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例文でわかる英語の冠詞!a/an・the・無冠詞の使い方

例文でわかる英語の冠詞!a/an・the・無冠詞の使い方|トイグルEnglish

英語の冠詞は、a/an と the のことです。名詞が表す対象を、聞き手にどう示すかに関わる語です。冠詞を置かない無冠詞の使い方も合わせて学ぶことが大切です。

冠詞は、物の形や「親しみを感じるか」だけで決められるわけではありません。まず名詞の可算・不可算を確かめ、次に対象を特定できるかを考え、最後にその語や表現に固有の用法を確認しましょう。

この記事では、a/an・the・無冠詞の違いを、例文を使って説明します。

1. 冠詞の基本と選び方

a/an は不定冠詞、the は定冠詞と呼ばれます。冠詞を使わない場合を無冠詞といいます。無冠詞は「三つ目の発音される単語」ではなく、冠詞を置かない使い方を指します。

形 基本となる使い方 例
a/an 可算名詞の単数形で、どれかを聞き手に特定させずに示す a book / an idea
the 文脈や状況から、対象を聞き手が特定できると見込んで示す the book / the books / the water
無冠詞 不特定の複数・不可算、総称、多くの固有名詞や慣用表現など books / water / Japan / at home

普通の文の中で可算名詞の単数形を使う場合、一般に a/an や the、my、this などの限定詞が必要になります。たとえば「私は本を買った」は I bought a book. であり、通常 I bought book. とは言いません。my book のように所有限定詞がある場合は、さらに a や the を重ねません。

可算・不可算は、物理的な形だけでは決まらない

book は可算名詞で、water は通常不可算名詞として使います。ただし、furniture(家具)は目に見える形があっても通常不可算であり、decision(決定)は抽象的でも可算です。辞書の可算・不可算の表示と、使おうとしている意味を確認しましょう。

  • We need some furniture.(家具がいくらか必要です。)
  • We made a decision.(私たちは決定を下しました。)

「一つの単位として捉える」というイメージは役立つが、それだけでどんな名詞にも a を付けられるわけではありません。同じ単語でも、意味に応じて可算・不可算が変わることがあります。

2. 不定冠詞a/anの使い方

2-1. a と an は、直後の音で選ぶ

a と an の意味は同じです。冠詞の直後に発音する音が子音なら a、母音なら an を使います。名詞のつづりだけを見て判断せず、間に形容詞があればその最初の音を見ます。

  • a book(本)/an old book(古い本)
  • an apple(リンゴ)/a useful book(役立つ本)
  • an hour(1時間)— h を発音せず、母音で始まります
  • a university(大学)— 最初の音は /j/ という子音です

この選び方は、Purdue OWL の冠詞解説でも説明されています。

2-2. 聞き手がどれかを特定していない一つを示す

  • I bought a book yesterday.(私は昨日本を1冊買いました。)

話し手はどの本を買ったか知っていても、聞き手がまだその本を特定できるとは限りません。その場合に a book を使います。「不定」は、話し手にとって実物が決まっていないという意味に限りません。

初めて話題に出す可算名詞には a/an がよく使われます。ただし、初出でも状況から対象を特定できれば the を使えるので、「初出なら必ず a」とは覚えないようにしましょう。

2-3. 一つという数、職業・種類を表す

  • He brought a book.(彼は本を1冊持ってきました。)
  • She is a teacher.(彼女は教師です。)

a/an は可算名詞の単数形と使います。「1冊だけ」など数を強調したい場合には one book と言えます。また、a teacher は「教師という種類・職業に属する人」であることを表します。

2-4. 一般論を述べる

  • A child needs love.(子供には愛が必要です。)

この a child は特定の一人の子供を指していません。ある種類の典型的な一員を取り上げ、一般論を述べる用法です。Children need love. のように、無冠詞の複数形で一般論を述べることもできます。

2-5. 同じ単語でも意味によって可算・不可算が変わる

  • There is a room upstairs.(上の階に部屋があります。)
  • There is room for one more person.(もう一人入れる余地があります。)

room は「部屋」の意味なら可算、「余地・空間」の意味なら不可算として使います。冠詞が機械的に意味を作るというより、表したい意味に合う名詞の用法を選んでいると考えましょう。

2-6. 飲み物を一杯・一人分として表す

  • Would you like some coffee?(コーヒーはいかがですか。)
  • Would you like a coffee?(コーヒーを1杯いかがですか。)

coffee は飲み物として通常不可算だが、注文などでは a coffee / two coffees のように一杯・一人分の単位で数えることがあります。a cup of coffee と明示することもできます。これは語と場面に応じた使い方で、すべての不可算名詞に自由に a を付けてよいわけではありません。

2-7. 抽象的なことを一つの出来事・期間として捉える

  • There was a long silence between us.(私たちの間に長い沈黙がありました。)

silence は不可算としても使うが、この例では一つの沈黙の期間として表しています。抽象名詞の可算性は語ごと・意味ごとに異なるので、形がないという理由だけで不可算と判断しないことが大切です。

2-8. 固有名詞を普通名詞のように使う

  • Sony canceled the movie’s release.(ソニーはその映画の公開を取りやめました。)
  • I can’t afford to buy a Sony.(ソニー製品を1台買う余裕がありません。)

一つ目の Sony は会社名です。二つ目は、話題になっているテレビなど、その会社の製品を一つ指しています。製品の種類が文脈からわかることが必要です。固有名詞の通常の使い方と、製品などを指す使い方を区別しましょう。

3. 無冠詞の使い方

3-1. 不特定の複数・不可算、または一般論を表す

  • I bought books yesterday.(昨日、本を何冊か買いました。)
  • I bought chicken yesterday.(昨日、鶏肉を買いました。)
  • Books can change our lives.(本は私たちの人生を変えることがあります。)
  • Water is essential for life.(水は生命に不可欠です。)

上の二つは、不特定の本や鶏肉を指しています。下の二つは、本や水について一般的に述べています。無冠詞だから必ず「抽象的な意味」になるわけではありません。

chicken は、食肉の意味では通常不可算、鳥の意味では可算になります。

  • There is a chicken in the yard.(庭にニワトリが1羽います。)
  • There are chickens in the yard.(庭にニワトリが何羽かいます。)

3-2. 多くの固有名詞

  • I am from Japan.(私は日本出身です。)
  • She lives in Tokyo.(彼女は東京に住んでいます。)

人名や多くの国名・都市名は、通常冠詞を付けません。ただし the United States や the Netherlands のように the を使う名称もあります。「固有名詞なら必ず無冠詞」ではなく、名称としての慣用を確認します。

3-3. 役職を表す補語と、肩書+人名

  • She was appointed director of the program.(彼女はそのプログラムのディレクターに任命されました。)
  • I spoke to the director of the program.(私はそのプログラムのディレクターと話しました。)

一つ目のように、任命される役職などを補語として表す場合は無冠詞にできます。二つ目は特定の役職者を指す通常の名詞句なので the を使っています。役職名ならいつも無冠詞になるわけではありません。

Dr. Joe のような「肩書+人名」も通常無冠詞だが、これは役職を補語にする場合とは別の構造です。

3-4. 食事・時・場所に関する表現

  • Let’s talk after dinner.(夕食の後に話しましょう。)
  • I’ll see you next week.(来週会いましょう。)
  • They usually go skiing in winter.(彼らはたいてい冬にスキーに行きます。)
  • He is still at home.(彼はまだ家にいます。)

こうした表現は、語や構文ごとの慣用として覚えます。「親近感があるから冠詞を付けない」という規則ではありません。in the winter も可能であり、食事も a wonderful dinner(すばらしい夕食)、the dinner we had yesterday(昨日食べた夕食)のように使えます。

3-5. 施設の制度・活動に関する用法

  • He is in prison.(彼は服役中です。)
  • She works in a prison.(彼女はある刑務所で働いています。)

in prison は服役中という状態を表します。一方、a prison は一つの刑務所という施設を指します。school、hospital などにも関連する使い方があるが、語によって条件が異なり、英米差もあります。すべての施設名から冠詞を外せるわけではありません。

4. 定冠詞theの使い方

the は、文脈や状況から聞き手が対象を特定できると見込んで使います。可算名詞の単数・複数、不可算名詞のいずれとも使えます。

  • the book(その本)
  • the books on the desk(机の上にある本)
  • the water in this bottle(このボトルに入っている水)

4-1. すでに話題に出た対象

  • I bought a book yesterday. The book is really interesting.(私は昨日本を買いました。その本はとても面白いです。)

二文目では、直前に話した本だとわかるため the book を使います。単なる二回目という回数ではなく、同じ対象を特定できることがポイントです。

4-2. 状況や共通知識から特定できる対象

  • Can you open the window, please?(窓を開けてもらえますか。)
  • The sun is shining.(太陽が輝いています。)

開けてほしい窓がその場でわかる場合や、太陽のように通常の会話で何を指すかわかる場合には、初めて話題にしても the を使えます。世界中に一つしかないことが必要なのではなく、その文脈で対象が特定できることが大切です。

4-3. 前後の文脈や修飾語から特定できる対象

  • I bought a new computer last week, but the mouse broke yesterday.(先週新しいパソコンを買いましたが、そのマウスが昨日壊れました。)
  • Please return the book that I lent you.(私が貸した本を返してください。)

一つ目では、そのパソコンに付属するマウスだとわかる文脈を想定しています。二つ目では、関係詞節がどの本かを示しています。ただし、修飾語が付けば必ず the になるわけではありません。a book about history(歴史についての本)のような表現もできます。

4-4. 楽器・時間などの慣用表現

  • I played the guitar yesterday.(私は昨日ギターを弾きました。)
  • I study in the morning.(私は朝に勉強します。)

楽器の演奏を表す play the guitar はよく使われる表現だが、play guitar も使われます。the が物の「本質」を取り出すため必須だ、とは説明できません。

in the morning も表現として覚えましょう。一方、this morning や tomorrow morning には通常 the を加えません。時間の範囲を自由に区切れば the が使えるという規則ではありません。

5. 無冠詞とゼロ冠詞という用語

冠詞を置かないことをゼロ冠詞と呼ぶ文献もあります。一方、普通名詞の複数・不可算に使う場合と、固有名詞や特定の補語に使う場合とで、冠詞のない構造を理論上区別する分析もあります。用語の範囲は文献によって異なります。

本記事では、学習上はこれらをまとめて「無冠詞」と呼びます。a/an・the・冠詞を置かない用法を理解することが先決であり、「英語には必ず四種類の冠詞がある」と覚える必要はありません。

  • I drink milk every day.(私は毎日牛乳を飲みます。)
  • There is some milk in the fridge.(冷蔵庫に牛乳が少しあります。)
  • Can I have a milk?(牛乳を1杯いただけますか。)
  • Please pass me the milk.(その牛乳を取ってください。)
  • Milk is the name of my rock band.(ミルクは私のロックバンドの名前です。)

これらは「特定の強さ」だけで一列に並ぶものではありません。一般的な物質、不特定の量、一杯分の注文、目の前の特定の牛乳、バンドの固有名というように、名詞の使い方と文脈が異なります。なお、some は限定詞だが、通常 a/an・the と同じ意味での冠詞には分類しません。

6. まとめ

冠詞を選ぶときは、次の順番で考えましょう。

  1. その意味での名詞は可算か不可算か。可算なら単数か複数か。
  2. 聞き手が対象を特定できるか。できると見込むなら the が基本となります。
  3. 不特定の可算単数なら a/an、複数・不可算なら無冠詞や some などを検討します。
  4. 固有名詞、役職、食事、施設、時間などの慣用や、my・this など他の限定詞との関係を確認します。

イメージは理解を助けるが、すべての使い方を一つの図だけで導けるわけではありません。例文を文脈と一緒に読み、迷った名詞は辞書の用法を確認すると、冠詞の判断がしやすくなります。

さらに英文法を学びたい方は、英文法の記事一覧もご覧ください。

Good luck!

65 COMMENTS

知っておきたい!比較級・最上級の使い方総まとめ[英語]

[…] 尚、最上級は「一番の◯◯」を意味するため、「最上級+名詞」の際には冠詞”the”を一緒に使うことが多い。”the”にはその名詞を特定する機能があるからだ。冠詞についてさらに深く知りたい方は、『aとtheの違いがわかる!英語の冠詞を正しく選ぶ7ステップ』をご覧頂きたい。 […]

田邉竜彦

>せくしいさま

お褒めのコメント、ありがとうございます。
分かりやすいと言っていただくほど、嬉しことはございません。
これからもトイグルをよろしくお願いします。

とある主婦

ありがとうございます。コアのイメージで冠詞が理解できました。さっきまで見ていた文法書の冠詞の解説が難しかったので、助かりました。

田邉竜彦

>とある主婦さま
お褒めのコメント、ありがとうございます。
おそらく、冠詞は日本人にとって最も難しい英文法の1つです。
しかし、多くの参考書が冠詞の「分類」についてページを割いているものの、冠詞の本質的な「機能」をわかりやすく説明しているものがありません。
当エントリーがお役に立ったということで、大変嬉しく思います。
今後ともトイグルをよろしくお願いします。

riverside

すばらしい解説を堪能しました。ゼロ冠詞と(狭い意味での)無冠詞との区別はまだきちんと自分で把握しきれていないかもしれませんが、最後の milk を使っての例示が圧巻でした。また、名詞の特定度の「弱い」から「強い」までのスペクトラムの両端に(広い意味での)無冠詞があることに、何かとてもインパクトを受けました。いずれにしろ、とても勉強になりました。拝読させて頂き、ありがとうございました。

田邉竜彦

>riversideさま
お褒めのコメント、ありがとうございます。
無冠詞は重要な要素であるにもかかわらず、初心者向けの冠詞参考書に載っていることは少なく、上級者向け参考書では難解な言葉で説明されているため、日本人があまり触れてこなかった項目だったと思います。
私自身も英文ライティングで冠詞と悪戦苦闘してきたため、たくさんの文献を調べて考えた結果、当エントリーで紹介した結論に至りました。
学習の参考になれば幸いです。

riverside

ご返信ありがとうございます。
「日本人があまり触れてこなかった」。仰るとおりだと思います。無冠詞は多分、自分を含め多くの日本人にとって最もつかみにくい項目の一つではないかと思います。仰るよう沢山の文献にふれて帰納的につかんで行くよりないのではないかと感じていました。個人的に最近ようやく気づいたのは、名詞が動詞的感覚で用いられる時は、その動詞的感覚において無冠詞になるようだ、ということくらいです。Practice makes perfect. のような例ですが、唯一の発見です。不定冠詞が「境界線」を与えるはたらき、という説明はとてもすばらしいと思いました。かさねて、ありがとうございました。

ななお

冠詞は私たちにとってとても難しいです。日本人はテーブルの上のリンゴを英語にするときはその物質の性質=リンゴですが、英語圏の人は一つのリンゴを見た場合、をの個体の”数”が優先するという脳をもっているらしいです。

田邉竜彦

>ななおさま
そうなんですね。これは「言語が違えば見える世界が違う」という1つの例でしょうね。

比較級とは|英語の比較級・最上級の使い方まとめ

[…] 尚、最上級は「一番の◯◯」を意味するため、「最上級+名詞」の際には冠詞”the”を一緒に使うことが多い。”the”にはその名詞を特定する機能があるからだ。冠詞についてさらに深く知りたい方は、『aとtheの違いがわかる!英語の冠詞を正しく選ぶ7ステップ』をご覧頂きたい。 […]

図書委員長

わかりやすい。
冠詞はそもそも、日本語にはない概念なので、ずっとわかりにくく、なぜわざわざ冠詞があるのだろうと思っていましたが、これを読んでaとtheをつける目的が違うことや、ゼロ冠詞と無冠詞の指している意味の違いが明確にはっきりとわかりました。

田邉竜彦

>図書委員長様

お褒めのお言葉、ありがとうございます。
今後ともトイグルをよろしくお願いします。

ポーラ

日本人にとって捉えにくい冠詞について、私も悩む事が多々あり、大変勉強になりました。

しかしながら、この記事を読ませて頂いてもまだ、総称用法についての個人的な疑問が晴れませんでした。
総称用法では、可算名詞の複数形がとられる場合も多々あります。
そういう場合、複数形のゼロ冠詞の場合は理解しやすいのですが、
Children are our future.
上記のように、あえて一つをとってa childなどとする場合、どういったニュアンスの違いが生じるのか、どちらでもいいのか…

総称用法、冠詞で検索すると様々なヒントとなる記事はあるのですが、不定冠詞を使って総称用法とする形をとるのか、複数形のゼロ冠詞を使うのか、を決めるためのよい助言等ありましたら、是非教えて頂きたいです。

田邉竜彦

>ポーラ様

ご質問ありがとうございます。
総称表現は、その対象となる名詞の種類にもよりますが、基本的にはそれぞれの冠詞の持つイメージがそのまま使われます。

例を見てみましょう。
すべて、日本語では「ライオンは高貴な動物である」の意味ですが、ニュアンスが若干異なります。(例文は『現在英文法講義』P463より)

1. A lion is a noble beast.
2. The lion is a noble beast.
3. Lions are noble beasts.

1では不定冠詞aが使われています。世界中にはたくさんのライオンがいますが、「どのライオンを1頭選んでも同じことが言える、だから総称表現」のニュアンスです。
2では定冠詞theが使われています。theは「モノから本質を抜き出す」機能があるため、「ライオンという生物に同じことが言える、だから総称表現」のニュアンスです。
3では無冠詞が使われています。名詞は複数形なので、「すべてのライオンに同じことが言える、だから総称表現」のニュアンスです。

使用場面や意味にもよりますが、総称表現としては3の無冠詞+名詞の複数形が、一般化した事実を述べているには最も適しているかと思います。

ご参考まで。

andou1221

狭義の無冠詞について

お世話になっております。名詞に同一感を与える、という無冠詞の用法があまりにも漠然としすぎて、
いまいち理解ができません。
初歩的な質問ですが、お答え頂けると助かります。

5. 役職に用いる無冠詞

役職やポジションを表す名詞には無冠詞を使う。無冠詞が「その人物=その役職」の同一感を表現するからと考えられる。

director of the program (そのプログラムのディレクター)
Dr. Joe (ジョー博士)

この同一感というのは、

directer = the program

Dr = Joe

というイメージでしょうか?

逆に、

あのディレクターは忙しい、というように特定する場合は、

The director is busy .

ディレクター全般は忙しい、という場合には、

A director is busy . または Directors are busy .

というイメージで良いのでしょうか?

また、

6. 親近感がある名詞に用いる無冠詞

無冠詞の持つ同一感のイメージは、時間や場所を表現する際に使うこともできる。

例えば、dinner(夕食)、summer(夏)、next week(来週)などの単語は、通常無冠詞で使われている。これは、英語に世界において話し手が心理的な同一感、言い換えれば親近感を抱いているからである。

Let’s talk after dinner. (夕食の後に話しましょう。)

話し手Aと受けてBは「夕食」という共通のイメージがあるため、同一感のある無冠詞。

I’ll see you next week. (来週会いましょう。)

同様に、話し手Aと受けてBは「来週」という共通のイメージがあるため、同一感のある無冠詞が
使用されているという捉え方で宜しいでしょうか?

仮に、時間感覚の異なる、火星人と地球人が地球で会う場合、
認識が共通ではなくなるため、

I’ll see you next the week on the earth.

特定の(地球時間の来週)来週に会いましょうと、
the をつける使い方で宜しいでしょうか?

田邉竜彦

>andou1221様

ご質問ありがとうございます。
英文法は解明されていないものが多いため、私の推測も含め、解答させていただきます。

まず、役職が無冠詞になる場合ですが、director of the programは「Xさん=director of the program」の解釈になります。directorにtheをつけなくても、そのプログラムの役職であることは明確であるため、無冠詞を使用すると考えられます。

「あのディレクターは忙しい」で特定の人物を指す場合はthe、世間のディレクターと呼ばれる人一般であればA directorかDirectorsが、いわゆる総称表現として使用できます(お作りいただいた例文なら、Directorsのほうが自然な気がします)。

dinner(夕食)、summer(夏)、next week(来週)等が無冠詞で使われるのが多いのは、ご指摘のイメージに近いです。
theが使われなくても特定できるほど、話者同士の認知において共通した存在と思われるからです。

earth(地球)に関してはもともとtheをつけて使うことが多いので、「火星人と地球人が地球で会う場合」を先のnext week(来週)の例で説明するなら、おそらくそれでもtheは使われないような気がします。
theはあくまで話者と聞き手が物事を特定できる場合に使う冠詞なので、火星人(=話し手と共有知識を持たない人)に文脈なしにtheを使うと、「どのnext week?」といった話になってしまいます。

尚、冠詞は慣習で使用されている側面が大きいです。また、文脈によって解釈と用法が大きく異なってしまいます。
そのため、本稿で述べた内容だけでは説明できないケースもあります。この辺りが英語の難しいところですね…

ご参考にしていただけると幸いです。

andou1221

回答ありがとうございます。

何となく、ですが、イメージが掴めました。

役職については、こう言う理解で宜しいでしょうか?

The teacher is good teaher .

あの先生は、良い教師です。

(弁護士とかお医者さんを、先生、先生、と人間の呼称として使用する時は、冠詞がつく、逆に概念としての役職はつけない)

火星人も確かにおっしゃる通りかと思います。

両方とも無冠詞なら、互いに地球時間の来週、火星時間の来週にやって来るので、会うことはない。

地球時間が、上記の例文で、the next week とつけても、初めて会う火星人には分からないが、

何度も地球で会っているオッチョコチョイの火星人に念を押す意味で伝えたい時は、

I say again , I’ll see you next the week.

という使い方でも良いということでしょうか?

田邉竜彦

>andou1221様

ご質問ありがとうございます。

役職における冠詞ですが、文脈によってa, the, 無冠詞のすべての可能性があり得ます。
役職が無冠詞になるのは、elect, appoint, become, be等の特定の動詞の直後、かつその組織・団体に1つしかその役職がない場合が多いです。
(=1つか役職がないので「同一感」が感じられる)

したがって、次の3つの文はどれも文法的には適正と考えられます。

He is a headteacher. (彼は校長である)
He is the headteacher of our school. (彼は私たちの学校の校長である)
He is headteacher of our school. (彼は私たちの学校の校長である)

他にも役職が無冠詞として使われる例は
John is captain of the football team. (ジョンはそのフットボールチームのキャプテンである)
John was appointed chairman of the charity. (ジョンはそのチャリティーの議長に任命された)
John started working as CEO last week. (ジョンは先週CEOとして働きはじめた)
といった場合になります。

これは明確な理由があるというより、慣習で使用されている面が大きいです。

「来週」を表すnext weekですが、既に話題に出てきた特定の「next week」であれば、the next weekと言えるかと思います。
theは「その」と訳されますが、機能としては話し手と聞き手が物事を特定する参照点となります。

andou1221

丁寧な回答ありがとうございます。

だいたいの大まかなイメージ像をつかむことができました。

田邉竜彦

>andou122様

お役に立てたようで光栄です。

ko4born

質問させていただきます

Economic circumstances in Asia are different from (those )in the West.

この(those)を元の英語であらあわすとthe economic circumstancesとなり、特定の複数名詞を表す

という解説があったのですがなぜ始めのeconomic〜にはtheがつかないのでしょうか

よろしくお願いします。

田邉竜彦

>ko4born様

ご質問ありがとうございます。

まず、文頭のEconomic circumstancesにtheが伴われるか否かと、thoseが指し示す対象物について、分けて考えてみます。

文頭のEconomic circumstancesに関しては、theがついていないことから、一般論としての「アジアの経済状況」を示していると思われます。

次に、those in the Westは「西洋のそれら」の意味を表します。
thoseには「特定」のニュアンスが含まれているため、「それら=経済状況」であり、「アジアの経済状況」と「西洋の経済状況」を文中で対比させていることがわかります。

そのため、thoseはthe economic circumstancesを指す、という解説だったのではないでしょうか。
(ただ、thoseが「the economic circumstances」と「economic circumstances」のどちらを指すかは際どいところです。人にとって解釈が分かれると思います)

尚、thoseはこのように、文中(あるいは直前の文)の同じ対象物を特定する際に使われる語句です。
仮に、thoseの代わりにonesを入れてしまうと、西洋の何がアジアの経済状況と異なるのかが、不明確になってしまいます。

A

とてもわかりやすかったです。現在、認知文法の授業で、冠詞から読み取る英語話者と日本語話者の認知過程の違いについてレポートを書こうと思っているのですが、もし参考になるような書籍などがあれば何でもいいので教えていただきたいです!

田邉竜彦

>A様

お褒めのコメントありがとうございます。
認知文法の授業を受けていらっしゃるのですね。羨ましいです笑

認知文法の視点から見た冠詞(および名詞)に関しては、以下の文献が参考になると思います。

今井 『イメージで捉える感覚英文法』の第7章
https://www.amazon.co.jp/dp/4758925208

テイラー・瀬戸 『認知文法のエッセンス』の第10章
https://www.amazon.co.jp/dp/4469213225/

Radden&Dirven 『Cognitive English Grammar』のPart2
https://www.amazon.co.jp/dp/9027219044/

1冊目は初級、2冊目は中級、3冊目は上級編です。
ご参考まで…

恵ちゃん

例えば、次の例がよくわかりません。
1. The University of Tokyo, Kyoto University : 東大には冠詞がついて京大には冠詞がない。2. Sado island, The Izu Peninsula, 佐渡島には冠詞がつくが、伊豆半島には冠詞がない。以下同様に、in the morningとat night, 地図上ではSea of Japan, 文書の中ではthe Sea of Japan, 米語ではin the hospital, 英語ではin hospital, インフルエンザはhave the flu, 風邪を引くはhave a cold, 太陽はthe Sun, 火星Marsで冠詞なし、He plays the guitar, He plays bass。などなど、結局、冠詞の意味伝達上の目的は理解する必要がありますが、習慣的に覚えなければならない部分やその単語の文化的背景も理解する必要もあるので、理屈だけで理解するのは困難な様な気がしますがどうでしょうか。理屈で覚えようとしていることが返って、学習者の冠詞の理解を困難にしている面もあるのではと思っています。

田邉竜彦

コメントありがとうございます。

ご指摘のように、冠詞は習慣に依存する部分が大きいです。
例示いただいた表現に代表される一連の用法は、私たちノンネイティブにとって、大変大きな学習負荷をもたらしていると認識しています。

教授法は悩ましいところです。
この記事で書いたような「理論→使用例」で考えると、ご指摘のように、説明不足が生じる場合があります。
一方、用法を中心にすると、いわゆるかつての学校文法のような、暗記中心型になってしまわないかという、懸念が生まれます。

現在、冠詞その他に関する文献を読み返し、良い方法がないか模索しています。だいぶ後になってしまいそうですが、いずれこの記事を更新するつもりです。また機会があるとき、お読みいただけると幸いです。

Anne

基本的な事でお恥ずかしいのですが、質問させてください(>_<)

特定の場所ではなく、一般的に好きと言いたい場合
I like rivers.    ではなく I like the river.
I like beaches.   ではなく I like the beach. 
I like mountains.   ではなく I like the mountains.
が正しいと聞いたのですが、I like dogs は良くてこれらがダメな理由が分かりません。。
特定していないのに、なぜtheが必要なのでしょうか?
なぜmountainsだけ複数形なのでしょうか?

また、二人で会話をしていて聞き手が特定できない場合、
I have a friend who lives in a forest. She is ~~
私には森に住んでる友達がいます。彼女は~~(聞き手はどの森のことか分からない)

My father works in a mountain as an engineer.
私の父は山で技術者として働いています。 (聞き手はどの山のことか分からない)

I bought an apple at a market today.
私は今日市場でりんごを買いました。 (聞き手はどの市場のことか分からない)

I went swimming in a river with my family last weekend.
私は先週末、家族と川に泳ぎに行きました。 (聞き手はどの川のことか分からない)

上記のような表現は適切でしょうか?
もし違っていたら理由を教えて頂きたいです。

よろしくお願いいたします。

田邉竜彦

> Anne様

ご質問ありがとうございます。

a/an, the, 名詞の単数/複数形は、日本人にとっておそらく最も困難な文法項目の1つではないかと思います。

当方は英語のネイティブスピーカーではないため、直感的に正誤を判断するのが難しいのですが、当方の持っている知識で以下回答をいたします。

1. 特定の場所ではなく、一般的に好きと言いたい場合
・「川が好き」の「川」は、どこか特定の川を指すわけではなく、川という概念を示すため、モノの形から本質を抜き出すためにtheが使われているのではないかと考えます。
・the mountainはこの場合、単数形でも良い気がします…

2. 森に住んでいる友達の例文
・良い文だと思います!

3. 山で働いている父の例文とりんごを買ったの例文
・冠詞の使い方を意識されていますね。aの用法はいまのままで良いと思います。
・ただ、これは冠詞の問題と言うよりライティングの作法ですが、a mountainとan engineer(あるいはan appleとa market)のように、聞き手の知らない情報が連続すると、書き手が何を強調したいのか、見えにくくなります。
・例えば「◯◯山で…」や「隣町の市場で…」のように情報量を増やすと、より伝わりやすい文になりますよ。

4. 川に泳ぎに行ったの例文
・aの用法としては適切だと思います。
・ただ、以下のように書いたほうが自然な英文になる気がします。

My family and I enjoyed swimming in the Tonegawa river last weekend.

p.s. 英文は文脈に依存するため、上記の文よりも自然なセンテンスは作れると思います。あくまでご参考程度にお考えください。

Anne

迅速なご返答ありがとうございます。

以前ネイティブスピーカーの友人に同じ質問をしたところ、感覚で話しているから説明が出来ないと言われてしまい、困りました(>_<)
日本人にとっては難しい部分ではありますが、頂いたアドバイスを参考にこれからも勉強頑張ります。
ありがとうございました。

TAKU

冠詞で苦労している者です。。

the smell of rosesで香りは「バラ」であるのを特定してるのでtheをつけるという意味は理解出来ました。
そこで以下の名言について質問です。
A journey of a thousand miles begins with a single step
この場合もjourneyは「a thousand miles」であると特定してるのになぜa journeyなのでしょうか?
またa single stepも第一歩というのは唯一の一歩なので、the single stepだと思うのですが、a single stepではない理由とthe single stepとのニュアンス(意味)の違いを教えてください。

田邉竜彦

>TAKU様

コメントありがとうございます。

A journey of a thousand miles begins with a single step.のような名言は表現として固定されている場合が多いですが、冠詞について分析すると、以下のようになります。

1. A journey

やや無理に解釈すると、数千マイルの旅は1つではない、といったニュアンスでしょうか。

尚、言語のデータベースで検索をしたところ、The journey of a thousand milesと言っているものもありました。

The journey of a thousand miles starts with a single step.

2. a single step

a single stepには、世の中には様々なsingle stepがありますが、そのうちどれでもいいので1つのステップをすれば旅が始まる、といったニュアンスがある気がします。

(the single stepは「特定の第一歩」が示唆されます。)

TAKU

早速お返事いただきましてありがとうございます。
大変勉強になりました。
こういう「文脈から読み解く力」「ニュアンスから感じ取る力」はルールや方式がある訳では無いので苦労します。
地道に数をこなすことでしか養えない力でしょうか?

田邉竜彦

>TAKU様

コメントありがとうございます。
これは難しい問題ですね。

1つには、ご指摘のように数をこなすことで直感的に判断する力を養うことです。

もう1つは「英語はすべてを文法で説明できるわけではない」と割り切ってしまうことかもしれません…

特に、冠詞は話し手の意図で選択が変わります。
「ある状況下ではa/theが好まれる」から、「a/theが使われていることからXXと解釈する」と発想を変えると、(根本的な解決にはならないかもしれませんが)、英語を学ぶ上での疑問に対応しやすくなるかなと考えます。

TAKU

お返事遅くなりました。
「英語はすべてを文法で説明できるわけではない」というコメントと冠詞は話し手次第という点に納得出来ました。
これは日本語にも共通する点かなと思います。

「the smell of roses」という当ページの例題もそうなのですが、参考書の冠詞の部分の例題でも「the 名詞 of 名詞の複数形」という形式を多く見られます。
ofの後ろを名詞の複数形にするのには何か訳があるのでしょうか?
細かな点で申し訳ないのですが気になる点ですので教えてください。

田邉竜彦

>TAKU様

コメントありがとうございます。

「A of B」の構造では「AがBの一部」の意味があるので、Bが可算名詞の場合は複数形になることが多いです。

(AはBの部分集合なので、Bが多数であることが前提になります)

Nagoya

Theと無冠詞の違いが良く分からなくなったので質問させて頂きます。
この前”Father of the nation (国父)”という表現を見かけたのですが別の表現では”The father of the nation”とfatherにtheが付いていました。この場合無冠詞のfatherは抽象化されていて、the fatherはof the nationが付いているために特定化されているということなのでしょうか?
また 「名詞 of 名詞」という表現をする時に毎回 theや冠詞の付け方で迷ってしまうのですが、 The 名詞 of 名詞と
ofの前の名詞にしかtheが付いていない表現が多いように感じます。このような時の冠詞の付け方がいまいち良く分からないです….
漠然とした質問になってしまい申し訳ないのですがよろしくお願いします。

田邉竜彦

ご質問ありがとうございます。

Father of the nationに関して、言語のデータベースで調べたところ、不定冠詞あり、定冠詞あり、冠詞なしの3パターンがありました。

a father of the nation
the father of the nation
father of the nation

見たところ、theつきがもっとも多く、次に冠詞なしで、aのあるタイプは極めて少数です。

この点に関しては的確な答えがすぐに出せないので、追加調査をして、いずれ本記事で発表したいと思います。

2つ目の「名詞A of 名詞B」ですが、名詞Aは名詞Bの一部分といった内容なら特定可能なので、theがつきます。

例えば、the result of the debate(ディベートの結果)であれば、ここで言う「結果」はそのディベートから生まれたものに限定されるので、theがつくと考えられます。

「名詞A of 名詞B」の名詞Bは通常の名詞と同じように、場合によってthe, 無冠詞の選択が変わります。

例:
the role of the teacher (名詞Bがthe: 教師の役割)
the people of Wales (名詞Bが固有名詞で無冠詞: Walesの人々)
a good source of background information (名詞Bが普通名詞で無冠詞: 背景知識の良い情報源)

ご参考にしていただけると幸いです。

(例はOxford Advanced Learner’s Dictionaryから抜粋)

Nagoy

お返事遅くなってすみません。
A of Bに関しては何となくですがイメージが掴めました。
冠詞はまだまだ苦手なので分からない点があればまた質問させて頂けると有り難いです。
返信して頂きありがとうございました。

うってぃ

モヤモヤがとけました。ありがとうございます。

友達にも紹介しようと思います。

匿名希望2

なんかいってくださいよう。
これのおかげで試験とれたんでっせ!

田邉竜彦

>匿名希望2様

お返事が遅れて失礼しました。

お役に立てたこと、嬉しく思います。

(前のコメントは読んでいました。また何かあればいつでもコメントください^^)

Yugo

現在スペイン語を勉強している者ですが、西語文法についてかゆい所に手が届く解説というのがなかなかなく、一方で西語と英語は文法面で共通点が多いことから、英文法としての冠詞の解説を探しているうちに、こちらに辿り着きました。
非常に緻密な分析をされていて、冠詞の理解の大きな手助けになりました。

先生が記事を書かれてから数年経っても丁寧に質問に答えておられて、自分と同様の疑問を抱いている質問とその回答を読むと理解が進むので、非常に有益で助かっています。

【無冠詞の同一感】について質問があります。
この「同一感」という言葉が何度読んでもピンときませんでした。おそらく、当該名詞と「何」が同一なのかが理解できなかったからだと思います。

〈固有名詞系〉
Japan:ユーラシア大陸と台湾と太平洋に囲まれた島々、すなわちJapan
Tokyo:○○○○、すなわちTokyo
Milk:○○○○、すなわちMilk
〈役職系〉
director of the program:藤村さん、すなわちdirector
Dr. Nakamatsu:中松さん、すなわちDr.
〈いつものアレ系〉
dinner:いつも夜に食べるアレ、すなわちdinner
next week:いつも過ごしている日々のまた繰り返すヤツ、すなわちnext week
winter:くる年もくる年も訪れるあの寒い季節、すなわちwinter
home:いつも過ごしているあの場所、すなわちhome

ということでしょうか?
「Japan」「Tokyo」「Milk」のような唯一無二の固有名詞が、「何」と同一感を醸し出しているのかがイマイチよく分かりません。
また、「director」の同一感の対象は、「of the program」の中にあるのではなく、その「director」である人物のことを指しているのでしょうか?

よろしくお願い致します。

田邉竜彦

Yugo様

コメントありがとうございます。
当方の記事がお役に立てたようで光栄です。

無冠詞の持つ「同一感」についてですが、これは「語の指し示す概念が唯一無二であり、他に存在しない」という意味と考えます。

例えば、Japanは「日本」という国を指します。

日本は本州をはじめとする複数の島から成り、約1億2千万人の人が暮らし、日本語が主に話される場所である、といった様々な要素の複合が日本という概念を形成しています。

ここで、気候変動や何かしらの政治的理由があって、国家としての日本が所有する島の数が変わったとします。あるいは、人口動態の変化により人々の構成に変化があったとしましょう。

それでも、日本という概念そのものは変わりません。土地の面積、人口、言語、その他の要素が変わっても、日本は他の何物とも異なる、日本であり続けます。これが「同一感」ではないかと考えます。

話は少し変わりますが、英語では固有名詞に定冠詞theをつける用法もあります。

下の例は「その」を意味するtheにより、同一感を除外し、「私の知っている日本」を意味しています。

I know the Japan that created amazing electric appliances.
(私は驚くべき電化製品を作っていた日本を知っている)

こうした用法があることからも、無冠詞の「同一感」は「その概念が唯一無二である(= aやtheでその内容を指定しなくても良い)」と考えます。

役職(director of X)や時間(today)などの用法については、歴史的な経緯も関連しているようなので、当方でも引き続き調査する予定です。

ご参考になれば幸いです。

Yugo

非常に参考になりました。ありがとうございます!

つまり「同一感」とは言い換えると、
「不変」「永遠」とか「変わらないもの」、
「そう簡単には消えたりしない安心感」みたいな
ジュエリーの宣伝文句によくありそうな感じのイメージでしょうか。

田邉竜彦

>Yugo様

一言であらわせば「定義によって一様なもの」でしょうか。

tom

下記の冠詞の使い方はあっていますか?

eat a chikenでは「一匹の鶏」の意味になり、不自然な英文なのですよね。
それでは eat a cooked chickenですと、日本語で意味するような「(料理された)鶏肉を食べた」の意味として、ネイティブに伝わるでしょうか?

田邉竜彦

>tom様

こんにちは、ご質問ありがとうございます。

「(料理された)鶏肉を食べた」ですが、この場合も冠詞なし(=aを用いない)で良いかと思います。

蘭

ゼロ冠詞と本質的な機能を指すTheの違いがよく分からないです。

ゼロ冠詞→その物の本来の意味を抽象的な概念を表す
prison(刑務所)であれば、犯罪者が罪をつぐなう施設という概念を表す

本質的な機能を指すThe→その物の本来の機能も引き出す(含意する)
glay the guitar(ギター)であれば、ただギターを弾くのではなく、音楽を奏でる芸術表現をしていることも意味する。

a guitarなら、ただギターを表す
guitar なら、指板と6本の弦を持つ弦楽器という(抽象的な)概念を表す
the guitarなら、ただギターを表すだけでなく、音楽による芸術表現をするものという意味を含む。

というようなことでしょうか?

田邉竜彦

>蘭様

コメントありがとうございます。

ご指摘の解釈に近いと思います。

ただ、この解釈はあらゆる名詞に必ずしも当てはまるとは限らず、たとえばguitarの場合は無冠詞で使うことは通例、あまりないのではないかと思います。

この辺り、語の慣習的な用法で決まることも多いので、なかなか一筋縄ではいかないですね…

もっさん

ここに書いてあるようなことは知識として知っていますが、それでもやはり非ネイティブには理解できない使い方が多いですね。
例えば「企業」を表す可算名詞の「business」一つとっても「なぜそこでtheを使うの?」「この時はaと言ってたのに(特に特定されているようでもないのに)ここではなぜtheを使うの?どう違うの?」みたいなことは多々あります。
TOEICは満点ですが、それでもわかりません。

ネイティブに聞いても「それが自然だから」しか言われないことも多いですし。

これはもう、例えば日本人が助詞の「は」と「が」の使い方を『「は」の場合は不特定多数の中で主語が取る行動を示していて、「が」の場合は主語に限定している。だから「誰が行く?」という問いに対して「私は行く」だと他にも行く人がいる可能性を意識していることを示していて、「私が行く」だと他の人ではなく「私」が行くことにフォーカスしている』みたいな面倒くさいことをいちいち考えなくても誰もが「違和感」や「自然」みたいな感覚で使い分けられるているように、ネイティブレベルにまで時間と経験を積まないと永遠に(全く英語と異なる体系の母国語を持つ)非ネイティブには理解できないんだろうなあと思っています。

田邉竜彦

>もっさんさん

コメントありがとうございます。

ご指摘の点は私も非常によく理解できます。

businessの例はそうですよね。

あとは、たまたま手元の辞書から見つけましたが、gift(才能)やeffort(努力)などはaとtheのいずれもつきますが、それで似たような意味になったりと、非母語話者にとって、苦労することばかりです。

冠詞については現在研究中なので、まとまった記事を別途、書きたいと思います。

蘭

go to schoolが無冠詞なのは、ゼロ冠詞のprisonが「犯罪者が罪をつぐなう施設」という機能を表すのと同様に、ゼロ冠詞のschoolで、「教育をする施設」という機能を表しているからですか?

田邉竜彦

>蘭様

そのとおりです!

「建物としての学校に行く」ではなく、「(学校に)学びに行く」という意味なので無冠詞になります。

秀ちゃん

$20 per man 一人につき20ドル
800 bushels per acre エーカー当たり800ブッシェル

質問
per の後は無冠詞になるのは、その名詞が単位を表しているため、個体性が薄まるからですか?
per man の場合は、ある一人の男性というよりも、男性1人という単位区分という意味になる。

田邉竜彦

>秀ちゃん様

per man、あるいはper personに関して、『現代英語冠詞事典』には次のような説明と例文があります。

—————-
a(per) day(cup)などという表現では、何月何日とか、どんな色のカップかという特定のものを指すのではないので、冠詞はとらない。(p378)

How many hours do you work per day? (p379)
—————-

ここからは私見ですが、たしかに単位では個体性というニュアンスが薄まり、ある一人の人ではなく、人という抽象的な概念になるので、不定冠詞が不要と考えられますね。

秀ちゃん

「私は、暁星という名の学校に通った」 I went to a school called “Gyosei”.
「私が通った学校は、暁星でした」
The school I went to was “Gyosei”.

前者は、不特定の学校→不定冠詞
後者は、“限定”された学校→定冠詞

これはなぜなのでしょうか?
後者が特定されるのは納得ですが、前者も“暁星という“が付いており、特定されているように感じるのですが…

“暁星という学校”では、相手はどこの学校だと1つに特定出来ない(その学校を知らなかったり、同じ名前の学校があるかも)からでしょうか?

田邉竜彦

>秀ちゃん様

I went to a school called “Gyosei”.の文ですが、学校の話が初出なので、aにしているものと思われます。
(呼ばれているぐらいであれば限定表現としては弱いので、aでOK)

尚、これをthe school…にすることも可能です。

ただ、そうすると、既に話し手が聞き手に学校に行っていた旨を伝えており、「そのスクールは暁星と呼ばれている」という感じになります。

一方、The school I went to was “Gyosei”であれば、I went toがthe schoolを限定しています。
行っていたという強い意味での限定になるので、aだと不自然という判断でしょうか。

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