. (書類の残りの部分をくまなくさがした)

4. まとめ

この記事では、英語の前置詞overについて詳細を解説してきた。

内容をまとめると次のようになる:

  1. 前置詞overは「半円形の経路」のイメージ
  2. 位置、経路、覆うが基本的な用法
  3. 似た用法の他の前置詞がある

英語初級者の方は、基本的な用法である場所から覚えよう。中級者の方は比喩的に拡張された意味を理解すると良い。上級者の方は、他の前置詞との使い分けができると表現の幅が広がる。

トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。

Good luck!

2 COMMENTS

「over Saturdayやover Sundayは容認される一方, over Mondayは通常使わない」
とのことですが、
“月曜日はずっと”などを表す場合は、through Monday を使うのでしょうか?

また、使い分けは最終的には、理屈ではなく、ネイティブの語感を身に付けるしかないのでしょうか?

田邉竜彦

>蘭様

軽く調べてみたところ、through Mondayやthroughout Mondayといった言い方はあまりしないようです。

through the dayが普通なようなので、少し言い方は変わってしまいますが、このように表現するのが良いかもしれません。

前置詞は難解ですが、その分研究も充実しているため、学習英和辞典や文法書等で、ある程度明示的に習得することもできるのではないかと信じております。
(当方も現在、研究中です。)

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