英語の than とは「…よりも」の意味で使われる語です。
than は比較級の形容詞、または副詞と共に用いられることが多いです。一方、rather than などの用法もあります。
英語を勉強しているあなたは、次のような疑問を持っていないでしょうか?
- than の正しい使い方はなんだろうか…?
- than me / I / I am の違いはなんだろうか…?
- rather than や no sooner than の使い方を知りたい…
そこでトイグルでは、英語の than について詳細を解説していきます。基本的な用法はもちろん、応用的な用法、さらには発展的な知識を網羅していきます。
than は小さな語ではあるが、正しい理解を得ることで、英語の正確性が上がります。リーディングやリスニングなどのインプットはもちろん、ライティングやスピーキングなどのアウトプットにも役立ちます。ぜひ最後までご覧ください
本記事は than の網羅的な情報をまとめているため長文です。英語初心者の方は『1. thanの中核的な意味は「2つのモノ・コトの比較」』だけご覧になれば、than の基礎がわかるでしょう。中級者の方は『2. thanの基本的な使い方』、上級者の方はさらにそれ以降をご覧ください。Q&Aを読めば than に関するよくある疑問が解決されます。
1. thanの中核的な意味は「2つのモノ・コトの比較」
than には様々な使い方があるが、もっとも典型的な用法は「2つのモノ・コトの比較」です。
AとBという2つのモノ(コト)がある時、それらを比べ、「AはBよりもXである」と述べる際に使います。
次の例を見てみましょう。
- (1) John is taller than Bill is. (ジョンはビルより背が高い)
例文では「ジョンはビルより背が高い」と述べられています。
ここでは「ジョンの背の高さ」と「ビルの背の高さ」を比較し、「ジョンの背の高さ」が「ビルの背の高さ」よりも、程度が大きいと言っています。
- ジョンの背の高さ > ビルの背の高さ
別の例も見てみましょう。
- (2) Bill is less tall than John is. (ビルはジョンより背が低い)
例文では「ビルはジョンより背が低い」と述べられています。
ここでも比較されているのは「ジョンの背の高さ」と「ビルの背の高さ」だが、今度は「ビルの背の高さ」が「ジョンの背の高さ」よりも、程度が小さいと言っています。
- ビルの背の高さ < ジョンの背の高さ
このように、than は2つのモノ・コトに対し、何かしらの尺度を設け、それによって「より大である(あるいはより小である)」を示す際に使います。
以下、thanのより詳しい用法を見ていきましょう。
than は古英語 thanne が語源であり、then の語源と同じものとなります。
2. than の基本的な使い方
than の基本的な使い方について、説明していきます。
2.1. -er / more +than
- (3) Mary is younger than Mike is.
(メアリーはマイクより年下です) - (4) The lake is deeper than the river is wide.
(その湖の深さの方がその川の幅より大である) - (5) Jim understood it faster than I did.
(ジムは私よりも速くそれを理解した。) - (6) The exam was more difficult than we expected.
(試験は私たちが予想したより難しかった)
than は「…よりも」や「…に比べて」の意味で、比較級の後に使われます。
(3)はメアリーの年と、マイクの年が比較されています。
(4)は「湖の深さ」と「川の幅」という異なる尺度が比較され、前者が後者よりもその度合いが大きいと述べられています。
(5)は than の前後において、意味的に共通する understood が出現するため、than 以下が did に代用されています。
(6)のように than S expected(Sが予想したより)のような構造で用いられることもあります。
After sunset, rural surfaces cool more rapidly than do urban surfaces. (日没後、農村部の地表は都市部の地表よりも急速に冷える) のように、than以下に倒置が起こることがあります。例文では、… than urban surfaces cool … が than do urban surfaces の構造になっています。
2.2. than before など
- (7) He became more popular than before.
(彼は以前より人気が出た) - (8) It’s warmer than usual.
(いつもより暖かい) - (9) Things went better today than yesterday.
(今日は昨日よりうまくいった)
than の直後には、しばしば要素の省略が起こります。
その中でも、(7) than before(以前より)、(8) than usual(いつもより)、(9) than yesterday(昨日より)といったように、ほとんどフレーズ化しているものもあります。
2.3. than+数・量・距離など
- (10) Don’t spend more than $100 on it.
(それに100ドルを超えるお金をかけてはいけません) - (11) My parents live less than a mile away from us.
(両親は私たちのところから1マイルも離れていないところに住んでいます)
than の直後には、数、量、距離などの数値が使われることがあります。
(10)は量(金額)、(11)は距離が用いられている例です。
2.4. other than
- (12) No one was in there other than my sister.
(私の妹以外、そこには誰もいませんでした)
other than は「…以外に」の意味で、<除外> をあらわします。
(12)は「私の妹以外」の意味です。
No re-broadcast may be made otherwise than in accordance with the conditions determined by the committee.(委員会が決定した条件以外では、再放送を行うことはできません)のように、otherwise than の形で用いられることがあります。
2.5. would rather than / would sooner than
- (13) I’d rather drive than walk there.
(私は歩くより運転して行きたい) - (14) I would sooner give up sleep than miss my evening class.
(夜の授業を休むくらいなら寝るのをあきらめたほうがましだ)
14: Collins Cobuild English Advanced Learner’s Dictionary (9th)
would rather … than と would sooner … than はいずれも、「BするよりAしたい」の意味で使われます。
(13)は「歩く(B)より運転する(A)」、(14)は「夜の授業を休む(B)より寝るのを諦める(A)」と述べています。
尚、rather の詳しい使い方については、別記事で解説しています。より深く知りたい方はご参照ください。
>> 英語のratherの使い方!上手な訳し方や10のポイントを詳しく説明!
would rather than や would sooner than の後に動詞が使われる場合、通例、原形不定詞が用いられます(= to は不要)。
3. thanの応用的な使い方
than の応用的な使い方について、説明していきます。
3.1. else than など
- (15) I would never use anything else than that machine.
(私はあの機械以外、絶対に使いません) - (16) Loss is nothing else than change.
(喪失は変化にほかならない) - (17) I worked elsewhere than my house.
(自宅とは別のところで仕事していました)
than は else と共に用いられることがあります。
(15)は anything else than、(16)は nothing else than、(17)は elsewhere than が使われている例です。
3.2. different than など
- (18) I looked very different than I do now.
(今とはまったく違う顔をしていました) - (19) Users with mobile devices behave differently than desktop users.
(モバイル端末を利用するユーザーはデスクトップユーザーとは異なる行動をとります)
than は different(differently)と共に用いられることがあります。
(18)はdifferent <形容詞>、(19)は differently <副詞>が使われている例です。
Collins Cobuild Advanced American English Dictionary によれば、different than はアメリカ英語では許容されるものの、イギリス英語ではしばしば、許容されないと言います。
3.3. have no choice other than
- (20) I had no choice other than to forgive him.
(私は彼を許すほか仕方がありませんでした)
have no choice other than to … は「…する以外に選択肢がない」の意味で、2.4で説明した other than の用法です。定型表現 have no choice but to … もよく使われます。
3.4. prefer … rather than
- (21) I preferred to play tennis rather than (to) go skiing.
(スキーに行くよりテニスをする方が好きでした) - (22) I’d prefer to stay in a house rather than in a hotel.
(ホテルより一軒家に泊まりたい) - (23) I prefer driving rather than taking the train.
(電車で行くより車で行くほうが好きです)
22: A Communicative Grammar of English
23: マーフィーのケンブリッジ英文法 <中級編>
prefer … rather than の形で使われることがあります。
(21)のように、prefer の目的語が to不定詞の場合、rather than を用います。この場合、than以下はto不定詞と原形不定詞のいずれも使用できます。
(22)は rather than 以下の動詞が省略されている場合です。
(23)のように、prefer の後に動名詞が用いられると、than以下も-ing形にするのが自然です。
She prefers to make toys for her children rather than buy (buying) them. のように、prefer の後にto不定詞があり、rather than が続く場合、その後に原形不定詞(buy)と-ing形(buying)のいずれも可能です(”Practical English Usage”)。
3.5. no sooner … than
- (24) No sooner had I hung up the phone than it rang again.
(電話を切るとすぐにまた電話が鳴った)
no sooner … than は「…するとすぐに」の意味があります。
Hardly had I closed the door than my head hit the pillow.(ドアを閉めるとすぐに枕に頭をぶつけた)のように、hardly … than の用法もあります。ただ、この用法は no sooner than の構文から生まれた誤用であり、使用は避けたほうが良いと言われます。
4. than の発展的な使い方
than の発展的な使い方について、説明していきます。
4.1.than what
- (25) Nothing could give me greater pleasure than what you have just told me.
(今お話しいただいたことほど嬉しいことはありません)
25: Current English Usage
than の直後に、what(= the thing(s) which)が使われることがあります。
(25)の than 以下は「あなたが私に話してくれたこと」の意味になります。
ただし、It is warmer today than what it was yesterday. のように言うのは標準的ではなく、It is warmer today than it was yesterday. のように言うのが良いです。
4.2. than+疑問詞
- (26) What is said is more important than who said it.
(誰が言ったかよりも何を言ったかが重要である)
than の直後に疑問詞が続くことがあります。
(26)は than who… の例です。
4.3. than do / to do / doing
- (27) There’s nothing more satisfactory than see a dream come true.
- (28) There’s nothing more satisfactory than to see a dream come true.
- (29) There’s nothing more satisfactory than seeing a dream come true.
(夢が叶うほど嬉しいことはありません)
27-29: 現代英文法総論
thanの直後には、不定詞だけでなく、動名詞も続きます。
(27)は原形不定詞、(28)はto不定詞、(29)は動名詞が続いている例です。
You’ll find it safer to use the car than to go by bike.(自転車で行くより車を使った方が安全だと思うでしょう)では、to use と to go が対応しています。than の後ろの形は前半の構文や並列関係によって決まり、未来だから不定詞になるわけではありません。Driving tomorrow will be safer than cycling. のように、未来の予定でも -ing 形を使えます。
4.4. 関係代名詞的に使われるthan
- (30) The result was far more striking than had been expected.
(結果は予想をはるかに超えるものだった) - (31) There were more eggs than we could eat.
(卵は食べきれないほどあった)
thanは関係代名詞的に使われることがあります。
(30)は主格の関係代名詞、(31)は目的格の関係代名詞のように使われている例です。
尚、関係代名詞的に使われるthan に関しては、別記事で詳しく解説しています。より深く知りたい方はご参照ください。
>> 英語の疑似関係代名詞とは? asやthanの使い方をわかりやすく説明!
4.5. メタ言語比較
- (32) She was more sad than angry.
(彼女は怒っているというより悲しんでいた)
メタ言語比較とは、more A than Bが「BよりむしろA」の意味で使われるものを言います。
(32)では、「彼女は怒っている(B)というよりむしろ悲しんで(A)いた」と述べられています。
尚、メタ言語比較に関しては、別記事で詳しく解説しています。より深く知りたい方はご参照ください。
>> 英語のメタ言語比較とは? more A than Bの使い方を詳しく説明
5. thanをより深く理解するためのQ&A
than に関しては、学習上に様々な疑問が思い浮かびます。よくある質問についてQ&A形式で深堀りしていきます。
5.1. than後の代名詞は主格と目的格のどちらが良いか?
- (33) She is taller than I am.
- (34) She is taller than me. <略式>
- (35) She is taller than I. <文語>
(彼女は私より背が高い)
thanの後に代名詞が用いられる場合、どのような形にするかが、しばしば問題になります。
(33)は … than I am. の形で用いられている場合です。この形がもっとも一般的と言われます。
(34)は … than me. のように目的格が使われている場合です。会話ではこの形を用いることが多いです。
(35)は … than I. のように、主格が用いられている場合です。この形は文語的で、格式ばった印象を与えます。辞書によっては <やや古> の表記がされていることもあります。
結論的に言えば、… than I am. の形を用いるのが一番無難で、会話などくだけた場面では than me. を用いてもよいです。
I know Tom better than her. は、口語では「彼女がトムを知っている程度」との比較にも、「私が彼女を知っている程度」との比較にも解釈できます。比較相手を明確にするなら、前者は I know Tom better than she does.、後者は I know Tom better than I know her. とします。
He is richer than them both (all). のように both または all を伴う場合、必ず目的格を使います(『現代英文法総論』)。
5.2. thanは接続詞と前置詞のどちらなのか?
thanを接続詞と前置詞のどちらに分類するかは、本格的な論争が1970年代に始まって以降、未だ最終的な解決策が見つかっていません。
例えば、John is taller than Bill is.(ジョンはビルより背が高い)という、ありふれた比較構文を考えてみましょう。この文は than の直後に Bill is とあることから、前置詞とは思えません。仮に、この場合の than を接続詞と想定してみましょう。
しかし、接続詞であるなら、… than Bill is のような省略された形になるのはなぜでしょうか。典型的な接続詞の場合、例えば … because Bill is. が容認不可なのに、なぜ … than Bill is. は容認されるのでしょうか。
また、… than Bill is tall. のように省略のない形にすると、逆に文として容認されなくなる点も見逃せません。ここから、than は接続詞としても、典型的な接続詞とは異なるはたらきを持っていることがわかります。
次に、John is taller than Bill.(ジョンはビルより背が高い)という別の文を考えてみましょう。ここでは、than の後に Bill が単独で用いられています。よって、than は前置詞と考えて良さそうです。
それでは、It’s warmer than usual.(いつもより暖かい)はどうでしょうか。usualは形容詞のため、前置詞の目的語になる要素ではありません。「前置詞でないなら接続詞」とすれば、… than Bill is と同様、何かしらの要素が省略されていると思われます。
このように、比較構文における than の構造はかなり複雑で、接続詞あるいは前置詞といった区分を明確にするのは難しいです。安井稔氏も『英文法総覧』の中で、以下のように述べています:
比較構文を導き出す変形操作は、数ある変形操作の中でも、その解決が最も困難とされているものの一つで、現在のような理論的わく組みの中では、解決不可能ではないかと考える人もいるくらいである。
改訂版 英文法総覧 pp.349
英語学習の観点では、「thanは接続詞と前置詞のどちらなのか」といった分類の問題は、あまりこだわらなくて良いように思えます。この記事で述べてきたような than の使い方を理解すれば、会話・英作文を問わず、使える英語が十分、身につくでしょう。
尚、比較構文の構造については別記事で詳しく解説しています。上述の議論をより深く知りたい方は、ご参照ください。
ジーニアス英和辞典(第5版)やウィズダム英和辞典(第4版)などの学習英和辞典では、thanを接続詞と前置詞に分けた上で、それぞれの用法を説明しています。一方、Oxford Advanced Learner’s Dictionary (10th edition) やLongman Dictionary of Contemporary English (6th edition) など、海外の一部辞書では、than を接続詞と前置詞に分けていません。本記事もそれに習い、接続詞・前置詞といった分類をすることなく、thanの用法の説明を試みました。
6. まとめ
この記事では、英語の than について詳細を解説してきました。
内容をまとめると次のようになります:
- thanは2つのモノ・コトを比較する際に使います
- than before のような形で用いることがあります
- other than の形で用いることがあります
- than の直後の動詞は, 原形不定詞, to不定詞, 動名詞などの場合があります
- than に続く代名詞の格は文体によって変わります
トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆しています。興味のある方はぜひご覧ください。
Good luck!